時は移り、所は変われど、人類の営みには何ら変わることはない。   

 



――宇宙暦1898年、五世紀に及ぶ平和な治世と、それに続く三世紀に及ぶ堕落した治世で、腐敗しきった天の川銀河統一政府はついにその政治的求心力を失い、崩壊した。
統一政府崩壊後、連邦という錆びた鎖から解き放たれた旧統一政府領各地の星系政府や宇宙艦隊駐屯地は、好き勝手に独立を宣言し、単一色だった天の川銀河の地図を鮮やかなモザイク画へと書き換えた。
正確な記録は残っていないが、信用するに値する説によれば、七月七日二十二時四十三分に首都星プレトリアがテロリストの仕掛けた反物質爆弾で消滅した後、たった二十四時間で大小500以上の勢力が天の川銀河内に乱立したそうだ。その年の四月に実施された最後の国内調査では天の川銀河内の総星系自治体数は533とされていたから、これはほぼ全ての星系が独立を宣言したとみてよい。
後に、天の川銀河戦国時代と呼ばれる血と鉄の臭いが混じった時代の始まりである。しかし、当時の人々にとっては戦国時代などとドラマチックな響きのする言葉で処理できるほど、生易しい時代ではなかっただろう。
天の川銀河の覇権をめぐる争いではなく、もはや自己の生き残りをかけた生存競争に等しい弱肉強食の抗争を続けた各勢力は、互いに憎みせめぎあい、時には利害が一致して統合し、すぐに対立が表面化して再び分裂し、呆気なく滅亡していった。
このような時代において人間の命は驚くほど簡単に宇宙の闇へと散っていく。自分の所属している勢力の滅亡が身の破滅に直結していたわけではなかったが、星系が敵軍に包囲されて飢餓に陥り、戦うことすら出来なくなることは珍しくなく、利用価値が低いと見なされた惑星や、強固に抵抗を続ける惑星には躊躇なく熱核兵器が使用された。占領された惑星では兵士による略奪や暴行が横行した上に、本来取り締まるべき立場にある上官ですらその行為を奨励していた。皮肉なことに狂気のみが唯一天の川銀河を統一して支配していた勢力だったのである。
むろん平和的な話し合いや、強力な拘束力を持つ同盟によって再び天の川銀河に安定した時代を取り戻そうとする動きはあった。だが、そのような構想は生まれるたびに目先の権力欲に取り付かれた勢力に妨害され、芽を結ぶことなく片っ端から叩き潰された。
こうして天の川銀河にはそこに生きる人々の願いとは裏腹に、一世紀以上統一された政府が現れることが無かった。人々は果てしなく続く戦乱に血と涙をすすりとられ、心を蝕まれていった。

 



宇宙暦2003年四月二十四日、絶望の色に染まった粒子の吹き溜まりとなっていた天の川銀河に一つの巨星が瞬いた。類まれなカリスマ性と天性の指導力を兼ね備えた若きリーダー、スズミヤ・ハルヒによって率いられたSOS帝国の出現である。
当時、天の川銀河にスズミヤ・ハルヒの名を知らぬ者はいなかった。正確にはハルヒが十八歳で天の川銀河に割拠する勢力の一つ、新人類連邦の宇宙軍士官学校に入学してから、半年間の軍大学での将官教育をはさんで、二十三歳で宇宙軍を退役するまでの五年間で打ち立てた人間離れした戦歴を知らぬ者はいなかった。
