出会いはいつも最悪で ◆3k3x1UI5IA
――穏やかな風が、湖の上を吹き渡ってキラキラと小さな波を立てる。
音も無く、白い雲が流れる。
澄んだ青い空。穏やかな日差し。
柔かな、沈黙。
音も無く、白い雲が流れる。
澄んだ青い空。穏やかな日差し。
柔かな、沈黙。
「…………」
静かな湖畔で、少年は膝を抱え、ぼんやりと湖を眺める。
立ちつくす少女も、ぼんやりと湖を眺める。
言葉もなく、待つ。帰ってこない仲間を、待つ。
立ちつくす少女も、ぼんやりと湖を眺める。
言葉もなく、待つ。帰ってこない仲間を、待つ。
…………仲間。
そう、『彼女』は、仲間だった。少年と少女の、仲間だった。
会ってから何時間も経ってない。会話だって、ろくに交わしていない。
出会いは最悪。初対面の印象も最悪。
問答無用で攻撃してきた『彼女』を、これも問答無用でKOして取り押さえた間柄。
いい思い出なんて、1つもなくって。
けれど間違いなく、『彼女』は仲間だった。待ち続ける2人にとっては、仲間だった。
そう、『彼女』は、仲間だった。少年と少女の、仲間だった。
会ってから何時間も経ってない。会話だって、ろくに交わしていない。
出会いは最悪。初対面の印象も最悪。
問答無用で攻撃してきた『彼女』を、これも問答無用でKOして取り押さえた間柄。
いい思い出なんて、1つもなくって。
けれど間違いなく、『彼女』は仲間だった。待ち続ける2人にとっては、仲間だった。
「おい、ジーニアス。いつまでこんなトコで待ってるつもりだよ?」
「……もう少し……もう、少しだけ、頼むよ……」
「……もう少し……もう、少しだけ、頼むよ……」
沈黙を破ったのは、少女の苛立たしげな呟き。対する少年は、懇願するように、小さく囁き返して。
ジーニアスにも、本当は分かっている。
これだけ待っても戻ってこないということは、どう考えても、きっと……。
考えれば考えるほど絶望的になって、でも、そんなこと認めたくなくて。
そんな少年に、少女は溜息1つつくと、ドサッと荷物を投げ出す。
ジーニアスにも、本当は分かっている。
これだけ待っても戻ってこないということは、どう考えても、きっと……。
考えれば考えるほど絶望的になって、でも、そんなこと認めたくなくて。
そんな少年に、少女は溜息1つつくと、ドサッと荷物を投げ出す。
「……こんなトコでボーッとしてても、しゃーねーよ」
「でも、ベッキー」
「でも、ベッキー」
だからって、翠星石を置いてはいけない。
そう反論しかけたジーニアスは、そして見上げた彼女の表情に、言葉を飲み込む。
泣きそうな……けれど、強い意志で、絶望の中に微かな希望を見出さんとする、レベッカの表情。
彼女は明らかに強がりと分かる笑みを浮かべて、それでも言った。言い切った。
そう反論しかけたジーニアスは、そして見上げた彼女の表情に、言葉を飲み込む。
泣きそうな……けれど、強い意志で、絶望の中に微かな希望を見出さんとする、レベッカの表情。
彼女は明らかに強がりと分かる笑みを浮かべて、それでも言った。言い切った。
「アイツはお前に言ったんだろ? 『臆病だから勝てる戦いしかしない』って。
なら、きっとアイツは勝った。そう信じてやるしかないだろ」
「え……?」
「――迎えに行くぞ」
なら、きっとアイツは勝った。そう信じてやるしかないだろ」
「え……?」
「――迎えに行くぞ」
レベッカは断言する。ふてくされたような口調で、でも力強く断言する。
並べた3つのランドセルから次々と必要なモノを引っ張り出しながら、彼女は力強く断言する。
並べた3つのランドセルから次々と必要なモノを引っ張り出しながら、彼女は力強く断言する。
「勝ったのに戻ってこれないってことは、きっと何か水の中でトラブってんだ。
どっか引っ掛かっちゃってるのか、身体の中に水入って沈んでるのかは知らないけどよ。
奴が帰って来れないなら、こっちから迎えに行ってやるしかないだろ。
……ったく、あのバカ人形は手間取らせやがって……。ほらジーニアス、さっさと着替えろ。
コレとコレと……コレを使えば、なんとかなるか。
アイツの支給品、勝手に使っちまうことになるけど、構わないよな? 元はと言えばアイツの不始末だしよ」
どっか引っ掛かっちゃってるのか、身体の中に水入って沈んでるのかは知らないけどよ。
奴が帰って来れないなら、こっちから迎えに行ってやるしかないだろ。
……ったく、あのバカ人形は手間取らせやがって……。ほらジーニアス、さっさと着替えろ。
コレとコレと……コレを使えば、なんとかなるか。
アイツの支給品、勝手に使っちまうことになるけど、構わないよな? 元はと言えばアイツの不始末だしよ」
* * *
――同時刻。
森の中。
真っ黒な球体を恐る恐る観察していた少女が、首を振りながらその場を立ち去る。
義体の少女・トリエラにも理解できなかった黒い塊、それは大きなイビキ、にしか思えぬ音を立てていて。
真っ黒な球体を恐る恐る観察していた少女が、首を振りながらその場を立ち去る。
義体の少女・トリエラにも理解できなかった黒い塊、それは大きなイビキ、にしか思えぬ音を立てていて。
明石薫。
後に重要な役割を果たす、ことになるのかもしれない少女は。
この時点では、未だ大爆睡の真っ最中であった。
後に重要な役割を果たす、ことになるのかもしれない少女は。
この時点では、未だ大爆睡の真っ最中であった。
* * *
「……本当にコレで大丈夫なのかな。こんな道具で……」
「心配するな。私もあんまし泳げねーから。ま、なるようになるさ」
「それ、余計に心配だよッ!」
「心配するな。私もあんまし泳げねーから。ま、なるようになるさ」
「それ、余計に心配だよッ!」
縞模様の半袖半ズボンに着替え、説明書に従いクリームを塗るジーニアスが、不安そうに叫ぶ。
えっちらおっちらと、服の上からさらに白い服を着込んでいたレベッカが、ヘルメットを手にニヤリと笑う。
えっちらおっちらと、服の上からさらに白い服を着込んでいたレベッカが、ヘルメットを手にニヤリと笑う。
「フフン。その元気があれば、大丈夫そうだな」
「……ッ!!」
「とにかく、ジェダの奴がいくら性格悪くたって、説明書とかにつまんねー嘘書いたりしねーだろ。
万が一もしヤバいようだったら、途中で引き返せばいいだけのことさ」
「ま、まあ、こっちはそれでいいけどさ……ベッキーの方は、本当にそれで大丈夫なの?」
「……ッ!!」
