「日常的な非日常」 ◆uOOKVmx.oM
常春の国マリネラ……から次元をいくつも超えた魔次元のどこか。
眩しい朝日が差し込む廃墟の中に、ランドセルを背負った一人の少年が放り出された。
偉そうに勲章を沢山付けた軍服、ずんぐりむっくりな小太り体型。美少年とは言い難い、
むしろ潰れた大福と言うか拉げた肉まんと言うか、とにかく一度見たら忘れられない容貌の
少年、マリネラ国王パタリロ=ド=マリネール8世だ。
偉そうに勲章を沢山付けた軍服、ずんぐりむっくりな小太り体型。美少年とは言い難い、
むしろ潰れた大福と言うか拉げた肉まんと言うか、とにかく一度見たら忘れられない容貌の
少年、マリネラ国王パタリロ=ド=マリネール8世だ。
「ええい! 子供を乱暴に放り出すとは何たることだ! ぼくだけでも丁寧に送らんかい!」
太陽に向かって拳を振り上げ声高に主張するが、当然のように周囲は静まり返っている。
そんな事はお構い無しに自分勝手な罵詈雑言を一通り並べ上げたパタリロは、満足したのか
ランドセルを降ろすと少し早い朝食を取り始めた。流石に毎回騒動に巻き込まれていれば
この程度でうろたえる事はない。今回の事件だって彼に取っては『名探偵が偶然殺人現場に
居合わせた』程度の事に過ぎないのだ。子供相手に殺し合いなど趣味ではないが、先程の
少女の様に超人ばかりが集まっているのなら話は別。いい退屈しのぎになりそうだ。
そんな事はお構い無しに自分勝手な罵詈雑言を一通り並べ上げたパタリロは、満足したのか
ランドセルを降ろすと少し早い朝食を取り始めた。流石に毎回騒動に巻き込まれていれば
この程度でうろたえる事はない。今回の事件だって彼に取っては『名探偵が偶然殺人現場に
居合わせた』程度の事に過ぎないのだ。子供相手に殺し合いなど趣味ではないが、先程の
少女の様に超人ばかりが集まっているのなら話は別。いい退屈しのぎになりそうだ。
「しっかしジェダの奴、本当に殺し合いをさせる気があるのか?」
既に魔界の救世主を呼び捨てである。それもそのはず彼が魔界の魔王に会った事は一度や
二度ではすまない。72人いる魔王の内、主な魔王の名は知っているし何人かは面識もある。
だからジェダを誰かの下っ端か田舎の弱小魔王に違いないと思ったのだ。それはさて置き、
パタリロの文句は支給された3つのアイテムについてであった。
二度ではすまない。72人いる魔王の内、主な魔王の名は知っているし何人かは面識もある。
だからジェダを誰かの下っ端か田舎の弱小魔王に違いないと思ったのだ。それはさて置き、
パタリロの文句は支給された3つのアイテムについてであった。
「三回まで怪我を治す事が出来る『癒しの杖』、武器じゃなくて治す物を渡してどうするんだ。
次は何の変哲もない長くて軽くて丈夫な『ロープ(30m)』、だから武器をよこせと……。
極めつけは『ペンギンの着ぐるみ』、ナメとんのかボケ―っ! ぼくは人をおちょくるのは
大好きだが、おちょくられるのは大嫌いなんだ―っ!」
次は何の変哲もない長くて軽くて丈夫な『ロープ(30m)』、だから武器をよこせと……。
極めつけは『ペンギンの着ぐるみ』、ナメとんのかボケ―っ! ぼくは人をおちょくるのは
大好きだが、おちょくられるのは大嫌いなんだ―っ!」
なんだかイラついた感情を抑えるかのようにパタリロは残った食料を異に収め、水を飲み
干した。普段一食で数十人分を平らげる彼にとって支給された二日分の食料など食事の前の
食事にすらなりはしなかったのだ。もっとも普段大食らいな代わりに食べなきゃ食べないで、
空腹状態でも1ヶ月は行動できるので問題はないのだが。 食事を終えたパタリロはふと
違和感を感じた。食事中に切ったのだろうか、なぜだか左手の指から少し血が流れていた。
干した。普段一食で数十人分を平らげる彼にとって支給された二日分の食料など食事の前の
