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それから4日後の金曜日。俺は団活を休む旨を古泉に伝え、ハルヒのクリスマスプレゼントを探しに行くことにした。
幸いにも今日は午前授業だったため、時間はたっぷりある。

市内探索で集まる北口駅前の銀行に行き、金を下ろす。
俺はお年玉とかのまとまった金は使わない主義なので、財布の中は寒い代わりに口座は非常に豊かである。
女の子に使う金の平均が分からないので、とりあえず多めに五万円を引き出す。

どこに行ったらいいのか分からないので、とりあえず電車に乗り、隣町の大きめのショッピングモールに向かうことにした。


電車に揺られ数分、隣町の駅前ロータリーからバスに乗り、しばらくしてモールに着いた。
平日にも関わらずたくさんの人でにぎわっている。まあ時期が時期だからな。
着いたはいいものの、どんな店に入ったいいのか全く分からない。
腕時計を見ると現在時刻は13時47分。時間はまだまだ余裕なのでとりあえず一通り店内を歩くことにした。


しばらくすると古泉から電話があった。
『どうも。どうです?調子は』
「どうです?って言われてもだな・・・。正直にいえば困ってる」
『今、どこにおられるんですか?』
「隣町のショッピングモールだ」
『ほう、あそこはなんでも買えるのでプレゼントにはいいでしょう』
『ちなみに失礼ですが、ご予算のほうはどうなのでしょうか?差支えなければ答えて頂きたい』
「五万だ」
『おや?あなたそこまでお持ちでしたっけ?』
「余計な御世話だ」
『これはこれは。失礼しました』
『それで、一体どのように困ってるのでしょうか?相談に乗りますよ?』
「お前、ハルヒの前から長いこと姿消して怪しまれないか?」
『それなのですが、今日の団活は中止になりました』
「どういうことだ?」
『僕の推測にすぎませんが・・・やっぱりやめておきましょう』
「なんだよ?」
『いえ、お忘れください』
「なぜだ?」
『未来人の言葉を借りれば、禁則事項、とでも言いましょうか』
「殴るぞ、お前」
『まぁまぁ。とにかく、相談に乗りますよ?』
「そうだったな。それで相談なんだが・・・」
「情けない話なんだが、どんな店に入ったらいいか分からないんだ」
お世辞にも女性経験が多いとは言えない俺は、女性向けのプレゼントがどんな場所で売っているのかが分からなかった。
『お聞きしますが、どのようなものを買うか決めていられるのですか?』
「それなんだが、店を見ながら決めようと思っていたんだ」
『それでは僕も答えかねますよ。こういうショッピングモールには案内所に店内案内のパンフレットが
あります。それを見てどのようなお店に入るか決めてはいかがでしょうか』
なんだ、そんなもんがあるのか。十分無駄にした。
「そうか。じゃあそれを貰ってきて入る店を選ぶことにする」
『それがよいでしょう。またなにかあればお電話していただいて結構です』
「わかった。サンキュ古泉」
『お礼には及びませんよ、あなたの決意は機関としても、一友人としても非常にうれしいことですから』
「・・・言っておくが、俺は機関とか世界の為とか、そういう為のことに決意したんじゃない」
『失礼。誤解を招くようなことをいい申し訳ない』
「じゃあな」
『では』

俺は案内所、インフォメーションセンターなる場所に行った。そこには古泉の言うとおり案内パンフレットが置いてあった。
中を開いてみる。お店に種類ごとに色が分けられている。食品、インテリア、ファッションなど多岐にわたるカテゴリがある。
俺の目を引いたのは、これは俺の為の店ではないのかと思えるような売り文句が書いてある店だった。

『女性へのプレゼントに最適!』

見るとそれは女性向けのファッションインテリア店だった。
何が売ってるかは知らんがあんな売り文句見つけちゃ行かない訳には行かないだろう。

歩いて数分。こうもデカいモールだと移動がいちいち面倒だと考えながら店を探していると、目的の店が目の前にあった。
デカいモールには不釣り合いな小さな店で、街中にあるブティックより少し大きめといったところだ。
ファッションインテリア店なので、服などはあまり置いていない。香水やアクセサリーがメインだ。
男一人で来る店なのだろうか・・・。

