真実は煙に紛れて (4)混乱は終らない ◆3k3x1UI5IA
煙が立ち込める保健室に、耳障りな火災報知器のベルが鳴り響く。
どうやら設置されているのは火災報知器だけで、スプリンクラーなどはないらしい。
いったいいつの時代の学校なんだよ――傷の痛みに朦朧としながら、小狼は心の中で愚痴る。
どうやら設置されているのは火災報知器だけで、スプリンクラーなどはないらしい。
いったいいつの時代の学校なんだよ――傷の痛みに朦朧としながら、小狼は心の中で愚痴る。
(いや、でも今はそれどころじゃない……! なんとかしないと……!)
部屋の中、立っているのは1人のみ。諸悪の根源、精神操作の能力を持った魔法使い(?)、一休だ。
他の全ての人間が、倒れている。
胸が上下しているということは、まだ息があるようだが……このままでは、全滅する。
今すぐトドメを刺されてもおかしくない。
一休がベルの音に気を取られている隙に、小狼は震える手を伸ばす。
他の全ての人間が、倒れている。
胸が上下しているということは、まだ息があるようだが……このままでは、全滅する。
今すぐトドメを刺されてもおかしくない。
一休がベルの音に気を取られている隙に、小狼は震える手を伸ばす。
そこにあったのは、一度は取り上げられた武器の山だった。
一休が取り上げたものの、持ちきれずに置いておいた品々だった。
激痛に苦しむフリをして――いや、実際かなり痛かったわけだが――さりげなく近づいた荷物の山。
一休が着物の袖に納めきれなかった大振りな荷物が、そこに積み上げられている。
4つのランドセル、『あるるかん』の入ったスーツケース、そして……!
一休が取り上げたものの、持ちきれずに置いておいた品々だった。
激痛に苦しむフリをして――いや、実際かなり痛かったわけだが――さりげなく近づいた荷物の山。
一休が着物の袖に納めきれなかった大振りな荷物が、そこに積み上げられている。
4つのランドセル、『あるるかん』の入ったスーツケース、そして……!
(よし、充電完了している……! いける……!)
一休は、『斜院征伐』という魔法を使う際に『さもないと石』という道具の力を借りる、と言った。
逆に言えば、彼の魔法は何らかの『媒体』を要するものである可能性が高い。
クロウカードやさくらカード、小狼が使う呪符のように、媒体を必要とする魔法は多いのだ。なら……!
逆に言えば、彼の魔法は何らかの『媒体』を要するものである可能性が高い。
クロウカードやさくらカード、小狼が使う呪符のように、媒体を必要とする魔法は多いのだ。なら……!
(どこにどう隠し持ってるか知らないけど……これで、きっと……!)
拾った道具から、『あるもの』を抜き取る。本来必要な道具をあえて欠いた状態で、彼はそれを構える。
小狼は「一休が魔法使いだ」という間違った前提を元に、未来のひみつ道具のシャッターに指をかけた。
小狼は「一休が魔法使いだ」という間違った前提を元に、未来のひみつ道具のシャッターに指をかけた。
* * *
煙が立ち込める保健室に、耳障りな火災報知器のベルが鳴り響く。
リンクにとっても、この大きな音は未知のものだ。反射的に身が竦むが、すぐに正気を取り戻す。
リンクにとっても、この大きな音は未知のものだ。反射的に身が竦むが、すぐに正気を取り戻す。
(なにがなんだか分かんないけど……このままじゃ、まずいよ!)
身体に力が入らない。
脱力感をもたらす『ネコンの香煙』は未だその後遺症を残しており、さらにその上から『ワブアブの粉末』だ。
筋力低下作用のある薬を二重に喰らって、リンクは立ち上がることもできない。
脱力感をもたらす『ネコンの香煙』は未だその後遺症を残しており、さらにその上から『ワブアブの粉末』だ。
筋力低下作用のある薬を二重に喰らって、リンクは立ち上がることもできない。
周囲を見渡せば、仲間たちが倒れている。名前を知らない少女や、小狼の姿もある。
あれだけいた『一休』たちはどこに消えたのか? 自分に粉を振り掛けた最後の1体が『本物』だったのか?
そして、いつの間に仲間たちは戻ってきていたのか?
