東京都内某所
そこは落ち着いた雰囲気の店だった。
バーを兼ねたレストラン。
バーテンダーがカクテルを作り2~3人の客がテーブルで談笑をしている。
顔に髭を生やしたバーテンダーが奥に引っ込むと入れ替わりに高校生ぐらいの人間が姿を現した。
新しいタオルを手に取るとグラスを拭いて指定された場所に置く。
「あ、ワインとチーズウィンナーセットをくれないか」
「かしこまりました。ワインとチーズウィンナーセットですね」
客の注文を聞くとバーテンダーはワイングラスにワインを注いだ。
ウィンナーをガスコンロで焼いてチーズを冷蔵室から取り出す。
「どうぞ。ご注文の品です」
「ああ」
バーテンダーがカウンターに品を置いた。
客が品を自分の目の前に移動させると片手でグラスを持ってチビチビと飲み始める。
男の風貌は若干年季が入っていて目が少し細くて鼻が高い。
何かを考える様に遠い目をしながら少しずつチーズとウィンナーを口に運んでいく。
「ごちそうさん。料金はここによろしく」
男は立ち上がると名刺を取り出した。
“地球防衛組織 ZEUS係長 ユーゼス=ゴッツォ ”
名刺にはそう書かれていた。
「わかりました」
バーテンダーが名刺を丁寧に受け取ると伝票を記入する
「播磨君、今日はもう上がっていい」
「店長、売掛金(簿記上でいうツケ)です」
「ああ…ツケの先はどこかな?」
「その人が名刺で示してくれました」
バーを兼ねたレストラン。
バーテンダーがカクテルを作り2~3人の客がテーブルで談笑をしている。
顔に髭を生やしたバーテンダーが奥に引っ込むと入れ替わりに高校生ぐらいの人間が姿を現した。
新しいタオルを手に取るとグラスを拭いて指定された場所に置く。
「あ、ワインとチーズウィンナーセットをくれないか」
「かしこまりました。ワインとチーズウィンナーセットですね」
客の注文を聞くとバーテンダーはワイングラスにワインを注いだ。
ウィンナーをガスコンロで焼いてチーズを冷蔵室から取り出す。
「どうぞ。ご注文の品です」
「ああ」
バーテンダーがカウンターに品を置いた。
客が品を自分の目の前に移動させると片手でグラスを持ってチビチビと飲み始める。
男の風貌は若干年季が入っていて目が少し細くて鼻が高い。
何かを考える様に遠い目をしながら少しずつチーズとウィンナーを口に運んでいく。
「ごちそうさん。料金はここによろしく」
男は立ち上がると名刺を取り出した。
“地球防衛組織 ZEUS係長 ユーゼス=ゴッツォ ”
名刺にはそう書かれていた。
「わかりました」
バーテンダーが名刺を丁寧に受け取ると伝票を記入する
「播磨君、今日はもう上がっていい」
「店長、売掛金(簿記上でいうツケ)です」
「ああ…ツケの先はどこかな?」
「その人が名刺で示してくれました」
数時間後…ミスリル所属潜水艦 “トゥーアハー・デ・ダナン”にて
作業衣姿の男達が作業をしていた。
飛び散る火花と機械の駆動音。
指示の声と小刻みな足音。
今、作業員達は“アームスレイブ”と呼ばれるロボットを急ピッチで整備中なのだ。
その光景を一人の少年が通路から見つめていた。
名を相良宗介 ミスリル所属軍曹。
その脇にもう一人男がいた。
髪が長く顔半分が毛で隠されている。
少年よりも若干背は上である。
「ここの整備員の腕は保証する」
相介が事務的だが確信を含んだトーンで男に話しかけた。
「わかっていますよ。ですが私の用件は非常に細かい分野なんです」
男が真面目などこか苦悩が混ざったトーンで応えた。
「詳細は大佐殿と一緒に聞こう」
宗介達はその場を後にした
飛び散る火花と機械の駆動音。
指示の声と小刻みな足音。
今、作業員達は“アームスレイブ”と呼ばれるロボットを急ピッチで整備中なのだ。
その光景を一人の少年が通路から見つめていた。