店に入って数分、店主であろうか、比較的若い女性の人が話しかけてきた。

「お連れ様はいらっしゃらないのでしょうか?」
「あの、クリスマスプレゼントを買いに来たんです」
「彼女さんですか?」
「彼女っていうか、なんていうか・・・」
「あぁ、分かりました。」
なにが分かったのだろうか。
「どのようなものをお探しで?」
「それが、お店をみて決めようと思って。パンフレット見たら『女性へのプレゼントに最適』って書いてあったので」
「そうですか。でしたら、これとかオススメですよ」

そう言って勧められたモノはまさに女性へのプレゼントといった感じのアクセサリーだった。
「今ならお安いですよ。クリスマスシーズンですので特別にこのお値段でお出ししています。」
値札に書いてあった値段は決して安い値段ではなかった。
その下にクリスマス特別価格と題された値段が踊るように書かれている。

値段はともかく商品が気になった俺は商品を手に取らせてもらうことにした。
「ちょっと見せて頂けますか?」
「わかりました。少々お待ち下さい。」

そう言われしばらくし、店の奥から出てきた女性の手にあったのは、恐らくテスターのアクセサリーであろう。

「どうぞ。」
「ありがとうございます」

銀色のチェーンに繋がれたペンダントは、2つのリングが付いている。
その真ん中にある柔らかい感じの丸みのあるペンダントは、開けることができ、写真を入れるスペースのようなものがある。
一見無地のようにも見えるが、平らになっている裏を見るとそこにはなにやらメッセージが書いてある。

「そのメッセージはお客様がお好きなメッセージを入れることができます。あなたと彼女さんになるであろう人の名前でも構いませんよ。ただ、注意頂くべき点として追加料金が発生します。」
「そのメッセージを注文したとして、何日ぐらいで完成するんでしょうか?」
「今すぐにご注文頂ければ、明日の夜くらいには完成します。当店オリジナルのペンダントなのでその価格と時間でご提供することが可能です。」

「ちょっと時間頂いてもいいですか?」
「はい、どうぞ。」


俺は朝比奈さんに電話することにした。
2回ちょっとのコール音の後に朝比奈さんは出た。
『もしもし、キョン君?』
「はい」
『あら、どうしたの?』
「申し訳ないんですが、ちょっとお時間頂けないでしょうか」
『あ、全然構いませんよ』
「ありがとうございます」
『涼宮さんのことの相談ですね?』
「・・・バレました?」
『キョン君から、しかもこんな時間に電話してくるなんて珍しいですから』
『それで、どういった相談でしょうか?』
「実は、ハルヒへのプレゼントが決まったんです」
『わぁ、何をプレゼントしてあげるんですか?』
「ペンダントをプレゼントすることにしました」
『本当ですか!?涼宮さん絶対喜びますよ!男の人からペンダントだなんて、喜ばない女の子は居ないですよ!』
「そんなにすごいものなんですかね?」

『でも、決まったならいいじゃないですか』
「それが、そのペンダントにメッセージを刻んでくれるらしいんです。そのメッセージをどんなものにしたらいいのかっていうことなんです」
『それでしたら簡単じゃないですか。涼宮さんに対する気持ちを単刀直入に刻めばいいだけの話ですよ』
「そうすればいいのは分かっているんですが、長くなっちゃいそうだし、俺の文才じゃあ・・・」
『キャ!キョン君ってそんなキャラだった?』
「どうでしょうか?」
『とにかく、そういう相談はちょっと私からじゃ答えられないです』
「なぜでしょうか?」
『私にはキョン君の気持ちをそっくりそのまま理解することはできないからです。全部の気持ちを込めなくてもいい。
涼宮さんに気持ちが伝わるメッセージならどんなことでもいいんですよ。』
「なんか思いつきそうにないです・・・」
『じゃなかったら、おふたりの名前でもいいじゃないですか?無理にメッセージを考えなくても、自分と彼氏の名前が刻まれたペンダントなんて渡されたら、私だったらとっても喜びますよ!』
「マジですか?」
『マジです。』
「・・・わかりました。俺とハルヒの名前を刻みます。なんかそっちのほうがしっくりきそうですし。
ありがとうございました、わざわざ」
『いえいえ。頑張って!キョン君!』
「頑張ります」
『じゃあね、キョン君』
「はい、失礼します」

なんか、俺助けられてばっかだな・・・。

俺は再び店に入った。
「すいません。さっきのペンダント、二つ下さい。それと、メッセージの刻印もお願いしていいですか?」
「はい、ありがとうございます。少々お待ち下さい。」
数分待っている間俺は、やっぱり名前とメッセージ両方を刻むという考えに達した。