よく分からないが、ふと気が付けば、リンクのすぐ側には梨花が倒れている。
這うようにして近づけば、ヒュウヒュウと呼吸をしている。まだ生きている。
念のため、触れて脈を確かめようとした彼は、あることに気付く。
あれだけいた『一休』たちはどこに消えたのか? 自分に粉を振り掛けた最後の1体が『本物』だったのか?
そして、いつの間に仲間たちは戻ってきていたのか?
よく分からないが、ふと気が付けば、リンクのすぐ側には梨花が倒れている。
這うようにして近づけば、ヒュウヒュウと呼吸をしている。まだ生きている。
念のため、触れて脈を確かめようとした彼は、あることに気付く。
(そういえば……梨花ちゃんのあの技は……!)
見覚えのない、綺麗なブレスレッド。4階で別れた時には、戦闘力が無かったはずの梨花。
そして、そういえば確認もしていなかった、梨花の支給品……!
名探偵やトンチ自慢の小坊主ほどではないが、リンクだって謎解きは得意だ。すぐに真相を察知する。
使い方も……なんとなく、直感で分かる、気がする。
勇者の資質を持つ少年は、そして、その資質を証明する伝説の道具に、手を伸ばした。
そして、そういえば確認もしていなかった、梨花の支給品……!
名探偵やトンチ自慢の小坊主ほどではないが、リンクだって謎解きは得意だ。すぐに真相を察知する。
使い方も……なんとなく、直感で分かる、気がする。
勇者の資質を持つ少年は、そして、その資質を証明する伝説の道具に、手を伸ばした。
* * *
煙が立ち込める保健室に、耳障りな火災報知器のベルが鳴り響く。
混乱していた一休は、ふと少年たちの動きに気付いて、はっとする。
混乱していた一休は、ふと少年たちの動きに気付いて、はっとする。
小狼が、保健室の片隅に積み上げておいた荷物の所に、いつの間にやら移動している。
リンクが、倒れて動かない梨花の方に、手を伸ばしている。
咄嗟に脅して制止しようと、サモナイト石を取り出そうとするが……僅かに、遅い。
床に倒れた姿勢のまま、小狼は「その道具」を一休に向ける。
リンクが、倒れて動かない梨花の方に、手を伸ばしている。
咄嗟に脅して制止しようと、サモナイト石を取り出そうとするが……僅かに、遅い。
床に倒れた姿勢のまま、小狼は「その道具」を一休に向ける。
「これで……魔法は使えないぞっ!」
パチリッ!
小狼の手にした未来のふしぎ道具、『きせかえカメラ』が閃光を放つ。
小狼の推測では、一休は媒体無しには術の使えない魔法使い――ならば、どうするか。
媒体を、取り上げてしまえばいい。
杖のような道具は持っていないから、媒体は恐らく指輪か何かに偽装されている。
あるいは、衣類の下に隠し持っているのかもしれない。
どちらだとしても、『きせかえカメラ』に「あえてデザイン画を入れずに」シャッターを切れば――!
小狼の手にした未来のふしぎ道具、『きせかえカメラ』が閃光を放つ。
小狼の推測では、一休は媒体無しには術の使えない魔法使い――ならば、どうするか。
媒体を、取り上げてしまえばいい。
杖のような道具は持っていないから、媒体は恐らく指輪か何かに偽装されている。
あるいは、衣類の下に隠し持っているのかもしれない。
どちらだとしても、『きせかえカメラ』に「あえてデザイン画を入れずに」シャッターを切れば――!
