天体戦士サンレッド・剛力形態<ヒュペリオンフォーム>。
それはサンレッドの太陽闘気(コロナ)が極限にまで達した時にのみ装着される戦闘形態の一つ。
古の太陽神の名を冠するこのフォームの主眼に置かれるのはただ一つ―――<パワー>。
純粋な肉弾戦に関しては究極形態すら凌駕するヒュペリオンフォームを纏ったサンレッドは、まさに真紅の破壊神
となりて、あらゆる敵を打ち砕くのだ!
それはサンレッドの太陽闘気(コロナ)が極限にまで達した時にのみ装着される戦闘形態の一つ。
古の太陽神の名を冠するこのフォームの主眼に置かれるのはただ一つ―――<パワー>。
純粋な肉弾戦に関しては究極形態すら凌駕するヒュペリオンフォームを纏ったサンレッドは、まさに真紅の破壊神
となりて、あらゆる敵を打ち砕くのだ!
「―――なんつー、どうでもいい解説は脇に置いて…」
サンレッドは、右足を大きく上げて。
「ラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!」
勢いよく大地を、踏み付けた。
その瞬間、闘技場が―――否。
世界そのものが、震えた。
サンレッドは、右足を大きく上げて。
「ラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!」
勢いよく大地を、踏み付けた。
その瞬間、闘技場が―――否。
世界そのものが、震えた。
ZUUUUUUUUNッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
『お、おおっ!?ゆ、揺れる揺れるっ!』
「あ、兄者ぁ!」
「コ、コタロウくん!イ、イスの下に隠れないと!」
「ええい、落ち着きなさい二人とも!」
「ま、まさかこの闘技場、耐震強度偽装してやがんのか!?」
「責任者出て来ーい!」
「ち、ちがぁうっ!このにとりが設計した闘技場はテポ○ンの直撃にも耐えうるはずなんだぁっ!」
そんな諸々のどよめきを余所に、レッドと勇儀は再び対峙する。
言葉は何もない。
二人とも、知っているのだ。
この闘いを語るのは、唯一つ―――互いの拳だけだということを。
「おおおおおおおおおっ!」
その咆哮は、絡みつく鎖から解き放たれた獣。
その躍動は、狭い鳥籠から解き放たれた翼。
放たれた豪熱の拳は、勇儀の身体を枯葉の如くに撥ね飛ばす。そのまま壁に激突するかに見えた瞬間に身を翻し、
壁を蹴って弾丸の如くレッドに迫る。
だが、レッドの姿は瞬時に消える。
「こっちだボケっ!」
虚を突かれた勇儀の背後に現れたレッドが、その背を蹴り飛ばす。
吹き飛ばされる勇儀を追って即座に跳躍し、追撃。
「甘いよっ!」
蹴り足を掴まれた。そのままミキサーの如き勢いでレッドの身体がブン回される。
「ぐっ…らぁぁっ!」
身を捩じらせ、足を無理矢理に引っぺがす。着地と同時に四肢の全てを駆使してのラッシュ。
勇儀もそれに応える。防御は微塵も考えない。一意専心、ただひたすらに拳を繰り出す。
天体戦士サンレッド。そして星熊勇儀。
二人の一挙手一投足ごとに、闘技場は激しく揺れ動いていた―――
「あ、兄者ぁ!」
「コ、コタロウくん!イ、イスの下に隠れないと!」
「ええい、落ち着きなさい二人とも!」
「ま、まさかこの闘技場、耐震強度偽装してやがんのか!?」
「責任者出て来ーい!」
「ち、ちがぁうっ!このにとりが設計した闘技場はテポ○ンの直撃にも耐えうるはずなんだぁっ!」
そんな諸々のどよめきを余所に、レッドと勇儀は再び対峙する。
言葉は何もない。
二人とも、知っているのだ。
この闘いを語るのは、唯一つ―――互いの拳だけだということを。
「おおおおおおおおおっ!」
その咆哮は、絡みつく鎖から解き放たれた獣。
その躍動は、狭い鳥籠から解き放たれた翼。