名を相良宗介 ミスリル所属軍曹。
その脇にもう一人男がいた。
髪が長く顔半分が毛で隠されている。
少年よりも若干背は上である。
「ここの整備員の腕は保証する」
相介が事務的だが確信を含んだトーンで男に話しかけた。
「わかっていますよ。ですが私の用件は非常に細かい分野なんです」
男が真面目などこか苦悩が混ざったトーンで応えた。
「詳細は大佐殿と一緒に聞こう」
宗介達はその場を後にした
数分後 ダナン内 大佐専用室にて
「貴方がZEUSから来られたギリアム=イェーガーさんですね?」
「はい。貴方がダナン艦長 テッサ=テスタロッサですね」
木製の机をはさんで二人は相対していた。
「ZEUSから聞いた所、貴方はアマルガムに関する情報を持っているそうですね」
「ええ。もっというとアマルガムだけではありませんが」
ギリアムは懐から一枚のディスクを取り出した。
宗介が念の為ギリアムからディスクを受け取ると軽くチェックする。
爆弾でないか知る必要があるのだ。
データディスクである事を確認すると宗介はテッサにディスクを渡した。
「中身は何なのですか?」
「アマルガムが新規に開発しようとしている人間サイズのアームスレイブに関するデータ及びその試験内容です」
テッサは驚愕の色を僅かに目に表した。
現在アームスレイブは戦闘においてかなり普及している。
ミスリルが主に使う“M9”と呼ばれる機種は新型だ。
そのM9をもし人間サイズにする事が出来たならば白兵戦では驚異的な戦力を得る事になる。
「とにかく見てみましょう」
テッサはノートPCにディスクを入れた。
ディスクが再生され、中身のデータがホログラムで空気中に映し出される。
人型アームスレイブ、或はパワードスーツのスペックが表示され、テストと思わしき画像が浮かび上がる。
「連中はテストを街中で行ったのです。自分は接触したのですが逃げられてしまいました」
「…このテストを行っている人は…ユーゼス=ゴッツォ氏では?」
テッサは少し動揺していた。
ZEUSという組織のユーゼス=ゴッツォという人物では軍の世界ではそれなりに名が知れている。
科学者でもあり兵でもあるという凄腕の人物である。
「私も信じられませんでした。あろう事か平和を守る立場である筈の彼が街を破壊したのです!」
ギリアムが眉間に皺を寄せながら叫んだ。
彼自身まだその事実を受け入れていないのだ。
「Mr.イェーガー、これはZEUSの意思なのですか?」
「違います。それはゴッツォ個人の意思です」
「しかし…この問題を私達に提示しても私達はまだ人間サイズのアームスレイブの実用化に着手してはいません」
「知っています。ですから0からではなく実用化が可能なレベルにまで情報を提供しようというのです」
ギリアムがブレスレットを外した。
「貴方のそれを解析する事で本当に可能なのでしょうか?」
「ミスリルにならそれが可能だと思います。世界でテクノロジーの最高峰といえばミスリルとアマルガムぐらいでしょう」
「なる程…前向きに対処します」
「よろしくお願いします」
ギリアムは礼を言うと大佐室から静かに退出した。
宗介がそれに続く。
廊下を歩きながら二人とも少しの間、無言だった。
その沈黙を破ったのは宗介が先だった。
「Mr.イェーガー・・・貴方は脇腹に傷を負っている。回復してはいる様だが…その分だと…ゴッツオを追えるのか?」
「やはり君にはバレていたか。今のままでは戦うのは無理だ。」
イェーガーが苦笑いをして脇に手を添える。
「我々に技術を提供する事の見返りは何を要求するんだ?」
宗介が尖ったトーンを含んだ口調になった。
組織同士の協力は政治的な駆け引きがある。
何もなしに情報が動くワケではない。
何かしらの利益が双方に存在するのだ。
「私のパワードスーツ“ゲシュペンスト”の強化かな」
