子豚=ジャイアン? ◆JI0DYaB8oI
「ドラえも~ん!どこ行っちゃったんだよぉ!早く助けに来てくれよぉ!」
あの凄惨な現場から恐慌状態で走り去ってから、どれほど経っただろうか。
恐怖と全力疾走とで、のび太の心身は大きく疲弊していた。
ドラえもんの名前を叫びながら、彼が早く助けに来てくれることをひたすら願い、ただただ歩き続けている。
さっきまでは、タワーからジャイアンやリルルを探すつもりであったはずが、今やタワーからかなり離れた場所まで来てしまった。
だが今さらあの場所に戻る気にはなれないし、この先どこへ行くあてがあるわけでもない。
目的が持てないまま、のび太はただ歩き続けていた。
恐怖と全力疾走とで、のび太の心身は大きく疲弊していた。
ドラえもんの名前を叫びながら、彼が早く助けに来てくれることをひたすら願い、ただただ歩き続けている。
さっきまでは、タワーからジャイアンやリルルを探すつもりであったはずが、今やタワーからかなり離れた場所まで来てしまった。
だが今さらあの場所に戻る気にはなれないし、この先どこへ行くあてがあるわけでもない。
目的が持てないまま、のび太はただ歩き続けていた。
歩きながらのび太が思うのは、あの子豚の正体について。
バラバラで血塗れの死体など思い出したくもないが、嫌でも脳裏に焼きついて離れない。
…しっかり確認したわけではないが、あれは小さな男の子だった。
少なくとも、あの時はそう思った。
のび太の知り合いで名簿に載っていたのはジャイアンとリルルだけ。
だから、あの子はのび太の知り合いではないはずだ。
知り合いじゃなければ良いと言うわけではないが、それでもいくらかは安心できる。
だが、のび太は悪い方へと想像を働かせてしまう。
もしあれがジャイアンだったら…と。
ジャイアンにしては死体が小さかったのだが、今ののび太は冷静な判断ができなくなっている。
そして、一度ジャイアンかもしれないと思い始めると、ますますその方向へと考えが向かってしまうのであった。
心の中で「ジャイアンじゃない」と否定する度に、「でも、ジャイアンだったかもしれない」という思いが強まる。
「(ジャイアンだとすれば、僕にしつこくつきまとってきたのも納得できる。
きっとジャイアンは僕という知り合いに出会えて嬉しかったんだ。
どこかへ連れて行こうとしたのは、きっと子豚の姿にされたことと関係があって…それで……)」
しだいに、脳裏に映るバラバラ死体がジャイアンの姿に変換されていく。
バラバラ死体の頭部がギロリとのび太を睨み…
(のび太~…よくも俺を殺したなぁ~)
「わーーーーーーーっ!」
バラバラで血塗れの死体など思い出したくもないが、嫌でも脳裏に焼きついて離れない。
…しっかり確認したわけではないが、あれは小さな男の子だった。
少なくとも、あの時はそう思った。
のび太の知り合いで名簿に載っていたのはジャイアンとリルルだけ。
だから、あの子はのび太の知り合いではないはずだ。
知り合いじゃなければ良いと言うわけではないが、それでもいくらかは安心できる。
だが、のび太は悪い方へと想像を働かせてしまう。
もしあれがジャイアンだったら…と。
ジャイアンにしては死体が小さかったのだが、今ののび太は冷静な判断ができなくなっている。
そして、一度ジャイアンかもしれないと思い始めると、ますますその方向へと考えが向かってしまうのであった。
心の中で「ジャイアンじゃない」と否定する度に、「でも、ジャイアンだったかもしれない」という思いが強まる。
「(ジャイアンだとすれば、僕にしつこくつきまとってきたのも納得できる。
きっとジャイアンは僕という知り合いに出会えて嬉しかったんだ。
どこかへ連れて行こうとしたのは、きっと子豚の姿にされたことと関係があって…それで……)」
しだいに、脳裏に映るバラバラ死体がジャイアンの姿に変換されていく。
バラバラ死体の頭部がギロリとのび太を睨み…
(のび太~…よくも俺を殺したなぁ~)
「わーーーーーーーっ!」
「ジャイアン!いたら返事してくれよぉ!生きてるって言ってくれよぉ!」
のび太は泣きじゃくりながらジャイアンの名前を叫びつつ、ひたすらジャイアンとの再会を願っていた。
生きてジャイアンと再会できれば、あの子豚は自分と無関係なただの子供だと確かめられるから。
のび太は泣きじゃくりながらジャイアンの名前を叫びつつ、ひたすらジャイアンとの再会を願っていた。
生きてジャイアンと再会できれば、あの子豚は自分と無関係なただの子供だと確かめられるから。
* * *
やがて。
「ジャイアン……ドラ…えもん…」
