~バー店内~
「よ、らっしゃい!」
「おう、親父、ビールだ。ビールをジャンジャン持ってきてくれ!」
「へい、毎度!」
「ふ~、ようやく一息つけたな」
「だね。一時はどうなることかと思ったけど、本当、助かったよ」
「どうも、お待たせしました」
「お、早いな。よし、早速……ヒョ~、うっめえ~!」
「全く、生き返るとはこのことだ」
「ああ、染みるなあ……」
「……神山、お前、普通に酒飲むんだな」
「え、何か、問題ある?」
「いや、別にないけど……」
「だったら変なこと言わないでよ。未成年がお酒飲んじゃいけないって
法律で決まっている訳じゃないんだから……ん?」
「どうかしたのか、神山?」
「いや、なんかね、ビールを運んできた女の子がずっとこっちを
見ているんだよ」
「まあ、色んな意味で目立つ集団だからな、仕方あるまい」
「しかし、気になるなあ……オイ、君、ちょっと邪魔だから、
向こうへ行ってくれないか」
「……わ……」
「わ?」
「よ、らっしゃい!」
「おう、親父、ビールだ。ビールをジャンジャン持ってきてくれ!」
「へい、毎度!」
「ふ~、ようやく一息つけたな」
「だね。一時はどうなることかと思ったけど、本当、助かったよ」
「どうも、お待たせしました」
「お、早いな。よし、早速……ヒョ~、うっめえ~!」
「全く、生き返るとはこのことだ」
「ああ、染みるなあ……」
「……神山、お前、普通に酒飲むんだな」
「え、何か、問題ある?」
「いや、別にないけど……」
「だったら変なこと言わないでよ。未成年がお酒飲んじゃいけないって
法律で決まっている訳じゃないんだから……ん?」
「どうかしたのか、神山?」
「いや、なんかね、ビールを運んできた女の子がずっとこっちを
見ているんだよ」
「まあ、色んな意味で目立つ集団だからな、仕方あるまい」
「しかし、気になるなあ……オイ、君、ちょっと邪魔だから、
向こうへ行ってくれないか」
「……わ……」
「わ?」
「……わ、私の村を救ってください!」
「な、なんだ、突然にこいつは」
「お、お願いです!」
「新手の物乞いかな?キミ、出来れば他をあたってくれるとありがたいんだけど」
「おい、神山。なんだか真剣な様子じゃないか。話ぐらい聞いてやろうぜ」
「ウム、何もそうつっけんどんになることはあるまい。さ、小童、
怖がらずになんなりと申せ」
「は、はい。ここから少し離れたオアシスの側に私の村があるんです。
皆、貧乏だけど、平和な村でした。でも、最近、近くで石油が取れ出して、
オアシスの水が汚染されてしまったのです。政府に苦情を言っても、
門前払いされるばかりで、一向に取り合ってくれません。水が飲めなく
なったら私の村はおしまいなんです。どうか、皆さんの力で石油の採掘を
止めさせてください!」
「……フム、話は分かった。しかし、何故、我々にそんな話を?」
「だって、皆さんはサムライだから」
「は?」
「私、大人達が話していたのを聞いたんです。日本から『オダ』がやってくるって。
『オダ』って日本の強いサムライのことを言うんでしょ?」
「織田は確かに日本の武将だが、何故、ここにそんなのがやってくるんだ?」
「……ひょっとして、この子はODA(政府開発援助)のことを言っている
んじゃないかな」
「何、神山!!ODAって……まさか、あのODAのことを言っているのか!?」
「林田君、リアクションがおかしい。君、絶対、ODAの意味分かってないでしょ」
「舐めるなよ、神山。ODAぐらい知っているぜ。ま、俺はauの方が好きだけどね」
「うん、今、思いついたんだろうけど、ODAは携帯電話とかと違うんだ」
「じゃ、あれだ。駅前留学」
「NOVAも関係ない」
「ネズミの植民地」
「TDL……って、あのさ、別に無理して会話に入ることないんだよ?」
「あ、あの~……」
「おい、そこの馬鹿二人、いつもの漫才を止めろ。見ろ、女の子が困って
いるじゃないか」
「……え、え~と、もしかして、皆さんはサムライではないんですか?」
「ああ、大変言いにくいことなんだが、お前が言っていたODAはサムライと
一切関係がないのだ」
「でも、あなた達は日本人なんでしょ?」
「まあ、そうなのだが、日本人=サムライって訳では……」
「じゃあ、忍者?だったらサムライとは知り合いのはずでしょ。紹介してよ」
「いや、そういう問題でもなくて、え~と、そもそもだな、お前は日本を