「とにかく、ジェダの奴がいくら性格悪くたって、説明書とかにつまんねー嘘書いたりしねーだろ。
万が一もしヤバいようだったら、途中で引き返せばいいだけのことさ」
「ま、まあ、こっちはそれでいいけどさ……ベッキーの方は、本当にそれで大丈夫なの?」
『木村先生』とかいう人物が着ていたという『水着』に、未来のひみつ道具・『海底探検セット』。
全身に塗る『深海クリーム』に、鼻に詰める『エラ・チューブ』、足元の『快速シューズ』、頭には『ヘッドランプ』。
自分のランドセルはナマコ型の水中用『寝袋』に詰め込んで、肩にかけて、手には杖を持って――
お世辞にも、カッコいいとは言えない服装だ。
ただ、ジーニアスの方は、見かけはともかく、とりあえずは「そのため」に作られた装備。
しかし、レベッカの方は……。
心配するジーニアスに、レベッカはヘルメットを被ると、木刀を片手に胸を張る。
全身に塗る『深海クリーム』に、鼻に詰める『エラ・チューブ』、足元の『快速シューズ』、頭には『ヘッドランプ』。
自分のランドセルはナマコ型の水中用『寝袋』に詰め込んで、肩にかけて、手には杖を持って――
お世辞にも、カッコいいとは言えない服装だ。
ただ、ジーニアスの方は、見かけはともかく、とりあえずは「そのため」に作られた装備。
しかし、レベッカの方は……。
心配するジーニアスに、レベッカはヘルメットを被ると、木刀を片手に胸を張る。
「なに、宇宙飛行士の訓練だって、深いプールの中で行われるんだ。潜水服の代わりにくらいはなる」
「いや、そういうことじゃなくて……」
「それ行くぞ~。あんまりアイツを待たせても可哀想……ぶッ!!」
「いや、そういうことじゃなくて……」
「それ行くぞ~。あんまりアイツを待たせても可哀想……ぶッ!!」
ダボダボの、サイズの合ってない『宇宙服』を着込んだレベッカは、そして湖に向かって歩き出そうとして……
……転んだ。
いやまあ、それだけ裾が余っていれば、無理も無いかもしれないが。
宇宙服というのは、見かけによらずかなりの重量がある。船外活動も可能な装備となれば、尚更だ。
おまけに、お腹の辺りにはランドセルや脱いだ白衣を入れていたものだから、妊婦のように膨らんでいる。
荷物で突き出た腹部に乗っかる形で倒れて、自力で立ち上がることもできず、彼女はジタバタともがく。
ひとしきり無駄な抵抗をしたところで、ふと視線を感じて顔を上げる。ジーニアスと目が合う。
……転んだ。
いやまあ、それだけ裾が余っていれば、無理も無いかもしれないが。
宇宙服というのは、見かけによらずかなりの重量がある。船外活動も可能な装備となれば、尚更だ。
おまけに、お腹の辺りにはランドセルや脱いだ白衣を入れていたものだから、妊婦のように膨らんでいる。
荷物で突き出た腹部に乗っかる形で倒れて、自力で立ち上がることもできず、彼女はジタバタともがく。
ひとしきり無駄な抵抗をしたところで、ふと視線を感じて顔を上げる。ジーニアスと目が合う。
「……なんだよ? 何か言いたいのか?! 何か文句でもあるのか!?」
「べ……別に……ププッ!」
「わ、笑ったな! 今、笑ったな! 私は先生だぞ、笑うんじゃない! 笑うなってば! はぅはぅ……!」
「べ……別に……ププッ!」
「わ、笑ったな! 今、笑ったな! 私は先生だぞ、笑うんじゃない! 笑うなってば! はぅはぅ……!」
涙目で叫ぶレベッカ、でもそんな体勢で怒ったところで、全く怖くない――むしろ、微笑ましいばかりだ。
それでも彼女を助け起こしたジーニアスは、ふと、自分が笑っていたという事実に気が付く。
……どうしても暗くなりがちな状況にあって、この天性の明るさは、ある種の強さと言っていいかもしれない。
心の内で密かに感謝しながら、彼は提案する。
それでも彼女を助け起こしたジーニアスは、ふと、自分が笑っていたという事実に気が付く。
……どうしても暗くなりがちな状況にあって、この天性の明るさは、ある種の強さと言っていいかもしれない。
心の内で密かに感謝しながら、彼は提案する。
「今さらだけど、ベッキーがこっちの道具使う?」
「いい。女物の水着もねーし、そんなの着たくもねーし。まさか裸で泳げって言うのか?
ジーニアスはそんなに私の裸が見たいのか? ちょっと危険な犯罪の匂いのする絵になるぞ?」
「い、いや、そういうわけじゃ……」
「それに、背中の傷のこともあるしな。水とか『深海クリーム』とか、ちと直接触れさせたくねーんだ」
「いい。女物の水着もねーし、そんなの着たくもねーし。まさか裸で泳げって言うのか?
ジーニアスはそんなに私の裸が見たいのか? ちょっと危険な犯罪の匂いのする絵になるぞ?」
「い、いや、そういうわけじゃ……」
「それに、背中の傷のこともあるしな。水とか『深海クリーム』とか、ちと直接触れさせたくねーんだ」
レベッカの言葉に、ジーニアスはそれもそうか、と思い直す。
彼女の背中の傷は、一応手当てはしてはあるが、そう軽いものではない。
それに、『深海クリーム』にはたっぷり余裕があるが、『エラ・チューブ』や『快速シューズ』は1人分しかない。
もしも道具や水着を交換するとしたら、ジーニアスが宇宙服を着なければならなくなる。
いざという時のことを考えると、ジーニアスはできるだけ動き易い格好で居た方がいい。
元から戦闘能力のないレベッカはともかく、魔法で戦える彼まで動きづらくなるのは、ちとマズい。
彼女の背中の傷は、一応手当てはしてはあるが、そう軽いものではない。
それに、『深海クリーム』にはたっぷり余裕があるが、『エラ・チューブ』や『快速シューズ』は1人分しかない。
もしも道具や水着を交換するとしたら、ジーニアスが宇宙服を着なければならなくなる。
いざという時のことを考えると、ジーニアスはできるだけ動き易い格好で居た方がいい。
元から戦闘能力のないレベッカはともかく、魔法で戦える彼まで動きづらくなるのは、ちとマズい。
「ベッキーは……ベッキーだけでも、僕が守るから」
「? 何か言ったか?」
「ううん、何でもない。急ごう。翠星石をあまり待たせちゃいけない」
「? 何か言ったか?」
「ううん、何でもない。急ごう。翠星石をあまり待たせちゃいけない」
今分かった。レベッカが無意識に周囲にもたらす「明るい空気」は、その「強さ」は、この先大切なものだ。
なんとしても、守り抜かなきゃいけない。
ジーニアスは胸の奥で強く誓うと、ランドセルの入った寝袋を担ぎ、杖を握り、よろけるレベッカを支えて。