全ての始まりはハルヒが十九歳のとき、士官学校の研修として練習艦トゥルプに乗り込んでいた際に発生した下級兵士の暴動事件だ。研修航行中に突然、長期にわたる給与不払いを理由に反乱を起こした下級兵士たちは、艦長と教官達を殺害して艦のコントロールを奪い、隣接する天の川情報共同体へ亡命せんとしてきた。艦の士官があらかた殺害されてしまったため、やむなく指揮を執ったハルヒは、同じく研修で艦に乗っていた士官学校生と反乱に加担していない兵士を糾合し、自らも銃を持って最前線で戦い、味方の劣勢を覆して暴動を鎮圧してしまったのだ。
戦乱の時代にふさわしい陰湿な事件しか起きない日常に辟易していたマスメディアは、辛くも母港に帰還したハルヒに一斉に飛びついた。曰く、
「宇宙軍の期待の新星スズミヤ・ハルヒ!」
「スズミヤ・ハルヒこそ天の川銀河統一の鍵!」
「稀代の英雄ここにあり!」
この事件でスズミヤ・ハルヒの名は天の川銀河を駆け巡り人々の知るところとなった。また、政府や軍部も兵士の反乱という汚名を人々の記憶から薄れさせるために、ハルヒを英雄として祭り上げて連邦議会名誉勲章、宇宙軍特別功労章、リーヒ提督記念勲章等々、ありとあらゆる勲章で彼女を着飾った。
ハルヒの方もその扱いを拒まなかった。これは後々のSOS帝国建国のために自分の名前を売っておく必要性があったからだと考えられているが、当時の記録を見る限り風格は既に皇帝そのものであった。
勲章の授与式で元帥だの大将だのお偉いさん方に囲まれて、凡人ならおどおどしたり緊張の極みに達する場面であっても、ハルヒは決して己の態度を変えることはなかった。
宇宙の深淵と同じ漆黒の色をした髪を肩で揃え、トレードマークの黄色いカチューシャを付けて、万人を圧倒する視線を放つ瞳を光らせ、常に形の良い唇で不適な笑みを作り、”人の上に立つ者”を思わせる堂々たる姿勢で臨んでいたのだ。ハルヒが式場に現れただけで周囲の大気がにわかに活性化し始め、彼女の身に着けている濃い緑を基調として、地味なことで有名な士官学校生用の制服でさえ華麗に見えたといわれている。
実際、とある新聞社の記者は、
「連邦勲功章が大統領からスズミヤ・ハルヒへ手渡されたとき、私は一瞬どちらが勲章を渡される側なのかを忘れてしまった。私には枯れた古木のようなマクレール大統領より、生まれたての原始星のごとく活き活きと輝くスズミヤ・ハルヒの方が偉く見えたのだ」
と感想を述べている。
しかしながら、ハルヒは雰囲気こそ尊大あれ、上官に接するときの態度は非の打ち所の無い礼儀に包まれていた。この礼儀のオブラートが破れて地の破天荒な性格が露出し始めるのは、准将以上に昇進して艦隊の指揮にかかわるようになってからである。
そのおかげか、ハルヒに対する評価はどの部署や階級でも部下からは最高、上官や同僚からはどん底という有様だった。部下達から人気あったのは、彼らの目には上官に有無を言わさず詰め寄るハルヒの姿が頼もしく映ったからであろう。
それに、ハルヒは部下には厳しくすることはあれど、決して同僚の多くがそうであったような暴君として君臨するようなことは無く、むしろ苦楽を共にする仲間のリーダーとして振舞った。
二十歳になり士官学校を首席で卒業したハルヒは、特別待遇で少佐に任官し、駆逐艦リスフィⅢの艦長に就任した。士官学校を卒業したものは少尉か准尉に任官するのが慣わしであったから、いくら長年の混乱による宇宙軍の士官不足が手伝ったとはいえ、スズミヤ・ハルヒに対する軍部の特別扱いがどれほどのものだったかわかる。
そして、ハルヒは軍部の思惑に関係なく、またもや馬鹿げた功績を挙げた。就任早々駆逐艦リスフィⅢは当時宇宙海賊が闊歩していた、トルベール星系とファルム星系を結ぶD-5回廊の哨戒任務を与えられた。普通の新任艦長なら平常時の任務で最も死傷率の高いこの回廊の哨戒を受けると、艦長就任の喜びも忘れて陰鬱な気分になるのだが、ハルヒはむしろ喜んでこの任務を受理した。