食事にすらなりはしなかったのだ。もっとも普段大食らいな代わりに食べなきゃ食べないで、
空腹状態でも1ヶ月は行動できるので問題はないのだが。 食事を終えたパタリロはふと
違和感を感じた。食事中に切ったのだろうか、なぜだか左手の指から少し血が流れていた。
「おかしいな? 超回復力を持つ僕にとって、この程度は怪我の内に入らないんだが」
傷口を触るとズキリとした鈍い痛みを感じる。まだ切り傷が治っていない。それどころか
血が止まってもいない。常人ならば当然の事だが、切り刻まれても数コマ程の時間で回復する
パタリロにとっては異常なことだった。
血が止まってもいない。常人ならば当然の事だが、切り刻まれても数コマ程の時間で回復する
パタリロにとっては異常なことだった。
「そういえばジェダの奴、能力を制限とか言っていたな。とりあえずタイムワープッ!!」
しかし何も起こらない。ただ廃墟にパタリロの声が虚しく響いただけだった。
「七変化ッ! 魔法召還ッ! 時間停止ッ! アスタロト様ヘルプミーッ! ハァハァ……
全部ダメか。これじゃ美少年虐待だ! PATと全国の美少年愛好者が黙っちゃいないぞ!」
全部ダメか。これじゃ美少年虐待だ! PATと全国の美少年愛好者が黙っちゃいないぞ!」
『全世界に児童虐待撲滅を訴えるポーズ』
「と慌ててもしょうがないな。幸い僕には天才的頭脳と数々の道具が――って、ありゃ?!」
慌てて体中をチェックするが常備していた道具は全て没収されたらしく、万年筆の一本すら
出てこない。パタリロの顔に大きな汗が流れた。出きる事が出来ないとパニックを起こすのは
大抵のことでは物怖じしない彼も例外ではないらしい。彼の図々しさは自分自身への自信から
生まれたものでもあるからだ。
出てこない。パタリロの顔に大きな汗が流れた。出きる事が出来ないとパニックを起こすのは
大抵のことでは物怖じしない彼も例外ではないらしい。彼の図々しさは自分自身への自信から
生まれたものでもあるからだ。
「なんて奴だ! 道具はともかく命より大切な小銭入れを盗むとは! あいつは死刑だ!」
そんな怒りを込めて蹴り上げた大きな瓦礫は、勢いよく飛んでいく。どうやら八つ当たりの
ようだが、小銭入れを没収された事に最も腹を立てているらしかった。誘拐とか少女惨殺とか
殺し合いの強制とか、もっと他に怒らなきゃいけない事があるだろうに。そんな神の言葉を
代弁したのか、蹴り上げた瓦礫は廃墟の上方の壁に当たり、砕けて降り注いだのだ。
ようだが、小銭入れを没収された事に最も腹を立てているらしかった。誘拐とか少女惨殺とか
殺し合いの強制とか、もっと他に怒らなきゃいけない事があるだろうに。そんな神の言葉を
代弁したのか、蹴り上げた瓦礫は廃墟の上方の壁に当たり、砕けて降り注いだのだ。
「な――――!!」
間一髪、パタリロはゴキブリ走法から分身、身代わりの術までを駆使して降り注ぐ石の雨を
回避した。ほっと安堵の息を吐くが、自分で危機を作って自分で回避していれば世話はない。
回避した。ほっと安堵の息を吐くが、自分で危機を作って自分で回避していれば世話はない。
「………」
しばしの沈黙。封じられた能力、粉々になった瓦礫、何故か出来たゴキブリ走法や分身。
人間コンピューターの異名を持つ彼はたったそれだけの事実から、自分の状況を正確に把握し
理解したのだ。過去にも同じように時間移動などを押さえ込まれた事があったが、その時と
同じく早めに自覚できたのはラッキーな事だった。分かっていれば対策は取れるのだから。
人間コンピューターの異名を持つ彼はたったそれだけの事実から、自分の状況を正確に把握し
理解したのだ。過去にも同じように時間移動などを押さえ込まれた事があったが、その時と
同じく早めに自覚できたのはラッキーな事だった。分かっていれば対策は取れるのだから。
