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青の厚志4


(飛翔@海法よけ藩国)

彼を評して、英雄と呼ぶ。
他の呼び様は幾多とあるだろうが、彼が英雄であることは確かなはずだ。
ここではその他あらゆる面を置いておいて、彼の英雄的側面を切り取ってみることとする。

青。その名を青の厚志といい、元々は速水厚志と呼ばれていた少年である。
公表されている年齢は16歳となっているが、外見年齢は18~9歳程度。どちらかと言えば青年と表現する方が似合う姿をしており、
またその表情は常に明るく快活なものである。
ただ、彼をひと目見た者に強く印象付けられるのは、その髪と瞳の青さについてだろう。
水色でも紺色でも群青でもない、海のようとも空のようとも言い表せない、ただ色としての青さが、人々の目に焼きつくのだ。

彼は第五世界で発生した幻獣戦争における英雄の一人であり、特にその強さを特徴としてあげられる。
その戦いは半ば伝説のように語られ、圧倒的でありすぎるその戦歴から、存在自体を信じず、軍による戦意高揚のためのプロバガンダだと思われている事もあるらしい。
我々の視点では彼の強さがどのように報じられているかは断片的にしか判らないが、その逸話を考えれば、大体の答えはみえてくるだろう。
人々が信じられないという事は即ち、常識的に考えると俄かには信じられない程の戦果を叩き出している、と言いかえられるという事だ。

事実、身体能力は(タダでさえ強化されている第六世代であるという事を差し引いても)人類の限界を遙かに超えており、
500kgの重りを片手で持ち歩いたり雪の上を足跡を残さずに歩いたりと、もう訳のわからない域にまで達している。
勿論の事、彼の強さは弛まぬ努力によって築き上げられた物ではあるのだが、一般的に見てみるともう努力の次元からして常識から遠く離れている。

また、部下であり同じく絢爛舞踏章受賞者である瀬戸口をして、「(第五)世界最強の男」であろうと評されもした事は、彼の強さの証明の一つと言えるだろう。

そして彼は、彼の実在を知る人間からすると、恐怖・畏怖の対象でもあるらしい。。
それはある意味で当然の事ではある。伝説的な活躍を見せる英雄が、平凡な人間と同じ尺度を持っているなどとは普通考えられない。

そして、極親しいものともなれば話は違うが、彼が基本的には人間には優しくない事も、そう認識されてしまう事の原因の一翼を担っているだろう。
幻獣の侵攻を退け、人類の戦線を維持し、戦い、人々が幸福を享受できる世界を護っているという事実は確かにあるのだが、
彼自身が人々の幸福を直接願っているかと言うと、それについては純粋な肯定をすることが出来ないからだ。
故に、彼が怖れられる事が多い。

彼の行動方針が最短最高速と呼べるほど容赦と遠慮のないものである事も、それに拍車をかけているだろう。

己の目的と障害となれば直ちに排除、除去にかかる男と言われ、恐怖もされている。
目的地への速やかな到着を果たすためならば軍事基地の占拠も一切の躊躇いなく行うし、場合によっては近づいたものを容赦なく恫喝したりもする。
(それは彼が一人の少女に抱く純粋な愛ゆえのものではあるのだが、)当然の話だ。直接脅される側にとっては、それはそれは怖いだろう。
そして彼自身、恫喝の有効性を理解している節もある。どうも『あるルールを護る限りにおいて(後述する)』手段を全く選ばないようで、
それが効果的と判断するならば、特に何も躊躇わずにあらゆる手を打つようである。

その『あるルール』については、実の所あまり難しい話でもない。
彼の愛する人、芝村舞の悲しむことをしないという、ただそれだけの話だ。
芝村舞が無闇な殺戮を好まないから無闇に殺戮はせず、人々を救いたいから人々を救う。

彼が求めるものは「愛する人との幸せ」を置いて他になく、その優先順位はその他全てのものに勝る。
だからこその恐ろしい振る舞いであり、だからこその圧倒的な戦果なのだ。
こと戦争全体における彼の存在効果を鑑みるに、人類の命運は、ただ一組のカップルの愛に支えられていると言ってよい。
『愛』という、存外ありふれた行動原理と、それを支える圧倒的な力によって、

圧倒的に強く、恐ろしく、そして深い愛を心に抱く。
そんな彼は、決して聖人君子でもなければ正義の味方でもない。
だが、英雄である事は確かだろう。愛する女性のために世界を護るのは、正義のヒーローではなくてもHEROではあるはずだ。
英雄であるのだ。どこまでも。
(雅戌@玄霧藩国)


(カヲリ@世界忍者国)

