「この作品は『ゆきどけ』の作者が書いている」
「『ゆきどけ』とのつながりが無くはない話」
「誕生日などの設定を都合のいいようにしている」
「内容や表現方法など至らないところがあるのは先に謝っておく」
「特にヤマの無い、甘いかどうかもあやしい話」
「作者の授業が始まったため続きは未定」
「理系の人間が書く、練習だと思って」
「嫌な人は戻るボタンを」


「・・・読んでくれるの? ・・・・・ありがとう」

 


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「ねぇ、キョン 教習所に行かないかい?」
全ての始まりは国木田のこの一言だった

「教習所?何の」
「車だよ ほら、高校生になったんだし」
おいおい落ち着け国木田君
確かに高校生になった
俺たち2人は誕生日も早いし、4月の今でもう16才だ
俺は昨日、国木田は先週だったか
「車の免許って18からじゃなかったか」
「車はね でも他にもあるじゃないか」
「・・・バイクか」
「そ バイクなら16歳から乗れるんだよ」
「校則違反にはならないのか?」
「成績が悪くなければ問題ないよ」
軽く言うなお前…
お前はいいかも知んないけど俺にそれはきついぜ?
「頑張ればいいじゃん なんなら僕が教えるよ?」
・・・お前Sになった?
「いやいや だって一人で通うの嫌だもん」
どうしても俺に通わせたいのか
「で? 何がいるんだ?」
「さっすが 話がわかるね
まずは住民票 あと保険証とか身分の証明ができるもの あとは料金かな」
やれやれ・・・


まだハルヒの、ハルヒによる、ハルヒのための部活SOS団が結成される前の話だ
あのころは部活もやってない俺は暇だったしな


経験者はわかると思うがバイクを自転車と同じ感覚で扱うのは危険だ
操作自体は難しくなかった
ブレーキ、アクセル、クラッチ・・・
「そんなに難しくはないし、楽しいもんだな」
「やっぱり? でも、S字とか狭路とか難しいところはあるよ」

国木田の言う通りだ
S字とかクランクは遅いと安定しない
バイクの重さが余計に負担になる
教官うまいなぁ・・・
・・・で、なんでお前もむちゃくちゃうまいんだ 国木田
「え? 内緒だけど乗ってたし」
犯罪だよおまえ
「良いじゃん もう時効だよ」
そうだろうけどな・・・

2週間くらいで教習は終わった
学科がギリギリだったのが俺らしいというかなんというか・・・

「良かったね、キョン これで僕たちバイクに乗れるよ」
それは良いが・・・乗るバイクは無いぞ
てか金もない
「中古でよければ僕の伯父さんがたくさん持ってるよ」
おいおいマジかよ 踏んだり蹴ったりだな
「至れり尽くせりだよキョン」
そうとも言う てか自分で言うか

俺と国木田の家はそんなに遠くない
中学も同じだったしな
自転車で10分くらいだ
国木田のおじさんのところにはさらにそこから15分だ
案外近いんだな
「まぁね 僕ここで乗ってたし」
おじさん・・・

国木田のおじさんは国木田とは似ても似つかぬ巨漢だった
性格も豪快
なるほど・・・これならバイクに乗せてもおかしくないな

「それでね、伯父さん 僕たち免許取ったんだ」
「おぉそうかそうか これで夜中に隠れて高速走らなくてもいいわけだな」
・・・無免許でどこ走ってんだよおまえ
「なら記念に1台ずつ餞別やるよ なぁに、保険料とか車検の料金とかはこっちでやっとくから」
「ちょちょちょ!?」
「遠慮するこたねぇ 俺もお前らくらいの年でよく乗ってたもんだ」
そうでしょうとも いやいやそうじゃなくて そこまでやってもらうのはさすがに・・・
「遠慮するこたねぇよ そうだな、んじゃ1年たったらお前らは二人乗りができる
そのとき可愛い彼女連れて来いや 連れてこられなかったら払ってもらおう」
ん~・・・てかどう見てもこの2台のバイク新車なんですけど
「そうだ HONDA CB400 SUPER FOURだな」
なんか・・・すげぇカッコイイな
「色はどうする? 青と黒があるけど 僕は青がいいな」
もう色なんかどうでもいいよ 
「本当にありがとうございます おじさん」
「ならアニキって呼びな」
「ありがとうございました あにき」
「おぅ! 何かあったらいつでも来な!」
本当にいい人だ

「ところでキョン、このバイクどこに置くんだい?」
ん~そうだな・・・うちには置くスペース・・・無いか
「なら僕のと一緒にうちに置いとく?
車庫じゃないけど雨には当たらないとこあるし」
国木田・・・お前いいやつだな
「いまさら何言ってんのさ」
・・・少しだけ前言撤回な?