「なるほど。つまり他の者に絶対的な差をつける超能力は禁止されてるわけだ。キック力や
分身は、修練次第で誰にでも出来るとも言えるから大丈夫なのか。不味いな、これじゃ今の
僕は超絶的美少年で超天才で喧嘩に強いだけの普通の子供じゃないか―――って十分だな」
分身は、修練次第で誰にでも出来るとも言えるから大丈夫なのか。不味いな、これじゃ今の
僕は超絶的美少年で超天才で喧嘩に強いだけの普通の子供じゃないか―――って十分だな」
普通という言葉をかなり勘違いしているような台詞を吐きながら、一人で納得して頷いた。
どうせ相手は最初に殺害された少女の様な超人達だろうが、同じように超能力を封じられて
いるなら自分の方が有利だろう。なんといっても自分には天才的頭脳がある。知恵比べや
ゲリラ戦、騙し合いで負ける気はしない―――それにどちらかといえば、そういう天才児達と
手を組んでジェダを倒し、お宝と小銭入れを奪う方が良い。仕返しはキッチリしないと気が
済まないタイプなのだ。そんな事を思った矢先だった。
どうせ相手は最初に殺害された少女の様な超人達だろうが、同じように超能力を封じられて
いるなら自分の方が有利だろう。なんといっても自分には天才的頭脳がある。知恵比べや
ゲリラ戦、騙し合いで負ける気はしない―――それにどちらかといえば、そういう天才児達と
手を組んでジェダを倒し、お宝と小銭入れを奪う方が良い。仕返しはキッチリしないと気が
済まないタイプなのだ。そんな事を思った矢先だった。
さほど離れてはいない瓦礫の影に一人の少女を見つけたのだ。パタリロと同じくらいの年の
少女だ。怖いのだろうか、涙を浮かべら震える両手で大型の拳銃を構えていた。パタリロの
頭脳が瞬時に拳銃を判別する。あれはS&W M29、いわゆる44マグナムと呼ばれるリボルバー式
拳銃、子供の手足なんて軽く吹き飛ばす飛ぶバケモノ。パタリロが相手でも例外ではない。
腰の引けた滅茶苦茶な構えではあるが、少女の銃口はパタリロへと向けられていた。
少女だ。怖いのだろうか、涙を浮かべら震える両手で大型の拳銃を構えていた。パタリロの
頭脳が瞬時に拳銃を判別する。あれはS&W M29、いわゆる44マグナムと呼ばれるリボルバー式
拳銃、子供の手足なんて軽く吹き飛ばす飛ぶバケモノ。パタリロが相手でも例外ではない。
腰の引けた滅茶苦茶な構えではあるが、少女の銃口はパタリロへと向けられていた。
「馬鹿、撃つな!! そんなもん撃ったら―――!」
BANG!!
小さな体が大きく跳ね飛ばされ瓦礫の山へと引っ繰り返った。
―――ハルカ姉様、お元気ですか。私は元気です。よく分からない所で、よく分からない
うちに殺し合いをさせられています。物凄く怖いです。痛いことは怖いです。でも酷い事を
するのはもっと怖いです。初めて鉄砲を持ちました。ドラマでは軽々と振り回していたのに
物凄く重かったです。初めて鉄砲で人を狙いました。心臓がバクバクして私が先に死んでし
まいそうでした。初めて鉄砲の引き金を引きました。その後は、よく憶えていません――――
うちに殺し合いをさせられています。物凄く怖いです。痛いことは怖いです。でも酷い事を
するのはもっと怖いです。初めて鉄砲を持ちました。ドラマでは軽々と振り回していたのに
物凄く重かったです。初めて鉄砲で人を狙いました。心臓がバクバクして私が先に死んでし
まいそうでした。初めて鉄砲の引き金を引きました。その後は、よく憶えていません――――
瓦礫の上に横たわっていたチアキは激痛で意識を取り戻した。少しでも動くと両腕と肩を
バラバラにされるかのような痛みが走り、声も出せなくなる。それでも周囲の風景が先程と
違っている事には気が付いた。銃声を他の参加者に聞きつけられる事を考慮して場所を
変えていたのだ。