放たれた豪熱の拳は、勇儀の身体を枯葉の如くに撥ね飛ばす。そのまま壁に激突するかに見えた瞬間に身を翻し、
壁を蹴って弾丸の如くレッドに迫る。
だが、レッドの姿は瞬時に消える。
「こっちだボケっ!」
虚を突かれた勇儀の背後に現れたレッドが、その背を蹴り飛ばす。
吹き飛ばされる勇儀を追って即座に跳躍し、追撃。
「甘いよっ!」
蹴り足を掴まれた。そのままミキサーの如き勢いでレッドの身体がブン回される。
「ぐっ…らぁぁっ!」
身を捩じらせ、足を無理矢理に引っぺがす。着地と同時に四肢の全てを駆使してのラッシュ。
勇儀もそれに応える。防御は微塵も考えない。一意専心、ただひたすらに拳を繰り出す。
天体戦士サンレッド。そして星熊勇儀。
二人の一挙手一投足ごとに、闘技場は激しく揺れ動いていた―――
「―――って、このままじゃ私達の方が危ないですよぉっ!」
コタロウと共にイスの下に潜り込んだヴァンプ様はいきなり泣き言である。
「確かに…これじゃ、闘技場がもたないぜ!」
「ああもう、にとりの奴!もっと頑丈に造りなさいよ!」
魔理沙達は魔法によって空を飛ぶ事が出来るので、揺れそのものは脅威ではない。
しかし頭上にパラパラと降り注ぐ瓦礫は、闘技場大崩壊という最悪の想像を喚起させるに余りある。
皆が一様に顔色を失くす中で、しかしジローと萃香だけは身じろぎする事なく闘いを見守っていた。
「冷静じゃないか、吸血鬼のボーヤ」
「…私には、彼の闘いを見届ける義務がありますからね。目を逸らすわけにはいかない」
「へ、カッコつけちゃってさ…しかして」
萃香は、サンレッドを見つめていた。
その瞳の奥には隠しきれぬ戦慄と驚嘆が浮かんでいる。
「何者なんだ、あいつは…勇儀が殴り合いであそこまで苦戦するなんて、今までなかったぞ」
「私とて初めて見ますよ―――彼の、あんな姿は」
ジローの額を、冷たい汗が滴り落ちる。
眼前で繰り広げられる闘いは、彼の想像を遥かに超えていた。
「サンレッドの戦闘形態…話だけは聞いた事がありましたが、まさかこれほどとは…」
コタロウと共にイスの下に潜り込んだヴァンプ様はいきなり泣き言である。
「確かに…これじゃ、闘技場がもたないぜ!」
「ああもう、にとりの奴!もっと頑丈に造りなさいよ!」
魔理沙達は魔法によって空を飛ぶ事が出来るので、揺れそのものは脅威ではない。
しかし頭上にパラパラと降り注ぐ瓦礫は、闘技場大崩壊という最悪の想像を喚起させるに余りある。
皆が一様に顔色を失くす中で、しかしジローと萃香だけは身じろぎする事なく闘いを見守っていた。
「冷静じゃないか、吸血鬼のボーヤ」
「…私には、彼の闘いを見届ける義務がありますからね。目を逸らすわけにはいかない」
「へ、カッコつけちゃってさ…しかして」
萃香は、サンレッドを見つめていた。
その瞳の奥には隠しきれぬ戦慄と驚嘆が浮かんでいる。
「何者なんだ、あいつは…勇儀が殴り合いであそこまで苦戦するなんて、今までなかったぞ」
「私とて初めて見ますよ―――彼の、あんな姿は」
ジローの額を、冷たい汗が滴り落ちる。
眼前で繰り広げられる闘いは、彼の想像を遥かに超えていた。
「サンレッドの戦闘形態…話だけは聞いた事がありましたが、まさかこれほどとは…」
ジローとて、伊達に吸血鬼として百年を生きたわけではない。
それこそ怪物としか形容できない存在ならば、いくらでも見てきた―――
だが、彼をしたところで今のサンレッドに匹敵する程の力の持ち主となると、そうそう思い浮かばない。
<黒蛇>の異名を取る魔女がその魔力・知略・策謀の全てを駆使したとしても、もはやレッドには届くまい。
今は亡き<聖騎士>や世界の敵と成り果てた<舞踏戦士>ですらも、己の肉体一つでここまでの闘いは出来ない
だろう。
月下最凶の狂戦士<緋眼の虐殺者>だろうと、この闘争に割って入れるだろうか?