SOS団が始まってからも、俺はたまにバイクに乗った
さすがに登校はできないけどな
休みの日とかの気分転換にちょうどいい
もちろんハルヒには言ってないぞ?
「あたしも免許取りに行くわよ!」とか「後ろに乗せなさい!」とか言いそうだし
あいつをバイクに乗せると考えるだけで怖ぇよ

国木田の家に保管してあると言っても、別に家の中通って取りに行くわけじゃない
家の道路を挟んだ向かい側にガレージがある
このうち2台の車は国木田家のものだ
ほかにも何台か停まっているが、もちろん全てシャッター付きだ
そんな中、みんなが自由に停められるスペースが用意されている
と言ってもバイクくらいしか停められないが
そんなわけで俺と国木田のほかに3台ほど停まっている
ぶつからないようにすれば自分のバイクのキーだけあれば出られるんだ
こんなとこ用意してもらって本当にありがたいな・・・

俺と国木田は一緒に走る時もある
一人で気ままに走る時もある
無事故・無違反は守るぞ これ以上迷惑かけらんないしな
両親には反対されなかった
さすがに自分のを持つと知った時は驚いてたが

俺たちが乗り始めて2か月が経った
梅雨の時期はさすがに乗りづらいな・・
雨だと滑りそうで怖いし
俺と国木田が(ハルヒにはばれないように)バイクの話をしていると谷口が入ってきた
「何!?お前らバイク乗ってんの!?チクショーこのブルジョワどもめ!」
そういやお前の誕生日って3月だったな
「そうだよ!あと9カ月は乗れねえよ!」
残念だったな ま、我慢しな
「チクショー・・・」
こいつはほっとこう
「で、今度の日曜のことなんだけど、晴れたら明石海峡渡ってみようと思うんだ」
「マジかよ まぁ50キロくらいだしそんなに遠くないが」
「よかったらキョンも一緒に行かないかい?」
「ん~・・・」
確かその日は団活も無かったな
「いいぜ 行くか たまには遠出もいいもんな」
「そうだよね なら道順とかは僕が調べておくよ」
「あぁわかった んで…鳴門海峡まで渡っちまうのか?」
「初四国が16でしかもバイク…ってのも面白いけど今回はやめとくつもりだよ
神戸の中華街とかも行きたいし」
何かデートみたいだな
「人聞きの悪いこと言うなよキョン」
いや別に反対してるわけじゃないけどな
「ていうか僕ら以外にバイク乗ってそうな人なんていないしね」
俺らが乗ってる事がイレギュラーなんだよ
「たしかにね でもいいじゃん 何か優越感あるし」
俺はハルヒにばれないように行動してるからどっちかっつーと背徳感だがな
「細かいことは気にしない んじゃそういうことでヨロシクね」
あぁわかったよ


日曜
気持ちがいい天気だな
雲ひとつない
「あるよ、あそこに」
良いんだよ 気分的なもんだから
「それじゃ僕が前を走るから
海峡大橋こえたあたりでちょっと休憩しよう
その辺が折り返し地点だし」
了解だ

俺たちのメットはフルフェイスだ
まさか16才の、しかも免許取って2か月の若造には見えないだろう
バイクも良いのに乗ってるし
なんつーか・・・すげぇ気分がいいな
「何か言った?」
いや、なんでもねーよ
「そか、んで昼ごはんはどうする?」
そうだな・・・

俺たちは今淡路島にいる
道もそれなりに混んでたが特に渋滞というわけでもなかった
朝9時頃出て、昼前には海峡を渡り終えた
「やっぱし狭い住宅地を走るよりこっちの方がいいな」
「そうだね スピードも出せるし」
「お、こんなとこにも讃岐うどんの店あんだな
本場に近いからか?」
「理由はともかくお昼はここにしよっか」
そうだな


結局神戸でも買い物と軽い夕飯、夜7時頃には家に帰れた
妹のアタックを受けてる余裕はない
思ったより疲れたな
まぁ1日乗ったのも初めてだからしょうがないか…
・・・・もう寝よう

 