バラバラにされるかのような痛みが走り、声も出せなくなる。それでも周囲の風景が先程と
違っている事には気が付いた。銃声を他の参加者に聞きつけられる事を考慮して場所を
変えていたのだ。
「気が付いたか。だから言ったのに。ガキのクセにこんな代物を使うからバチが当たったんだ」
声の主、パタリロは直ぐそばに座っていた。その手にはチアキの撃った拳銃が握られている。
射撃経験ゼロの子供が10mを当てるのは難しい。震える手、瞑ってしまった目、引けた腰、
これで当ったら天才か神様の気まぐれだ。しかも44マグナムというバケモノ銃、腕がへし折れ
ても変ではなかった。重い銃だったので両手でガッチリ持っていたのが不幸中の幸いか。
体ごと吹っ飛んでなければ、自分の顔面を反動で殴打していた可能性すらあったのだから。
射撃経験ゼロの子供が10mを当てるのは難しい。震える手、瞑ってしまった目、引けた腰、
これで当ったら天才か神様の気まぐれだ。しかも44マグナムというバケモノ銃、腕がへし折れ
ても変ではなかった。重い銃だったので両手でガッチリ持っていたのが不幸中の幸いか。
体ごと吹っ飛んでなければ、自分の顔面を反動で殴打していた可能性すらあったのだから。
「あ………ああ………」
チアキは身をよじり、パタリロから離れようとするが激痛は彼女を逃がしはしない。涙が
零れた。泣き喚きそうになるのをグッと堪える。それはチアキのプライドだった。
零れた。泣き喚きそうになるのをグッと堪える。それはチアキのプライドだった。
「日本人の子供は短絡的でキレやすいって聞くけど本当だったんだな。銃も撃てないくせに
殺し合いをしようだなんて。もう少し他の方法を考えようとか思わなかったのか?」
「お前が殺し合いをしようとしてるんだろ馬鹿野―――ぐぁ………」
殺し合いをしようだなんて。もう少し他の方法を考えようとか思わなかったのか?」
「お前が殺し合いをしようとしてるんだろ馬鹿野―――ぐぁ………」
大声が怪我に響いたのかチアキは俯いて黙り込む。おそらく激痛で溢れ出す涙を見せまいと
必死で泣き声が出る事に抵抗しているのだろう。そんな事は気にせず、パタリロは首を傾げて
続けた。自分が狙われる理由はチアキがゲームに乗っていた以外ないはずだ。
必死で泣き声が出る事に抵抗しているのだろう。そんな事は気にせず、パタリロは首を傾げて
続けた。自分が狙われる理由はチアキがゲームに乗っていた以外ないはずだ。
「ぼくがいつ、殺し合いに乗ったって? 勝手に思い込むのは……」
「最初に乗ったって言ったろ! 4人はキツいけど2人なら殺すって!」
「……あ!」
「最初に乗ったって言ったろ! 4人はキツいけど2人なら殺すって!」
「……あ!」
思い出した。確かに言った。皆の前でハッキリと。パタリロの顔に冷汗がダラダラと流れた。
銃も撃てない少女が自分を狙った理由は『殺されると思ったから先に撃った』だったわけだ。
散々瓦礫を蹴り上げたり好戦的っぽい事はしてたし、大声も出していた。狙われて当然だ。
これじゃ手を組むどころか、ゲームに乗った者は攻撃するし、乗らない者も攻撃してくる。
流石に全員を同時に敵に回すのは不味い。
銃も撃てない少女が自分を狙った理由は『殺されると思ったから先に撃った』だったわけだ。
散々瓦礫を蹴り上げたり好戦的っぽい事はしてたし、大声も出していた。狙われて当然だ。
これじゃ手を組むどころか、ゲームに乗った者は攻撃するし、乗らない者も攻撃してくる。
流石に全員を同時に敵に回すのは不味い。
「どどどどうしよう?!」
「知るか馬鹿野郎!」
「何を言うか! 馬鹿野郎という奴の方が馬鹿野郎なんだぞ!」
「なら自分で馬鹿野郎と言うなヘチャムクレ! 顔の上に付いているのは帽子置きかよ」
「知るか馬鹿野郎!」
「何を言うか! 馬鹿野郎という奴の方が馬鹿野郎なんだぞ!」