根本的に勘違い……」
「北斗君、僕に変わってくれないか。君じゃ埒があかない」
「むう、神山」
「いいかい、君。日本にサムライなんていやしないんだ」
「え……」
「日本にいるのはサラリーマンばかりで、刀を持ち歩いている人も、チョンマゲを
している人もいない。これが今の日本の現実だよ」
「じゃあ、なんでこの人はチョンマゲをしているの?」
「チョンマゲ?林田君のモヒカンのことを言っているのかな?」
「ああ、それでこっちをずっと見ていたんだな。納得したぜ」
「あのね、これはチョンマゲじゃなくて、モヒカンというアメリカ先住民の
髪型なんだ。まあ、彼に至ってはモヒカンかどうかも怪しいんだが」
「子供だと思ってからかっているの?アメリカ人がチョンマゲしている
訳ないじゃない。馬鹿にしないでよ!」
「だから、チョンマゲじゃなくて、モヒカン。昔、アメリカに住んでいた人は
こんな頭をしていたの」
「ウソ!ジャン・レノはハゲよ」
「……君、絶対、人の話聞いていないよね。仕方が無い、論より証拠だ。ホラ」
「ナッ!?」
「エッ!?」
「見てごらん、これはカツラだよ。これでも、まだ君は彼のことをサムライだと
言うのかな」
「ウッ……」
「いいかい、さっきも言ったけど、サムライはね、仕えるべき主君を失ったとき、
日本から消えていなくなっちゃったんだよ。今いるのは、『金』という新しい
主君に仕えるサラリーマンだけ。君は今までサムライという夢を見ていたんだ。
悪いことは言わない、他をあたってくれ」
「神山、何もそこまで言わなくても」
「北斗君。僕はね、こういう世間知らずの子供を見ていると、イライラして
くるんだ。大体、僕らはただの高校生でしょ。無茶言わないで欲しいよ」
「ウソ!ただの高校生にロボや国籍不明の外国人がいるわけないじゃない!」
「だったらそんなサムライ、なおさらいないって話でしょ」
「それはそうだけど……でも、私のおじいちゃんは言ってたよ。真のサムライ
とは姿形でなく、その魂を持っているか、いないかで決まるって。魂さえ
持ってれば、ロボや不逞外国人だって、きっとサムライなのよ!」
「お、お願いです!」
「新手の物乞いかな?キミ、出来れば他をあたってくれるとありがたいんだけど」
「おい、神山。なんだか真剣な様子じゃないか。話ぐらい聞いてやろうぜ」
「ウム、何もそうつっけんどんになることはあるまい。さ、小童、
怖がらずになんなりと申せ」
「は、はい。ここから少し離れたオアシスの側に私の村があるんです。
皆、貧乏だけど、平和な村でした。でも、最近、近くで石油が取れ出して、
オアシスの水が汚染されてしまったのです。政府に苦情を言っても、
門前払いされるばかりで、一向に取り合ってくれません。水が飲めなく
なったら私の村はおしまいなんです。どうか、皆さんの力で石油の採掘を
止めさせてください!」
「……フム、話は分かった。しかし、何故、我々にそんな話を?」
「だって、皆さんはサムライだから」
「は?」
「私、大人達が話していたのを聞いたんです。日本から『オダ』がやってくるって。
『オダ』って日本の強いサムライのことを言うんでしょ?」
「織田は確かに日本の武将だが、何故、ここにそんなのがやってくるんだ?」
「……ひょっとして、この子はODA(政府開発援助)のことを言っている
んじゃないかな」
「何、神山!!ODAって……まさか、あのODAのことを言っているのか!?」
「林田君、リアクションがおかしい。君、絶対、ODAの意味分かってないでしょ」
「舐めるなよ、神山。ODAぐらい知っているぜ。ま、俺はauの方が好きだけどね」
「うん、今、思いついたんだろうけど、ODAは携帯電話とかと違うんだ」
「じゃ、あれだ。駅前留学」
「NOVAも関係ない」
「ネズミの植民地」
「TDL……って、あのさ、別に無理して会話に入ることないんだよ?」
「あ、あの~……」
「おい、そこの馬鹿二人、いつもの漫才を止めろ。見ろ、女の子が困って
いるじゃないか」
「……え、え~と、もしかして、皆さんはサムライではないんですか?」
「ああ、大変言いにくいことなんだが、お前が言っていたODAはサムライと
一切関係がないのだ」
「でも、あなた達は日本人なんでしょ?」
「まあ、そうなのだが、日本人=サムライって訳では……」
「じゃあ、忍者?だったらサムライとは知り合いのはずでしょ。紹介してよ」
