SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ 宇宙のジパング50-1

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 黄金の惑星“アース”の伝説。
 近年、文明が進んだ宇宙の住人の間において、まことしやかに騒がれている噂があった。
 余りにも広く流布されてしまったため、噂が噂を呼び、アースに関する無数の説が乱立
してしまった。もはや、この噂の出所はどこであったのか、元々はどのような内容であっ
たのかを知ることはかなわない。
 共通していることはただ一つ、アースと呼ばれる惑星には黄金が大量に眠っているとい
うことのみ。
 宇宙広しといえど、黄金を主成分とする星は未だ発見されていない。また、金は貴金属
としての美しさはもちろんのこと、化学的な性質も申し分ない。つまり、黄金を欲してい
ない種族などいなかった。
 とはいえ、あくまで噂は噂。ただでさえ異星人との交易や戦争、眼前の開拓に忙しい彼
らには、存在すら怪しい惑星の調査などに予算と労力を割く余裕はなかった。
 しかしそんな中、偶然か必然か、黄金の惑星とおぼしき天体を発見した一団があった。

 前方に映し出されたモニターを指さし、一人の隊員が叫ぶ。
「隊長! あの黄金に光り輝く惑星……あれこそ、まさしくアースです!」
「うむ。鉱物採取などという下らない任務に回されてから、砂を噛むような日々が続いた
が、幸運の女神はまだ我らを見捨ててはいなかったようだな」
 努めて冷静を装う隊長だが、すでに心の中では人々から賛辞を受ける自らの姿を空想し
ていた。
 だがそれは、部下たちも同様であった。
 学者の手足となって、命じられた鉱物を宇宙から拾って帰るだけの日々。ようやくそん
な雑用から解放される。それどころか、宇宙中で話題となっている惑星を発見したとあれ
ば、富も名声も思いのままだ。千の敵機を落とした軍人以上の英雄になれるチャンスが、
今まさに具現化され彼らの前に転がり込んだのである。
「とにかく近づかねば話にならん。進め、全速力だ!」
 隊長の号令とともに、船の速度が跳ね上がる。光速を超え、男たちは新天地を目指す。


 数時間後、宇宙船は黄金の惑星がピンポン玉の大きさとなるほどに接近していた。
 肉眼で目の当たりにすると、彼らの感動はさらに高まった。ざわつく船内。
「す、すごい……雲を除けばほとんど地表は金色じゃないか!」
「なんと美しい」
「いやはや信じられん……!」
 漆黒の海に浮かぶ黄金の塊。宇宙の神秘としかいいようがない。一瞥で一行は心を奪わ
れてしまった。だが、隊長はひとり管理職らしく我を見失わない。
「コラッ! なにをボンヤリしている!」
 この一喝で、半ば放心していた部下たちは正気を取り戻した。だが──。
「早く船を降下させんか! 他の奴らに横取りされたらどうする! あれは全て私のもの
だっ! だれにも渡さん!」
 もっとも正気からかけ離れていたのは隊長だった。

 欲にまみれた隊長に急かされるまま、操縦士は瞬く間に船を大気圏に突入させ、適当な
大地に着陸させた。
「よし降りるぞ! 遅れるな!」
「ちょっ……危険です、隊長!」
 どんな環境かも分かっていないのに、隊長は足早に外に飛び出してしまった。
「黄金だ、黄金だ、黄金だ」
 両手両足を広げ、星に抱きつく隊長。アースの感触を存分に味わう。
「うっ! こ、これは……?」
「どうしました、隊長?!」
 起き上がり、隊長は怒りと失望を吐き出す。
「ただの土じゃないか、なにが黄金だッ!」
「えぇっ!」
 大気が有害ではないと分かったため、他の隊員も続々と宇宙船を降りる。するとやはり
アースを構成しているのは黄金でもなんでもなく、ごく平凡な岩石がほとんどであること
が判明した。
「とんだ期待外れだったな……」
「でもさっきはたしかに……」
 まもなくある隊員が、この星が黄金に輝く原因を明らかにした。
「この星を光り輝かせていたのは大地ではなく、星に住む生命だったんだ……」


さて、ここでこの惑星の正体について説明しよう。
 この星の正式な名は、地球。
 かつて、年でいうと四桁を数えるほど昔、この惑星にある恐ろしい種族が加わった。
 サイヤ人──彼らには戦闘力がある一定のレベルに達すると超サイヤ人という変種へと
姿を変えるという特性があった。黄金のオーラに身を包んだ彼らは、名実ともに宇宙最強
に他ならない。
 ところが、サイヤ人の血には知られざる特性があった。他種族と交わり血が薄まるほど、
生まれた子にはより濃く、より強大にサイヤ人としての能力が身につくという特性が。
 これにより、超サイヤ人発現のタイミングは加速的に低年齢化。幼児が光り、赤子が光
り、胎児が光り、しまいには精子までもが金色に光るようになった。
 さらに極端に好戦的となった彼らが流した血液が動物や昆虫、さらには海洋生物、植物
にまで伝えられ──やがてこの惑星にサイヤ人の血を含まぬ生命はいなくなった。
 そして今や、この星に住まう全生命が超サイヤ化してしまった。

 もちろん、このような事情をやって来たばかりの彼らが知るはずもない。
「この星のあらゆる生物から噴き出ている謎の黄金(こがね)色の光。それが黄金の惑星
の正体だというのか!」
「はい。現状ではそうとしか考えられません」
「……まぁいい。黄金はなかったが、それでも我々がアースの第一発見者という事実には
変わりない。いい土産話ができただけでもよしとするか」
 落胆を少しでも抑えるため、自身を慰める隊長。
 力なく宇宙船に乗り込む隊員たち。
 しかし、彼らが無事にこの星から脱出できる可能性は限りなく低そうだ。
 船内には、血肉を好む超サイヤ蚊と超サイヤ蟻が無断で何匹も入り込んでいた。

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