「なら自分で馬鹿野郎と言うなヘチャムクレ! 顔の上に付いているのは帽子置きかよ」
オロオロと慌てるパタリロに対してチアキが怒鳴り返す。チアキにしてみれば激痛の中で
コントをする気など毛頭ないのだから、当然といえば当然かもしれない。可愛い顔して強気に
振舞うものの、殺し合いはおろか真面目な喧嘩さえ見た事のない平和的な日常の住人だった
チアキにとっては泣き喚かずに正気を保っているだけでも感嘆に値する事だった。そんな
涙を瞳に浮かべているチアキを見てパタリロは一つの決断を下した。俯いていたチアキの頭に
硬い物が触れた。
コントをする気など毛頭ないのだから、当然といえば当然かもしれない。可愛い顔して強気に
振舞うものの、殺し合いはおろか真面目な喧嘩さえ見た事のない平和的な日常の住人だった
チアキにとっては泣き喚かずに正気を保っているだけでも感嘆に値する事だった。そんな
涙を瞳に浮かべているチアキを見てパタリロは一つの決断を下した。俯いていたチアキの頭に
硬い物が触れた。
「自業自得だし、銃だけ貰って放っていっても良いんだが……運が無かったって事で諦めるか」
「………………姉様」
「………………姉様」
覚悟を決めたチアキの頭をパタリロは杖で軽く叩いた。その途端、金縛りが解けるか様に
チアキを襲っていた激痛が消えてゆく。早々に癒しの杖の貴重な一回を使うのは痛手だったが、
出会ってしまったのだから仕方ない。運が悪かったとパタリロは思った。
チアキを襲っていた激痛が消えてゆく。早々に癒しの杖の貴重な一回を使うのは痛手だったが、
出会ってしまったのだから仕方ない。運が悪かったとパタリロは思った。
「怪我を治す『癒しの杖』だ。三回しか使えない貴重な一回だからな。感謝しろよ」
「……お前、たくさん殺してご褒美を貰うんじゃないのか? 私を盾にでもする気か?」
「盾か。それも良いな――って銃も撃てないガキが役に立つかい! かえって足手纏いじゃ!」
「じゃあ太らせて食べる気か? なんでだよ?!」
「ぼくは天下のマリネラ国王パタリロ=ド=マリネール8世だ。保身のために幼女殺しなんざ
するか! 常識で考えろ!」
「……お前、たくさん殺してご褒美を貰うんじゃないのか? 私を盾にでもする気か?」
「盾か。それも良いな――って銃も撃てないガキが役に立つかい! かえって足手纏いじゃ!」
「じゃあ太らせて食べる気か? なんでだよ?!」
「ぼくは天下のマリネラ国王パタリロ=ド=マリネール8世だ。保身のために幼女殺しなんざ
するか! 常識で考えろ!」
お前にだけは言われたくない、そう目で訴えるチアキに対して『殺せといわれて殺すなんて
嫌だね。人にあれこれ指図されるのは、ぼくの嫌いなものの一つだ』と笑い飛ばした。
嫌だね。人にあれこれ指図されるのは、ぼくの嫌いなものの一つだ』と笑い飛ばした。
「じゃあ最初にゲームに乗るって言ったのは何だったんだよ」
「あれは……まぁ……なんだ……その場のノリだ」
「言い切りやがったな馬鹿野郎!」
「ハッハッハッハ」
「……………プッ」
「あれは……まぁ……なんだ……その場のノリだ」
「言い切りやがったな馬鹿野郎!」
「ハッハッハッハ」
「……………プッ」
パタリロの無意味に能天気な笑い声にチアキもつられて笑い出した。こいつは私がどれだけ
怖い思いをして銃を構えたか、どれだけ葛藤して引き金を引いたかなんてまるで分かっちゃ
いないんだ。そしてそんな事は、ここでは意味も持たないんだ。そう思うと腹が立つよりも、
自分の馬鹿さ加減に思わず笑えてきたのだ。
「さて元気も出たところで解散しようか。この銃は治療代として貰っていく。どうせ撃てない
だろうし安いもんだろ? 代わりにそうだな……このペンギンの着ぐるみをあげよう。
ぼくだと思って大事にしたまえ。ではサラバだ明智君」