「え……?! おやおや、これは……!」
一休の着物が、綺麗さっぱり消えうせる。着物の下に着ていた体操着も、同じく綺麗に消えうせる。
防具代わりに体操着の下に挟んでいた教科書が落ち、マスクが消えて素顔が露わになる。
つまりは褌一丁無い、真っ裸。
両手にそれぞれバケツと体操着袋を持っただけの、完全に無防備な姿だ。
これなら、魔法の媒体を隠し持つことなどできない――いや、最初っから隠し持ってなどいなかったのだが。
防具代わりに体操着の下に挟んでいた教科書が落ち、マスクが消えて素顔が露わになる。
つまりは褌一丁無い、真っ裸。
両手にそれぞれバケツと体操着袋を持っただけの、完全に無防備な姿だ。
これなら、魔法の媒体を隠し持つことなどできない――いや、最初っから隠し持ってなどいなかったのだが。
裸に剥かれた一休は、流石に慌てて自らの口元を押さえる。
いや、服はどうでもいい。恥ずかしくないと言ったら嘘だが、それよりも問題なのは活性炭入りのあのマスク。
保健室の中には未だ『紅皇バチの蜜蝋』の煙が満ちている。自分も吸ってしまうのはマズい。
咄嗟にマスクの代わりに、手にした体操着袋を口元に押し当てて――
いや、服はどうでもいい。恥ずかしくないと言ったら嘘だが、それよりも問題なのは活性炭入りのあのマスク。
保健室の中には未だ『紅皇バチの蜜蝋』の煙が満ちている。自分も吸ってしまうのはマズい。
咄嗟にマスクの代わりに、手にした体操着袋を口元に押し当てて――
その「無駄な心配」、「無駄な動作」のせいで、彼はリンクの動きに対応しきれない。
「このっ……なんで、キミはっ……!」
身体に力の入らぬリンクが、梨花の腕からブレスレッドを抜き取る。
自分の腕にはめながら、怒りの篭った視線で一休を睨みつける。
床に這いつくばったまま、その手を向ける。
自分の腕にはめながら、怒りの篭った視線で一休を睨みつける。
床に這いつくばったまま、その手を向ける。
リンクは勇者の器を持つ少年だ。そしてどんな道具でも瞬く間に使いこなしてしまう一種の天才だ。
誰かが使った姿を横目で見れば、彼にはそれで十分。説明書も何も要りはしない。
必要なのは、ただ一言のツッコミだけ。
誰かが使った姿を横目で見れば、彼にはそれで十分。説明書も何も要りはしない。
必要なのは、ただ一言のツッコミだけ。
「なんでキミは―― そ こ で 脱 ぐ ! ? 」
リンクの叫びと共に、拳が爆発的に巨大化する。
服を剥がれ無防備な一休の身体を、アッパーカットのように斜め45度の角度から突き上げる。
『勇者の拳』の威力は、使用者の腕力に依存しない。ただ「おかしい」と思う想いの強さにのみ依存する。
ここで裸になったのは別に一休自身の意志でも何でもないのだが、そんなことは関係ない。
服を剥がれ無防備な一休の身体を、アッパーカットのように斜め45度の角度から突き上げる。
『勇者の拳』の威力は、使用者の腕力に依存しない。ただ「おかしい」と思う想いの強さにのみ依存する。
ここで裸になったのは別に一休自身の意志でも何でもないのだが、そんなことは関係ない。
「ちょっと待って下さゴプろゲッ!?」
裸の一休が弾け飛ぶ。暴走するトラックに跳ねられたようなものだ。
奇妙な呻き声と共に窓枠を突き破り、宙を舞い、広い校庭を飛び越えて……
すぐにその姿は、煙の渦巻く保健室から、見えなくなった。
普通に考えて……死んだだろう、あれは。
床から起き上がる力もでないリンクには、確認することもできないのだが。
奇妙な呻き声と共に窓枠を突き破り、宙を舞い、広い校庭を飛び越えて……
すぐにその姿は、煙の渦巻く保健室から、見えなくなった。
普通に考えて……死んだだろう、あれは。
床から起き上がる力もでないリンクには、確認することもできないのだが。
「げほっ、ごほっ……! ど、どうなった……?」
「小狼……? だ、大丈夫。文字通り、吹き飛んだ」
「小狼……? だ、大丈夫。文字通り、吹き飛んだ」
窓が割れたことで、保健室の中に新鮮な空気が流れ込む。
幻覚作用のあるガスの濃度が下がる。冷たい空気が美味い。頭の中にかかった靄が僅かなりとも晴れる。
状況を完全には把握できないながらも、リンクと小狼は互いの存在を確認し、不敵に笑う。
ともかく彼らは、勝利したのだ――この、一度は全滅をも覚悟した絶望的な状況から。
幻覚作用のあるガスの濃度が下がる。冷たい空気が美味い。頭の中にかかった靄が僅かなりとも晴れる。
状況を完全には把握できないながらも、リンクと小狼は互いの存在を確認し、不敵に笑う。
ともかく彼らは、勝利したのだ――この、一度は全滅をも覚悟した絶望的な状況から。
「手強かったな……まさか、人を操る力があったなんて」
「え? 何のこと? あいつの能力って、分身だろ?」
「それこそ何のことだよ? それに、さくらはどこに……? 俺の見間違いか……?
