「ドラえもん のび太の超機神大戦 95話後編」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「ドラえもん のび太の超機神大戦 95話後編」(2007/01/28 (日) 16:32:36) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
第九十五話「ラグナロク・後編」
「親友テレカ・・・これはドラえもんズと連絡を取り合う道具であり、そして友情をエネルギーに変えることができる道具
なんだよ」
ドラえもんがそう切り出した。
「今まで出会ってきたぼくらの仲間たち・・・彼らに親友テレカを通じて呼びかけて、友情の力を分けてもらうんだ」
「友情の力を分けてもらうって・・・どうやって?」
「簡単だよ。祈ってもらえばいい・・・ぼくたちのために、心から祈ってくれるなら・・・それが力になる。それを集めれば、
グランゾン・Fを倒すことができるかもしれない!少なくとも・・・もうそれしか可能性はないよ」
「・・・だけど、集めるって言ったって、そんな時間は!?」
うっ、とドラえもんが言葉に詰まる。だがその時だった。
「時間は・・・おれたちが稼げばいいだろ!」
ジャイアンの声だった。
「そうだな・・・グランゾン・Fも相当消耗している。捨て身でいけば、その、友情の力とかいうのを集めるくらいの間は、
奴を足止めできるかもしれん」
「しれん、じゃないですよ、ムウさん。絶対に足止めするんです!」
キラが強く言い放つ。
「ああ。足止めくらいしなければ、俺たちの存在意義が疑われてしまうじゃないか!」
「グゥレイトォ!いっちょやるしかないでしょ!」
「僕らだって、折角ここまで付き合ってきたんですからね」
「ふん・・・何なら、そのまま倒してやるさ!」
アスランが、ディアッカが、ニコルが、イザークが、決意を顕わにする。
「ここまで来て、怖気づくくらいなら―――」
<最初っから、こんなことに首突っ込んでねえよな、稟!>
「・・・頑張る!」
「おれも、ほんとは怖いけど・・・でも、逃げたりしないぞ!」
「そうだよ!みんな、もう一頑張りしよう!」
稟が、マサキが、プリムラが、フー子が、亜沙が、まっすぐに前を見つめた。
「あーあ、熱血してるねえ、みんな。ま、俺様も奴にやられた借りがあるからよ・・・ちょっと本気出すとするか!」
USDマンがポキポキと指を鳴らした。
「ぼくたちも行くぞ、アヌビス!」
<―――承知!>
ペコに対し短く、しかし確かに応えるアヌビス。
―――仲間たちの声に、のび太も決意を固めた。
「・・・やろう、ドラえもん!」
「そうだね・・・みんな!辛いだろうけど、頼む!」
「「「「「「おう!」」」」」」
異口同音に発された、短くも力強い言葉。それと共に、皆がグランゾン・Fに向けて最後の特攻に打って出た!
「―――親友テレカ!みんなに・・・ぼくたちの友達に、ぼくたちの声を伝えてくれ!」
そしてドラえもんが、親友テレカを掲げた―――!
「うおりゃあああああーーーーっ!」
ジャイアンが怒鳴り声を上げながら、必死にグランゾン・Fにしがみ付く。
「ちいっ・・・抵抗しても無駄だと、まだ分かりませんか!」
あっさりと振りほどかれるが、それでもなお死に物狂いでドムトルーパーの腕を振り回し、顔面に一撃を加えた。
僅かによろけたところを、残る二機のドムトルーパーが追い討ちをかける。
「・・・あなたが、アザミを死なせた・・・!あそこまでする必要があったの!?」
攻撃しながらも、しずかが言い募る。
「フッ・・・非道と罵るなら勝手になさい!私にはどうでもいいことですから―――ね!」
グランゾン・Fの掌が光り、ジャイアンとしずかの機体が吹き飛ばされる。
「このおっ!ジャイアンはどうでもいいけど、しずかちゃんに何するんだ!」
スネ夫が激昂し、ビームライフルを乱射した。
「ふん―――これまで何もロクにできなかったあなたまで、そこまで躍起になりますか!」
