全身の感覚が訴えかける、『この世界は本物』だと。
灰原哀の目に見えるもの、耳に聞こえるもの、手に触れるもの、それら全てが喚きだし、叫びだす、『自分たちは現実に存在するもの』だと。
灰原哀の目に見えるもの、耳に聞こえるもの、手に触れるもの、それら全てが喚きだし、叫びだす、『自分たちは現実に存在するもの』だと。
けれど、灰原は「よく出来た夢ね」と呟くだけだった。
元来、研究者である彼女は見るもの聞くものの全てに合理的な理由をつけようと考えている。
友人の工藤新一みたいに、『この世に解けない謎なんて塵一つない』とは言わないが、それでも、全ての現象には理由が付き物だと考えているのだ。
だから、この世界に来てから目にする信じられない出来事全てに灰原は『夢』という結論を下した。
友人の工藤新一みたいに、『この世に解けない謎なんて塵一つない』とは言わないが、それでも、全ての現象には理由が付き物だと考えているのだ。
だから、この世界に来てから目にする信じられない出来事全てに灰原は『夢』という結論を下した。
(疲れが溜まってるのかしら……)
魔界の救世主なんてありえないし、気付かないうちに首輪を填められて、変な島に連れてこられるなんて事もありえない。
きっと自分は今、阿笠博士の家で眠っているのだろう。この夢は、朝になれば覚める夢なんだろう。
きっと自分は今、阿笠博士の家で眠っているのだろう。この夢は、朝になれば覚める夢なんだろう。
しかし……
夢にしては、妙にリアリティがある。ただの夢ではないかも知れない。
うっすらとだが、灰原はそんな事も考えていた。
ひょっとしたら、この夢は、かつて罪を働いた自分に対する罰なのかも知れない。
だとしたら、自分はこの夢の中で何をなすべきだろう。
うっすらとだが、灰原はそんな事も考えていた。
ひょっとしたら、この夢は、かつて罪を働いた自分に対する罰なのかも知れない。
だとしたら、自分はこの夢の中で何をなすべきだろう。
決まっている。
この夢が、シェリーと呼ばれた頃の贖罪のために存在する夢なら、自分のとる行動は一つしかない。
自殺だ。
かつて自分は、人殺しのための薬を作っていたのだ。たとえ、本人にそのつもりがなくとも、罪深い事に変わりはない。
そんな自分に、他人を押しのけて生き残る権利なんてない。
そんな自分に、これ以上生き延びる権利なんてない。
かつて自分は、人殺しのための薬を作っていたのだ。たとえ、本人にそのつもりがなくとも、罪深い事に変わりはない。
そんな自分に、他人を押しのけて生き残る権利なんてない。
そんな自分に、これ以上生き延びる権利なんてない。
そう考えた灰原は、ランドセルの中から荷物を取り出していく。
自殺に使える道具はないか、それを考えての確認だ。
自殺に使える道具はないか、それを考えての確認だ。
一つ目の支給品は、くまの人形。名前は『ふじおか』と言うらしい。
特に何の変哲もない人形だ。自殺の道具としては全く使えない。
特に何の変哲もない人形だ。自殺の道具としては全く使えない。
二つ目の支給品も人形。スーツケースに入った『あるるかん』という名前の人形だ。
何かの特殊な能力を持つらしいが、正直な話、灰原には使えないだろう。
これも自殺には使えない。
何かの特殊な能力を持つらしいが、正直な話、灰原には使えないだろう。
これも自殺には使えない。
最後の支給品……
それは、5MeO-DIPTと書かれた薬品。
灰原は、その薬品の効果を知っている。
かつて、新薬開発を行っていた彼女はその薬の効果を知っている。
それは、自殺に使おうと思えば、使う事が出来る薬品。
けれど、自殺に使う事は決して本来の目的ではない。
本来の目的は……本来の、本来の目的……、目的は……
それは、5MeO-DIPTと書かれた薬品。
灰原は、その薬品の効果を知っている。
かつて、新薬開発を行っていた彼女はその薬の効果を知っている。
それは、自殺に使おうと思えば、使う事が出来る薬品。
けれど、自殺に使う事は決して本来の目的ではない。
本来の目的は……本来の、本来の目的……、目的は……
駄目だ、恥じらいのある女性には口にする事が出来ない。
しかし、本来の目的が何であれ、これが自殺に有効な薬品である事に変わりはない。
それに、この薬品の本来の目的も、罪を犯した自分には相応しいのではないか。
ただ単に自殺するより、この薬品を使って堕ちていく方が罪深い自分に相応しいのではないか。
それに、この薬品の本来の目的も、罪を犯した自分には相応しいのではないか。
ただ単に自殺するより、この薬品を使って堕ちていく方が罪深い自分に相応しいのではないか。
「使ってみようかしら……」