まあいい、で……どうする、この火事」
「……どうしようか、これ」
「え? 何のこと? あいつの能力って、分身だろ?」
「それこそ何のことだよ? それに、さくらはどこに……? 俺の見間違いか……?
まあいい、で……どうする、この火事」
「……どうしようか、これ」
一休を倒した喜びも束の間、2人は顔を見合わせる。
保健室の片隅には、未だ燃え続け、広がり続ける火。
もしも今ここに消火器があれば、まだなんとか消すことができるレベルかもしれない。
けれどリンクは全身の脱力感で立ち上がることも厳しい状態だし、小狼も傷が開いて苦しい状況。
女の子2人に至っては、未だ気絶したまま、起きてこない。
室内を見渡しても消火器はない。おそらくは廊下まで探しにいかなければならないだろうし……!
保健室の片隅には、未だ燃え続け、広がり続ける火。
もしも今ここに消火器があれば、まだなんとか消すことができるレベルかもしれない。
けれどリンクは全身の脱力感で立ち上がることも厳しい状態だし、小狼も傷が開いて苦しい状況。
女の子2人に至っては、未だ気絶したまま、起きてこない。
室内を見渡しても消火器はない。おそらくは廊下まで探しにいかなければならないだろうし……!
頑張って火を消すべきか。それとも、諦めて脱出すべきか。
どちらにしたって、使えるものは少なく、出せる力は限りがあって。
耳障りな火災報知器のベルが鳴り続ける。彼らの危機感を煽り続ける。
危険な状況は、まだまだ終っていない――!
どちらにしたって、使えるものは少なく、出せる力は限りがあって。
耳障りな火災報知器のベルが鳴り続ける。彼らの危機感を煽り続ける。
危険な状況は、まだまだ終っていない――!
* * *
――水がなみなみと満たされたプールに、盛大な水飛沫が上がる。
津波のように何度も水がプールサイドに押し寄せ、乾いた床面に乗り上げる。
数秒の間を置いて、プールの中央にぷっかりと浮かんできたのは……
ツルツルに剃られた、綺麗な坊主頭だった。
数秒の間を置いて、プールの中央にぷっかりと浮かんできたのは……
ツルツルに剃られた、綺麗な坊主頭だった。
「げほっ、ごほっ……いやはや、またもや酷い目に遭いました」
それはもちろん、一休。
どういう偶然の悪戯によるものか、彼はまたしても生きながらえていた。
普通だったら死ぬしかない状況から、生還していた。
ここからは保健室は直接見えない。L字型の校舎が邪魔をする。なのに、なんでこんな所に落下したのか?
どういう偶然の悪戯によるものか、彼はまたしても生きながらえていた。
普通だったら死ぬしかない状況から、生還していた。
ここからは保健室は直接見えない。L字型の校舎が邪魔をする。なのに、なんでこんな所に落下したのか?