「そうだよ!ぼくなんて、いてもいなくても、同じようなもんだったけど―――それでもここにいるんだ!きっちり
最後まで、戦ってやる!」
「愚かな・・・!」
グランゾン・Fの剣が閃く。スネ夫のドムトルーパーは両腕を落とされ、ついに沈黙する。
「シュウ=シラカワ!」
「あなたは―――あまりにもやりすぎた!」
ムウが操るGフリーダムとキラが駆るSフリーダムが、高速で宇宙を駆け抜けてグランゾン・Fに迫る。
「フリーダム・・・自由!本当に素晴らしい名前ですね。そんな機体を潰さねばならないのは残念ですがね・・・」
その剛腕を振り上げ、二機を打ち砕かんとしたその時、割って入った者たちがいた。
ディアッカとニコル、そしてイザークの機体だ。それはGフリーダムとSフリーダムを庇い、砕かれたボディの破片を
撒き散らす。
「ぐっ・・・!」
「くそっ・・・今のでもうこっちはロクに動けなくなっちまった!」
「もう盾になってやることもできん・・・後はお前らに任せた!」
彼らの叫びを受け、キラが激昂する。
「みんな・・・!くそおっ!よくも!」
Sフリーダムの全武装を解き放つ。ムウもそれに続き、Gフリーダムの砲門を展開する。
そして、迸る光の螺旋。それは漆黒を照らし、グランゾン・Fを襲う。
「ワンパターンな攻撃ばかり・・・折角の機体が泣いていますよ!」
前方にバリアを展開し、それを全て防ぐ。そして二機のフリーダムを迎撃しようとした時、ボディのど真ん中をぶち抜く
ような一撃が襲った。
「うおおおおお!こうなったら体当たりしかないじゃないか!」
全ての武装が壊れ、両腕と両足を?がれた∞ジャスティスに残された最後のエネルギーで、アスランは捨て身の特攻
に出た。何の策も工夫もない、ただの体当たり―――だがそれが逆にシュウの意表を突いた。
完全に戦力外と看做していた、大破した∞ジャスティスからの攻撃など考えてもいなかったのだ。
「こんな自殺のような攻撃・・・あなたはまさか、本物のバカだと言うのですか!?」
まともに受けたグランゾン・Fが吹っ飛び、態勢を整えた瞬間に片腕が斬り飛ばされた。そこにいたのは―――
<シュウ!今こそ決着を付けてやるぜ!>
サイバスター―――幾度となくシュウの前に現れた、忌まわしくも縁深き機神。
「マサキ・・・あなたのしつこさには本当に頭が下がりますよ。私には勝てないと、かつて私に殺された時に学ばなかった
のですか?」
<確かにあの時は負けた―――だけど、今は違う!今の俺には―――>
「―――仲間がいるからな!」
<あ、稟!人のセリフ取ってんじゃねえ!>
「―――ならば!仲間ごと消えなさい!」
腕を再生し、ワームスマッシャーを零距離から放つ。避けようもない攻撃に、サイバスターもまた動きを止めた。
「―――らああああああっっ!!」
休む間もなく襲ってくる新手。それはロボットではなく、生身の人間。少なくとも、見た目は。
だがその本質は紛れもなく怪物―――USDマン。
彼はグランゾン・Fの脚部を引っ掴み、ジャイアントスウィングの要領でブンブンと回し、投げ飛ばす。吹っ飛んでいく
グランゾン・Fに追いつき、今度は蹴り飛ばす。
「ちいっ・・・!」
そして、そこに待ち受けていたのは金色の犬神―――アヌビス。大きな腕を振りかぶり、そして、振り下ろした。
単純にして、威力抜群の一撃だった。そしてそのまま殴り続ける。
「あなたを倒せるまで―――殴るのをやめないっ!」
何故だ―――シュウは心底疑問に思った。
もう勝利の可能性など零に等しいというのに―――何故ここまでできるのか?
ふと、ダイザンダーだけが攻撃に参加していないのに気付いた。何故?何か、策が?この状況を打破する、何かが?
―――ある、と思った方がいい!
「―――<ビッグバン・ウェーブ>!」
猛攻から逃れ、エネルギーを集中させ、一気に爆発させる。グランゾン・Fに群がっていた全てを衝撃波で弾き飛ばし、
そしてダイザンダーに向けて宇宙を駆ける!