その場に倒れ伏すのび太。
もちろん死んだわけではない。
疲労がピークに達したため、ちょっと気を失ってしまっただけである。
「ジャイアン……ドラ…えもん…」
その場に倒れ伏すのび太。
もちろん死んだわけではない。
疲労がピークに達したため、ちょっと気を失ってしまっただけである。
そこへ、ビルの陰から人影が近づいてきた。
「……ちょっと様子を見すぎたか?これじゃあ情報も入手できないな」
出てきたのはきり丸。
グリーンたちをやり過ごした後、南西の街へ入ったきり丸は、その大きな建物ばかりの街並みに感心しながら歩いていたが、
やがて大声で叫びながら歩くのび太を見つけると、彼を尾行し始めた。
様子を見て、お人好しそうなら声をかけてみるつもりだったのだが…
少しばかり慎重になりすぎたようだ。
できれば乱太郎たちのことを知らないか尋ねるつもりだったが、相手が気絶してしまっては意味がない。
「……ちょっと様子を見すぎたか?これじゃあ情報も入手できないな」
出てきたのはきり丸。
グリーンたちをやり過ごした後、南西の街へ入ったきり丸は、その大きな建物ばかりの街並みに感心しながら歩いていたが、
やがて大声で叫びながら歩くのび太を見つけると、彼を尾行し始めた。
様子を見て、お人好しそうなら声をかけてみるつもりだったのだが…
少しばかり慎重になりすぎたようだ。
できれば乱太郎たちのことを知らないか尋ねるつもりだったが、相手が気絶してしまっては意味がない。
「助けてやる義理なんてないんだけど、どうするか」
だがこのまま放って置くのも、何のために尾行していたのか分からない。
尾行し損というのは絶対に避けたいきり丸は、せめて何かないかと辺りを見回す。
「…ん、なんだこれ?」
そこできり丸は、倒れているのび太の近くに落ちているモノに気がついた。
「よく分からないが、珍しい道具だ…ゼニになりそうだな。こんなものが都合よく落ちてるなんてついてるぞ」
きり丸にとって、拾ったものは自分のもの。
もしかしてのび太のものかもしれない、そう思うより早く「それ」を拾うとランドセルにしまいこんだ。
だがこのまま放って置くのも、何のために尾行していたのか分からない。
尾行し損というのは絶対に避けたいきり丸は、せめて何かないかと辺りを見回す。
「…ん、なんだこれ?」
そこできり丸は、倒れているのび太の近くに落ちているモノに気がついた。
「よく分からないが、珍しい道具だ…ゼニになりそうだな。こんなものが都合よく落ちてるなんてついてるぞ」
きり丸にとって、拾ったものは自分のもの。
もしかしてのび太のものかもしれない、そう思うより早く「それ」を拾うとランドセルにしまいこんだ。
「さて、これからどうしようかな」
と、その場から去ろうとして、きり丸はのび太のランドセルに目を向ける。
「………やっぱりこのままってのは拙いかな。あの大声を聞いて誰か来るかもしれないし」
本当に気になるのはのび太ではなく、のび太のランドセルの方だ。
珍しいものが入ってるかもしれないな、と想像を働かせる。
助けてやって介抱でもしてやれば、礼くらいは貰えるだろう。
きり丸自身はほとんど何もしなくても、何か道具と、それに情報が手に入る。
こんなに美味しいことはない。
ゼニになりそうなモノももちろん大事だが、乱太郎たちの情報が手に入れば言うことはないわけで。
「よし……仕方ないなぁ。助けてやるか」
誰に聞かせるわけでもなくそうつぶやくと、きり丸はのび太を抱えて近くのビルへ入って行った。
と、その場から去ろうとして、きり丸はのび太のランドセルに目を向ける。
「………やっぱりこのままってのは拙いかな。あの大声を聞いて誰か来るかもしれないし」
本当に気になるのはのび太ではなく、のび太のランドセルの方だ。
珍しいものが入ってるかもしれないな、と想像を働かせる。
助けてやって介抱でもしてやれば、礼くらいは貰えるだろう。
きり丸自身はほとんど何もしなくても、何か道具と、それに情報が手に入る。
こんなに美味しいことはない。
ゼニになりそうなモノももちろん大事だが、乱太郎たちの情報が手に入れば言うことはないわけで。
「よし……仕方ないなぁ。助けてやるか」
誰に聞かせるわけでもなくそうつぶやくと、きり丸はのび太を抱えて近くのビルへ入って行った。
ビルのソファーにのび太を寝かせると(余談だが、きり丸はソファーの柔らかさに驚いた)、
きり丸はのび太のランドセルに手を伸ばす。
別に盗もうと言うわけではない。
のび太の持ち物から水を取り出して飲ませてやろうと思っただけである。
だが、自分の水を飲ませるのはもったいないとケチったのが災いした。
