SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ ダイの大冒険AFTER(ガモンさま) 第二十五話 ヒムの憤怒


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ボブルの塔の地下深く、ヒムとゲマが部屋の中心に立つ。
ゲマは相変わらずヒムの顔を見ては嘲笑い、ヒムはそのゲマを不愉快な気持ちで見つめていた。
「その笑い方をやめねえと首の骨を折るって言ったよな?本当にやられたいみたいだなお前。」
ヒムがゲマに飛び掛かる。ゲマは軽くヒムの拳を受け流しながら笑っていた。
「ほほほほ、貴方は感情的になりやすいですね。付け入る隙が多すぎる。」
ゲマはあくまでもヒムに対し余裕を見せつける。対してヒムはゲマの様な輩を受け付けない性格の為か、
ゲマの行動一つ一つがしゃくに障る。
「この野郎、人を馬鹿にしやがって、ぶっ潰してやる!!」
ヒムは左腕に闘気を集める。光の闘気を纏ったその拳をゲマに突き出す。
「闘気拳!!!」
対してゲマも巨大なメラゾーマで迎え撃つ。
「ほほほ、その闘気拳は攻撃の瞬間に一瞬全身が硬直する。その一瞬を捕えられる前例がおありでしょう。」
ゲマはヒムが左拳を突き出し、硬直した瞬間に指を下ろす。メラゾーマはヒムを焼きつくした。
「呆気ないものですね。ほほほほ。」
しかし、その火柱の中からは五体満足のヒムが出てくる。周りには火傷の跡もない。
「オリハルコンの体を持つ俺に呪文なんざ効かねえぜ。」
「ならばオリハルコンさえ傷つけるこの鎌ならばどうでしょうねえ。」
ゲマは自分の愛用している鎌を出す。キルバーンの”死神の笛”を思わせるその鎌でヒムに斬りかかった。
ゲマの鎌がヒムの脚に突き刺さる。返すようにヒムはゲマの顔面を殴り付ける展開が続く。
一見互角に見える闘いも肉体の強度の差でヒムが有利な立場に立っていた。

一方ベンガーナ王国ではクロコダインの勝利に酔い国民がクロコダインを称える。
そのような喜々とした状況下で傷ついたアバンの姿を見るとやはり誰もが不審に思うものである。
「アバン!!!」
フローラが声を張り上げてアバンの元へ近づく。アバンはフローラの方に意識を配りながらも辺りを見回す。
”視られている”という気配が感じられる。アバンは注意深く民衆を見たがバズズと思しき者はいない。
「いや、会議室で魔物に襲われましてね、そしたらこの広場に降りて行ったものですから。」
アバンは言うか言わざるべきか迷ったが、敵がどこにいるか分からない今自分の身は自分で守ってもらうしかないと考え話した。
フローラを始め、各国の王や国民、戦闘を終えたばかりのクロコダインやヒュンケルも辺りを見回した。
その直後、メラ系の魔法がアバン目掛けて飛ぶ。その後も続々と執拗にアバンを狙った攻撃が増え続けた。
バズズがアバンしか狙っていない事を証明するには充分な判断材料でありアバンは安心した。
「バズズさん、もし私を殺したいのならばこちらへ来たらいかがです?」
そのまま上空へ上がったアバンの挑発にも乗らずバズズは依然民衆の中に隠れている。しかしアバンは上から見るとバズズのいる位置が分かった。
アバンは下降し、そのままアキームのいる位置に走り出した。
「貴方がバズズだ!!」
そのままアバンはアキームを斬り付けると、アキームの肉体はバズズの肉体へと変化した。
「ぐああ!!」
胸を斬られた事によるバズズの悲鳴、彼はそのまま倒れ伏した。
「何故、分かったの?」
フローラがアバンに尋ねる。
「本人であれば本来主であるベンガーナ王から離れる事はありません。どんな事が起こっても、
しかし、彼に化けたバズズは王から随分離れた位置にいました。この様な通常の人混みの中で主から離れる部下などいる筈がありませんからね。
本人は先程の騒ぎに乗じて上手く隠しておけば良かったのでしょう。」
ベンガーナ王、クルテマッカ七世の隣には背中に爪痕を付け、横たわっているアキームがいた。
「こんな時にワシが気が付かなかったとは、迂闊だった。」
クルテマッカ七世は俯きながら呟いた。
「幸いアキーム殿もそこまでの重症ではないようなので、早急に治療しましょう。」
こうして、ベンガーナ城の広場での死闘は終わった。

人のいなくなった広場でバズズは何とか息をしていた。
「クソぉ……あの男、必ず、殺してやる!!!」
そんなバズズを後ろからドラゴン達が踏みつぶした。
「フン、これ以上ミルドラースの配下に動かれては困る。」
グレイトドラゴンに乗った黒い魔道士の様な魔族がバズズの死体を焼き払った。
 ヒム優勢のまま闘いが続いていたがゲマの余裕を見せた動きも変わらない。
「てめえ、戦う気はあるのかよ!?」
「ほほほ、出来れば御免蒙りたいですがね、まあハドラーの部下程度なら手の内を全て見せなくともよいでしょう。」
ゲマの言葉にヒムが反応する。
「何だ今の言い方は!!ハドラー様を侮辱しているのか!!」
自分にとって、生涯で最も尊敬し敬愛した主ハドラーを遠まわしに侮辱された事実にヒムは無性に遣る瀬無さを感じる。
「絶対に……絶対にゆるさねえ!!!!!」
ヒムはゲマに渾身の一撃と呼べるほどの威力でゲマを殴る、殴る、殴る。
眼に光る物、オリハルコンによる光沢とは違った光を放ちながらゲマを殴り続ける。
「おほほほほ、部下に恵まれていますね、ハドラー……自分の保身しか考えない男の何処に惚れたのでしょうねえ。
私から見ればあの男はただの小物だとしか思えませんが。」
ゲマの一言がヒムの理性を完全に吹き飛ばした。最早侮辱どころか自分の主が遥か下に見られている。
自分を兵士ヒムとして作った主であり、アバンの使徒と戦い続けた誇りある戦士であり、父ですらあるハドラー。その主の為に命を捧げる事さえ何の躊躇いもない。
それをこの男は一蹴した。自らの存在意義と敬愛する主君を全てなぎ倒した言動。
バーンやミストバーンにまで認められる実力を持ったハドラーをゲマは小物だと評価する。
ヒムはただひたすらゲマを殴り続けた。確実に、殺す為に。
しかしゲマも殴られ続けている訳もなく、ガラ空きとなった下腹部に鎌で斬り付ける。
それでもヒムは止まらない。ゲマが凍える程の吹雪を口から吐いてもヒムはまるで後退しようとしない。
ヒムは左腕に闘気を溜めこみ闘気拳をゲマに叩きこむ。その場に倒れこむゲマ。
「貴様は絶対に許さねえ。泣いても謝っても許さねえ!!!!!」
ヒムは倒れているゲマに更に殴りかかった。しかし、ゲマの体が消え始める。
「おほほほほ、まさかここまでやるとは思いませんでしたよ。しかし私も死にたくないので今回はこれまでとしましょう。おほほほほ。」
あくまでも余裕の笑みを崩さずにゲマはボブルの塔を去って行った。
「うああああああああああ!!!!!!」
ゲマを仕留めそこない、やり場のない怒りがヒムの心を縛りつけた。