哨戒二日目、商売の邪魔をする不貞な駆逐艦に教育を施そうと現れた海賊船を短い砲撃戦の末に損傷させると、ハルヒは逃走する海賊船の後を追い、海賊の本拠地を突き止めることに成功した。ここまでは海賊狩りに慣れた艦長なら誰でも出来ることで、それを新任艦長のハルヒがやってのけたことは彼女の優秀さを表していたが、次に出た行動は彼女の優秀さよりは豪胆さ、あるいは傲慢さを表していた。
通常ならば味方の増援を呼んで有利な状況になってから本拠地の撲滅に当たるところを、ハルヒはなんとリスフィⅢただ一隻で攻撃を仕掛けると宣言したのだ。この時、攻撃命令を聞いたリスフィⅢの乗員のほとんどが死を覚悟し、とんでもない艦長の下についてしまった己の不運を呪った。
攻撃の成功を信じていたのはハルヒ自身と彼女子飼いの四人の部下だけであった。
結果はほとんどの乗員の予想を裏切り、味方の死傷者無しの完勝だった。
ハルヒはまず海賊の本拠地が小惑星群の中にあることを利用し、艦に搭載してあった対艦ミサイルを本拠地の近くを浮遊していたいくつかの小惑星に埋め込ませた。次に子飼いの部下の一人の天才ハッカーに、本拠地のコンピューターに侵入して索敵機能を麻痺させるよう命じた。
本拠地にこもっていた海賊どもは突然ブラックアウトしたコンピューターを大慌てで復旧させたが、回復したモニターが最初に映し出したのは、味方の哨戒船がこちらへ向かってくる小惑星と衝突して爆発する瞬間だった。
海賊の頭目は彼の筋肉に覆われた身体にふさわしい怒鳴り声を上げて迎撃を命じたが、既に手遅れだった。きっかり五秒後、比較的大きめの小惑星をくりぬいて作られた本拠地に三箇所ある海賊船の発進口と、防宙装備の集まる五箇所にミサイルつきの小惑星が直撃した。海賊どもに出来ることは武装を解除して手を高く、情けなく上げて降伏することだけだった。もし、彼らを降伏へ陥れたのが海賊狩り用の精鋭艦隊で、しかもその艦隊の指揮官が老獪な人物だったなら、彼らの矜持はまだしも救われただろう。だが、自分達を降伏へ導いたのがたった一隻の駆逐艦だったこと、その艦長がまだ士官学校を出たての若造だったことを知ると、彼らの矜持は救いようの無い傷を負った。
意気消沈した捕虜達と、開いた口のふさがらない部下達を引き連れて意気揚々と凱旋したハルヒを、民衆の狂乱的な歓声が待ち構えていた。
「若き英雄はまたしても奇跡を起こした!」
「スズミヤ・ハルヒこそ真の英雄だ!」
こうして英雄スズミヤ・ハルヒの名は人々の心にしかと刻み込まれ、揺ぎ無い信頼を得たのだ。
歓喜の海をもみくちゃにされることなく悠然と泳ぎきったハルヒを、今度は中佐の位が待っていた。こちらは彼女の方から進んで抱きしめた。
その後もハルヒは猛然と戦果を挙げ続けた。ことに新人類連邦と人民統合機関との間で繰り広げられた第三次ローランド会戦では、少将に昇進したハルヒが3200隻の分艦隊を率いて、味方の支援がまったく無い状況下で敵の二個正規艦隊、約30000隻を迎撃して潰走させた。いくら敵の戦意が低かったからとはいえ、十倍の敵と真っ向から対決して勝利したという馬鹿げた戦果は、敵だけではなく味方の指揮官達までもが耳を疑った。