「何をしているのか知りませんが―――終わりです!」
完全に無防備なダイザンダーに向け、グランワームソードを振り下ろした。
「ああっ・・・!」
「ダメ、か・・・!」
誰もがそう思い、真っ二つに斬り伏せられるダイザンダーの無残な姿を想像した―――しかし、そうはならなかった。
「うあっ・・・!?」
突然、グランゾン・Fが大きく後退した。まるで、何者かに押し戻されたかのように。
「みんな、ありがとう・・・なんとか間に合ったよ」
そして、誰もがそれを見た。果たして夢か幻か―――
彼らは確かに、そこにいた。
ドラえもんとよく似た六人がいた。可愛いリボンを付けた、よく助けにきてくれるドラえもんの妹がいた。
とても神様の王とは思えない、とても魔王とは思えない、親馬鹿で愉快な二人がいた。
穏やかな顔をした首長竜がいた。ピンク色のふわふわした動物を連れた少年がいた。犬の王国の住人たちがいた。
海底世界の勇敢な少年がいた。魔法が存在する世界で生きる少女がいた。小人の星の小さな大統領がいた。
竜に似た頭を持つ勇敢な騎士とその妹がいた。天竺を目指し旅をする二人がいた。たくましい原始人の少年がいた。
白きペガサスがいた。雄々しきグリフォンがいた。勇敢な龍がいた。
動物たちの星の住人がいた。黄金の城にすむ伝説の船乗りがいた。かつて存在した雲の王国の少女がいた。
小人の少年も、絶滅動物の生き残りも、立派に成長した木の子供もいた。
ブリキのホテルの少年とその友達がいた。創られた世界の人々がいた。銀河の超特急で出会った彼らがいた。
種蒔く者より祝福を受けた星のぬいぐるみがいた。大海を往く海賊たちがいた。宇宙を旅する少年騎士がいた。
のび太によく似た太陽の王がいた。鳥たちの世界の鳥人たちがいた。機械の少年と人間の王女がいた。
風の村の少年がいた。犬と猫の国で出会ったみんながいた。
今まで出会った、その全てがいた。
そして―――今ののび太たちは知らない、これから出会うべき、まだ見ぬ誰かがたくさんいた。
のび太の声は、確かに届いていた。彼らの元に。彼女の元に。皆の元に。
そして皆、祈った。果てしなき世界で戦う友のため、祈った。
数々の冒険の中で紡がれた、かけがえのない絆。
そしてこれから紡がれるはずの、未来の絆。
時空を、次元を、全てを越えて―――それは、力となった。
その全てを受けて、ダイザンダーが眩く輝く。機械の瞳に確かな意志を漲らせ、ファイティング・ポーズを取った。
「来い―――シュウ!今のダイザンダーは・・・無敵だ!」
「―――戯言をぉぉぉっ!」
シュウが叫び、再び剣を振り下ろす―――だが、ダイザンダーの動きはそれを遥かに凌駕していた。
あっさりと回避し、光を纏う拳で殴りつける!
「があぁっ!?」
「まだまだ!」
さらに殴り、蹴り、そしてデモンベインでぶった斬る!
圧倒的なパワー、スピード―――今のダイザンダーは、全てにおいてグランゾン・Fを超えている。
例えグランゾン・Fが万全の状態だったとしても、決して遅れは取らなかっただろう。
「ぐっ・・・確かに、強い・・・ですが・・・」
シュウは凄まじい攻撃に晒されながらも、口元を歪めた。その瞬間―――ダイザンダーの拳が音を立てて砕けた。
「えっ・・・?」
「ククク・・・性能だけが上がったところで、機体の材質まで変わりはしません。パワーアップしすぎたせいで、もはや
ダイザンダーのボディではその力に耐えられないのです。さて、ダイザンダーが自壊するまでに、私を倒せますかね?」
「―――だったら・・・!」
のび太は叫び、そしてデモンベインを掲げる。
「だったら・・・一発で再生もできないくらいに消し飛ばすだけだ!」
デモンベインが―――魔を断つ剣が、姿を変えた。
白銀に光り輝く大剣から、白銀に光り輝く拳銃へと。
それは持ち主であるのび太にとって、最も理想とする形。
集いし仲間たちのエネルギー全てをぶつけるのに、最も適した姿。
「デモンベイン―――<神銃形態>!」
それはまさしく―――魔を討つ神銃!
「やっぱりぼくが一応主役なんだし、それなら最後の最後は剣よりも・・・銃で決めないとね!」
砕けた拳でなお強く握り締めた神銃―――その銃口が狙う先は、最後にして最強の敵―――グランゾン・F!