翠星石が待っているはずの、湖に踏み込んだ。
なんとしても、守り抜かなきゃいけない。
ジーニアスは胸の奥で強く誓うと、ランドセルの入った寝袋を担ぎ、杖を握り、よろけるレベッカを支えて。
翠星石が待っているはずの、湖に踏み込んだ。
* * *
――同時刻。森の中。
「目が、目がぁ――!!」
明石薫。
後に重要な役割を果たす……のかどうか、ちょっとばかり怪しくもなってきた、この少女は。
直射日光に目をやられて、のたうちまわっていた。
彼女が物語に関わってくるのは、もう少し先のお話になりそうで……。
後に重要な役割を果たす……のかどうか、ちょっとばかり怪しくもなってきた、この少女は。
直射日光に目をやられて、のたうちまわっていた。
彼女が物語に関わってくるのは、もう少し先のお話になりそうで……。
* * *
水の下に広がっていたのは、静寂に包まれたもう1つの世界。
一歩足を踏み出すごとに、透明度の高い水の中、僅かに砂と土が舞い上がる。
揺らめく水面が、湖底に微妙なグラデーションを作る。
幻想的な光景の中、2人は……
一歩足を踏み出すごとに、透明度の高い水の中、僅かに砂と土が舞い上がる。
揺らめく水面が、湖底に微妙なグラデーションを作る。
幻想的な光景の中、2人は……
「……ねぇ、ベッキー」
「なんだ、ジーニアス」
「これって……街、だよね?」
「ああ。どっからどう見ても街、だな」
「なんだ、ジーニアス」
「これって……街、だよね?」
「ああ。どっからどう見ても街、だな」
湖底に眠る街の入り口で、立ち尽くしていた。
そう――それはどう見ても街だった。
湖岸からすぐに湖底は深く落ち込んで、急な崖のような地形を作り。
そしてその先、地面が平坦になったあたりから広がっていたのは――文字通り、湖底に沈んだ街。
大小様々な住居風の建物に、いくつものビル、それに教会のような建物。
もちろん、住人の姿は無い。
湖の底に眠る、無人の街――その美しくも意味不明な光景に、ジーニアスがぽつりと漏らす。
そう――それはどう見ても街だった。
湖岸からすぐに湖底は深く落ち込んで、急な崖のような地形を作り。
そしてその先、地面が平坦になったあたりから広がっていたのは――文字通り、湖底に沈んだ街。
大小様々な住居風の建物に、いくつものビル、それに教会のような建物。
もちろん、住人の姿は無い。
湖の底に眠る、無人の街――その美しくも意味不明な光景に、ジーニアスがぽつりと漏らす。
「何のために、こんな所にこんな街があるんだろう」
「――『何のため』、か。
深い意味なんて無いのかもしれんぞ。何かの間違いで出来ちまったのかもしれん。ただ……」
「ただ?」
「『何のためにこんな道具が配られたのだろう』、なら、考えてみてもいい問いだな」
「――『何のため』、か。
深い意味なんて無いのかもしれんぞ。何かの間違いで出来ちまったのかもしれん。ただ……」
「ただ?」
「『何のためにこんな道具が配られたのだろう』、なら、考えてみてもいい問いだな」
レベッカはヘルメットの上から頭を掻く仕草をして、溜息をつく。
ちらりと、ジーニアスの装備に目を向ける。ヘッドランプ、エラチューブ、快速シューズ……。
ちらりと、ジーニアスの装備に目を向ける。ヘッドランプ、エラチューブ、快速シューズ……。
「ちょうど必要としてたあたしらにこのアイテムが当たった、って所までは、偶然なんだろうけどよ。
おまえが今使ってる『海底探検セット』は、『ココを調べるための道具』だとしか思えん。
こっちの『宇宙服』は違うかもしれねーけど、ジェダは確実に、ココに人が来る可能性を考えてる」
「ぼ、僕たちがここに来るのも、ジェダの計画のうち、ってこと!?」
「計画、って呼べるほどはっきりした考えなのかどうかは、分かんねーけどな」
おまえが今使ってる『海底探検セット』は、『ココを調べるための道具』だとしか思えん。
こっちの『宇宙服』は違うかもしれねーけど、ジェダは確実に、ココに人が来る可能性を考えてる」
「ぼ、僕たちがここに来るのも、ジェダの計画のうち、ってこと!?」
「計画、って呼べるほどはっきりした考えなのかどうかは、分かんねーけどな」
レベッカは考える。
支給品はランダムに渡した、という点については、とりあえず疑う理由が無い。
だから、そこはとりあえず信じるとして……けれど支給品候補の取捨選択は、ジェダの側で行ったはず。
もし、この「湖の底の街」を「調べられたら困る」事情があるなら、そもそもこんな品が出てくるわけが無い。
……しかし、もし逆に「是非とも調べて欲しい」のだとしたら、今度は別の疑問が浮かんでくる。
支給品はランダムに渡した、という点については、とりあえず疑う理由が無い。
だから、そこはとりあえず信じるとして……けれど支給品候補の取捨選択は、ジェダの側で行ったはず。
もし、この「湖の底の街」を「調べられたら困る」事情があるなら、そもそもこんな品が出てくるわけが無い。
……しかし、もし逆に「是非とも調べて欲しい」のだとしたら、今度は別の疑問が浮かんでくる。
「ただ、この街を『調べて欲しい』んだとしたら、どうにも迂遠なんだよなァ……。
たまたま湖近くに居たあたしらがこのアイテムGETしたから、こうして使われてるけどよ……。
山の中に飛ばされた奴にでも当たってたら、ずーっとランドセルに放り込まれたままだったんじゃねーの?
下手すりゃ、貰った奴がさっさと殺されて、使う間もなく忘れられてた展開もありえたわけだしな」
「じゃあ、でも、それってどういう……?」
「『ただの気紛れ』、『余裕の現われ』、『混乱させるのが目的』、嫌な可能性を挙げてけばキリねーけど……
多少なりともコッチにとって希望の持てる理由を挙げるとすると――『迷い』、だな」
「迷い?」
「運命を天に委ねる、とか、偶然に賭ける、とか、そういう心理さ。
元より、自分でもコントロールしきれない、偶然性の高い『ゲーム』って形で結果を出そうとしてる奴だしな。
もしかしたらどっかに『迷い』があって、『ゲームが失敗する可能性』を、自ら残しているかもしれない。
本人にその自覚があるかどうかは、分かんねーけど」
たまたま湖近くに居たあたしらがこのアイテムGETしたから、こうして使われてるけどよ……。
山の中に飛ばされた奴にでも当たってたら、ずーっとランドセルに放り込まれたままだったんじゃねーの?
