腐れ縁とでも言おうか、魚座ピスケスのアフロディーテと蟹座キャンサーのデスマスクは、
殊更仲が良いという訳でもないのに何らかの形で行動を共にするケースが多い。
この二人、同時期に聖域入りし、同時期に聖闘士になり、同時期にサガの傘下へと入った。
そのせいか、何故か聖域職員からはふたり一くくりにされがちだ。
別にそれくらいで目くじら立てるほど幼いわけではないが、両者ともになんとなく釈然としないものを感じるのは確かだ。
殊更仲が良いという訳でもないのに何らかの形で行動を共にするケースが多い。
この二人、同時期に聖域入りし、同時期に聖闘士になり、同時期にサガの傘下へと入った。
そのせいか、何故か聖域職員からはふたり一くくりにされがちだ。
別にそれくらいで目くじら立てるほど幼いわけではないが、両者ともになんとなく釈然としないものを感じるのは確かだ。
だからその日、巨蟹宮に在ったデスマスクのもとへアフロディーテからお茶会の知らせが届いたときは、
さしもの悪漢デスマスクも、わずかばかりの驚愕をその相貌へにじませた。
双魚宮で行われるのならば驚きもしなかっただろう、なんとアフロディーテが個人所有する邸宅で行うというのだ。
アフロディーテに甥と姉が居る事は彼自身の口から聞いていた。
さしもの悪漢デスマスクも、わずかばかりの驚愕をその相貌へにじませた。
双魚宮で行われるのならば驚きもしなかっただろう、なんとアフロディーテが個人所有する邸宅で行うというのだ。
アフロディーテに甥と姉が居る事は彼自身の口から聞いていた。
「で、何で俺なんだ?
悪党面も良いところだぞ俺ァ」
悪党面も良いところだぞ俺ァ」
豪邸と言っていい屋敷の敷地内を、アフロディーテに先導されてデスマスクが歩いていた。
ほかに用事もなく、女の所へしけ込む気分でもなかったから、というのが理由だった。
何を思ったか、最近とった弟子・盟をつれてきてもいた。
ほかに用事もなく、女の所へしけ込む気分でもなかったから、というのが理由だった。
何を思ったか、最近とった弟子・盟をつれてきてもいた。
「病に臥せって長いのさ、姉は。
私に叶えられる数すくないわがままを叶えたい、それだけだ…」
私に叶えられる数すくないわがままを叶えたい、それだけだ…」
ふん、と鼻で笑おうとしたデスマスクだったが、何か思いついたように口の端を吊り上げる。
「口説いてもいいのか?お前似ならさぞかし美人なん…」
眼前に突きつけられた黒薔薇がそれから先を遮った。
「…やるか?」
デスマスクの右手に、燐光が宿る。
死界の扉・積尸気を開いた証だ。
死界の扉・積尸気を開いた証だ。
眼前で開幕せんとする死闘に、盟は震えを止めるすべを持たなかった。
失禁しなかっただけマシだろう、聖闘士としての修行はじめたばかりの小僧に、この殺気の渦は毒でしかない。
チリチリと大気が焦げ、小宇宙が空間を捻じ曲げる。
一触即発、といった風だが、思わぬ闖入者がそれを消し飛ばした。
失禁しなかっただけマシだろう、聖闘士としての修行はじめたばかりの小僧に、この殺気の渦は毒でしかない。
チリチリと大気が焦げ、小宇宙が空間を捻じ曲げる。
一触即発、といった風だが、思わぬ闖入者がそれを消し飛ばした。
「おじちゃーん。」
体重を感じさせない、跳ねるような足取りでこちらへ駆けてくる子どもだ。
「こんにちわーっ」
言いながらアフロディーテに向かって飛び込んでくる。
可愛らしい顔立ち、肩まで伸びた髪、そして天真爛漫を絵に描いたよう笑顔。
あと十年もすればさぞかし美人になるだろうと思わせる子だ。
そんな子どもをアフロディーテは軽々と抱き上げる。
水入りか、とデスマスクも積尸気を閉じたのを見計らい、アフロディーテも手の内から黒薔薇を消した。
可愛らしい顔立ち、肩まで伸びた髪、そして天真爛漫を絵に描いたよう笑顔。
あと十年もすればさぞかし美人になるだろうと思わせる子だ。
そんな子どもをアフロディーテは軽々と抱き上げる。
水入りか、とデスマスクも積尸気を閉じたのを見計らい、アフロディーテも手の内から黒薔薇を消した。
「アドニス!
こんにちは、君のお母さんは元気かな?」
こんにちは、君のお母さんは元気かな?」
「うん!
お母さんね、今おかしとお茶の準備してるの!」
お母さんね、今おかしとお茶の準備してるの!」
「それじゃ、早くいかないとね」
アフロディーテもアドニスも、そろって女顔、というよりも女にしか見えない。
特にアドニスなどは二次性徴を迎える前な為、幼女といっても通ってしまうだろう。
特にアドニスなどは二次性徴を迎える前な為、幼女といっても通ってしまうだろう。
「甥?姪の間違いじゃねぇのか?
こいつの一族みんなこんなんかよ…」
こいつの一族みんなこんなんかよ…」
デスマスクでなくともそんな言葉がでようものだ。
もっとも、耳ざといアフロディーテの返答はピラニアンローズを足元に投げつけるというものだったが…。
もっとも、耳ざといアフロディーテの返答はピラニアンローズを足元に投げつけるというものだったが…。
「じゃあ行こうか?ジョナサン・フィッツジェラルド」
どこの小説家だよ、デスマスクはぼやくが、盟に促され仕方なく屋敷の中へと足を向けるのだった。