水を取り出そうとのび太のランドセルの中身を探り始めたちょうどその時、
「う、う~ん……ん?」
「…げっ」
のび太が目を覚ましてしまった。
しかも間の悪いことに、きり丸がのび太のランドセルに手を突っ込んでいる状態で、である。
ふたりは互いに見詰め合ったまま、しばらく硬直していた。
きり丸はのび太のランドセルに手を伸ばす。
別に盗もうと言うわけではない。
のび太の持ち物から水を取り出して飲ませてやろうと思っただけである。
だが、自分の水を飲ませるのはもったいないとケチったのが災いした。
水を取り出そうとのび太のランドセルの中身を探り始めたちょうどその時、
「う、う~ん……ん?」
「…げっ」
のび太が目を覚ましてしまった。
しかも間の悪いことに、きり丸がのび太のランドセルに手を突っ込んでいる状態で、である。
ふたりは互いに見詰め合ったまま、しばらく硬直していた。
「いや、これは違…」
「ど、泥棒ー!」
「ど、泥棒ー!」
【B-6/ビルのロビー/1日目/昼】
【摂津のきり丸@落第忍者乱太郎】
[状態]:健康 警戒
[装備]:デッキブラシ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品一式 魔晶石(15点分) テーザー銃@ひぐらしのなく頃に
[服装]:青い忍者服
[思考]:やばいっ!
第一行動方針:誤解されないように何とか説明する
第二行動方針:目の前の少年(のび太)を介抱して、代わりに道具と情報を手に入れる
第三行動方針:この街でゼニにつながるものを集める
第四行動方針:この街で乱太郎、しんべヱを探す
基本行動方針:生き残り脱出する。他人には極力会わないし、会ってもまずは疑う
[備考]:きり丸にとって、テーザー銃はあくまで「拾った」ものです
【摂津のきり丸@落第忍者乱太郎】
[状態]:健康 警戒
[装備]:デッキブラシ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品一式 魔晶石(15点分) テーザー銃@ひぐらしのなく頃に
[服装]:青い忍者服
[思考]:やばいっ!
第一行動方針:誤解されないように何とか説明する
第二行動方針:目の前の少年(のび太)を介抱して、代わりに道具と情報を手に入れる
第三行動方針:この街でゼニにつながるものを集める
第四行動方針:この街で乱太郎、しんべヱを探す
基本行動方針:生き残り脱出する。他人には極力会わないし、会ってもまずは疑う
[備考]:きり丸にとって、テーザー銃はあくまで「拾った」ものです
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:心身ともに疲労
[装備]:なし
[道具]:なし
[服装]:いつもの黄色いシャツと半ズボン(失禁の染み付き)
[思考] :…泥棒!?
第一行動方針:目の前の泥棒(きり丸)への対処(まだテーザー銃の紛失には気づいていない)
第二行動方針:子豚≠ジャイアンだと確かめるために、ジャイアンを探す
第三行動方針:誰も信じない
基本行動方針:死にたくない、殺したくない
[備考]:精神的動揺から、子豚の正体がジャイアンだったかもしれないと思っています
それを自身で否定しようとしていますが、否定しきれていない状態です
[状態]:心身ともに疲労
[装備]:なし
[道具]:なし
[服装]:いつもの黄色いシャツと半ズボン(失禁の染み付き)
[思考] :…泥棒!?
第一行動方針:目の前の泥棒(きり丸)への対処(まだテーザー銃の紛失には気づいていない)
第二行動方針:子豚≠ジャイアンだと確かめるために、ジャイアンを探す
第三行動方針:誰も信じない
基本行動方針:死にたくない、殺したくない
[備考]:精神的動揺から、子豚の正体がジャイアンだったかもしれないと思っています
それを自身で否定しようとしていますが、否定しきれていない状態です
※のび太のランドセル(基本支給品一式、ロボ子の着ぐるみ@ぱにぽに、林檎10個@DEATH NOTE)は、
きり丸とのび太の間に置かれています
きり丸とのび太の間に置かれています
≪092:君のために、僕のために | 時系列順に読む | 095:一つの決心≫ |
≪092:君のために、僕のために | 投下順に読む | 094:ようこそ悪いユメの中≫ |
≪064:栄光のマウンテンロード | 摂津のきり丸の登場SSを読む | 132:his sin, his crossroads(前編)≫ |
≪055:誰のせい? | 野比のび太の登場SSを読む |