下手すりゃ、貰った奴がさっさと殺されて、使う間もなく忘れられてた展開もありえたわけだしな」
「じゃあ、でも、それってどういう……?」
「『ただの気紛れ』、『余裕の現われ』、『混乱させるのが目的』、嫌な可能性を挙げてけばキリねーけど……
多少なりともコッチにとって希望の持てる理由を挙げるとすると――『迷い』、だな」
「迷い?」
「運命を天に委ねる、とか、偶然に賭ける、とか、そういう心理さ。
元より、自分でもコントロールしきれない、偶然性の高い『ゲーム』って形で結果を出そうとしてる奴だしな。
もしかしたらどっかに『迷い』があって、『ゲームが失敗する可能性』を、自ら残しているかもしれない。
本人にその自覚があるかどうかは、分かんねーけど」
それは、一種の破滅願望。
ジェダが無意識のうちにこの『ゲーム』の是非を迷い、その迷いが『ゲーム破綻の鍵』を用意した可能性。
レベッカが指摘したのは、そういうことだ。
確かに、そういった意味が隠れているなら、このような手の込んだ湖底都市にも存在意義が出てくる。
ジェダが無意識のうちにこの『ゲーム』の是非を迷い、その迷いが『ゲーム破綻の鍵』を用意した可能性。
レベッカが指摘したのは、そういうことだ。
確かに、そういった意味が隠れているなら、このような手の込んだ湖底都市にも存在意義が出てくる。
「つまり――この街のどこかに、『ゲーム』を壊す鍵があるかもしれない、ってこと?」
「あんま期待すんなよ~~。何も見つからない可能性の方が、きっと大きいんだから。
それに、今のあたしらにはロクに情報が無い。今のあたしらが見ても、ソレと分からないかもしれない。
でも、後で時間に余裕あったら、『ダメもと』くらいの気分で、じっくり調べ直してみてもいいかもな」
「あんま期待すんなよ~~。何も見つからない可能性の方が、きっと大きいんだから。
それに、今のあたしらにはロクに情報が無い。今のあたしらが見ても、ソレと分からないかもしれない。
でも、後で時間に余裕あったら、『ダメもと』くらいの気分で、じっくり調べ直してみてもいいかもな」
2人の前には、沈黙を守る静かな湖底都市。
一体そこに、どんな秘密が隠れているのか?
けれどもまずは、この湖底のどこかに居るはずの翠星石を探すべく、1歩踏み出した2人は――
ふと、揃って頭上を見上げた。
一体そこに、どんな秘密が隠れているのか?
けれどもまずは、この湖底のどこかに居るはずの翠星石を探すべく、1歩踏み出した2人は――
ふと、揃って頭上を見上げた。
轟音。そして振動。
澄み切った水の中に、もうもうと粉塵が舞い上がる。
それは、何の脈絡も無く、狙いすぎなタイミングで、静かな湖底の街に飛び込んできて――!
澄み切った水の中に、もうもうと粉塵が舞い上がる。
それは、何の脈絡も無く、狙いすぎなタイミングで、静かな湖底の街に飛び込んできて――!
* * *
――同時刻。森の中。
「……あっち、だったよな?」
明石薫。
ようやく視力の回復した彼女は、大きな音を立てて飛んでいった影を追うべく、大地を蹴る。
それがもし、先ほど一戦交えた空飛ぶ女なら、追いかけてブッ飛ばさなければならない。
それがもし、葵の連続テレポートによる残像だったなら、追いかけて合流しなければならない。
根本から大きな勘違いを抱えたまま、彼女は宙を飛び始めた。
ようやく視力の回復した彼女は、大きな音を立てて飛んでいった影を追うべく、大地を蹴る。
それがもし、先ほど一戦交えた空飛ぶ女なら、追いかけてブッ飛ばさなければならない。
それがもし、葵の連続テレポートによる残像だったなら、追いかけて合流しなければならない。
根本から大きな勘違いを抱えたまま、彼女は宙を飛び始めた。
* * *
「……ねぇ、ベッキー」
「なんだ?」
「これ、何だと思う?」
「……槍、だな」
「やっぱり、槍か」
「誰かがどっかから投げた、のか?」
「だとしたら、その人はきっと、凄い力持ちなんだね」
「『力持ち・オブ・ジ・イヤーです』、ってか?
……んなわけあるかよ。姫子じゃあるまいし、そんな説明で納得する奴があるか。アホらし」
「ヒメコ、って?」
「元の世界に残してきた、ウチの生徒。オメガ馬鹿な奴」
「……オメガ馬鹿、か。確かにこれは、それくらいの言葉じゃないと、表現できないかも」
「なんだ?」
「これ、何だと思う?」
「……槍、だな」
「やっぱり、槍か」
「誰かがどっかから投げた、のか?」
「だとしたら、その人はきっと、凄い力持ちなんだね」
「『力持ち・オブ・ジ・イヤーです』、ってか?
……んなわけあるかよ。姫子じゃあるまいし、そんな説明で納得する奴があるか。アホらし」
「ヒメコ、って?」
「元の世界に残してきた、ウチの生徒。オメガ馬鹿な奴」
「……オメガ馬鹿、か。確かにこれは、それくらいの言葉じゃないと、表現できないかも」
なんと言うか……それは、真面目に考えるのも馬鹿らしくなる光景だった。
湖底都市に並ぶ三角屋根の家の1つ。
そこに、真っ赤な槍が、突き立っていた。
つい先ほどまでは、無かったもの。
ついさっき、遥か遠くから飛んできて、湖面を突き破り、屋根に刺さってようやく止まったもの。
一体どれだけのエネルギーで射出すればそんな真似が出来るというのか?
どう対処したものか困り果てるレベッカの隣で、ジーニアスが小さく呟く。
湖底都市に並ぶ三角屋根の家の1つ。
そこに、真っ赤な槍が、突き立っていた。
つい先ほどまでは、無かったもの。
ついさっき、遥か遠くから飛んできて、湖面を突き破り、屋根に刺さってようやく止まったもの。
一体どれだけのエネルギーで射出すればそんな真似が出来るというのか?
どう対処したものか困り果てるレベッカの隣で、ジーニアスが小さく呟く。
「――ドワーフの誓い、第108番」
「??」
「『触らぬ神に、祟りなし』」
「……7番や16番に比べると、随分と弱腰な誓いだなァ。てか、本当に108個もあるのかよ?」
「??」
「『触らぬ神に、祟りなし』」
「……7番や16番に比べると、随分と弱腰な誓いだなァ。てか、本当に108個もあるのかよ?」
普通に考えて、単純な力持ちが腕力に任せて投げても、こうはならない。
きっとこれも、何か普通でない力を持った槍なのだろう。
そして、その「普通でない力」の発動方法も分からず、また槍で戦う心得も持たない2人にとっては……。
きっとこれも、何か普通でない力を持った槍なのだろう。
そして、その「普通でない力」の発動方法も分からず、また槍で戦う心得も持たない2人にとっては……。
「だが――同感だ。薮蛇はごめんだからな。見なかったことにしよう」
「うん。僕もそれがいいと思う」
「うん。僕もそれがいいと思う」
使えもしない強力なアイテムを持っていたって、せいぜい誰かに狙われるだけ。寿命を縮めるだけだ。
「それ」を使いこなせる参加者がどこかに居るらしい、という事実は、それなりに気にはなったが。
肩を竦めた2人は、それっきり赤い槍から視線を外すと、湖底都市の石畳の道を歩き始めた。
今見つけなければならないのは、敵を倒すための強い武器ではない。
2人の大切な仲間、翠星石の姿なのだ。
「それ」を使いこなせる参加者がどこかに居るらしい、という事実は、それなりに気にはなったが。
肩を竦めた2人は、それっきり赤い槍から視線を外すと、湖底都市の石畳の道を歩き始めた。
今見つけなければならないのは、敵を倒すための強い武器ではない。
2人の大切な仲間、翠星石の姿なのだ。
* * *
――同時刻。湖の上。
「あっちゃー、こっちに飛んでったと思ったんだけどな」
明石薫は、湖の近くにまで到達していた。