吸血鬼の原初にして原点なる<真祖混沌>の直系―――<東の龍王>や<北の黒姫>であっても、純粋に戦闘
能力というだけならば、レッドの後塵を拝する事になるやもしれない。
或いは<鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼>ハートアンダーブレードなら?
もしくはどんな二つ名を付けた所で形容など到底不可能な、ただただ驚異と畏敬を以てその名を語られる者―――
究極にして至高にして無比なる吸血鬼・アーカードは?
―――その誰であっても、レッドに勝てるかと問えば、即答はできない。
それこそ怪物としか形容できない存在ならば、いくらでも見てきた―――
だが、彼をしたところで今のサンレッドに匹敵する程の力の持ち主となると、そうそう思い浮かばない。
<黒蛇>の異名を取る魔女がその魔力・知略・策謀の全てを駆使したとしても、もはやレッドには届くまい。
今は亡き<聖騎士>や世界の敵と成り果てた<舞踏戦士>ですらも、己の肉体一つでここまでの闘いは出来ない
だろう。
月下最凶の狂戦士<緋眼の虐殺者>だろうと、この闘争に割って入れるだろうか?
吸血鬼の原初にして原点なる<真祖混沌>の直系―――<東の龍王>や<北の黒姫>であっても、純粋に戦闘
能力というだけならば、レッドの後塵を拝する事になるやもしれない。
或いは<鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼>ハートアンダーブレードなら?
もしくはどんな二つ名を付けた所で形容など到底不可能な、ただただ驚異と畏敬を以てその名を語られる者―――
究極にして至高にして無比なる吸血鬼・アーカードは?
―――その誰であっても、レッドに勝てるかと問えば、即答はできない。
「間違いなく、言い切れますよ―――彼は…サンレッドは、私が知る限り最強の男だ」
「だったら…勇儀だって私の知る限り、最強の女さ」
萃香の声に、不思議と揺らぎはない。
ジローがレッドを信じるように、彼女もまた、勇儀を信じている。
親友(とも)の力を、誰よりも信じているのだ。
「あいつが…あの勇儀が、負けるかよ…!」
「だったら…勇儀だって私の知る限り、最強の女さ」
萃香の声に、不思議と揺らぎはない。
ジローがレッドを信じるように、彼女もまた、勇儀を信じている。
親友(とも)の力を、誰よりも信じているのだ。
「あいつが…あの勇儀が、負けるかよ…!」
―――生まれた時から、あたしは力が強かった。
まだほんの小さな子供の頃から、既にあたしはそこいらの大人の鬼に負けないくらい強かった。
皆、褒めてくれた。
すごいって言ってくれた。
嬉しかった。誇らしかった。
だから、もっともっと強くなって、もっともっと褒めてもらいたかった。
そんなあたしが大人になる頃には―――誰一人、あたしに敵わなくなっていた。
ケンカなら勝ったり負けたりの萃香が相手でも、腕相撲ならあたしは一度も負けた事はない。
天下無双の怪力の持ち主<力の勇儀>。
いつしかあたしは、そう呼ばれるようになった。
相変わらず、皆はあたしを称えてくれる。
星熊勇儀は鬼の誇りだと、誰もが口々に語った。
嬉しかった。誇らしかった。
だけど―――少しだけ、寂しかった。
もう誰も―――あたしと真っ向から力勝負してくれる奴は、いなくなったからだ。
真正面から、拳と拳だけで語るようなケンカは、あたしとは出来なくなったからだ。
<力>という一面だけであっても頂点に登り詰めた気分は、悪いものじゃなかったけれど―――
だけど、退屈で。
少しだけ、寂しかった。
まだほんの小さな子供の頃から、既にあたしはそこいらの大人の鬼に負けないくらい強かった。
皆、褒めてくれた。
すごいって言ってくれた。
嬉しかった。誇らしかった。
だから、もっともっと強くなって、もっともっと褒めてもらいたかった。
そんなあたしが大人になる頃には―――誰一人、あたしに敵わなくなっていた。