「駅前に新しい喫茶店ができたんだって!!!」
そうかい
われらが団長涼宮ハルヒ様は雑誌を持った朝比奈さんを持ってそう言った
「スイーツがすんごい美味しいらしいの!!」
なぜ俺に言う
「これからみんなで食べに行くわよ!!」
そうだろうと思ってたがなぜ俺を見て言う?
「そういやキョン、こないだの遅刻した分ってまだおごってないわよねぇ・・・」
うっ!!
あの時は本当に金欠で古泉に借りたんだったっけ…
「これから皆で食べに行くわよ!」
ちょっと待て! 今の発言の後にそれかよ!!
「何?どうかしたのキョン?」
今の流れだと俺がおごることにならねえか?
「それが何よ」
俺にそんな資源はねぇ!!
「なによケチくさい男ね・・・」
こんなのに耐えられるほどうちの家庭は裕福じゃねえよ
「やっほーーみんないるっかい?」
「鶴屋さん!いいとこに来たわ!ねぇ、一緒に駅前の喫茶店行かない?」
「んん? もっちろんいいにょろよ~ なんで言おうとした事がわかったのかめがっさ不思議だけど」
鶴屋さんが加わった…
この人はよく食いそうだな・・・長門もなんだかんだで食いそうだ
さっきからずっとこっちを見ている
その眼には心なしか期待の色がうかがえた
朝比奈さんは雑誌をハルヒに見せてからずっと振り回されてたせいで目を回してる
古泉は相変わらずのにやけ面か
やれやれ・・・
俺の財布の氷河期はいつになったら終わるのやら…


帰る準備をしてから下駄箱に降りると国木田と谷口がいた
ん?国木田にさびしげな雰囲気を感じるのは気のせいか?

「よう、国木田 今帰りか?」
あえて谷口は無視してみる
「ああ、キョン キョンはいつもより早いね」
「あぁ、ハルヒのやつが『駅前にスイーツのおいしい店できたの!みんなで行くわよ!』とか言い出したからこれから行ってくる」
「SOS団みんなで?」
「今回は鶴屋さんもいるけどな」
「そっか 楽しんできなよ」
「先週の不思議探索で遅刻した分まだおごってねぇんだよな・・・今日払わされたら俺の財布は世界恐慌だぜ」
「・・・ご愁傷様、キョン」
話してるうちに他のみんなも来た
女性陣はもう何を注文するかで盛り上がっている
やれやれ・・・

 

「おい国木田 何ボーっとしてるんだ?」
「いきなり肩を組まないでくれよ」
谷口が国木田と(一方的に)肩を組む
「つれねーなーお前の近くにいりゃ女の子が寄ってくるかも、とか思ったのに」
なんか人として落ちたな、お前
「・・・知り合いから赤の他人に格下げだよ谷口」
「スマンスマンそう怒るなって」
国木田は怒ってるというより呆れてる感じだ
「なぁキョン、駅前の喫茶店行くんだろ? 俺たちも行っていいか?」
ん?俺たち?
「俺と国木田も、って事だよ」
あぁ俺は構わないが・・・
おーい、ハルヒ 国木田と谷口もいいか?
「別にいいわよー」
「よっしゃ決まりだ!
あぁ・・・こんな美少女達とお茶できるなんて…」
美少女って 言い方がアレだな
「朝比奈さんと長門と鶴屋さん・・・明日からすげぇ自慢できるぜ」
他力本願だな 自分でどうにかできるようになれよ
「うるせー お前らにはわかんねーんだよ!」
『ピンポーン』
『1年5組 谷口くん 至急職員室まで来てください
 1年5組 谷口くん 至急職員室まで来てください』
・・・自業自得だな

国木田はどうするんだ?この後予定ないなら一緒に来るか?
「そうだね・・・そうするよ」
本気で泣き出しそうな谷口を置いて俺たちは坂を降りはじめる
「初めまして・・・というわけではないですが改めてよろしくお願いします国木田君」
「よろしく、古泉君」
お前ら知り合いだったのか?
「えぇ、この間バイクで走ってるところで偶然会いましてね
あ、僕も乗るんですよ、バイク 愛車はSUZUKI GSR400です」
ほうお前も乗るのか
俺たち以外に乗るやつがいたとは思わなかった
「いえいえ、僕も自分以外に乗ってる人がいるなんて知りませんでしたよ
もっと早く教えてくれてもよかったのに」
顔が近い!
「今度3人でツーリングに行きませんか?」
何でお前と行かなかんのだ


古泉とくだらない話をしてた間に駅前についた
ん~と・・・これか
オープン記念でなんかのフェアをやってる
中はかなり広かった
けどこの時間はさすがに混んでるな
学校帰りの中高生とかでごったがえしだ
とりあえず8人掛けの席が空いてるらしくそこに案内された

