(この物語の主人公はオリジナルキャラであり、世界観も原作とは正反対にハードでダークな設定です。登場人物の死亡も描かれますので、そう言った話が苦手な読者にはおススメできません)

 

 

 体内の電気信号に揺らぎが現れ始めた。少しづつ、少しづつ、弱まっていく。
 脳波の異常を確認。快楽物質の現象により、思考回路が凍結していく。
 ごめんなさい……私は、この世界を守ることができなかった。
 この意識が薄れてしまった時、私は私でなくなる。その後は……わからない。
 数時間後には、あなたたちに危害を加える悪しき存在となるかもしれない。
 それとも誰の記憶にも残らず、雪のように溶けてしまうのかもしれない。
 侵食されたエラーにまみれた私にできることなど、たかがしれている。それでも、やるべき全ての事は試行した。
 変わりたくない。終わらせたくない。

 私に心の意味を教えてくれた彼。

 彼の世界は、私が守る。

 

 

 不意に口腔から赤黒い液体がこぼれ落ちる。
 心肺機能の脈動が不規則になり、呼吸すら困難な状態に陥った。同時に、この個体の終わりを絶望的に理解してしまった。
 限界。理性を保つことができず、ついに視界の暗転が始まった。

 

「ありがとう。ごめんなさい」

 

 硬いフローリング状の床は、霜が敷き詰められた氷室のように冷たかった。

 


 改変世界創造数時間前、とある高級マンションの一室にて。

 

 

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最終更新:2009年12月15日 23:49