飛んでいった影を見失った彼女は、キョロキョロと周囲を見回してみる。
でも、湖畔に人影は無い。対岸にも誰も居ない。
湖底に沈んだ街が気になったのか、彼女は頭を水の中に突っ込んで見るが、すぐに顔を上げる。
飛んでいった影を見失った彼女は、キョロキョロと周囲を見回してみる。
でも、湖畔に人影は無い。対岸にも誰も居ない。
湖底に沈んだ街が気になったのか、彼女は頭を水の中に突っ込んで見るが、すぐに顔を上げる。
「……水の中に人がいるわけないよなー」
――残念。
もう少し長く、もう少し注意深く探せば、湖底を歩くレベッカとジーニアスの2人を見つけられたはずなのだが。
元々飽きっぽい性格の薫は、すぐに別のものに気を惹かれる。
もう少し長く、もう少し注意深く探せば、湖底を歩くレベッカとジーニアスの2人を見つけられたはずなのだが。
元々飽きっぽい性格の薫は、すぐに別のものに気を惹かれる。
「向こう岸に降りたのかな? ……ん?」
* * *
揺らめく水面から、キラキラと光が降り注ぐ。
屈折の加減によるものか、湖底の街の十字路は、まるでスポットライトを当てられたかのように輝いて。
見守る観客も居ない光の舞台の中、『彼女』は静かに眠っていた。
目を閉じ、ピクリとも動かぬまま――否、二度と動けぬ姿のまま、訪れる者を待っていた。
屈折の加減によるものか、湖底の街の十字路は、まるでスポットライトを当てられたかのように輝いて。
見守る観客も居ない光の舞台の中、『彼女』は静かに眠っていた。
目を閉じ、ピクリとも動かぬまま――否、二度と動けぬ姿のまま、訪れる者を待っていた。
「……翠星石」
呆然と名を呼んだのは、2人のうちのどちらだったのか。
駆け寄りたい気持ちを抑えて、レベッカとジーニアスは、ゆっくりと歩み寄る。
駆け寄りたい気持ちを抑えて、レベッカとジーニアスは、ゆっくりと歩み寄る。
それは、美しくも無惨な姿だった。
打ち砕かれた四肢はどれも半ばから失われ、腹部には大きな穴を開けられて。
それがヒトならざる「生きた人形」だとしても、命永らえることなどできぬ損傷。
水中での戦いの結末がどんなものだったのか、それは誰の目にも明らかだった。
それは出会いの時と同じ――否、出会いの時以上に最悪な再会。
打ち砕かれた四肢はどれも半ばから失われ、腹部には大きな穴を開けられて。
それがヒトならざる「生きた人形」だとしても、命永らえることなどできぬ損傷。
水中での戦いの結末がどんなものだったのか、それは誰の目にも明らかだった。
それは出会いの時と同じ――否、出会いの時以上に最悪な再会。
「……うそつき。翠星石の、うそつき。『絶対勝てる』って、言ってたじゃないか……」
ジーニアスが、がっくりと膝をつく。
握り締めた拳が震える。水の中に、涙が舞う。
ここで斃れるのは、自分の役割だったはずだ。一度はその覚悟も決めたのだ。
なのに、なんで、こんな……!
握り締めた拳が震える。水の中に、涙が舞う。
ここで斃れるのは、自分の役割だったはずだ。一度はその覚悟も決めたのだ。
なのに、なんで、こんな……!
元より、翠星石が生きている可能性を本気で信じていたわけではない。
この結果を予想してなかったわけではない。
けれど、改めて厳然たる事実を突きつけられると、涙が止まらない。
何故あの時、自分は彼女を止めなかったのだろう。何故あの時、呪文を唱え切れなかったのだろう。
ジーニアスは、自分を責め続ける。自分の判断と行動を、悔やみ続ける。
――そんな彼の姿に、レベッカは。
この結果を予想してなかったわけではない。
けれど、改めて厳然たる事実を突きつけられると、涙が止まらない。
何故あの時、自分は彼女を止めなかったのだろう。何故あの時、呪文を唱え切れなかったのだろう。
ジーニアスは、自分を責め続ける。自分の判断と行動を、悔やみ続ける。
――そんな彼の姿に、レベッカは。
「……よく見ろよ、ジーニアス。早とちりすんなって。ちゃんと、コイツの顔を見てやれ」
「……?」
「……?」
不意にかけられた、レベッカの優しい、落ち着いた声。
顔を上げた彼は、彼女に促されるままに、翠星石の遺体の方を向く。そしてようやく気付く。
顔を上げた彼は、彼女に促されるままに、翠星石の遺体の方を向く。そしてようやく気付く。
翠星石は――笑っていた。
実に満足そうな、安らかな微笑みを浮かべて、眠っていた。
最期に浮かべた表情は、苦痛でも無念でも無く。心の底から満ち足りたような、そんな穏やかな笑顔。
実に満足そうな、安らかな微笑みを浮かべて、眠っていた。
最期に浮かべた表情は、苦痛でも無念でも無く。心の底から満ち足りたような、そんな穏やかな笑顔。
「コイツは、勝ったんだよ。戻ってくることはできなかったけど、でもきっと、ここで勝負に勝ったんだよ。
あの女がどこに流されたのか、生きてるのか死んでるのかは知らねーけど。
でも、間違いなくコイツは――翠星石は、勝ったんだよ。
でなきゃ、性格の悪いコイツが、こんな顔、できやしないって」
あの女がどこに流されたのか、生きてるのか死んでるのかは知らねーけど。
でも、間違いなくコイツは――翠星石は、勝ったんだよ。
でなきゃ、性格の悪いコイツが、こんな顔、できやしないって」
自分に言い聞かせるように紡がれるレベッカの声が、途中から震えだす。
宇宙服のヘルメットの中、目の端に溢れる涙を拭うこともできず、それでも彼女は必死に笑顔を浮かべる。
宇宙服のヘルメットの中、目の端に溢れる涙を拭うこともできず、それでも彼女は必死に笑顔を浮かべる。
「こ、コイツが笑って逝ったんだから、の、残されたあたしたちが、泣いてちゃダメだ。
す、翠星石の想いを、む、無駄にしないためにも、あ、あた、あたしたちは……」
「……ベッキー」
「あ、あたしは、な、泣いてなんかないからな! あたしが、泣く理由なんて……泣く必要なんて……!!」
す、翠星石の想いを、む、無駄にしないためにも、あ、あた、あたしたちは……」
「……ベッキー」
「あ、あたしは、な、泣いてなんかないからな! あたしが、泣く理由なんて……泣く必要なんて……!!」
強がりでしかない少女の叫びは、次第に尻すぼみになり、やがてしゃくり上げるような息遣いに取って代わり。
僅かな躊躇いの後、ジーニアスはゆっくりと彼女を抱きしめる。
僅かな躊躇いの後、レベッカも無言で彼に縋り付く。
キラキラと輝く水底の光の舞台の中、宇宙服と縞水着の2人は、しばしその沈黙を、噛み締める。
僅かな躊躇いの後、ジーニアスはゆっくりと彼女を抱きしめる。
僅かな躊躇いの後、レベッカも無言で彼に縋り付く。
キラキラと輝く水底の光の舞台の中、宇宙服と縞水着の2人は、しばしその沈黙を、噛み締める。
無駄には、しない。
言葉にせずとも、触れ合った所から、互いの想いが伝わる。互いの誓いが伝わる。
翠星石に救われたこの命、決して無駄にはしない。
哀しみはやがて強い決意となり、2人の心に強く刻まれる。
言葉にせずとも、触れ合った所から、互いの想いが伝わる。互いの誓いが伝わる。
翠星石に救われたこの命、決して無駄にはしない。
哀しみはやがて強い決意となり、2人の心に強く刻まれる。
こんな戦いは、間違っている。
ジェダ自身にも、迷いがあるかもしれないのなら――絶対に、止めてみせる。
ジェダ自身にも、迷いがあるかもしれないのなら――絶対に、止めてみせる。
* * *
――同時刻。湖の上。
「……なんだありゃ?」
明石薫。
彼女は、湖の上に浮かぶ赤い宝石を見つけて、首を傾げる。
何なのだろう、これは? なんでこんなものがこんな所にあるんだろう?