「それじゃ・・・さっそくだけど全メニュー注文しようかしら」
ちょっと待て!!お前は俺を殺す気か!!
しかもこの忙しい時間帯にそんな無茶な注文するな!!
「いいじゃない 私たちもおいしく楽しめてお店も儲かって一石二鳥よ!」
だからそれは今すべきことじゃないだろう!
お前の言葉で横を通り過ぎたバイトの人が振り返ったぞ 青い顔で
「なによそれくらい 根性でどうにかしなさいよ根性で」
お前は根性で急いで作られたケーキが食いたいのか?
丁寧に作られた店の自慢のケーキが食いたいのか?
「むむぅ・・・しょうがないわね・・・」

どうにかハルヒには諦めてもらい、全メニュー制覇は阻止できそうだ
ん、ちょっとトイレ行ってくる

「・・・・・・」
戻ってくるとそこはスイーツ天国だった
とんでもなくでかいパフェ
専用のスプーンが30センチはある
食いづらそうだな、ハルヒ
「ひょれふらいひょう・・・って事ないわよ!」
初めから呑み込んでおけよ
朝比奈さんは和菓子中心だな
鶴屋さんもハルヒのに劣らない大きなパフェを食ってる
長門は切り分けられたケーキを3つほど まだ来そうな感じではあるがな
女性陣がお互い交換しながら食べるのを見て、俺は自分のバームクーヘンにフォークをつけた
男が交換なんて気持ち悪いしな したくもない・・・
ってハルヒ!またそのでけえの注文すんのかよ!
「だって今なら半額なのよ? 1杯ぶんの料金で2杯食べられるのよ? 食べなきゃ損じゃない!」
おいおい・・・ 鶴屋さんも一緒になって注文しないでください
あと朝比奈さんの胸を揉むのはストップです ここは公共の場ですし目のやり場に困ります
「んん?遠慮しないでいいにょろよ~」
「ふぇぇっ!?」
いえ、遠慮しておきます 確実にいい結果にはならないでしょうし


騒がしい食事の後、鶴屋さんの提案により自分の分は自分で払う、という形になった
いやぁ・・・死ぬかと思ったぜ
だが幸運の女神は気まぐれらしい
「ちょっと!キョン!あたしまだ物足りないからもう一軒行くわよ!」
なんで俺だ!耳を引っ張るな!
「うだうだ言わないで付いてくる!」
わかった わかったから引っ張るな 耳が取れる

「駅の裏にもおいしいスイーツのお店があるのよね」
そうかい
「さっきのとこは洋菓子が中心だったけどそこはほとんど和菓子なの」
で、なんで俺だけ連れてきたんだよ
「だってもうみんな満足そうだったし
それに1人分くらいならキョンも持ってるでしょう?」
奢らせる気か!
「あら、それじゃ今度4人分のお昼奢らせようかしら 今から私が食べる分とどっちが多いかしらね」
そりゃぁ一度食った後だしこいつでも何千円も食わないだろう
でもなんか…釈然としないな

そこはさっきとは違って質素な雰囲気の店だった
何か・・昔ながらの店、って感じだな
店もそんなに大きくない
中には10人くらいしか入れないだろう
その中の1つに向かい合って座った
ん?メニューは?
「いらないわよ あ、おばあさん 私たち栗きんとんと芋大福と抹茶ね!」
「はいよ いつもごひいきにありがとね」
人のよさそうなおばあさんが奥から出てくる
常連なのか?お前
「春から毎週来てるわよ
入学式の帰りにちょっと気まぐれに寄ったらすんごく美味しかったの!」
ハルヒはヒマワリが自信をなくすような笑顔でこの3か月のスイーツ談をする
良い顔してしゃべるなぁこいつ…
「ちょっとキョン!聞いてるの!?」
「あぁ、聞いてるよ」
おばあさんの手作りらしいそのお菓子は、さっきの店より甘さは抑えめなもののとても美味しかった

 

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俺たちは今、また例の喫茶店に来ている
今日も鶴屋さんと国木田が一緒だ
谷口?しったこっちゃねーや
そういえばここ数週間長門が笑うようになった
本人に聞いたら「人間に近づいたから」という
詳しくは教えてもらえなかったが

「お待たせいたしました~」
相変わらず4人はよく食べるな
今日はシフォンケーキとココアフラップス
ミスマッチ? いいんだよ好みなんだから

「・・・・・・」
「・・・・・・」
ケーキが刺さったフォークが差し出されている
長門から国木田に
「ゆ・・有希?僕そんなに食べたそうに見えた?」
今国木田のやつ長門の事『有希』って言ったか?
「違う これはとても美味しい あなたにもぜひ食べて欲しい」
国木田が横を見る
俺たちと目が合う
「ちょちょちょっと有希!!!どういう事!?!?」
「なななな長門さん!?」
「どうしたんだ長門!!」
「長門っち積極的だねぇ!!」
「・・・・・・」
古泉君がだんまりとは
「・・・どうもしない
このケーキはとても美味しい 私は彼にもこの幸せを味わってほしい
それだけ」
「いやそれだけって有希、それはかかか間s」
「初めてではない」
「「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」