ケンカなら勝ったり負けたりの萃香が相手でも、腕相撲ならあたしは一度も負けた事はない。
天下無双の怪力の持ち主<力の勇儀>。
いつしかあたしは、そう呼ばれるようになった。
相変わらず、皆はあたしを称えてくれる。
星熊勇儀は鬼の誇りだと、誰もが口々に語った。
嬉しかった。誇らしかった。
だけど―――少しだけ、寂しかった。
もう誰も―――あたしと真っ向から力勝負してくれる奴は、いなくなったからだ。
真正面から、拳と拳だけで語るようなケンカは、あたしとは出来なくなったからだ。
<力>という一面だけであっても頂点に登り詰めた気分は、悪いものじゃなかったけれど―――
だけど、退屈で。
少しだけ、寂しかった。
だけど―――今は退屈も寂しさも、何も感じない。
絶えて久しいはずの燃えるような高揚感が、あたしの全身全霊を支配している。
拳が目の前だ。
己の存在、その全てを乗せるような重い拳だ。
あたしもまた、己の全てを乗せて拳を振るう。
拳骨二つがぶつかった。知らない間に身体に埋め込まれた爆弾が一斉に起爆したような激しい衝撃が襲う。
けれど、痛みよりも強く感じるものがあった。
歓喜。
そして、感謝だ。
『大地が揺らぐ!天が震える!二人は今まさに闘う震源地と化したぁ~~~~っ!この人力大震災を生き残るのは
星熊勇儀か!?それともサンレッドか!?』
実況が何か言ってるけど、上手く聴き取れない。
そんな事より、今はこの闘いだ。
サンレッド―――あたしはあんたを、心の底から尊敬する。
そしてあんたに感謝する。
よくぞここまで―――拳一つで、あたしに付き合ってくれた。
馬鹿正直に、力と力だけで勝負をしてくれた。
真正面から、ぶつかってくれた―――
絶えて久しいはずの燃えるような高揚感が、あたしの全身全霊を支配している。
拳が目の前だ。
己の存在、その全てを乗せるような重い拳だ。
あたしもまた、己の全てを乗せて拳を振るう。
拳骨二つがぶつかった。知らない間に身体に埋め込まれた爆弾が一斉に起爆したような激しい衝撃が襲う。
けれど、痛みよりも強く感じるものがあった。
歓喜。
そして、感謝だ。
『大地が揺らぐ!天が震える!二人は今まさに闘う震源地と化したぁ~~~~っ!この人力大震災を生き残るのは
星熊勇儀か!?それともサンレッドか!?』
実況が何か言ってるけど、上手く聴き取れない。
そんな事より、今はこの闘いだ。
サンレッド―――あたしはあんたを、心の底から尊敬する。
そしてあんたに感謝する。
よくぞここまで―――拳一つで、あたしに付き合ってくれた。
馬鹿正直に、力と力だけで勝負をしてくれた。
真正面から、ぶつかってくれた―――
「でもさ…それはそうとして、勝ちを譲るつもりもないよ」
勇儀は両の脚でしっかりと地を踏み締め、両の拳を組み、突き出す。
組み合わさった拳に、全妖力を集中させていく。
「譲ってくれなんて言ってねーよ。ブン取ってやらあ」
レッドは左足を前に半身に構え、弓矢を引き絞るように右手を引く。
その右拳を中心に、太陽闘気を熱く、激しく燃焼させる。
地鳴りが止んだ。
嵐の前の、微かな静寂のように。
『ふ…二人の動きが止まりました!あの構えから、一体どんな技が繰り出されるのか!?二人の、そして闘技場の
運命や如何に!』
―――そして。
両雄、同時に動いた。
全身をバネに変えて疾駆し、己の全てを凝縮させて組み合わせた両拳を、真っ直ぐに撃ち込んだ。
勇儀は両の脚でしっかりと地を踏み締め、両の拳を組み、突き出す。
組み合わさった拳に、全妖力を集中させていく。
「譲ってくれなんて言ってねーよ。ブン取ってやらあ」
レッドは左足を前に半身に構え、弓矢を引き絞るように右手を引く。
その右拳を中心に、太陽闘気を熱く、激しく燃焼させる。
地鳴りが止んだ。
嵐の前の、微かな静寂のように。
『ふ…二人の動きが止まりました!あの構えから、一体どんな技が繰り出されるのか!?二人の、そして闘技場の
運命や如何に!』
―――そして。