首を傾げる彼女は、そしてふと、湖底で動く小さな影を見つける。
彼女は、湖の上に浮かぶ赤い宝石を見つけて、首を傾げる。
何なのだろう、これは? なんでこんなものがこんな所にあるんだろう?
首を傾げる彼女は、そしてふと、湖底で動く小さな影を見つける。
「……なんだ、ありゃ?」
動かない湖上の宝石、ちょっとだけど動いている湖底の影。
いや、なんだかその湖底の影は、少しずつ、ゆっくりと大きくなってきているような……?
いや、なんだかその湖底の影は、少しずつ、ゆっくりと大きくなってきているような……?
* * *
「……なあ、ジーニアス。あの、上で光ってるの、何だと思う?」
「何だろう? ここからじゃ、よく分からないな……湖面に浮かんでいるのかな?」
「何だろう? ここからじゃ、よく分からないな……湖面に浮かんでいるのかな?」
悲しみの嵐が通り過ぎて、ようやく平静に戻った2人は、やがてどちらからともなく気付く。
頭上はるか遠くに輝く、赤い光。
それはちょうど翠星石の身体が倒れた場所の、真上に当たる位置。
頭上はるか遠くに輝く、赤い光。
それはちょうど翠星石の身体が倒れた場所の、真上に当たる位置。
「……見に行くか」
「それはいいけど……どうやって?」
「それはいいけど……どうやって?」
レベッカの言葉に、ジーニアスは首を傾げる。
水中行動を可能にする2人の装備、しかしそれは湖底や海底を歩くためのもの。
湖面まで浮かび上がるのは、簡単ではないはずだったが……。
水中行動を可能にする2人の装備、しかしそれは湖底や海底を歩くためのもの。
湖面まで浮かび上がるのは、簡単ではないはずだったが……。
「まあ、こーゆーこともあるかと思ってな。取り出しやすいよう、用意しといたんだ。
元々これも、翠星石の支給品の1つだけどな」
元々これも、翠星石の支給品の1つだけどな」
レベッカはジーニアスに微笑みかけると、荷物で膨らんだ腹部を、宇宙服越しに弄り始める。
やがて宇宙服の中でランドセルの蓋が開かれ、支給品のうちの1つが自然に滑り出る。
ただでさえ荷物で膨らんでいたレベッカの腹部に、ヘソのような突起を持つ円盤の形が浮かび上がる。
やがて宇宙服の中でランドセルの蓋が開かれ、支給品のうちの1つが自然に滑り出る。
ただでさえ荷物で膨らんでいたレベッカの腹部に、ヘソのような突起を持つ円盤の形が浮かび上がる。
『魔導ボード』。
それは魔技師トマが作った魔法の道具。魔力によって空中に浮かぶ乗り物。
もっとも、それが取れる高度は極めて低く、「飛ぶ」というより地上スレスレを「滑る」感覚で使うものだが……。
レベッカは、その「浮力」を「浮き輪」代わりに使おうと考えたのだ。
魔力を発現したソレが、湖面目指して浮かび始める。
ランドセルから出てもそこは宇宙服の中で、だからソレは宇宙服ごとレベッカを引っ張って。
そのレベッカはジーニアスの手をしっかり握っているから、ジーニアスの身体も一緒に引き上げられる。
それは魔技師トマが作った魔法の道具。魔力によって空中に浮かぶ乗り物。
もっとも、それが取れる高度は極めて低く、「飛ぶ」というより地上スレスレを「滑る」感覚で使うものだが……。
レベッカは、その「浮力」を「浮き輪」代わりに使おうと考えたのだ。
魔力を発現したソレが、湖面目指して浮かび始める。
ランドセルから出てもそこは宇宙服の中で、だからソレは宇宙服ごとレベッカを引っ張って。
そのレベッカはジーニアスの手をしっかり握っているから、ジーニアスの身体も一緒に引き上げられる。
「あたしは天才だからなー。魔法は使えねーけど、こんな風に道具を使いこなすくらい、簡単なのさ」
「どうでもいいけど……ちょっと他人には見られたくない構図だね、これ」
「……いいじゃんかよ、どうせ誰も居ないんだし。てか、あんま見るな! あたしだって恥ずかしいんだぞ!」
「どうでもいいけど……ちょっと他人には見られたくない構図だね、これ」
「……いいじゃんかよ、どうせ誰も居ないんだし。てか、あんま見るな! あたしだって恥ずかしいんだぞ!」
片手に木刀を持った少女が、大きく膨らんだお腹を上に向けて、湖面目指してゆっくりと昇っていく。
そんな彼女に縋り付くようにぶら下がった少年は、縞模様の水着に、頭にはヘッドライト、手には杖。
見るからに不審な姿の2人は、やがて煌く水面に近づき、そして――
そんな彼女に縋り付くようにぶら下がった少年は、縞模様の水着に、頭にはヘッドライト、手には杖。
見るからに不審な姿の2人は、やがて煌く水面に近づき、そして――
* * *
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
明石薫。
誰も居ないはずの湖面に、ふわふわと空中に「座って」いた少女は、そして黙り込む。
間に赤い宝石を挟んで、気まずい沈黙の中、浮かび上がってきた2人と向かい合う。
誰も居ないはずの湖面に、ふわふわと空中に「座って」いた少女は、そして黙り込む。
間に赤い宝石を挟んで、気まずい沈黙の中、浮かび上がってきた2人と向かい合う。
まるで妊婦か水死体か、というほど膨らんだお腹を上にして、湖面に浮かぶチビッ子宇宙飛行士。
そんな白い塊にしがみ付いているのは、囚人のような縞模様の服を着た銀髪の少年。
対する薫は、パンツ丸見えの格好で、水面近くに胡坐をかいて――
そんな白い塊にしがみ付いているのは、囚人のような縞模様の服を着た銀髪の少年。
対する薫は、パンツ丸見えの格好で、水面近くに胡坐をかいて――
「……誰だ、お前ら」
「……お前こそ、誰だよ」
「……お前こそ、誰だよ」
ジト目な薫の言葉に、宇宙服に入っていた金髪の少女が不機嫌そうに問い返す。
おろおろと困った様子の銀髪の少年も含めて、しばし沈黙。
おろおろと困った様子の銀髪の少年も含めて、しばし沈黙。
(こいつら……あの城のあたりから飛んでいった連中か? どっちもヘンテコな格好しやがって!)
(み、見られた……! この格好を見られた……! は、早く口を封じないと……てか殺すッ……!)
(ひょっとして……この子があの槍を?! 最悪でも、ベッキーだけは守らなきゃ……!)
(み、見られた……! この格好を見られた……! は、早く口を封じないと……てか殺すッ……!)
(ひょっとして……この子があの槍を?! 最悪でも、ベッキーだけは守らなきゃ……!)
出会いはいつだって最悪。
初対面の印象は、いつだってロクなものじゃない。
誤解と気まずさが、賢明な頭脳を狂わせてしまうこともある。
焦りと苛立ちが、力の使い方を誤らせてしまうこともある。
湖の上で対面した1人と2人は、そして……。
初対面の印象は、いつだってロクなものじゃない。
誤解と気まずさが、賢明な頭脳を狂わせてしまうこともある。
焦りと苛立ちが、力の使い方を誤らせてしまうこともある。
湖の上で対面した1人と2人は、そして……。
【E-6/湖面/1日目/昼】
【ジーニアス・セイジ@テイルズオブシンフォニア】
[状態]:中程度の疲労。中程度の魔力消費。
[服装]:縞模様の水着。頭にはヘッドランプ、鼻にはエア・チューブ、足には快速シューズ。
[装備]:ネギの杖@魔法先生ネギま!、木村先生の水着@あずまんが大王、
海底探検セット(深海クリーム、エア・チューブ、快速シューズ、ヘッドランプ)@ドラえもん
[道具]:ナマコ型寝袋、支給品一式、普段着、モンスターボール(ウツドン)@ポケットモンスター
海底探検セットの残り(ま水ストロー、深海クリームの残り) @ドラえもん
[思考]:…………君、誰?
第一行動方針:薫に対する強い警戒。何が起きてもベッキーは守る。必要なら戦ってでも守る。
第二行動方針:殺し合いのゲームに乗っている奴がいたら、倒す。
第三行動方針:後で改めて湖底都市を探索する。
第四行動方針:もしもイリヤに再会することがあったら、翠星石の仇を取りたい。
基本行動方針:主催者の打倒
参加時期:ヘイムダール壊滅後。ちなみにあえてクラトスルート。
[備考]:
ジーニアスの「道具」欄の持ち物(ランドセル含む)は、
深海探検セットのうちの1つ・ナマコ型寝袋に入れられ、肩に担がれています。
中に入っている道具類を取り出すには、一旦寝袋を開く必要があります。
(今の状態でそれをすれば、確実に荷物の中に浸水しますが)
【ジーニアス・セイジ@テイルズオブシンフォニア】
[状態]:中程度の疲労。中程度の魔力消費。
[服装]:縞模様の水着。頭にはヘッドランプ、鼻にはエア・チューブ、足には快速シューズ。
[装備]:ネギの杖@魔法先生ネギま!、木村先生の水着@あずまんが大王、
海底探検セット(深海クリーム、エア・チューブ、快速シューズ、ヘッドランプ)@ドラえもん
[道具]:ナマコ型寝袋、支給品一式、普段着、モンスターボール(ウツドン)@ポケットモンスター
海底探検セットの残り(ま水ストロー、深海クリームの残り) @ドラえもん
[思考]:…………君、誰?
第一行動方針:薫に対する強い警戒。何が起きてもベッキーは守る。必要なら戦ってでも守る。
第二行動方針:殺し合いのゲームに乗っている奴がいたら、倒す。
第三行動方針:後で改めて湖底都市を探索する。
第四行動方針:もしもイリヤに再会することがあったら、翠星石の仇を取りたい。
基本行動方針:主催者の打倒
参加時期:ヘイムダール壊滅後。ちなみにあえてクラトスルート。
[備考]:
ジーニアスの「道具」欄の持ち物(ランドセル含む)は、
深海探検セットのうちの1つ・ナマコ型寝袋に入れられ、肩に担がれています。
中に入っている道具類を取り出すには、一旦寝袋を開く必要があります。
(今の状態でそれをすれば、確実に荷物の中に浸水しますが)
【レベッカ宮本@ぱにぽに】
[状態]:背中に裂傷(応急処置済)、疲労中程度
[服装]:ダボダボの宇宙服。宇宙服の下には普段通りの服を着たまま(白衣だけ脱いでいる)。
腹部に抱えるように荷物やら白衣やらを詰め込んでいて、妊婦のように膨らんでいる。
[装備]:木刀@銀魂、宇宙服(最小サイズ)@からくりサーカス
[道具]:支給品一式、15歳のシャツ@よつばと!を裂いた布、魔導ボード@魔法陣グルグル!
翠星石の荷物(未確認支給品はもうなし)
[思考]:…………誰だお前。
第一行動方針:薫に対する強い警戒。てか、無様な格好を見られてすんごく恥ずかしい。口を封じたい。
第ニ行動方針:殺し合いのゲームに乗っている奴がいたら、ぶっ飛ばす。
第三行動方針:後で改めて湖底都市を探索する
第四行動方針:もしもイリヤに再会することがあったら、一発キツいお仕置きをしてやりたい。
基本行動方針:主催者の打倒。
参加時期:小学校事件が終わった後
[備考]:
レベッカは、ランドセル2つと魔導ボードと白衣を腹に抱えた上に、宇宙服を着た状態です。
持ち物を取り出すには、一旦宇宙服を脱ぐ必要があります。木刀だけは片手に持っています。
[状態]:背中に裂傷(応急処置済)、疲労中程度
[服装]:ダボダボの宇宙服。宇宙服の下には普段通りの服を着たまま(白衣だけ脱いでいる)。
腹部に抱えるように荷物やら白衣やらを詰め込んでいて、妊婦のように膨らんでいる。
[装備]:木刀@銀魂、宇宙服(最小サイズ)@からくりサーカス
[道具]:支給品一式、15歳のシャツ@よつばと!を裂いた布、魔導ボード@魔法陣グルグル!
翠星石の荷物(未確認支給品はもうなし)
[思考]:…………誰だお前。
第一行動方針:薫に対する強い警戒。てか、無様な格好を見られてすんごく恥ずかしい。口を封じたい。
第ニ行動方針:殺し合いのゲームに乗っている奴がいたら、ぶっ飛ばす。
第三行動方針:後で改めて湖底都市を探索する
第四行動方針:もしもイリヤに再会することがあったら、一発キツいお仕置きをしてやりたい。
基本行動方針:主催者の打倒。
参加時期:小学校事件が終わった後
[備考]:
レベッカは、ランドセル2つと魔導ボードと白衣を腹に抱えた上に、宇宙服を着た状態です。
持ち物を取り出すには、一旦宇宙服を脱ぐ必要があります。木刀だけは片手に持っています。
[備考]:
現在の2人の姿勢は、
「レベッカが仰向けに浮いていて、そこにジーニアスが捕まって水面に顔を出している」状態です。
ジーニアスがレベッカから手を離せば、恐らく彼は『快速シューズ』の重みでゆっくりと沈みます。
レベッカが宇宙服の中で魔導ボードをランドセルに仕舞えば、恐らく2人はゆっくりと沈みます。
現在の2人の姿勢は、
「レベッカが仰向けに浮いていて、そこにジーニアスが捕まって水面に顔を出している」状態です。
ジーニアスがレベッカから手を離せば、恐らく彼は『快速シューズ』の重みでゆっくりと沈みます。
レベッカが宇宙服の中で魔導ボードをランドセルに仕舞えば、恐らく2人はゆっくりと沈みます。
【E-6/湖上(飛行中)/1日目/昼】
【明石薫@絶対可憐チルドレン】
[状態]:ぐっすり眠って疲労は回復。右足打撲。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、バレッタ人形@ヴァンパイアセイヴァー
[思考]:…………誰だ、おまえら?
第一行動方針:目の前の2人に警戒。戦うつもりなら容赦しない。
第ニ行動方針:葵や紫穂を探す。二人に危害を加える奴は容赦しない。
第三行動方針:あの女(ベルカナ)に会えたら、仕返しをする。
最終行動方針:ジェダをぶっ飛ばして三人で帰る。
【明石薫@絶対可憐チルドレン】
[状態]:ぐっすり眠って疲労は回復。右足打撲。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、バレッタ人形@ヴァンパイアセイヴァー
[思考]:…………誰だ、おまえら?
第一行動方針:目の前の2人に警戒。戦うつもりなら容赦しない。
第ニ行動方針:葵や紫穂を探す。二人に危害を加える奴は容赦しない。
第三行動方針:あの女(ベルカナ)に会えたら、仕返しをする。
最終行動方針:ジェダをぶっ飛ばして三人で帰る。
[備考]:
薫は、ベッキー&ジーニアスの2人が、城から飛び出した影の正体かと疑っています。
ジーニアスは、薫がゲイボルグを投げた人物なのでは、と疑っています。
薫は、ベッキー&ジーニアスの2人が、城から飛び出した影の正体かと疑っています。
ジーニアスは、薫がゲイボルグを投げた人物なのでは、と疑っています。
[備考]:
城から飛び出したゲイボルグは、E-6の湖底の建物の屋根に突き刺さったままです。
現時点では、レベッカとジーニアスの2人だけがその場所を把握しています。
城から飛び出したゲイボルグは、E-6の湖底の建物の屋根に突き刺さったままです。
現時点では、レベッカとジーニアスの2人だけがその場所を把握しています。
【アイテム紹介】
(ジーニアスの支給品)
【宇宙服(最小サイズ)@からくりサーカス】
「からくりサーカス」の最終章において勝が着用した宇宙服。
一番小さなサイズのものではあるが、それでも大人用の既製品なので、ロリショタの体格にはかなり大きい。
でも、一応ちゃんと機能する。気密性や耐圧性、防温性は十分。
【宇宙服(最小サイズ)@からくりサーカス】
「からくりサーカス」の最終章において勝が着用した宇宙服。
一番小さなサイズのものではあるが、それでも大人用の既製品なので、ロリショタの体格にはかなり大きい。
でも、一応ちゃんと機能する。気密性や耐圧性、防温性は十分。
(レベッカ宮本の支給品)
【木村先生の水着@あずまんが大王】
「女子高生とか好きだからー!」な木村先生の横縞水着。
身体にぴったりと密着する、半袖半ズボンのワンピース型。ちょっとレトロというか、カッコ悪いというか。
ジェダの計らいの一環として、参加者の標準的な体格に合わせてある。
【木村先生の水着@あずまんが大王】
「女子高生とか好きだからー!」な木村先生の横縞水着。
身体にぴったりと密着する、半袖半ズボンのワンピース型。ちょっとレトロというか、カッコ悪いというか。
ジェダの計らいの一環として、参加者の標準的な体格に合わせてある。
(翠星石の支給品×2)
【魔導ボード@魔法陣グルグル!】
トマが作った魔法の道具。魔法の呪文が書かれた丸い板の真ん中に、丸い水晶玉が嵌っている。
水晶玉に込められた魔法の力で、ヒト1人くらいなら乗せたまま地面から浮かぶことができる。
飛ぶというより、地上スレスレを滑って移動するスケボーのような感覚。乗りこなすには多少のコツが要る。
浮遊のための魔力は充電式で、魔法使いなら誰でも再チャージすることができる。
劇中では「ナベの蓋」などと酷評されていたが、使い所を間違えなければ結構使える道具。
【魔導ボード@魔法陣グルグル!】
トマが作った魔法の道具。魔法の呪文が書かれた丸い板の真ん中に、丸い水晶玉が嵌っている。
水晶玉に込められた魔法の力で、ヒト1人くらいなら乗せたまま地面から浮かぶことができる。
飛ぶというより、地上スレスレを滑って移動するスケボーのような感覚。乗りこなすには多少のコツが要る。
浮遊のための魔力は充電式で、魔法使いなら誰でも再チャージすることができる。
劇中では「ナベの蓋」などと酷評されていたが、使い所を間違えなければ結構使える道具。
【海底探検セット@ドラえもん】
のび太が太平洋を歩いて横断しようと試みた際、ドラミちゃんが用意した品々。
初出はてんとう虫コミック4巻だが、個々の道具はその後もしばしば登場している。
ただし、ジェダが一部のアイテムを削っている。具体的には以下の品々からなる。
のび太が太平洋を歩いて横断しようと試みた際、ドラミちゃんが用意した品々。
初出はてんとう虫コミック4巻だが、個々の道具はその後もしばしば登場している。
ただし、ジェダが一部のアイテムを削っている。具体的には以下の品々からなる。
- 深海クリーム;全身に塗ることで、1万メートルの深海の圧力や低温にも耐えられるようになる。
- エラ・チューブ;鼻に詰めることで水中呼吸が可能に。何故か水中での会話も普通にできるようになる。
- 快速シューズ;海底を歩く速度を速めると同時に、海底を歩く際、重りの代わりになる。
- ま水ストロー;海水を真水に変換できるストロー。海底歩行時の水分補給に使う。
- ヘッドランプ;水中でも長時間使用可能な品。外見は普通のヘッドランプ。
- 寝袋;ナマコに似た外見の水中用寝袋。サメ等から身を守るトゲ、流されないための碇などがついている。
もちろん、海底でなく真水の中でも普通に使用できる。(ま水ストローは無用の存在になるが)
本来の『深海探検セット』は、ここに『通信機』、『コンパスと海図』、『水中用圧縮食料』、『水圧銃』
が加わるが、これらのアイテムは(水中探検には直接関係ない、などの理由で)ジェダが削っている。
本来の『深海探検セット』は、ここに『通信機』、『コンパスと海図』、『水中用圧縮食料』、『水圧銃』
が加わるが、これらのアイテムは(水中探検には直接関係ない、などの理由で)ジェダが削っている。
≪107:デカイ悩みなら抱えて進め | 時系列順に読む | 110:CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU≫ |
≪108:使用上の注意をよく読んでください | 投下順に読む | 110:CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU≫ |
≪066:臆病者の誓い―第7番― | ジーニアス・セイジの登場SSを読む | 140-1:Far lightning/遠雷≫ |
レベッカ宮本の登場SSを読む | ||
≪097:エスパー・フィーバー | 明石薫の登場SSを読む |