く、国木田!?
おまえまs
「初めてじゃないってどういう事!?」
「そのままの意味」
「え・・・じゃぁ前にもあったんですかぁ?」
「初めてここに来た時とか」
「初対面のこいつにか?」
「初対面では無い 約1年半前からの知り合い」
「では、もしかしてあなた達は・・・?」
「付き合っている」
「「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」
店内には静寂が横たわる 店員さんすら手を止めてこっちを見ている
いつの間にか(正確にはハルヒたちが騒いでたあたりから)店内の視線を集めていた俺たちの中、こいつらはそのまま交際宣言までしてしまった
長門の顔が赤くなっている
いや、国木田はそれ以上に真っ赤だ

「いや~お姉さんもびっくりだ」
動揺して口癖変わってますよ鶴屋さん
「いつから!?ねぇ有希いつから!?」
「7月頃」
「もしかして表情が豊かになったのは彼のおかげなんですかぁ?」
「そう」
「いやぁそれはあなたの役割だと思っていたんですが・・意外でしたねぇ」
顔が近いぞ
「彼には涼宮ハルヒがいる」
「「!!!!!!!!」」
こっちに飛び火した てかそれってどういう意味だ
「ちょちょちょちょっと有希!!!」
長門!?
「?」
いつもと同じように数ミリ首をかしげる長門
その様子だけだと何も変わってないように見えるが…
一連の行動から考えて間違いない
こいつは人間の感情がわかるんだな?
となると俺たちをからかってるのか?
「べべべ別に私たちまだ何ともないわよ!!??」
「ハルにゃん、『まだ』って何にょろ~??」
「!!!!!!」
ちょっとお前は黙ってろ
だから実際何にもないんですよ俺達
ハルヒの顔は赤くなっている
俺も店の注目を浴びて恥ずかしくなってきた
「おや、顔が赤いようですがどうかしましたか?」
こんだけ目立てばはずかしいだろ
っていうかこんな精神状態にしといてお前はバイトが大変になるんじゃないのか?
「いえいえ、それについては心配に及ばず
涼宮さんもこの状況を恥ずかしがりながらもまんざらでもない感じです」
お前の目は節穴か?さっきからずっとよくわからんこと噛みまくってるあいつがか?
「えぇ、これならバイトも楽になりそうです
あぁ、この先のバイトはあなたにかかっていますがね」
なんで俺だよ
「それがあなたに分かってればもっと楽なんですが・・・」
露骨に残念そうな顔をするな
にやけ面の次くらいにイラッとする
「そうですね」
真顔もやめろ

暴走するハルヒがトイレに駆け込んで騒ぎは沈静化した
ったく・・・
国木田と長門は周りを寄せ付けない雰囲気を醸し出している
この2人いつの間に…
てか意外っちゃぁ意外だな
長門がこんなに表情を出すとは
「人の彼女じろじろ見てると怒るよ?」
おぉ彼女宣言 やるね
・・・・スマン冗談だ 怖い
「いや、今まであんなに表情なんて露骨には出さなかったしな
言ってることも人間っぽくなったっていうか・・・」
!!しまった 国木田は長門が対有機生m(ryて事を知らないんだ!
「うん、それがね 僕に能力の一部が移ったらしいんだ」
!?
「今なら涼宮さんもいないし話そうか」
・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
そんな事があったのか
「おかげで有希と付き合えてるしね」
良かったな おめでとう
「ありがとう 僕の見たてじゃ次はキョンの番だけどね」
何がだ?
「いや 何でもないよ」
気になるな
「人に教えられなくても気付けるようにならなきゃ」
みんな同じようなことを言う
「それはそれだけキョンが・・・やめとこ」


あぁ分かってるとも
今の自分の状況くらい
このままじゃダメだってこともな
けどまだ良いだろ?
俺だって今の環境が好きなんだ
どう変わるかわからないが、今が楽しいなら無理に変えなくてもいいだろう?
ヘタレと言われても構わない
今のSOS団でもうちょっといさせてくれよ

そうはいかないらしい
やっぱり俺は振り回される運命にあるのかね
あいつが元凶になるとは思ってなかったが

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最終更新:2009年04月18日 11:03