「貴方は俺が以前使用した“ボン太君”を知っている。それと混ぜる事で強化できないか?」
「わからない。可能性はあると思う」
ギリアムが持ってきた情報は新たなる兵器と新たなる闘いの胎動を呼び起こそうとしていた…。
「貴方がZEUSから来られたギリアム=イェーガーさんですね?」
「はい。貴方がダナン艦長 テッサ=テスタロッサですね」
木製の机をはさんで二人は相対していた。
「ZEUSから聞いた所、貴方はアマルガムに関する情報を持っているそうですね」
「ええ。もっというとアマルガムだけではありませんが」
ギリアムは懐から一枚のディスクを取り出した。
宗介が念の為ギリアムからディスクを受け取ると軽くチェックする。
爆弾でないか知る必要があるのだ。
データディスクである事を確認すると宗介はテッサにディスクを渡した。
「中身は何なのですか?」
「アマルガムが新規に開発しようとしている人間サイズのアームスレイブに関するデータ及びその試験内容です」
テッサは驚愕の色を僅かに目に表した。
現在アームスレイブは戦闘においてかなり普及している。
ミスリルが主に使う“M9”と呼ばれる機種は新型だ。
そのM9をもし人間サイズにする事が出来たならば白兵戦では驚異的な戦力を得る事になる。
「とにかく見てみましょう」
テッサはノートPCにディスクを入れた。
ディスクが再生され、中身のデータがホログラムで空気中に映し出される。
人型アームスレイブ、或はパワードスーツのスペックが表示され、テストと思わしき画像が浮かび上がる。
「連中はテストを街中で行ったのです。自分は接触したのですが逃げられてしまいました」
「…このテストを行っている人は…ユーゼス=ゴッツォ氏では?」
テッサは少し動揺していた。
ZEUSという組織のユーゼス=ゴッツォという人物では軍の世界ではそれなりに名が知れている。
科学者でもあり兵でもあるという凄腕の人物である。
「私も信じられませんでした。あろう事か平和を守る立場である筈の彼が街を破壊したのです!」
ギリアムが眉間に皺を寄せながら叫んだ。
彼自身まだその事実を受け入れていないのだ。
「Mr.イェーガー、これはZEUSの意思なのですか?」
「違います。それはゴッツォ個人の意思です」
「しかし…この問題を私達に提示しても私達はまだ人間サイズのアームスレイブの実用化に着手してはいません」
「知っています。ですから0からではなく実用化が可能なレベルにまで情報を提供しようというのです」
ギリアムがブレスレットを外した。
「貴方のそれを解析する事で本当に可能なのでしょうか?」
「ミスリルにならそれが可能だと思います。世界でテクノロジーの最高峰といえばミスリルとアマルガムぐらいでしょう」
「なる程…前向きに対処します」
「よろしくお願いします」
ギリアムは礼を言うと大佐室から静かに退出した。
宗介がそれに続く。
廊下を歩きながら二人とも少しの間、無言だった。
その沈黙を破ったのは宗介が先だった。
「Mr.イェーガー・・・貴方は脇腹に傷を負っている。回復してはいる様だが…その分だと…ゴッツオを追えるのか?」
「やはり君にはバレていたか。今のままでは戦うのは無理だ。」
イェーガーが苦笑いをして脇に手を添える。
「我々に技術を提供する事の見返りは何を要求するんだ?」
宗介が尖ったトーンを含んだ口調になった。
組織同士の協力は政治的な駆け引きがある。
何もなしに情報が動くワケではない。
何かしらの利益が双方に存在するのだ。
「私のパワードスーツ“ゲシュペンスト”の強化かな」
「貴方は俺が以前使用した“ボン太君”を知っている。それと混ぜる事で強化できないか?」
「わからない。可能性はあると思う」
ギリアムが持ってきた情報は新たなる兵器と新たなる闘いの胎動を呼び起こそうとしていた…。