『気持ちが伝わるメッセージならどんなことでもいいんですよ。』

俺は中学生でも考えそうな言葉を刻むことした。簡単すぎる言葉の上にクサすぎる。
こんな言葉しか考え付かない自分が嫌になる。だが、一応自分なりに気持ちは込めたつもりだ。

「お待たせしました。ではこちらにお名前と電話番号、刻印するメッセージの記入をお願いします」

渡された紙に必要事項を書き、代金を払う。

「では、刻印の完成はお電話でいたします。完成の予定としては明日の土曜日、夜7時頃になりますので、よろしくお願いします。」
「はい、お願いします。」

「ありがとうございましたー!」

女性店主の元気な声を後ろにし、店を後にする。

目的は果たしたので、なんとなくモールをうろついていると中庭に着いた。
クリスマスシーズンだけあって、巨大なツリーがあった。なかなか綺麗だ。
喉が渇いたので近くの自動販売機で缶コーヒーを買い、ベンチに座る。
周囲を見渡すと、意外にもカップルが居たりする。確かにここならなんでもあるし、退屈することはないだろう。
俺とハルヒもここでデートするのも悪くない。ハルヒも食事したり服買ったりするとか言っていたし、『ここに行く』っていうのが決まっていなければ明後日もここに来るとしよう。

一息着いたところで俺は今は会いたくない奴に会ってしまった。谷口と国木田だ。

「あ、やぁキョン。こんなところで会うなんて奇遇だね」
「あれぇ?キョンじゃん!お前こんなとこでなにしてんだ?・・・あっ!お前、涼宮へのプレゼント買いに来たろ?」
一体なんでこいつはこういうことに関して鋭いんだろうか。俺は黙る。
「キョン、一体何をプレゼントするつもりだったんだい?」
「うおー!気になるな!教えろよキョン!」
言わないと何となく後々まずそうだったので、嘘偽りなく正直に話すことにした。
「・・・ペアペンダントだ。悪いか?」
「「おぉー!」」
「やるじゃねぇかキョン!一体いくらアイツの為に使ったんだ?」
「・・・てめぇそんなに俺に殴られてぇか」
「ちょっと谷口、それは聞くべきじゃないと思うな。キョンも落ち着いて。谷口はバカだから、悪気はなかったんだよ」
「誰がバカだよ!・・・そうだ!悪気はなかったんだキョン!」
「まぁ今は何となく気分がいいから許してやる」
「ありがとよ、キョン!危ねぇ危ねぇ」
「そうだキョン、これから暇?一緒にカラオケとかどう?」
「そうだ!男二人じゃムサいしな!」
「男三人だともっとムサいだろ」
「人が増えるだけマシだ!ムサいのが嫌ならナンパでもいいんだぜ?」
「一緒にいる俺が恥ずかしいからやめてくれ。カラオケで男三人ムサく行こうじゃないか」
「それでこそキョンだ!よっしゃ行くぞー!」
やけにテンション高いな、谷口は。
「キョン予定大丈夫だった?」
「あぁ、今日は団活も中止らしいしな。目的も果たしたし」
「そっか。んじゃ行こうか」
「おうよ」

その日の残りの時間は久しぶりに三人で遊んだ。団活ばっかでコイツらと遊ぶのも夏休み以来な気がする。
彩りがない男だらけのカラオケ大会でも十分楽しかったしいいとしよう。



「あ、キョンくんおかえりー!!」
「ただいま、家の中で大声出すんじゃありません」
「はーい!!」
どうやら我が妹には理解力というものが少々足りないらしい。

家の中はカレーのいい香りが充満していた。
自分の部屋に入る適当に制服を脱ぎすて、空腹を満たす。
テレビにはどっかの社長が無機質な謝罪会見を行っている様子が映っている。
どのチャンネルを回しても大して面白いものがなかったので早めに風呂に入ることにした。


風呂上がりの水を一杯口に流し込み、自分の部屋に入る。
久しぶりに馬鹿騒ぎをして疲れていたせいか、ベットに倒れるように寝ころんだ。
何秒か天井を眺めた後、携帯が鳴った。なんとなく予想はついていたが、着信はハルヒからだった。

「キョン!明日の不思議探索忘れるんじゃないわよ!駅前に9時集合!遅刻したら例によって罰金!以上」

俺が一言も発さないうちに電話は切れた。もう慣れたもんだ。

枕元にゲーム機が転がっていたので、手をつける。
2つくらいレベルが上がったところで、いい感じに眠くなってきたので俺は眠りにつくことにした。


第五章
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