 <青が来た>。
 それはあらゆる法則が入り乱れる7つの世界全てを連ねて共通の、希望そのものたる言葉である。
 誰もがその時予感し、確信するのだ。絶望が去り、夜明けが現れるのだと。
 豪華絢爛たる光の舞踏が、騒がしく一人の少女を護るおまけとして、自分たちに力を貸してくれるのだと、誰もが心の中で喜び、そして活力を取り戻すのだ。

 かつて第5世界(=GPM世界)で速水厚志の名を語っていた彼は、ただ一人、心から愛するパートナー『芝村舞』の願い全てを叶えるため――何より自分が幸せに彼女といちゃいちゃするために――その名を語ることを決めた。
 300の敵を仕留めた人外の名誉『絢爛舞踏』、第6世界における夜明けの船のエースパイロット『希望の戦士』。最強のオーマと謡われる青の盟主『青の青』であり、そして万物の調停者たる今代の『シオネ・アラダ』と呼ばれることもある。
 だが、そのどれもが『芝村舞』を護るために生まれ出た過程の一つに過ぎない。何より、彼はそんな称号を欲していない。無理に授けようとすれば、冷徹なその瞳がそのまま相手に死をつきつけるであろう。
 彼の行動理念は『芝村舞』の願い、彼女の存在、それ一つなのである。あとは、何も必要ないのだ。

 黒すぎる髪は人間の視覚では正確に見通すことができず、その瞳と同じように青そのものに見える。その双眸が見つめるのも、不器用な想い人ただ一人。
 誰も傷つけることのない刃たる『剣鈴』で彼女が過ごしやすい場所を切り開き、23番目のクラスメイトにして数多のプレイヤーの同一存在『希望号』を体躯として、傲然と彼女の敵を薙ぎ払う。
 ただ一人の女性の為に生きる人外の伝説。傍若無人にして最強を誇る最後の希望。それが青の厚志である。
(浮椎吾@都築藩国)


(亀助@海法よけ藩国)

”その心は闇を払う銀の剣”

 暗い、暗い場所で、ただ生きることを望む名もない少年がいました。
 少年はその手を血に染め、暗い場所から抜け出し、名前を手に入れました。生きるために。
 そして、必要なものを手に入れるため、また誰かを殺そうと思いました。

 でも、親切な人からあたまをなでてもらい、人を殺すのをやめました。
 そして、誰よりも誇り高く優しい芝村舞と出会い、心と希望を手に入れました。
 そして、級友たちと付き合う内に、いつの間にか自分の浮かべる笑顔が偽りのもではなくなっていることに気づきました。

 彼は、愛する舞と幾人かの大切な友人のために、世界を守ることを決めます。
 夜明けを告げる騒々しい足音の誕生です。
 それは、一人の女の守りにして、世界の守り。
 正義最後の砦の女主人の願いを叶える為に、彼は今日も剣を取る。

