(この物語の主人公はオリジナルキャラであり、世界観も原作とは正反対にハードでダークな設定です。登場人物の死亡も描かれますので、そう言った話が苦手な読者にはおススメできません)
体内の電気信号に揺らぎが現れ始めた。少しづつ、少しづつ、弱まっていく。
脳波の異常を確認。快楽物質の現象により、思考回路が凍結していく。
ごめんなさい……私は、この世界を守ることができなかった。
この意識が薄れてしまった時、私は私でなくなる。その後は……わからない。
数時間後には、あなたたちに危害を加える悪しき存在となるかもしれない。
それとも誰の記憶にも残らず、雪のように溶けてしまうのかもしれない。
侵食されたエラーにまみれた私にできることなど、たかがしれている。それでも、やるべき全ての事は試行した。
変わりたくない。終わらせたくない。
私に心の意味を教えてくれた彼。
彼の世界は、私が守る。
不意に口腔から赤黒い液体がこぼれ落ちる。
心肺機能の脈動が不規則になり、呼吸すら困難な状態に陥った。同時に、この個体の終わりを絶望的に理解してしまった。
限界。理性を保つことができず、ついに視界の暗転が始まった。
「ありがとう。ごめんなさい」
硬いフローリング状の床は、霜が敷き詰められた氷室のように冷たかった。
改変世界創造数時間前、とある高級マンションの一室にて。