「いや、そういう問題でもなくて、え~と、そもそもだな、お前は日本を
根本的に勘違い……」
「北斗君、僕に変わってくれないか。君じゃ埒があかない」
「むう、神山」
「いいかい、君。日本にサムライなんていやしないんだ」
「え……」
「日本にいるのはサラリーマンばかりで、刀を持ち歩いている人も、チョンマゲを
している人もいない。これが今の日本の現実だよ」
「じゃあ、なんでこの人はチョンマゲをしているの?」
「チョンマゲ?林田君のモヒカンのことを言っているのかな?」
「ああ、それでこっちをずっと見ていたんだな。納得したぜ」
「あのね、これはチョンマゲじゃなくて、モヒカンというアメリカ先住民の
髪型なんだ。まあ、彼に至ってはモヒカンかどうかも怪しいんだが」
「子供だと思ってからかっているの?アメリカ人がチョンマゲしている
訳ないじゃない。馬鹿にしないでよ!」
「だから、チョンマゲじゃなくて、モヒカン。昔、アメリカに住んでいた人は
こんな頭をしていたの」
「ウソ!ジャン・レノはハゲよ」
「……君、絶対、人の話聞いていないよね。仕方が無い、論より証拠だ。ホラ」
「ナッ!?」
「エッ!?」
「見てごらん、これはカツラだよ。これでも、まだ君は彼のことをサムライだと
言うのかな」
「ウッ……」
「いいかい、さっきも言ったけど、サムライはね、仕えるべき主君を失ったとき、
日本から消えていなくなっちゃったんだよ。今いるのは、『金』という新しい
主君に仕えるサラリーマンだけ。君は今までサムライという夢を見ていたんだ。
悪いことは言わない、他をあたってくれ」
「神山、何もそこまで言わなくても」
「北斗君。僕はね、こういう世間知らずの子供を見ていると、イライラして
くるんだ。大体、僕らはただの高校生でしょ。無茶言わないで欲しいよ」
「ウソ!ただの高校生にロボや国籍不明の外国人がいるわけないじゃない!」
「だったらそんなサムライ、なおさらいないって話でしょ」
「それはそうだけど……でも、私のおじいちゃんは言ってたよ。真のサムライ
とは姿形でなく、その魂を持っているか、いないかで決まるって。魂さえ
持ってれば、ロボや不逞外国人だって、きっとサムライなのよ!」
「むう、良いことを言うな、このアマ」
「北斗さん、小さな女の子に対し、『このアマ』は無いです。あと、フレディが
いたく傷ついています」
「……フゥ、折角、林田君がカミングアウトしてくれたというのに、
まだ分かってくれないのか」
「勿論よ。サムライがいなくなったなんて絶対、信じられない。例え、
お兄ちゃん達がサムライでなくても、その魂はきっと日本に残っているはずよ」
「ふ~ん、じゃあ、君がサムライになれば」
「……え」
「サムライは魂で決まるって言ったよね。だから、君がサムライになれば
いいと言ってるんだよ」
「え、で、でも、私は女の子だし……」
「あれあれ、さっきのまでの威勢は何処行ったのかな?」
「そ、そんな風に言わなくても……私は、ただ、サムライは弱い人達を
助けてくれるって、そう教えられて……。だから、お兄ちゃん達を見たとき、
きっと、助けてくれんじゃないかと……」
「グダグダ言っているけど、ま、要するに人頼みってことだよね」
「……グスン、いいわよ、もうお兄ちゃん達には頼まない!自分でなんとかするわ!」
「北斗さん、小さな女の子に対し、『このアマ』は無いです。あと、フレディが
いたく傷ついています」
「……フゥ、折角、林田君がカミングアウトしてくれたというのに、
まだ分かってくれないのか」
「勿論よ。サムライがいなくなったなんて絶対、信じられない。例え、
お兄ちゃん達がサムライでなくても、その魂はきっと日本に残っているはずよ」
「ふ~ん、じゃあ、君がサムライになれば」
「……え」
「サムライは魂で決まるって言ったよね。だから、君がサムライになれば
いいと言ってるんだよ」
「え、で、でも、私は女の子だし……」
「あれあれ、さっきのまでの威勢は何処行ったのかな?」
「そ、そんな風に言わなくても……私は、ただ、サムライは弱い人達を
助けてくれるって、そう教えられて……。だから、お兄ちゃん達を見たとき、
きっと、助けてくれんじゃないかと……」
「グダグダ言っているけど、ま、要するに人頼みってことだよね」
「……グスン、いいわよ、もうお兄ちゃん達には頼まない!自分でなんとかするわ!」