「あの耳の尖った少年まであの術を使うとは……つまりはあれも支給品の力と言うことですか。
そういえば、綺麗な腕輪を抜き取っていましたね……今度からは、あの腕輪に注意しないと……」
そういえば、綺麗な腕輪を抜き取っていましたね……今度からは、あの腕輪に注意しないと……」
体に絡んだカーテンの布地を引き剥がし、必死に泳いで岸辺に上がる。
一休自身、この「奇跡の生還」が信じられない。御仏の御加護に心から感謝する。
一休自身、この「奇跡の生還」が信じられない。御仏の御加護に心から感謝する。
下手に踏ん張らなかったのが幸いした。斜め上に突き上げる打撃の角度も絶妙だった。
体の前に構えたバケツと体操着袋がクッションになって、『拳』の直撃の衝撃を和らげて――
窓を突き破る際にも、分厚いカーテンに包まれた格好になり、ガラス片の多くから守られて――
放物線を描いて校庭上空を舞った彼は、校庭の向こう側に植えられた並木の1本に衝突して――
大きくしなった並木は、衝撃を吸収すると同時に、プールの方向にピンボールのように跳ね返して――
そして、V字を描いて反射した彼が落ちた先は、水がたっぷり張られたプールの中。
4階からの落下と同等、いやそれ以上かもしれない運の良さだった。
体の前に構えたバケツと体操着袋がクッションになって、『拳』の直撃の衝撃を和らげて――
窓を突き破る際にも、分厚いカーテンに包まれた格好になり、ガラス片の多くから守られて――
放物線を描いて校庭上空を舞った彼は、校庭の向こう側に植えられた並木の1本に衝突して――
大きくしなった並木は、衝撃を吸収すると同時に、プールの方向にピンボールのように跳ね返して――
そして、V字を描いて反射した彼が落ちた先は、水がたっぷり張られたプールの中。
4階からの落下と同等、いやそれ以上かもしれない運の良さだった。
「具合良くこんなところに池があって助かりました。しかし何なんでしょう、ここは」
全裸でプールサイドに這い上がりながら、一休は首を捻る。
真四角に区切られた大きな池、底には何本もの線が引かれ、周囲は硬い石造りで固められている。
庭園にしては味気が無さ過ぎるし、魚一匹泳いでいない。飲料水用の溜池にしては、変な味もする。
一体何のために作られた施設なのか? こんな場合だというのに、一休の興味は尽きない。
真四角に区切られた大きな池、底には何本もの線が引かれ、周囲は硬い石造りで固められている。
庭園にしては味気が無さ過ぎるし、魚一匹泳いでいない。飲料水用の溜池にしては、変な味もする。
一体何のために作られた施設なのか? こんな場合だというのに、一休の興味は尽きない。
「この水を汲んでいけば、あちらの火事も……いや、無理ですね、もう」
一休はポタポタと水を滴らせながら、身体を引き摺るようにして歩き出す。
九死に一生を得たとはいえ、今度の打撃もかなり効いた。
命に関わるような怪我は無いが、走ってあそこまで戻る元気は流石にない。
バケツとその中身は弾き飛ばされた衝撃で失ってしまったし、今の一休には服さえも無い。
せっかく身体中に張った絆創膏や湿布も、あらかた剥がれてしまった。
もし戻ったとしても、またあの4人に襲われたら、今度こそ打つ手はない。
唯一手元に残った体操着袋を抱えて、彼はゆっくり首を振る。
九死に一生を得たとはいえ、今度の打撃もかなり効いた。
命に関わるような怪我は無いが、走ってあそこまで戻る元気は流石にない。
バケツとその中身は弾き飛ばされた衝撃で失ってしまったし、今の一休には服さえも無い。
せっかく身体中に張った絆創膏や湿布も、あらかた剥がれてしまった。
もし戻ったとしても、またあの4人に襲われたら、今度こそ打つ手はない。
唯一手元に残った体操着袋を抱えて、彼はゆっくり首を振る。
「まあ――あれだけ元気なら、彼らだけでも逃げられるでしょうしね。
彼らが落ち着くのを待って、改めて誤解を解きたいところですが」
彼らが落ち着くのを待って、改めて誤解を解きたいところですが」
いささか後ろめたさも感じつつ、一休は自分を納得させる。
今はどこかで休みたい。傷の具合を確かめて、手元に残った道具を確認して、どこかで衣類を確保したい。
周囲を見渡せば、四角い『池』のすぐ近く、小さな建物が付属している。
まずは一旦ここに身を隠すべきだろう。
今はどこかで休みたい。傷の具合を確かめて、手元に残った道具を確認して、どこかで衣類を確保したい。
周囲を見渡せば、四角い『池』のすぐ近く、小さな建物が付属している。
まずは一旦ここに身を隠すべきだろう。
「入り口が2つありますが……まあ、入ってしまえば一緒でしょう」
○と△を組み合わせたマークが描かれた、2つの入り口。左右対称な建物の構造。
しばし考えた彼は、青い○と▽が描かれた方ではなく、赤い○と△が上下に並んだ入り口に歩を進めた。
しばし考えた彼は、青い○と▽が描かれた方ではなく、赤い○と△が上下に並んだ入り口に歩を進めた。
いや、彼のその選択に、別に深い意味はない。
ただ単に、そちらの方が近かったというだけのことである。