両雄、同時に動いた。
全身をバネに変えて疾駆し、己の全てを凝縮させて組み合わせた両拳を、真っ直ぐに撃ち込んだ。
「超力業―――<大江山崩(くずし)>!」
対して、サンレッドは左足を更に大きく踏み込ませて。
足の指先から足首、膝、股関節、腰、肩、肘、手首までの全細胞を総動員し。
渾身の力と闘気を込めた右拳を、勇儀の両拳に叩き付けた。
足の指先から足首、膝、股関節、腰、肩、肘、手首までの全細胞を総動員し。
渾身の力と闘気を込めた右拳を、勇儀の両拳に叩き付けた。
「太陽神拳―――<ヒュペリオン・クラッシャー>!」
どういう具合か、激突の瞬間には、予想されていたような地震は起きなかった。
ただ、輝いた。
二つの超級闘気のぶつかり合いは、日の落ちた世界を一瞬、太陽のように眩く煌かせた。
その光の中で。
「…っくっ…!」
勇儀の両拳が弾き返され、態勢を崩す―――
その時既に、サンレッドは追撃の準備を終えていた。
今度は先程と、完全に真逆の体勢―――
右足を前に半身に構え、弓矢を引き絞るように左手を引く。
「いくぜ、もう一発―――!」
白熱の閃光が、再び世界を照らした―――
ただ、輝いた。
二つの超級闘気のぶつかり合いは、日の落ちた世界を一瞬、太陽のように眩く煌かせた。
その光の中で。
「…っくっ…!」
勇儀の両拳が弾き返され、態勢を崩す―――
その時既に、サンレッドは追撃の準備を終えていた。
今度は先程と、完全に真逆の体勢―――
右足を前に半身に構え、弓矢を引き絞るように左手を引く。
「いくぜ、もう一発―――!」
白熱の閃光が、再び世界を照らした―――
―――光が消えた時、そこには勝者と敗者がいた。
爆心地と化した闘技場中央。
敗者は勝者の肩にもたれかかり、どこか満足げに息をついた。
「あー…負けちった。カッコわりー」
「…んなこたーねーよ」
爆心地と化した闘技場中央。
敗者は勝者の肩にもたれかかり、どこか満足げに息をついた。
「あー…負けちった。カッコわりー」
「…んなこたーねーよ」
「あんた、最高にカッコいいぜ―――星熊勇儀」
「はは…勝った奴が負けた奴を褒めるんじゃないよ。余計に惨めになるだろうが」
「何だよ、じゃあ思いっきり心を抉る悪口かましたろか、コラ」
「うわ、それはそれでやだな…」
ははは、と勇儀は、爽やかに笑ってのける。
「まあ…次からも頑張れよ、サンレッド。幻想郷は…あたし以外も、強い奴ばっかりだからさ…」
ぐらり―――と。その肢体がよろめいたかと思うと、勇儀は滑り落ちるように大地に倒れ込んだ。
(…ごめん、パルスィ。せっかく御守り作ってくれたのに…ダメだったわ…)
それは、誰にも聞こえる事のない、小さな独り言だった。
審判である四季映姫・ヤマザナドゥが即座に駆け寄り、そして、その手を高々と掲げた。
「何だよ、じゃあ思いっきり心を抉る悪口かましたろか、コラ」
「うわ、それはそれでやだな…」
ははは、と勇儀は、爽やかに笑ってのける。
「まあ…次からも頑張れよ、サンレッド。幻想郷は…あたし以外も、強い奴ばっかりだからさ…」
ぐらり―――と。その肢体がよろめいたかと思うと、勇儀は滑り落ちるように大地に倒れ込んだ。
(…ごめん、パルスィ。せっかく御守り作ってくれたのに…ダメだったわ…)
それは、誰にも聞こえる事のない、小さな独り言だった。
審判である四季映姫・ヤマザナドゥが即座に駆け寄り、そして、その手を高々と掲げた。
「白黒はっきり付きました―――勝者・サンレッド!!!」
大歓声が巻き起こった。
サンレッドの名を呼ぶ者がいた。
星熊勇儀を称える者もいた。
勝者にも敗者にも分け隔てなく、偉大な二人の戦士に対して、ただ心からの声援と拍手が送られたのだった。
サンレッドの名を呼ぶ者がいた。
星熊勇儀を称える者もいた。
勝者にも敗者にも分け隔てなく、偉大な二人の戦士に対して、ただ心からの声援と拍手が送られたのだった。
―――天体戦士サンレッド・幻想郷最大トーナメント一回戦突破!