「みんなから貰った力を・・・食らえ、シュウ!」
そして、放たれる一撃―――
眩いばかりの光の洪水が全てを包んだ。世界を爆散させんほどの圧倒的な力。だがそれは、不思議なくらいに穏やかな
光だった。
何故ならそれは、祈りから生まれた光。友を想う心から生まれた光。それは光の極限に位置する。
―――闇を打ち倒す光だ。
綺麗だ、と、シュウですらそう思った。このままこの優しき光に包まれ、消え去るのもいい―――
「―――否!」
シュウは己の中に僅かによぎった感情を否定する。
「ならば、その光すら飲み込む闇を見せましょう―――」
グランゾン・Fが残る全てのエネルギーを両手に集約させる。そして両手を前に突き出す態勢で、一気に解放した。
「―――<真・縮退砲>!」
黒きエネルギーが解き放たれた。先程の光の洪水とは、完全なる対極。
全てを喰らう闇。絶対なる負の領域から産み出される闇。それは闇の極限に位置する。
―――光を喰らい尽くす闇だ。
極限の光と闇がぶつかり合う。極限の光と闇が交差する。僅かに勝っていたのは―――極限の闇。
黒が、白を、全てを、侵食する。
「くそぉっ・・・!」
まだ、まだ、足りない。あれほどのエネルギーを込めてなお―――なお、届かない。最後の最後で―――
と、背中を押されるような感覚があった。まるで、誰かが支えてくれているような―――
「・・・ああ・・・」
背後を確認した瞬間、全てを理解した。これまで共に戦ってきた仲間たち。彼らがみな・・・ダイザンダーの背中を
支えていた。誰もがみな傷ついて。誰もがみなボロボロで。誰もがみな、泣きそうに痛いのに。
―――それでも、支えてくれているんだ。
ドラえもんが掲げたままの親友テレカが、更に強く輝く。今、この背を押してくれる仲間たちの友情の力をも集め、
一つにしている。
それは極限の光の中に溶け合い、更なる力になった。
そして極限の闇は極限の光の前に、ただ消え去るだけ―――
「・・・・・・」
シュウはその光景を前に、ついに知った。
自分が、敗れることを。
最後に目に焼き付けた。すぐにでも己を包み、消し去るであろう、至高の光を。
それは、その光は、デウス・エクス・マキナ―――神が定めた御都合主義すら打ち破る、繋がる力。
光の中に、グランゾン・Fは飲み込まれていく―――!
「み・・・見事・・・です。このグランゾン・Fすらも倒すとは・・・」
もはや破滅を待つばかりのシュウが途切れ途切れに語りかけてくる。
「私ももはや悔いはありません・・・戦えるだけ戦いました・・・全てのものは、いずれ滅ぶ・・・今度は私の番だった・・・
それだけの・・・ことです・・・」
そして、最後の言葉。
「これで、私も・・・解き放たれる・・・全ての鎖から・・・本当の、完全なる、自由、を・・・」
その瞬間、グランゾン・Fが激しく火花を散らす。目を灼くような光が全てを包み―――世界が、爆砕した。
闇から生まれしものは、跡に何も残すことなく闇に還るのみ。
シュウ=シラカワは―――虚空の彼方へと消えていった。
<シュウ・・・>
マサキが、腹の底から搾り出すような声で呻く。
<バカな・・・奴だったぜ・・・くそっ!>
それは、なんのための言葉だったのか。どこまでも憎んでいたはずの彼を、マサキは心の底から哀れに思った。
―――だが、それも詮無きこと。戦いは、今・・・幕を閉じた。
―――そして、しばしの間、誰もが呆けたように宇宙を漂っていた。
まるで、当てもなく彷徨う流星のように。
「・・・終わったね。ドラえもん、リルル」
「そうだね・・・まだまだ問題は残ってるけど、ひとまず、ゆっくりしとこうよ」
「そうね・・・それくらいしても、いいわよね」
三人とも、疲れきった声だった。無理もない。限界まで精神を張り詰めていたのだ。他のみんなもきっと同じだろう。
「・・・ダイザンダー」
のび太がそっと、共に戦ってきた相方に語りかけた。
その姿はボロボロだ。鋼鉄の逞しいボディには傷を負っていない部分などない。拳は先ほど、完全に砕けた。
よくぞこんなになるまで、着いてきてくれたものだ。
「・・・文句が言えるなら、言いたかったよね。ごめんね、ダイザンダー」
その時だ。ダイザンダーが勝手に動き出した。内部の人工知能が反応しているのだ。砕けた拳を動かし、そして―――
ぐっと、親指を立てた。
ポカンとするのび太に、リルルは笑いかけた。
「ふふ・・・ジュドは、怒ってなんかないわよ」
「じゃあ・・・なんて?」
リルルもまた、親指を立てて、答えた。
「<お前はよくやったんだから、そんな顔するな>―――ですって」
―――そして、ここから先は、物語にとって蛇足の部分―――
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: