みかけハこハゐがとんだいゝ人だ ◆wlyXYPQOyA
状況が悪い。状況が悪い。状況が悪い。ぼくも悪いが状況が悪い!
パタリロは自分自身の不甲斐無さに怒りを覚えながらも
更には、明らかに可笑しな事になっている現在の状況も呪っていた。
パタリロは自分自身の不甲斐無さに怒りを覚えながらも
更には、明らかに可笑しな事になっている現在の状況も呪っていた。
「誤射に逃亡……何をやってるんだぼくは。ああ、この天才としたことが!」
いつになくシリアスなトーンで言葉を紡ぐのは何度目であろうか。
可憐な少女を背負ったまま、パタリロは道路を沿うように北へ北へ走っていた。
硬く確かな感触が脚から身へと伝う。稀に踏みしめる砂利が小さく音を立てる。
辺りは暗く、気分すらも闇へ闇へと誘うが如く暗黒が口を開いている様だ。
それが嫌になって、後ろを振り返る。目を凝らせば巨大な塔と施設がわざとらしく光を発しているのが解った。
煌びやかなそれはゴーストタウンに相応しくない。普通なら、あの場に入るのも悪くはないだろう。
そう、普通なら。あくまでもここが普通の場所であった場合だ。
可憐な少女を背負ったまま、パタリロは道路を沿うように北へ北へ走っていた。
硬く確かな感触が脚から身へと伝う。稀に踏みしめる砂利が小さく音を立てる。
辺りは暗く、気分すらも闇へ闇へと誘うが如く暗黒が口を開いている様だ。
それが嫌になって、後ろを振り返る。目を凝らせば巨大な塔と施設がわざとらしく光を発しているのが解った。
煌びやかなそれはゴーストタウンに相応しくない。普通なら、あの場に入るのも悪くはないだろう。
そう、普通なら。あくまでもここが普通の場所であった場合だ。
冷静に考えれば得策ではない。
こんな静かな街の中、明らかに派手なタワーはその存在を主張しすぎている。
そしてリリスという悪意の塊が存在し続け、自分の顔が割れてすらいるであろうこの状況だ。
明らかに拙い。やはりここからすぐにでも退散せねば。背中に少女を背負い、彼は走り続ける。
こんな静かな街の中、明らかに派手なタワーはその存在を主張しすぎている。
そしてリリスという悪意の塊が存在し続け、自分の顔が割れてすらいるであろうこの状況だ。
明らかに拙い。やはりここからすぐにでも退散せねば。背中に少女を背負い、彼は走り続ける。
右手に山が見えた。どうやらビルを出てからかなりの距離を走っていたらしい。
背中の少女を落とさない様に気を払いながら、袋から器用に地図とコンパスを取り出す。
現在の位置を大まかにでも確認する為だ。月明かりでおぼろげに見えるそれを見れば、
どうやら今はA-5あたりだろうと理解出来た。案外遠いところまで進んでいたらしい、と初めて気付く。
ずっと退避に集中していた所為か、そんな実感を沸く暇も無かったからだろう。
辺りを見回すが、尾行された様子は無い。撒いたか――とパタリロはここで初めて安堵した。
背中の少女を落とさない様に気を払いながら、袋から器用に地図とコンパスを取り出す。
現在の位置を大まかにでも確認する為だ。月明かりでおぼろげに見えるそれを見れば、
どうやら今はA-5あたりだろうと理解出来た。案外遠いところまで進んでいたらしい、と初めて気付く。
ずっと退避に集中していた所為か、そんな実感を沸く暇も無かったからだろう。
辺りを見回すが、尾行された様子は無い。撒いたか――とパタリロはここで初めて安堵した。
思えば、恥の多い行動を繰り返していた。
出会った少女達には不甲斐ない事を言った。
一人は死に、一人は行方不明になった。
バンコラン、と名付けた犯人も結局見つからないまま。
挙句に誤射までして、ひたすら逃げる始末。
出会った少女達には不甲斐ない事を言った。
一人は死に、一人は行方不明になった。
バンコラン、と名付けた犯人も結局見つからないまま。
挙句に誤射までして、ひたすら逃げる始末。
だがそれでも――今、やっと少しだけ自分のやりたいようにやれた気がした。
背中に背負う少女はぐったりとしているものの、どうにか戦場から助け出すことは出来たのだ。
本来はそんなことをする義理も無いはずなのだが、一定の成果を挙げられたことは喜ばしいことだ。
背中に背負う少女はぐったりとしているものの、どうにか戦場から助け出すことは出来たのだ。
本来はそんなことをする義理も無いはずなのだが、一定の成果を挙げられたことは喜ばしいことだ。
「一定の成果、か。ちょっと冷静に努めすぎな台詞だな。チアキに叱られる叱られる」
そんなことを呟き、地図を片付けるとまた歩き出した。
とりあえず休憩を取りたかった。それに少女を休ませたいというのもある。
それに周辺もまだ安全とは言い切れない。早く移動しなければ。
パタリロは、更に北へ北へと進む。だが、その足取りは徐々に徐々に重くなっていた。
とりあえず休憩を取りたかった。それに少女を休ませたいというのもある。
それに周辺もまだ安全とは言い切れない。早く移動しなければ。
パタリロは、更に北へ北へと進む。だが、その足取りは徐々に徐々に重くなっていた。
「しかし、なんだ……流石にちょっとしんどいな。ぼくも老けたか? いや、そんな馬鹿な」
背に人を乗せて延々と移動を続けていた所為だろう。
少しずつ蓄積されていた疲労が、ここで一気に存在を主張し始める。
だが、こんなところでへばってなるものか。意地でも進んでやる。
先程見た地図では、このまま北へ行けば工場に辿り付く事がわかる。
工場――人がいるかもしれないだろうが、そこそこ広い場所なら少女を匿う事も不可能ではないはずだ。
自分もまずはそこで落ち着きたいし、何らかの施設を見れば閃くこともあるだろう。場所も近いし万々歳だ。
決めた。ならばそこまで我慢してやる。自分の不甲斐なさに腹が立つなら、意地を押し通してやる。
背負う少女の為にも、休憩は落ち着けそうな場所に入ってからだ。そうしてやる。
少しずつ蓄積されていた疲労が、ここで一気に存在を主張し始める。
だが、こんなところでへばってなるものか。意地でも進んでやる。
先程見た地図では、このまま北へ行けば工場に辿り付く事がわかる。
工場――人がいるかもしれないだろうが、そこそこ広い場所なら少女を匿う事も不可能ではないはずだ。
自分もまずはそこで落ち着きたいし、何らかの施設を見れば閃くこともあるだろう。場所も近いし万々歳だ。
決めた。ならばそこまで我慢してやる。自分の不甲斐なさに腹が立つなら、意地を押し通してやる。
背負う少女の為にも、休憩は落ち着けそうな場所に入ってからだ。そうしてやる。
「互いの安全の為に工場を目指す」。まずはこの一点だけでも突き通してやろう。
「そうしなければならない」気がする。自分は今、天命を受けている気分だった。
何せ自分はここに来てから運命の女神に借りを作りっぱなしだ。
そんな雰囲気がいいんじゃねーか、とばかりに殺伐とした世界になりつつあるこの舞台で
大した事をしていない自分が何故生きているのかという話だ。間違いで、場違いだとすら思える。
何せ自分はここに来てから運命の女神に借りを作りっぱなしだ。
そんな雰囲気がいいんじゃねーか、とばかりに殺伐とした世界になりつつあるこの舞台で
大した事をしていない自分が何故生きているのかという話だ。間違いで、場違いだとすら思える。
しかしだからこそ今、自分は目の前のこの状況だけでもどうにかしなくてはならない。
千秋やバンコラン、よつばの事は自分のミスだ。そしてそれは今更帳消しには出来ない。
不幸にも周りを自分の判断で巻き込んでしまい、結局は妙な展開に引きずり込まれている。
悪い事というものは、そうして意気消沈したところで追い討ちをかけてくるものだ。
故に自分はここでへばるわけにはいかない。ここで一つ勢いをつけておかなければならないのだ。
千秋やバンコラン、よつばの事は自分のミスだ。そしてそれは今更帳消しには出来ない。
不幸にも周りを自分の判断で巻き込んでしまい、結局は妙な展開に引きずり込まれている。
悪い事というものは、そうして意気消沈したところで追い討ちをかけてくるものだ。
故に自分はここでへばるわけにはいかない。ここで一つ勢いをつけておかなければならないのだ。
「自己満足だな」
ポツリと、自嘲するように呟く。我ながら的確、まったくその通りだ。
だが自己満足で結果的に人が救えるなら大歓迎だとも思う。
さっきまで誰も救えなかった自分より幾分平和的ではないか。
運命の打破の為、少女には少しの間付き合ってもらおう。
だが自己満足で結果的に人が救えるなら大歓迎だとも思う。
さっきまで誰も救えなかった自分より幾分平和的ではないか。
運命の打破の為、少女には少しの間付き合ってもらおう。
「それに、関わったからには面倒を見るのが道理だろ?」
◇ ◇ ◇
まどろみの中、宙に浮かぶような感覚に陥っていた。
「ああ、夢か」と私はすぐにそれを察知した。
「ああ、夢か」と私はすぐにそれを察知した。
周りの景色は、真っ白だった。それに何も無い。
ただ、光源が見当たらないというのに不思議と明るかった。
上もなく下もない。高くもなく低くもない。重くもなく軽くもない。
ただただ不思議な世界。夢でしかありえない状況がそこにある。
しかし自分だけは不思議といつもの通りだ。服も着ているし、靴も履いている。
私は既に物理的にも浮いていたが――故に、そういう意味でも「浮いていた」。
ただ、光源が見当たらないというのに不思議と明るかった。
上もなく下もない。高くもなく低くもない。重くもなく軽くもない。
ただただ不思議な世界。夢でしかありえない状況がそこにある。
しかし自分だけは不思議といつもの通りだ。服も着ているし、靴も履いている。
私は既に物理的にも浮いていたが――故に、そういう意味でも「浮いていた」。
「ん?」
だが、突然に変化が現れた。上も下も無かったはずの世界が「重く」なったのだ。
浮かんでいた体に重力を与えられた私は、真っ白い世界を落下し始めた。
だが不思議と焦りは浮かばない。まるで予定調和だったかのように感じ、私は落ち着いている。
浮かんでいた体に重力を与えられた私は、真っ白い世界を落下し始めた。
だが不思議と焦りは浮かばない。まるで予定調和だったかのように感じ、私は落ち着いている。
何かの暗示なのだろうか。だがそれすらよくわからない。
静かに焦りも無く落ちていく自分。何の感情も懐かず落ちていく自分――落ちる私。
静かに焦りも無く落ちていく自分。何の感情も懐かず落ちていく自分――落ちる私。
「いや……違うな。間違っている」
私は落ちているのではない。
きっと、堕ちているんだ。
きっと、堕ちているんだ。
◇ ◇ ◇
森の中から音が聞こえる。
パキパキ。がさがさ。ぱきぱき。ガサガサ。
暗い森に不気味に音が木霊する。
パキパキ。がさがさ。ぱきぱき。ガサガサ。
暗い森に不気味に音が木霊する。
「やはり人間は重いな……だが、なせばなる! パタリロ殿下は男の子ぉぉっ!」
音を立てながら鬱蒼と茂る木々の間を縫うように進むのはパタリロである。
左手方向から聞こえる海の音と、右手方向から臭う焦げ臭さの狭間を縫うように進んでいる。
森の一部が焼けていることに少々の不安を覚えながらも、前へ前へ進む足は止めていない。
――そう、結局彼は舗装された道路から離れ、獣道を北へ北へと進んでいたのだ。
工場に辿りつくのに一番簡単で手間のかからない方法を考えた結果だった。
暗い中で誰かに会わないという保障も無い。森の一部の物騒な様相も気になる。だが結局彼は「速さ」を選んだ。
歩きづらい事この上ない所為で苛々が募るが、止まるわけには行かない。
左手方向から聞こえる海の音と、右手方向から臭う焦げ臭さの狭間を縫うように進んでいる。
森の一部が焼けていることに少々の不安を覚えながらも、前へ前へ進む足は止めていない。
――そう、結局彼は舗装された道路から離れ、獣道を北へ北へと進んでいたのだ。
工場に辿りつくのに一番簡単で手間のかからない方法を考えた結果だった。
暗い中で誰かに会わないという保障も無い。森の一部の物騒な様相も気になる。だが結局彼は「速さ」を選んだ。
歩きづらい事この上ない所為で苛々が募るが、止まるわけには行かない。
彼は決心したばかりだ。目の前のことを突き通すと決心したのだ。
ここで止まっていてはこれから先、何が起こってももう乗り越えられないような予感だってするのだ。
「悪い事」が追い討ちをかけてくる隙を作るわけには行かない。
今のパタリロは珍しく「努力・友情・勝利の三原則」に自ら足を踏み入れている。
それは挑戦してみれば案外と難しいものだ。進もうとする足が鬱蒼と茂る草木で邪魔をされているような感覚に陥る。
いや、実際ここは森の中だから鬱蒼とした草木は物理的に存在しているのだが。
ここで止まっていてはこれから先、何が起こってももう乗り越えられないような予感だってするのだ。
「悪い事」が追い討ちをかけてくる隙を作るわけには行かない。
今のパタリロは珍しく「努力・友情・勝利の三原則」に自ら足を踏み入れている。
それは挑戦してみれば案外と難しいものだ。進もうとする足が鬱蒼と茂る草木で邪魔をされているような感覚に陥る。
いや、実際ここは森の中だから鬱蒼とした草木は物理的に存在しているのだが。
「とりあえず、この状況に文句を言うのは到着してからだ! そうだ、ぼくは決めたぞ!
工場に到着したらゆっくり文句を言って、それから落ち着いてこれからのことを天才的に考える!」
工場に到着したらゆっくり文句を言って、それから落ち着いてこれからのことを天才的に考える!」
積み重なる疲労とストレスを叫びで発散する。
あまり喚き散らすと不審な人物と思われそうだが、気にはしない。
どうせ疲れに疲れた自分の声などそう響かないだろう。
近くに誰がいようが、そう簡単に届くはずは無いのだ。
あまり喚き散らすと不審な人物と思われそうだが、気にはしない。
どうせ疲れに疲れた自分の声などそう響かないだろう。
近くに誰がいようが、そう簡単に届くはずは無いのだ。
「ん……ぁ?」
と、思っていたのだが――どうやらそれは誤りだったらしい。
「あ、え……ん?」
後ろから、困惑と眠気が混同したような声が聞こえた。
「まさか」と、パタリロが首だけで後ろを振り返ると、視線の端に少女の顔が見えた。
先程の気絶していた状態とは明らかに違う。今は細く目を開いている。
流石に長い時間背負ったままで、しかも叫んでは目も覚ますか。とパタリロは一人納得する。
とりあえず対話をせねばなるまい。パタリロは一旦足を止め、微妙に覚醒した少女に話しかけた。
「まさか」と、パタリロが首だけで後ろを振り返ると、視線の端に少女の顔が見えた。
先程の気絶していた状態とは明らかに違う。今は細く目を開いている。
流石に長い時間背負ったままで、しかも叫んでは目も覚ますか。とパタリロは一人納得する。
とりあえず対話をせねばなるまい。パタリロは一旦足を止め、微妙に覚醒した少女に話しかけた。
「……おはよう」
「…………誰だ?」
「…………誰だ?」
◇ ◇ ◇
「誰だと思う?」
「えっと……あれ、絶対エヴァだよね?」
「やっぱり、そうだよね……」
「えっと……あれ、絶対エヴァだよね?」
「やっぱり、そうだよね……」
暗い森の中。一人の少女と一人の少年が、森で足を止めている二人の様子を眺めていた。
彼女らは工場を目指していたもう一組――インデックスとリンクだった。
彼女らは工場を目指していたもう一組――インデックスとリンクだった。
何故こんな事になったのか。理由は簡単、リンクとインデックスの二人が再会してからの行動にある。
そう、奇しくも彼女達も工場へ行く為に、エヴァを背負う少年と同じように森の中を進んでいたのだ。
そんな状況で互いが鉢合わせしないはずが無く――そして結局、インデックス達はエヴァ達を発見した。
同じ場所に向かえば、同じ目的の人間に出会うかもしれない。そんな単純な話だったのだ。
そう、奇しくも彼女達も工場へ行く為に、エヴァを背負う少年と同じように森の中を進んでいたのだ。
そんな状況で互いが鉢合わせしないはずが無く――そして結局、インデックス達はエヴァ達を発見した。
同じ場所に向かえば、同じ目的の人間に出会うかもしれない。そんな単純な話だったのだ。
さて、話は現在に戻る。インデックスとリンクは相変わらず様子を見るだけに留めていた。
幾本もの木々を隔てた先を目を凝らして見れば、金髪の吸血鬼が小太りの少年に背負われている。
暗い中でも、エヴァの髪が目立ったおかげでそのことだけはなんとか理解出来た。
幾本もの木々を隔てた先を目を凝らして見れば、金髪の吸血鬼が小太りの少年に背負われている。
暗い中でも、エヴァの髪が目立ったおかげでそのことだけはなんとか理解出来た。
「接触がしたい」。偶然ではなく必然的に、二人は同じ思いを抱いていた。
エヴァには色々と聞きたいことがある。接触するなら早く接触して、色々と話をしたい。
この世界は案外と広く、別れた仲間との再会は厳しいはず。恐らくこんなチャンスはなかなか訪れないだろう。
――しかし、だからといってすぐに接触するのはどうか、という考えも二人には生まれている。
何せエヴァを背負っている方に問題があったのだ。
エヴァには色々と聞きたいことがある。接触するなら早く接触して、色々と話をしたい。
この世界は案外と広く、別れた仲間との再会は厳しいはず。恐らくこんなチャンスはなかなか訪れないだろう。
――しかし、だからといってすぐに接触するのはどうか、という考えも二人には生まれている。
何せエヴァを背負っている方に問題があったのだ。
「背負ってる方は、きっと最初にジェダと話してた子だよ……」
「な、なんでエヴァがそんな奴と……」
「まさか……誘拐!?」
「ちょっ、声が大きいよインデックス」
「な、なんでエヴァがそんな奴と……」
「まさか……誘拐!?」
「ちょっ、声が大きいよインデックス」
その問題はただ一つ。エヴァを背負っていたのがこのゲームのシステムに文句を言った少年だった事だ。
あの少年はジェダに大してあんな大胆な交渉をしたのだから、危険人物である事には間違いは無いはず。
不幸にも二人は深く深く思考を巡らせ、最悪の状況と最高の状況を想像し、時間を費やす。
どうすればいいのだろうか、と二の足を踏む時間だけが過ぎ――そして今も、動けずにいた。
あの少年はジェダに大してあんな大胆な交渉をしたのだから、危険人物である事には間違いは無いはず。
不幸にも二人は深く深く思考を巡らせ、最悪の状況と最高の状況を想像し、時間を費やす。
どうすればいいのだろうか、と二の足を踏む時間だけが過ぎ――そして今も、動けずにいた。
「でも、どうしよう。接触するチャンスだよ?」
「そうだね……でも何も考えずに動くのはまずい。それに君の体調だって……」
「私はもう大丈夫。それより今は目の前のことをどうするか、だよ」
「そうだね……でも何も考えずに動くのはまずい。それに君の体調だって……」
「私はもう大丈夫。それより今は目の前のことをどうするか、だよ」
迷いが行動を鈍らせる。
あの時は、あんなに焦りを覚えていたというのに。
あの時は、あんなに焦りを覚えていたというのに。
◇ ◇ ◇
ここで時は「あの時」――リンクとインデックスが出会ってから、少しだけ時間を経た頃――まで遡る。
「ヴィータを、なんとか……ヴィータ……」
「急ぎすぎだよ! 無理しないで……!」
「む、無理してない! 無理してないもんね!」
「急ぎすぎだよ! 無理しないで……!」
「む、無理してない! 無理してないもんね!」
工場へと行くために急ぐインデックス。それを追うリンク。
その構図は、二人の再会から少々の時間が経つまで続けられていた。
「とにかく先を急ぎたい」と気持ちばかりが先へ先へと急いていたと言わざるを得ない。
しかし、インデックスの心中を察する事が出来れば、その心掛けが罪であるとは言えないだろう。
彼女にとってはヴィータとは並以上の繋がりを持っているのだから余計に無理も無い。
インデックスは複雑な想いを抱いたまま、リンクの静止の声を聞き流しながら走り続けていた――のだが。
その構図は、二人の再会から少々の時間が経つまで続けられていた。
「とにかく先を急ぎたい」と気持ちばかりが先へ先へと急いていたと言わざるを得ない。
しかし、インデックスの心中を察する事が出来れば、その心掛けが罪であるとは言えないだろう。
彼女にとってはヴィータとは並以上の繋がりを持っているのだから余計に無理も無い。
インデックスは複雑な想いを抱いたまま、リンクの静止の声を聞き流しながら走り続けていた――のだが。
――――ばったん。
「えええええ!?」
突然、インデックスが、倒れた。
なんの予兆も無く起こった珍事を見たリンクは、驚きに満ち溢れた声を上げる。
急いで駆け寄り、うつ伏せに倒れた彼女を仰向けに寝かせた。
見れば苦しそうな表情を浮かべている。とても「無理をしていない」とは思えなかった。
なんの予兆も無く起こった珍事を見たリンクは、驚きに満ち溢れた声を上げる。
急いで駆け寄り、うつ伏せに倒れた彼女を仰向けに寝かせた。
見れば苦しそうな表情を浮かべている。とても「無理をしていない」とは思えなかった。
「もう、無理するから!」
「無理してない……けど、ごめん……」
「そんな事より大丈夫!? まさか怪我とか……!?」
「いや、大丈夫だよ……ただの貧血貧血」
「無理してない……けど、ごめん……」
「そんな事より大丈夫!? まさか怪我とか……!?」
「いや、大丈夫だよ……ただの貧血貧血」
声をかけると、すぐに返事が返される。だがその声はどこか頼りない。
しかしそれに構うことも無く、インデックスは立ち上がろうとして。
しかしそれに構うことも無く、インデックスは立ち上がろうとして。
「駄目だ!」
リンクは思わず声を荒げてインデックスを止めた。
すると彼女は今にも「きょとん」という擬音と友達になれそうな表情を浮かべる。
恐らくは突然何を言っているのか、という思いが表れた結果であろう。
だが、それはやっとリンクの言葉が耳に入ったということの証明でもある。
すると彼女は今にも「きょとん」という擬音と友達になれそうな表情を浮かべる。
恐らくは突然何を言っているのか、という思いが表れた結果であろう。
だが、それはやっとリンクの言葉が耳に入ったということの証明でもある。
「休まないと駄目だ」
「で、でも……」
「そんな体で無理し続けて、いざヴィータに会った時はどうするの?」
「で、でも……」
「そんな体で無理し続けて、いざヴィータに会った時はどうするの?」
痛いところを突かれた、と言うかのようにインデックスの顔が俯く。
その表情は気分が優れていないのだろうということが簡単に見て取れた。
その表情は気分が優れていないのだろうということが簡単に見て取れた。
「本当にただの貧血だったとしても、今のこの状況じゃ大変なことだよ。
ここで寝て……いや、気に凭れて座るだけでいい。まずは休もうよ、落ち着いてさ」
ここで寝て……いや、気に凭れて座るだけでいい。まずは休もうよ、落ち着いてさ」
リンクのこの言葉が決定打だった様だ。インデックスは、静かに頷いた。
そしてフラフラと近くの木に近づき、それを背にして座る。
凭れかかって素直に休息を取るインデックスの姿に、リンクはようやく安堵を覚えた。
だが結局この瞬間は、焦りが行動を鈍らせてしまった。
だからこそ次はこんな事は無いようにしよう。そう反省したのだが――
そしてフラフラと近くの木に近づき、それを背にして座る。
凭れかかって素直に休息を取るインデックスの姿に、リンクはようやく安堵を覚えた。
だが結局この瞬間は、焦りが行動を鈍らせてしまった。
だからこそ次はこんな事は無いようにしよう。そう反省したのだが――
◇ ◇ ◇
――こうして、今に至る。
休憩を追え、インデックスとリンクは再び工場へと向かい――少年に背負われるエヴァンジェリンを発見した。
パタリロはエヴァンジェリンを背負って森をの中を進み――本人も無自覚なままインデックス達に発見された。
パタリロはエヴァンジェリンを背負って森をの中を進み――本人も無自覚なままインデックス達に発見された。
インデックス達は背負われる少女との接触を実行するか否かで迷う。
パタリロは自分が背負っている少女とどう対話するかを考えて迷う。
パタリロは自分が背負っている少女とどう対話するかを考えて迷う。
道に迷わなかった事だけが、せめてもの救いか。
【A-4/森/1日目/真夜中】
【パタリロ=ド=マリネール8世@パタリロ!】
[状態]:健康、エヴァを背負っている。
[装備]:S&W M29(残弾4/6発)@BLACK LAGOON、
[道具]:支給品一式(食料なし)、ロープ(30m)@現実、44マグナム予備弾17発(ローダー付き)
せんべい、お茶菓子、コーヒー豆、がらくたがいくつか。
[思考]:まずは軽く努力・友情・勝利を!
第一行動方針:とりあえずエヴァと対話。
第二行動方針:工場に行き、自分の状況とこれからどうするかという事を整理する。
第三行動方針:勝手に周囲を調べに行った弥彦を見つけ、追いつく。チアキを発見して事情を問い質したい
第四行動方針:仲間集め。チアキがマトモなら、彼女に弥彦を仲間として紹介したい
第五行動方針:弥彦の持つ首輪を調べたい(道具や設備も確保したい)
基本行動方針:好戦的な相手には応戦する。自分を騙そうとする相手には容赦しない
最終行動方針:ジェダを倒してお宝ガッポリ。その後に時間移動で事件を根本から解決する。
[備考]
自分が受けている能力制限の範囲について大体理解している。
着ぐるみ着用でも普段と同じ行動が可能(変わり身などがある分むしろ強い?)。
偉そうな事を言ったが、弥彦を完全には信用していない。弥彦と簡単に情報交換済み。
よつばと藤木の死の真相について、大雑把にですが勘付いています。
キルアを危険人物と認識(名前はしらない)
千秋に藤木殺しの犯人の可能性があると疑っています
[状態]:健康、エヴァを背負っている。
[装備]:S&W M29(残弾4/6発)@BLACK LAGOON、
[道具]:支給品一式(食料なし)、ロープ(30m)@現実、44マグナム予備弾17発(ローダー付き)
せんべい、お茶菓子、コーヒー豆、がらくたがいくつか。
[思考]:まずは軽く努力・友情・勝利を!
第一行動方針:とりあえずエヴァと対話。
第二行動方針:工場に行き、自分の状況とこれからどうするかという事を整理する。
第三行動方針:勝手に周囲を調べに行った弥彦を見つけ、追いつく。チアキを発見して事情を問い質したい
第四行動方針:仲間集め。チアキがマトモなら、彼女に弥彦を仲間として紹介したい
第五行動方針:弥彦の持つ首輪を調べたい(道具や設備も確保したい)
基本行動方針:好戦的な相手には応戦する。自分を騙そうとする相手には容赦しない
最終行動方針:ジェダを倒してお宝ガッポリ。その後に時間移動で事件を根本から解決する。
[備考]
自分が受けている能力制限の範囲について大体理解している。
着ぐるみ着用でも普段と同じ行動が可能(変わり身などがある分むしろ強い?)。
偉そうな事を言ったが、弥彦を完全には信用していない。弥彦と簡単に情報交換済み。
よつばと藤木の死の真相について、大雑把にですが勘付いています。
キルアを危険人物と認識(名前はしらない)
千秋に藤木殺しの犯人の可能性があると疑っています
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:半覚醒、衰弱(大)、魔力(中回復) 全身打撲(どの程度かは次の書き手任せ)、パタリロに背負われている
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:
[思考]:…………誰?
第一行動方針:とりあえず対話。
第二行動方針:ジェダの居場所に至る道を突き止め、露払いをする。
第三行動方針:ジェダを倒そうと挑む者たち(リンクたちならなお良し)の前に立ち塞がり、討たれる。
基本行動方針:ジェダの甘言は無視し、打倒のために暗躍。ただし仲間は作らない。
最終行動方針:誇り高き悪として、正義の前に散る。
[備考]
梨花の血を大量に吸いました。雛見沢症候群、及び女王感染者との関連は不明です。
高町なのはの動向を気にしています。ニアの名前はグリーンから聞いています。
[状態]:半覚醒、衰弱(大)、魔力(中回復) 全身打撲(どの程度かは次の書き手任せ)、パタリロに背負われている
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:
[思考]:…………誰?
第一行動方針:とりあえず対話。
第二行動方針:ジェダの居場所に至る道を突き止め、露払いをする。
第三行動方針:ジェダを倒そうと挑む者たち(リンクたちならなお良し)の前に立ち塞がり、討たれる。
基本行動方針:ジェダの甘言は無視し、打倒のために暗躍。ただし仲間は作らない。
最終行動方針:誇り高き悪として、正義の前に散る。
[備考]
梨花の血を大量に吸いました。雛見沢症候群、及び女王感染者との関連は不明です。
高町なのはの動向を気にしています。ニアの名前はグリーンから聞いています。
※あるるかんはA-6のどこかのビルに放置されています。
【A-4/森(エヴァ達の近く)/1日目/真夜中】
【リンク(子供)@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
[状態]:左太腿、右掌に裂傷(治療済み)、左肩に打撲
[装備]:勇者の拳@魔法陣グルグル、コキリの剣@ゼルダの伝説
[道具]:基本支給品一式×5(食料一人分-1)、クロウカード『希望』@CCさくら、歩く教会の十字架@とある魔術の禁書目録
時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん、エスパー錠とその鍵@絶対可憐チルドレン、
ふじおか@みなみけ(なんか汚れた)、5MeO-DIPT(24mg)、祭具殿にあった武器1~3つ程、祭具殿の鍵
[服装]:中世ファンタジーな布の服など。傷口に包帯。
[思考]:どうしよう、か。
第一行動方針:目の前の対処。
第二行動方針:工場に向かい、ヴィータを説得する(無理なら…?)