室町時代に暮らしていた彼に、近代になって生まれた表示のお約束など、分かるはずもないわけで……。
このあたり、幸運なのか不運なのか、ともかく一休は、やはり一休なのだった。
ただ単に、そちらの方が近かったというだけのことである。
室町時代に暮らしていた彼に、近代になって生まれた表示のお約束など、分かるはずもないわけで……。
このあたり、幸運なのか不運なのか、ともかく一休は、やはり一休なのだった。
【D-4/学校プール傍・女子更衣室内/1日目/真昼】
【一休さん@一休さん】
[状態]:全身に打撲。全身ずぶ濡れ。全裸。さすがに心身共に疲労。
(具体的なダメージの程は後の書き手さんにお任せします。とりあえず歩ける模様)
(絆創膏や湿布は、プールに落ちた時にあらかた剥がれ落ちました)
[装備]:なし
[道具]:エルルゥの薬箱の中身(ワブアブの粉末(残数1)、カプマゥの煎薬(残数3)、
ネコンの香煙(残数2)、紅皇バチの蜜蝋(残数2)) @うたわれるもの
シャインセイバー(サモナイト石・無)@サモンナイト3
モンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL クロウカード「剣」@CCさくら(カード状態)、
体操着袋、教科書数冊、チョーク数本、100円ライター
[思考]:
第一行動方針:あわてない、あわてない。 一休み、一休み。
第二行動方針:できれば消えてしまった衣類の代わりを確保したい。
第三行動方針:これまでに遭遇した人々の誤解を、どうにかして解きたい。
第四行動方針:どこかで食料を確保したい。
第五行動方針:余裕があれば、森にでも骨格標本を埋葬し供養したい。
基本行動方針:ゲームをうまく脱出する。
[備考]:
体操着袋に細かい荷物を入れています。
水道の使い方、窓や扉のカギの開け方、100円ライターの使い方を理解しました。
ブルーを不思議な力(スタンガン)を持った神仙または学術者の類と思っています。
[備考]
『きせかえカメラ』の力で、着物と共に『(着物の下に着ていた)体操服』『活性炭入りマスク』が消えています。
『きせかえカメラ』の効果が切れれば(1時間後)、自然と戻ってきます。
体操服の下に入れていた教科書は、服が消えた際に落下、そのまま置いてきました。
[備考]
吹き飛ばされた際、『雑巾、ブリキのバケツ、ホース数m』を失いました。校庭に散らばっています。
体操着袋に入らなかった『共通支給品×4、あるるかん@からくりサーカス』は保健室に置いてきました。
【一休さん@一休さん】
[状態]:全身に打撲。全身ずぶ濡れ。全裸。さすがに心身共に疲労。
(具体的なダメージの程は後の書き手さんにお任せします。とりあえず歩ける模様)
(絆創膏や湿布は、プールに落ちた時にあらかた剥がれ落ちました)
[装備]:なし
[道具]:エルルゥの薬箱の中身(ワブアブの粉末(残数1)、カプマゥの煎薬(残数3)、
ネコンの香煙(残数2)、紅皇バチの蜜蝋(残数2)) @うたわれるもの
シャインセイバー(サモナイト石・無)@サモンナイト3
モンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL クロウカード「剣」@CCさくら(カード状態)、
体操着袋、教科書数冊、チョーク数本、100円ライター
[思考]:
第一行動方針:あわてない、あわてない。 一休み、一休み。
第二行動方針:できれば消えてしまった衣類の代わりを確保したい。
第三行動方針:これまでに遭遇した人々の誤解を、どうにかして解きたい。
第四行動方針:どこかで食料を確保したい。
第五行動方針:余裕があれば、森にでも骨格標本を埋葬し供養したい。
基本行動方針:ゲームをうまく脱出する。
[備考]:
体操着袋に細かい荷物を入れています。
水道の使い方、窓や扉のカギの開け方、100円ライターの使い方を理解しました。
ブルーを不思議な力(スタンガン)を持った神仙または学術者の類と思っています。
[備考]
『きせかえカメラ』の力で、着物と共に『(着物の下に着ていた)体操服』『活性炭入りマスク』が消えています。
『きせかえカメラ』の効果が切れれば(1時間後)、自然と戻ってきます。
体操服の下に入れていた教科書は、服が消えた際に落下、そのまま置いてきました。
[備考]
吹き飛ばされた際、『雑巾、ブリキのバケツ、ホース数m』を失いました。校庭に散らばっています。
体操着袋に入らなかった『共通支給品×4、あるるかん@からくりサーカス』は保健室に置いてきました。
【D-4/学校校舎1階保健室(火災発生中)/1日目/真昼】
【リンク(子供)@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
[状態]:左太腿に裂傷。歩行に少し影響。
『ネコンの煙』の後遺症と『ワブアブの毒』のダブルパンチで、大幅に筋力低下
[服装]:中世ファンタジーな布の服など(ベルトが外され、緑色のツナギが捲り上げられて半裸)
[装備]:勇者の拳@魔法陣グルグル
[道具]:なし
[思考]:ここから、どうしよう?