/*/*/*

(よしっ、完成。舞、喜んでくれるかな。)
 今日も今日とて青の厚志は、舞のために食事をつくる。
 自ら最高の食材を集め、食器にまで気を使い、料理の腕においては、いつの間にか世界ランクに名をはせる程だ。
 舞のためならどんな小さいことにでも、妥協を許さない人物である。
 どうでもいいが、エプロンをつけてお玉を持ち、上機嫌に料理する姿は、ぽややん以外の何者でもない。
「舞ーーーーー!!」
 出来立ての料理を一番おいしいうちに食べて欲しくて、ご機嫌で舞を食事に誘いに行く厚志。
 舞を目指して、森の中をスキップする勢いである。
 舞は厚志の声に気づいて、慌てて雷電・ジジから離れた。
 だが、頬についたジジの毛と服の皺で、ジジの腹に顔をうずめていたのは丸分かりである。
「そんな大声で呼ばずとも聞こえている。なんの用だ。」
 頬を染めて不機嫌そうに言う舞。ジジと一緒にいるところを見られたのが、バツが悪かったらしい。
 だが、そんな不機嫌な表情でさえも、厚志の胸を高鳴らせるには十分だ。
「お昼ご飯ができたよ。一緒に食べよう。」
 輝く笑顔で舞を食事に誘う厚志。
 舞と一緒にいられるだけで、彼は幸せなのだ。
「私とて、料理の技術を習得した。もう、いちいち作ってもらわずとも、自分でできる。」
 自分から顔をそらしてそう言う舞に、『がーん』という擬態語が見えそうなくらいショックを受ける厚志。
 既に涙目である。
 舞のこととなるとなんでも、大げさに捕らえてしまうのが、彼の彼たる所以とはいえ…はたから見ると、ただのおばかだ。
「ダメーー!!舞のご飯は僕が作るんだから!!」
 舞が料理を作れるようになったのは喜ばしいが、舞の食べるものは全て自分が作りたい。独占欲の塊である。
 自分の料理が舞の口に合わなかったのだろうか…。と不安になる厚志。
 彼はさらに自分の料理の腕を上げることを決めた。
「・・・うっ。何も泣くことはあるまい。わかった。すぐ行く。」
 なぜか舞の頬が妙に赤くなった気がするが、厚志は舞いに受け入れてもらえて有頂天になった。
「うん!!一緒に行こう。」
 笑顔で舞の手を取る厚志。
 その手を舞が振り払わなくなった所を見ると、二人の仲もそれなりに進んでいるようだ。
「あ、ジジもくる?」
 舞に己の表情が見えないようにして、ジジを振り向く厚志。
 その穏やかな口調とは裏腹に、その目は笑っていない。底知れない不敵な様相だ。
 舞と二人の時間を過ごしていたジジにやきもちを焼いるのだ。
 世界を守るヒーローでありながら、心の狭いことである。
「・・・バウ」
 ジジは、やってられるかという風に尾を振って、あっという間に森の奥へと去っていった。
 ちょっと残念そうな舞。
 その表情を見て厚志は一瞬で反省し、お詫びにあとでジジに特製手料理を持っていくことを決めた。
「ジジにはあとでご飯を持っていってあげよう。」
 うなずく舞。頬を染めている。どうやらジジがご飯を食べているところを想像しているようだ。
 そんな舞の表情にノックアウトされる厚志。
(舞、舞は可愛いなー。)
(舞、僕は君のためなら、世界だって何だって守って見せるよ。)
「?何だ。食事に行くのではないのか?何を立ち止まっている。」
 いつの間にか、舞が、少し先に立っていた。
 慌てて舞の隣に立つ厚志。

 彼は舞のためなら本当に世界を守ってしまうだろう。
 これからも、彼女の隣で同じ景色を見るために。二人並んで未来を見るために。
(鍋@ふぁん@鍋の国)


(イク@玄霧藩国)
「ねぇ、舞。犬耳だよ、犬耳」
「うむ、あれは本物らしいな」
 二人を先導するたららは、自分の後頭部に妙な視線が集まるのを感じていた。思えば、芝村舞と顔を会わせた時から、妙に視線が合いそうになると逸らされていた。
 始めは嫌われているのかと思っていたが、視線を逸らす度に顔が赤いので、すぐに気づいた。彼女が見ているのはこの犬耳だ。
 ピクピクっと動かしてみると、後ろで息を呑む気配がする。

 「そんなに気になりま・・・」
 「舞が欲しいなら、拉致して連れて帰るよ?」
 「何を言うか、彼らは広島で我等に加勢してくれた恩人だ! 無礼であろうっ」
 「でも、舞はああいうの好きなんでしょ?」
 「いや、それは否定せぬが・・・。それとこれとは別問題だっ」

  何やら、偉い物騒な会話が為されていた。青の厚志が舞の為ならえんやこらの人だとは知っていたが、対象が自分となると別の話しである。
 「来るよね? 僕のお願いを聞いてくれるかな?」
      • 目が笑ってない、目が笑ってないですよ、厚志さんっ!
 厚志に肩をガッチリ掴まれる。恐怖でたららの顔は引き攣り、冷や汗で背中はぐっしょりであった。

 「やめんか!」
 「痛いよ、舞。チョップは止めてよ」
 「ならば、拳骨でもいいのだが」
 「いいです、ごめんなさい。だから、拳に息を掛けるのは止めてよ」
 「判ればいいのだ。まったく・・・」

 目の前で舞の説教が続く。謝り続ける厚志。

    • ああ、飼いならされてるって本当なんだなぁ。思わず納得するたらら。

 「よぉ、二人とも来たな!」
 見ると通路の先から、ゴーグルを掛けた少年と大人しい印象の少女が歩いて来ている。
 「瀧川も来てたんだっけ?」 
 「おう、俺の方がこっちでは大先輩よ!」 
 「・・・タキー、調子乗りすぎ」
 「うは、そうかな」
 「うむ、瀧川は今でも、調子に乗りすぎてミスすることもあるからな」
 「相変わらず手厳しいなぁ、芝村は」

 それは仲のよい者達の織り成す心地よい空気。
続々と集まる仲間達。しかし、世界は終末へのカウントダウンを刻一刻と刻み始める。
 負けられない戦いが二人の訪れと共に、幕を揚げようとしていた。
(刻生・F・悠也@フィーブル)