「ちょっと待て、私一人を置いて行くのか」
「ぼくは全員から命を狙われる悲劇の美少年だからな。一緒にいない方がいいだろ? ぼくが
ジェダを倒すまでその辺にでも隠れているといい」
怖い思いをして銃を構えたか、どれだけ葛藤して引き金を引いたかなんてまるで分かっちゃ
いないんだ。そしてそんな事は、ここでは意味も持たないんだ。そう思うと腹が立つよりも、
自分の馬鹿さ加減に思わず笑えてきたのだ。
「さて元気も出たところで解散しようか。この銃は治療代として貰っていく。どうせ撃てない
だろうし安いもんだろ? 代わりにそうだな……このペンギンの着ぐるみをあげよう。
ぼくだと思って大事にしたまえ。ではサラバだ明智君」
「ちょっと待て、私一人を置いて行くのか」
「ぼくは全員から命を狙われる悲劇の美少年だからな。一緒にいない方がいいだろ? ぼくが
ジェダを倒すまでその辺にでも隠れているといい」
適当な事を去ろうとするパタリロの内心はホクホクである。強力な武器は手に入ったし、
周囲に狙われている事も分かった。あのままチアキを放っておいても良かったんだが、一応
国王として男の子として、泣いている無力な美少女を殺すことは出来なかったのだ。
貴重な回復手段を一回分消費したが、疑わしかった杖の効果を実験できたし結果オーライ。
役に立ちそうなら連れて行くのだけど、どう考えても足手纏いにしかなりそうもないし。
それなら格好良く立ち去るのがベストだ。
周囲に狙われている事も分かった。あのままチアキを放っておいても良かったんだが、一応
国王として男の子として、泣いている無力な美少女を殺すことは出来なかったのだ。
貴重な回復手段を一回分消費したが、疑わしかった杖の効果を実験できたし結果オーライ。
役に立ちそうなら連れて行くのだけど、どう考えても足手纏いにしかなりそうもないし。
それなら格好良く立ち去るのがベストだ。
「オイ待て馬鹿野郎!」
後方からチアキの声が聞こえた。だがパタリロは歩いてゆく。ここは振り向かないのが一番
格好良い場面だと思ったからだ。
格好良い場面だと思ったからだ。
「待てといってるんだ。オイ!」
その声と同時にパタリロのベルトに何かが引っ掛かった。次の瞬間、物凄い勢いで後方へと
引っ張られてゆく。まるでカツオの一本釣りのようにパタリロは吊り上げられ、チアキの元へ
と引き寄せられた。チアキの支給品、当てた物を引き寄せる『ロングフックショット』だ。
引っ張られてゆく。まるでカツオの一本釣りのようにパタリロは吊り上げられ、チアキの元へ
と引き寄せられた。チアキの支給品、当てた物を引き寄せる『ロングフックショット』だ。
「ぎゃふんっ!」
一本釣りされたパタリロはチアキの元、あのペンギンの着ぐるみへとホールインワンで放り
込まれた。もはや何が何だかサッパリといった具合だ。
込まれた。もはや何が何だかサッパリといった具合だ。
「ププ―ッ、似合ってる似合ってる。これなら誰も最初の馬鹿野郎とは分からないな。
どうだい、銃とか持たなきゃ私だって色々とできるし。お前よりも頭良いしな」
「馬鹿野郎、馬鹿野郎とポンポン呼びおって! ぼくは国王だぞ、殿下と呼ばんかい!」
どうだい、銃とか持たなきゃ私だって色々とできるし。お前よりも頭良いしな」
「馬鹿野郎、馬鹿野郎とポンポン呼びおって! ぼくは国王だぞ、殿下と呼ばんかい!」
パタリロが顔を真っ赤にして怒るが、ペンギンの着ぐるみを着たままでは迫力が全く無い。
それどころかチアキに大声で笑われるだけだ。パタリロは人を笑わせるのは大好きだが
笑われるのは大嫌いだ。着ぐるみで他人の目を誤魔化すのは確かにグッドアイデアだと思うが、
それを手放しで認めるのは何となく癪に障った。
それどころかチアキに大声で笑われるだけだ。パタリロは人を笑わせるのは大好きだが