第一行動方針:なんとか火を消す。または、この保健室からなんとか脱出する。
第二行動方針:梨花たちを守る
第三行動方針:最初に死んだ子(乱太郎)に何かしてやりたい
基本行動方針:ゲームを壊す
参戦時期:エンディング後
[備考]:金糸雀のことを、ゲームに乗るつもりの人物だと判断しました。
一休のことを、放火魔、かつ分身能力を持つモンスターか何かだと確信しました。
[状態]:左太腿に裂傷。歩行に少し影響。
『ネコンの煙』の後遺症と『ワブアブの毒』のダブルパンチで、大幅に筋力低下
[服装]:中世ファンタジーな布の服など(ベルトが外され、緑色のツナギが捲り上げられて半裸)
[装備]:勇者の拳@魔法陣グルグル
[道具]:なし
[思考]:ここから、どうしよう?
第一行動方針:なんとか火を消す。または、この保健室からなんとか脱出する。
第二行動方針:梨花たちを守る
第三行動方針:最初に死んだ子(乱太郎)に何かしてやりたい
基本行動方針:ゲームを壊す
参戦時期:エンディング後
[備考]:金糸雀のことを、ゲームに乗るつもりの人物だと判断しました。
一休のことを、放火魔、かつ分身能力を持つモンスターか何かだと確信しました。
【小狼@カードキャプターさくら】
[状態]:殴られて多少の打撲。腹部の刺し傷が開き、再出血&激痛。意識朦朧。
『ネコンの煙』の後遺症で多少の脱力感。
[装備]:きせかえカメラ@ドラえもん(充電完了まであと30分)
[道具]:なし
[思考]:……くそっ!
第一行動方針:なんとか火を消す。または、なんとか保健室から脱出する。
第二行動方針:自分とリンクの傷の手当てをしたい。
第三行動方針:上の階に向かったコナンと、森に向かったネギの安否が心配。
第四行動方針:桜を探し、守る
第五行動方針:仲間を集める
第六行動方針:最初に死んだ(乱太郎)に何かしてやりたい
基本行動方針:桜とともに島を脱出する。
[備考]:金糸雀のことを、ゲームに乗るつもりの人物だと判断しました。
一休のことを、放火魔、かつ他人を操る能力を持った魔法使いの類だと確信しました。
木之本桜が学校に居たかもしれない、と思っています(自分でも半信半疑?)。
[備考]:
すぐ近くに、『共通支給品×4、あるるかん@からくりサーカス』が積み上げてあります。
共通支給品×4のうち、赤いランドセル2つには、それぞれ共通支給品の他に、
『エスパー錠とその鍵@絶対可憐チルドレン、ふじおか@みなみけ(なんか汚れた) 』
『5MeO-DIPT(24mg)、(古手梨花の)平常時の服』
が入っています。
[状態]:殴られて多少の打撲。腹部の刺し傷が開き、再出血&激痛。意識朦朧。
『ネコンの煙』の後遺症で多少の脱力感。
[装備]:きせかえカメラ@ドラえもん(充電完了まであと30分)
[道具]:なし
[思考]:……くそっ!
