SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ “涼宮ハルヒ”の憂鬱  アル晴レタ七夕ノ日ノコトⅠ51-1


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今も時々思い出す。
 あれから三年半も経っているっていうのに、すごく鮮明に。
 今が楽しくないわけじゃない。
 あの頃に比べたら、何もかもを壊したかった頃に比べたら、私は楽しい。
 でも、足りない。
 あの日には、あの場所には、あの人には、届かない。

 「七夕…か」
 7月7日、日本は全国的に七夕祭りの日を迎えた。
 東中の一年生の教室で、涼みやハルヒは呟いた。
 織姫と彦星が年に一回だけ会えるっていう誰でも知ってるような話の詳細は置いておく
として、放課後のHR中に夜空を見上げる少女にとっては、一年の内で誕生日よりもクリス
マスよりもお正月よりも楽しみにしている日だった。
 だけど、最近は少し憂鬱だわ。
 と、ハルヒは思う。
 これまた有名な七夕伝説だが、短冊に願い事を書いて笹につるすと願いが叶うという話
しがある。ハルヒはそれをここ数年間、それは丁寧に、(世界中の誰よりも念入りにやっ
ていると自覚できるくらい)丁寧にやってきたのだ。
 なのに、未だ願いが叶う気配がない。
 最近はベガとアルタイルに願いが届いて帰ってくるまで時間が掛かるからだっていう屁理屈
も考えてみたが、正直どうかと思う。
 でも、だったら何で・・・?
 今日は快晴だ。夜空を見上げれば、どっちも良く見えるだろう。
 迷信めいているということは分かってる。
 でも、ないなんて、信じない。
 不思議なことはあるって、信じたい。
「だから私が証明するのよ」
 教室内の生徒達から集まる視線を完全に無視し、涼宮ハルヒは教室を出た。


よく晴れているというのに、日本独特の湿った風が纏わりつく。昼間とはまた違った熱さだ。
 この後重労働することを考えると少し不安だが、まあ、大丈夫だろう。
 ハルヒはこの数時間で色々なものを用意していた。校門の鍵、図面、そして肝心な石灰と白線引
きは体育倉庫の裏に隠してある。
 すっかりあたりは暗くなっていた。
 でもその分、星は良く見える。
 コレなら自分のメッセージも届くだろう、と満足げに夜空を見るハルヒは、
いよいよどり着いた学校の校門によじ登ろうとした。

 その時だった。

「おい」

 不意に後ろから声がかかった。ビクッとしたが、その声は成人以上のそれとはとても思えなかったので、

「なによっ」
と、強気に答え、頭を声が発せられた方へ向けた。

 そいつは変なヤツだった。
こんな時間に制服で歩いている上に、背中に誰か背負っている。顔は良く見えなかった。
「なに、あんた? 変態? 誘拐犯? 怪しいわね」
自分も十分に怪しいことは認識していたが、それは頭の隅に追いやって、できるだけ不審者を見る目で相手を見つめてみる。
 しかし相手もまんざら馬鹿ではなかったようで、痛いところを突いてきた。
「おまえこそ、何をやってるんだ」
「決まってるじゃないの。不法侵入よ」
 仕方がないので開き直ってやった。初対面なはずなのにおまえと呼ばれたからか、なんとなく
弱いところを見られたくなかった。

そいつはやっぱり変なヤツだった。
 完全に開き直って手伝えとか言ってみたら、本当に手伝い始めた。
 最初本物の不審者なのかと思ったが、何故か不思議とそんな感じはしないし。
 だったら使わない手はないわね。と、朝礼台の上から思う存分命令する。
 30分程そうしていたが、ふと、思った。

 こいつなら、わかってくれるのかな…?

 朝礼台から飛び降りた。
 本当は少し怖かったけど。
 私はそいつに近づいた。
 でも、こいつなら、他の誰とも違うことをいってくれるんじゃないかと思ったから。
 そしてなんとなく、線引きを取って、
 聞いた。

 「ねえ、あんた。宇宙人、いると思う?」
  少し驚いたから、怖かった。あんたも、一緒なの?
 「いるんじゃねーの」
 意外な軽い答えに、しかし確信のようなものを感じたのは気のせいだろうか。
 「じゃあ、未来人は?」
 「まあ、いてもおかしくはないな」
 何がおかしいのか、今度は微笑交じりだ。
 「超能力者なら?」
 「配り歩くほどいるだろうよ」
 妙に自身ありげね。
 「異世界人は?」
 「それはまだ知り合ってないな」
 「……ふーん」
 やっぱり、変なヤツ。
 「ま、いっか」
 だけど、面白いヤツでもあるみたいだから。

 ついでのように質問してみる。もう少し話したかったからかも知れない。

「それ北高の制服よね」
「まあな」
「あんた、名前は?」
「ジョン・スミス」
「……バカじゃないの」

しばらくそんな会話をして、そいつと別れた。
別れる前、自称ジョン・スミスは北高に、私と似たようなことをするヤツがいるって言ってた。
あいつでさえ、今まであった中では最高に変なヤツだったのに。
それとも、あいつ自身がその人なのかしら。


 そして今、私は北高で、楽しく過ごしている。
後悔はしてないわ。本当に、すごく楽しいから。
仲間だっている。

 でも、それでも、あなたにもう一度会いたいの。

 あなたがここにいないのは分かっていたけど、それでも会えるかもしれないと思ったから。
 まだ、足りないから。これ以上はあると思うから。
だから。

 私は、ここにいる。





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