笑われるのは大嫌いだ。着ぐるみで他人の目を誤魔化すのは確かにグッドアイデアだと思うが、
それを手放しで認めるのは何となく癪に障った。
「アハハハ、国王なら陛下だろ馬鹿野郎! それなら私は姫と呼ばれているからそう呼べ!」
「そもそも日本に王室なんて無いだろう! ガキのクセに生意気な事いうな!」
「お前の方が背が低いだろ、年はいくつだよ!? 年下だったらゆるさねぇぞ!」
「なんだと――ぼくはな、お前の作者が生まれる前から連載してるんだぞ!」
「あ? 一体なに言ってんだお前? そんなこと知るか馬鹿野郎!」
「だから馬鹿野郎と言った奴の方が………」
「そもそも日本に王室なんて無いだろう! ガキのクセに生意気な事いうな!」
「お前の方が背が低いだろ、年はいくつだよ!? 年下だったらゆるさねぇぞ!」
「なんだと――ぼくはな、お前の作者が生まれる前から連載してるんだぞ!」
「あ? 一体なに言ってんだお前? そんなこと知るか馬鹿野郎!」
「だから馬鹿野郎と言った奴の方が………」
毎日が非日常的な生活を送る少年と極一般的な日常を送る少女による第一次口喧嘩大戦は、
十分ほど罵り合った後『続きはジェダを片付けた後だ、憶えてろよ』的な事を言い合って
一時休戦することで合意された。
十分ほど罵り合った後『続きはジェダを片付けた後だ、憶えてろよ』的な事を言い合って
一時休戦することで合意された。
―――ハルカ姉様、お元気ですか。私は元気です。よく分からない所で、よく分からない
うちに殺し合いをさせられています。初めて出会った生意気な男子はカナをも超える
馬鹿野郎な奴でした。ついつい私も相手のレベルまで下がって言い争ってしまったけれど
もしかしたらわりと頼りになる馬鹿野郎かもしれません。無事に帰ったらホットケーキくらい
食べさせてやろうかと思います。
うちに殺し合いをさせられています。初めて出会った生意気な男子はカナをも超える
馬鹿野郎な奴でした。ついつい私も相手のレベルまで下がって言い争ってしまったけれど
もしかしたらわりと頼りになる馬鹿野郎かもしれません。無事に帰ったらホットケーキくらい
食べさせてやろうかと思います。
追伸、冷蔵庫のプリンは残しておいてください――――
【G-8/廃墟/一日目/朝】
【パタリロ=ド=マリネール8世@パタリロ!】
[状態]:健康
[装備]:S&W M29(残弾6/6発)@現実またはBLACK LAGOON
ペンギンの着ぐるみ@あずまんが大王
[道具]:支給品一式(食料は全て食べた)、ロープ(30m)@現実
44マグナム予備弾17発(ローダー付き)
[思考]:
第一行動方針:打倒ジェダの仲間集め。
第二行動方針:好戦的な相手には応戦する。
特に異能力者と自分を騙そうと多相手には容赦しない。
最終行動方針:ジェダを倒してお宝ガッポリ。
[備考]:自分が受けている能力制限の範囲について大体理解している。
最終的にジェダを倒した後、タイムワープで事件の後始末をしようと考えている為、
他人の死はある程度許容してでも、生き残るようにしようと考えている。
マグナム弾はリロード済みで、ペンギンの着ぐるみの中に拳銃などを隠し持っています。
彼は着ぐるみ着用でも普段と同じ行動が可能です(変わり身などがある分むしろ強い?)。
【パタリロ=ド=マリネール8世@パタリロ!】
[状態]:健康
[装備]:S&W M29(残弾6/6発)@現実またはBLACK LAGOON
ペンギンの着ぐるみ@あずまんが大王
[道具]:支給品一式(食料は全て食べた)、ロープ(30m)@現実
44マグナム予備弾17発(ローダー付き)
[思考]:
第一行動方針:打倒ジェダの仲間集め。
第二行動方針:好戦的な相手には応戦する。
特に異能力者と自分を騙そうと多相手には容赦しない。
最終行動方針:ジェダを倒してお宝ガッポリ。
[備考]:自分が受けている能力制限の範囲について大体理解している。
最終的にジェダを倒した後、タイムワープで事件の後始末をしようと考えている為、
他人の死はある程度許容してでも、生き残るようにしようと考えている。
マグナム弾はリロード済みで、ペンギンの着ぐるみの中に拳銃などを隠し持っています。
彼は着ぐるみ着用でも普段と同じ行動が可能です(変わり身などがある分むしろ強い?)。
【南千秋@みなみけ】
[状態]:健康(まだ少し腕と肩が痛いが支障はない。精神的にも結構立ち直った)
[装備]:ロングフックショット@ゼルダの伝説/時のオカリナ
[道具]支給品一式、祝福の杖(残二回)@ドラゴンクエスト5
[思考]
第一行動方針:仲間集め。できるだけまともな人間に会いたい。
第二行動方針:好戦的な相手は出来るだけパタリロに任せたい。
最終行動方針:どうにかして家に帰る。
[備考]:祝福の杖はマグナムと予備弾の代わりとして奪い取りました。
[状態]:健康(まだ少し腕と肩が痛いが支障はない。精神的にも結構立ち直った)
[装備]:ロングフックショット@ゼルダの伝説/時のオカリナ
[道具]支給品一式、祝福の杖(残二回)@ドラゴンクエスト5
[思考]
第一行動方針:仲間集め。できるだけまともな人間に会いたい。
第二行動方針:好戦的な相手は出来るだけパタリロに任せたい。
最終行動方針:どうにかして家に帰る。
[備考]:祝福の杖はマグナムと予備弾の代わりとして奪い取りました。
【アイテム図鑑】
【ペンギンの着ぐるみ@あずまんが大王】
文化祭において長浜ちよが着用した着ぐるみ。動物好きに対する効果は絶大な可愛さ。
大きさ的に小学生程度でないと装備不能と思われる。
普通は着れば動きが鈍るし、倒れたら起き上がれないと思われる。
【ペンギンの着ぐるみ@あずまんが大王】
文化祭において長浜ちよが着用した着ぐるみ。動物好きに対する効果は絶大な可愛さ。
大きさ的に小学生程度でないと装備不能と思われる。
普通は着れば動きが鈍るし、倒れたら起き上がれないと思われる。
【ロングフックショット@ゼルダの伝説/時のオカリナ】
射出して相手を攻撃するもよし、何かに引っ掛けて高速移動するもよし。
何かを引き寄せてもよしな汎用性のあるフック付きの鎖射出器。
子供のリンクでも軽々と振り回せ、ボスキャラを引っ張り出すことも出来る為、
固定してあるもの以外は重量を無視できるのかもしてない。
射出して相手を攻撃するもよし、何かに引っ掛けて高速移動するもよし。
何かを引き寄せてもよしな汎用性のあるフック付きの鎖射出器。
子供のリンクでも軽々と振り回せ、ボスキャラを引っ張り出すことも出来る為、
固定してあるもの以外は重量を無視できるのかもしてない。
【S&W M29@BLACK LAGOON(現実)】
いわゆる44マグナムのリボルバー式拳銃のこと。マグナム弾の破壊力は抜群でグリズリーなど
大型動物の狩猟に有効なほど。その分、重量があり反動が強すぎるため常備拳銃には向かない。
BLACK LAGOONではダッチがこの銃を愛用している。
いわゆる44マグナムのリボルバー式拳銃のこと。マグナム弾の破壊力は抜群でグリズリーなど
大型動物の狩猟に有効なほど。その分、重量があり反動が強すぎるため常備拳銃には向かない。
BLACK LAGOONではダッチがこの銃を愛用している。
【祝福の杖@ドラゴンクエスト5】
道具として使うとベホイミの効果を持つ魔法の杖。打撃武器としても多少は強い。
ベホイミは全部で三回までと制限つき。
道具として使うとベホイミの効果を持つ魔法の杖。打撃武器としても多少は強い。
ベホイミは全部で三回までと制限つき。
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