唐突に灰原はそうつぶやく。
この世界は夢の世界であり、贖罪の世界なのだ。
だったら、単なる死より、堕ちる所までとことん堕ちる事こそ、求められるだろう。
この世界は夢の世界であり、贖罪の世界なのだ。
だったら、単なる死より、堕ちる所までとことん堕ちる事こそ、求められるだろう。
灰原は5MeO-DIPTを計量する。
かつて、薬品開発で培った経験を元に目分量で5MeO-DIPTの重さを測っていく。
かつて、薬品開発で培った経験を元に目分量で5MeO-DIPTの重さを測っていく。
「6mgだと、これぐらいかしらね……」
その薬品を使用する際の重さが6mg。灰原は、それをゆっくりと飲んでいく。
通常の食品では有り得ないほどの苦味が、灰原の口をいっぱいにする。
苦いとか、不味いとか、そんなレベルを超越した苦痛が灰原を襲う。
だが、この苦痛は一時的なものだ。
数十分もすれば、薬品の効果が現れてくる。
そうなれば、苦痛はなくなり、後は堕ちていくだけとなる。
通常の食品では有り得ないほどの苦味が、灰原の口をいっぱいにする。
苦いとか、不味いとか、そんなレベルを超越した苦痛が灰原を襲う。
だが、この苦痛は一時的なものだ。
数十分もすれば、薬品の効果が現れてくる。
そうなれば、苦痛はなくなり、後は堕ちていくだけとなる。
「後は待つだけね……」
この薬品の効果により、自分はまともな理性を失うだろう。
そうして、背徳に汚れていく事がアポトキシン4869を作ってしまった自分に対する罰だ。
この薬品を使い続け、理性を失った自分は、いずれ誰かに殺されるまで、獣のように狂い続けるだろう。
それでこそ、罪深い自分に相応しい末路だ。
そうして、背徳に汚れていく事がアポトキシン4869を作ってしまった自分に対する罰だ。
この薬品を使い続け、理性を失った自分は、いずれ誰かに殺されるまで、獣のように狂い続けるだろう。
それでこそ、罪深い自分に相応しい末路だ。
灰原は薬品を見つめながら、時が来るのを待つ。
催淫効果のある5MeO-DIPT、通称『フォクシー』を見つめながら……
催淫効果のある5MeO-DIPT、通称『フォクシー』を見つめながら……
【D-5/森林前の道路(D-5とE-5の間)/1日目/朝】
【灰原哀@名探偵コナン】
[状態]:健康、催淫剤使用後
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、5MeO-DIPT(24mg)、あるるかん@からくりサーカス、ふじおか@みなみけ
[思考]
第一行動方針:罪を償うため、自分を汚す。
第二行動方針:薬品の効果が出るのを待つ。
参戦時期:24巻終了後
[備考]:灰原は、この世界を現実だと思っていません。
[状態]:健康、催淫剤使用後
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、5MeO-DIPT(24mg)、あるるかん@からくりサーカス、ふじおか@みなみけ
[思考]
第一行動方針:罪を償うため、自分を汚す。
第二行動方針:薬品の効果が出るのを待つ。
参戦時期:24巻終了後
[備考]:灰原は、この世界を現実だと思っていません。
【ふじおか@みなみけ】
南千秋の姉、夏奈の同級生が千秋にプレゼントした人形。
くまさんの外見をしており、家にいるときはほとんど千秋と一緒にいる。
特筆すべき能力はないただの人形。
南千秋の姉、夏奈の同級生が千秋にプレゼントした人形。
くまさんの外見をしており、家にいるときはほとんど千秋と一緒にいる。
特筆すべき能力はないただの人形。
【5MeO-DIPT@現実世界】
大人が使う薬。多幸感が増し、幸せになれる。エッチな気分にもなれる。
かつては脱法ドラッグと呼ばれ、麻薬と同様の効果も持っていたが、法律が整備されておらず、所持していてもなんら罰則はなかった。
今は、法律が整えられ、所持していると麻薬と同じように取締りの対象となる。
大人が使う薬。多幸感が増し、幸せになれる。エッチな気分にもなれる。
かつては脱法ドラッグと呼ばれ、麻薬と同様の効果も持っていたが、法律が整備されておらず、所持していてもなんら罰則はなかった。
今は、法律が整えられ、所持していると麻薬と同じように取締りの対象となる。
【あるるかん@からくりサーカス】
スーツケースに入った人形。糸を使って操る人形であり、熟練者が使うとかなりの戦闘力を発揮する。
スーツケースに入った人形。糸を使って操る人形であり、熟練者が使うとかなりの戦闘力を発揮する。
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