第一行動方針:なんとか火を消す。または、なんとか保健室から脱出する。
第二行動方針:自分とリンクの傷の手当てをしたい。
第三行動方針:上の階に向かったコナンと、森に向かったネギの安否が心配。
第四行動方針:桜を探し、守る
第五行動方針:仲間を集める
第六行動方針:最初に死んだ(乱太郎)に何かしてやりたい
基本行動方針:桜とともに島を脱出する。
[備考]:金糸雀のことを、ゲームに乗るつもりの人物だと判断しました。
一休のことを、放火魔、かつ他人を操る能力を持った魔法使いの類だと確信しました。
木之本桜が学校に居たかもしれない、と思っています(自分でも半信半疑?)。
[備考]:
すぐ近くに、『共通支給品×4、あるるかん@からくりサーカス』が積み上げてあります。
共通支給品×4のうち、赤いランドセル2つには、それぞれ共通支給品の他に、
『エスパー錠とその鍵@絶対可憐チルドレン、ふじおか@みなみけ(なんか汚れた) 』
『5MeO-DIPT(24mg)、(古手梨花の)平常時の服』
が入っています。
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:色々と疲労困憊。全身に無数の打ち身と擦り傷(骨折などは無い)。気絶中。
[服装]:体操服。体操着に赤ブルマ着用。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:……! (気絶中)
第一行動方針:今の危機的状況をなんとかする。
第二行動方針:同行者を増やす。
基本行動方針:生き延びて元の世界に帰る。ゲームには乗らない。
参戦時期:祭囃し編後、賽殺し編前
[備考]:一休さんの事は、放火魔で変態で性犯罪者だと認識しました。
また『触手の化け物』ではないかと疑っています(ただし、さすがに半信半疑)。
[状態]:色々と疲労困憊。全身に無数の打ち身と擦り傷(骨折などは無い)。気絶中。
[服装]:体操服。体操着に赤ブルマ着用。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:……! (気絶中)
第一行動方針:今の危機的状況をなんとかする。
第二行動方針:同行者を増やす。
基本行動方針:生き延びて元の世界に帰る。ゲームには乗らない。
参戦時期:祭囃し編後、賽殺し編前
[備考]:一休さんの事は、放火魔で変態で性犯罪者だと認識しました。
また『触手の化け物』ではないかと疑っています(ただし、さすがに半信半疑)。
【灰原哀@名探偵コナン】
[状態]:気絶中。唇の端を切っている。
[服装]:子供服。着方が乱暴でなんか汚れてる。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:……!(気絶中)
第一行動方針:今の危機的状況をなんとかする。
第二行動方針:それが一段落してから、4階がどうなったのか知りたい。
第三行動方針:罪を滅ぼす方法を考える。梨花は死なせない。
基本行動方針:最後まで足掻き続ける。もう安易に死は望まない。
参戦時期:24巻終了後
[備考]:一休さんの事は放火魔で変態性犯罪者なカンフーの達人だと認識しました。
[状態]:気絶中。唇の端を切っている。
[服装]:子供服。着方が乱暴でなんか汚れてる。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:……!(気絶中)
第一行動方針:今の危機的状況をなんとかする。
第二行動方針:それが一段落してから、4階がどうなったのか知りたい。
第三行動方針:罪を滅ぼす方法を考える。梨花は死なせない。
基本行動方針:最後まで足掻き続ける。もう安易に死は望まない。
参戦時期:24巻終了後
[備考]:一休さんの事は放火魔で変態性犯罪者なカンフーの達人だと認識しました。
[備考]:
D-4の学校校舎1階保健室で出火しました。消火器などで消しきれるかどうか、微妙な状況です。
学校の校舎内で、火災報知器が鳴り響いています。ただしスプリンクラーは設置されていないようです。
D-4の学校校舎1階保健室で出火しました。消火器などで消しきれるかどうか、微妙な状況です。
学校の校舎内で、火災報知器が鳴り響いています。ただしスプリンクラーは設置されていないようです。
このまま消火されずに放置されれば、校舎全体に火が回る可能性があります。
体育館やプールの更衣室など、校舎から独立した建物は延焼を免れるかもしれません。
火の回るスピードや火災の行方については、後の書き手にお任せします。
体育館やプールの更衣室など、校舎から独立した建物は延焼を免れるかもしれません。
火の回るスピードや火災の行方については、後の書き手にお任せします。
[備考]:
リンク、小狼、梨花、灰原の4名は『紅皇バチの蜜蝋』の煙を吸いました。
その後遺症や回復の速度などは、後の書き手さんにお任せします。
ちなみに、窓が大きく破れているため、ガスの濃度は下がる一方です。
リンク、小狼、梨花、灰原の4名は『紅皇バチの蜜蝋』の煙を吸いました。
その後遺症や回復の速度などは、後の書き手さんにお任せします。
ちなみに、窓が大きく破れているため、ガスの濃度は下がる一方です。
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