第三行動方針:ニケ達と合流し、エヴァの伝言を伝える。
第四行動方針:なのはやエヴァを探す
第五行動方針:もし桜を見つけたら保護する。
基本行動方針:ゲームを壊す。その後、できることなら梨花の世界へと赴き、梨花の知り合い達に謝罪したい。
参戦時期:エンディング後
[備考]
リンクが所持している祭具殿にあった他の武器が何なのかは次以降の書き手さんに任せます(少なくとも剣ではないと思われます)。
祭具殿の内部を詳しく調べていません。
夜明けまではヴィータが工場にいると思ってます。
[状態]:左太腿、右掌に裂傷(治療済み)、左肩に打撲
[装備]:勇者の拳@魔法陣グルグル、コキリの剣@ゼルダの伝説
[道具]:基本支給品一式×5(食料一人分-1)、クロウカード『希望』@CCさくら、歩く教会の十字架@とある魔術の禁書目録
時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん、エスパー錠とその鍵@絶対可憐チルドレン、
ふじおか@みなみけ(なんか汚れた)、5MeO-DIPT(24mg)、祭具殿にあった武器1~3つ程、祭具殿の鍵
[服装]:中世ファンタジーな布の服など。傷口に包帯。
[思考]:どうしよう、か。
第一行動方針:目の前の対処。
第二行動方針:工場に向かい、ヴィータを説得する(無理なら…?)
第三行動方針:ニケ達と合流し、エヴァの伝言を伝える。
第四行動方針:なのはやエヴァを探す
第五行動方針:もし桜を見つけたら保護する。
基本行動方針:ゲームを壊す。その後、できることなら梨花の世界へと赴き、梨花の知り合い達に謝罪したい。
参戦時期:エンディング後
[備考]
リンクが所持している祭具殿にあった他の武器が何なのかは次以降の書き手さんに任せます(少なくとも剣ではないと思われます)。
祭具殿の内部を詳しく調べていません。
夜明けまではヴィータが工場にいると思ってます。
【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:軽い貧血気味、背中に大きな裂傷跡と火傷、服が欲しい
[装備]:水の羽衣(背部が横に大きく裂けている)@ドラゴンクエストⅤ、
葉っぱの下着(片方)、鉄性の斧@ひぐらしのなく頃に(?)
[道具]:支給品一式(食料-1日分、時計破損)、 ビュティの首輪、
[思考]:どうすればいいんだろ?
第一行動方針:目の前の対処。
第二行動方針:リンクについていき、ヴィータを止める
第二行動方針:ニケ達と合流する。
第三行動方針:アリサを探す。紫穂のことも気がかり。
第四行動方針:落ち着いたら、明るい所でじっくりビュティの首輪を調べたい。
基本:誰にも死んで欲しくない。状況を打破するため情報を集め、この空間から脱出する。
[備考]
拾った双葉の型紐が切れたランドセルに荷物まとめて入れています。
インデックス自身のランドセルは壊れているので内容物の質量と大きさを無視できません。
エヴァを完全に敵とみなしているわけではないが不信感あり。
[状態]:軽い貧血気味、背中に大きな裂傷跡と火傷、服が欲しい
[装備]:水の羽衣(背部が横に大きく裂けている)@ドラゴンクエストⅤ、
葉っぱの下着(片方)、鉄性の斧@ひぐらしのなく頃に(?)
[道具]:支給品一式(食料-1日分、時計破損)、 ビュティの首輪、
[思考]:どうすればいいんだろ?
第一行動方針:目の前の対処。
第二行動方針:リンクについていき、ヴィータを止める
第二行動方針:ニケ達と合流する。
第三行動方針:アリサを探す。紫穂のことも気がかり。
第四行動方針:落ち着いたら、明るい所でじっくりビュティの首輪を調べたい。
基本:誰にも死んで欲しくない。状況を打破するため情報を集め、この空間から脱出する。
[備考]
拾った双葉の型紐が切れたランドセルに荷物まとめて入れています。
インデックス自身のランドセルは壊れているので内容物の質量と大きさを無視できません。
エヴァを完全に敵とみなしているわけではないが不信感あり。
≪234:三尸の蟲は罪を見つめて | 時系列順に読む | 237:おしろななふしぎ≫ |
≪235:分岐 | 投下順に読む | 237:おしろななふしぎ≫ |
≪229:Selection mistake | エヴァの登場SSを読む | 242:許されざる者(前編)≫ |
≪229:Selection mistake | パタリロの登場SSを読む | 242:許されざる者(前編)≫ |
≪224:そして僕にできるコト | リンクの登場SSを読む | 238:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?≫ |
≪224:そして僕にできるコト | インデックスの登場SSを読む | 238:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?≫ |