ことに当時の新人類連邦宇宙艦隊総司令官ケネス・ギャレット元帥などはこの報告を聞いたとき、副官に二度報告を読み直させた後、驚愕のあまり椅子からずり落ちた。堅実な用兵家として定評のあったギャレットにしてみれば、十分の一の艦隊で敵に圧勝したなど信じがたい報告であったのだろう。
この戦いの勝因はいたってシンプルだった。ハルヒはただひたすら艦隊を密集させて、包囲殲滅を図って艦列を広げた敵艦隊の正面を突破することを繰り返しただけなのだ。数に勝るがそれゆえに艦隊運動が鈍重になってしまった人民統合機関艦隊は、少数で俊敏に動き回るスズミヤ・ハルヒ分艦隊に終始翻弄された。
分艦隊は四度目の正面突破で敵艦隊の旗艦を宇宙の塵に変え、続く五度目の正面突破で混乱する指揮系統をまとめていたもう一方の艦隊の旗艦を文字どおり粉砕した。後は組織的抵抗が出来なくなった敵を各個撃破していくだけだった。戦意の無くなった艦は逃げるか投降するしか生き延びる道が無かった。この時のスズミヤ・ハルヒ分艦隊の損害は完全破壊351隻、大・中破427隻のみ、敵の損害は完全破壊3304隻、大・中破3944隻、投降した艦7042隻で残りは逃走した。ハルヒの完全な勝利である。
さらに、ハルヒは投降してきた捕虜のために輸送船を用意し、きちんとした食事を与え、負傷した捕虜には治療を施した。それだけではなく、会戦後も捕虜を故国へ帰還させるために奔走して、人民統合機関との捕虜交換へとこぎつけた。まともな捕虜交換条約が締結されてない当時としては実に珍しい行動であった。
当時の捕虜の扱いは時勢に見合って非常に劣悪だった。大量の捕虜を狭いスペースに押し込める、食事を与えないなどは序の口で、指揮官の機嫌次第で平然と虐待を行ったり、投降してきた艦ごと吹き飛ばすなど、
人道的処置からかけ離れた愚劣な行為が当然のごとく行われていた。投降してきた敵を丁重に扱うなど無駄なことではないか、と上官に問われた際、ハルヒは爛々と輝く瞳に若干の侮蔑の色を混ぜると、相手の目を見据えてこう言い放った。
「あたしは子供の頃から、自分に寄せられた期待には何が何でも叶えようとしてきました。現にあたしが少将の地位にいるのも、
あたしを英雄と呼んでくれている連邦の人々の声に応えようと心がけてきた結果です。そして、捕虜達は投降した先でひどい扱いを受けないことを願って投降してきました。今回の処置も今までと同じように、彼らの期待に背かないよう努力したまでのことです」
「では貴官は敵が負けてくれと願ったら、その願い通りに負けてやるのかね?」
「ええ、もちろんです。ただ、あたしの耳にそのような願いが入ってきたことは一度もありませんけど」
「……貴官の耳は随分都合の良い作りをしているようだな」
「何かおっしゃいましたか、閣下?」
「…………」
上官である初老の提督は忌々しげに舌打ちをして、自尊心の脂肪がたっぷりと付いた腹を揺らしながら足早に立ち去った。彼としては目の前にいる生意気な黄色いカチューシャの小娘に、衰えを見せ始めた彼の声帯が持つ限り罵声を浴びせたかったが、場所が宇宙艦隊総司令本部の廊下ということもあり、人目と彼女の名声に不本意ながらも遠慮せざるを得なかったようだ。

この日、ハルヒは辞令を受け取り中将への昇進を果たした。辞令を受け取りに行く途中だったハルヒに質問をぶつけた初老の提督と同じ位である。
そして宇宙暦2003年二月一日、前年のサネッティ星系侵攻作戦を成功へ導いた立役者としてハルヒは宇宙軍の最高位、元帥の昇進を果たして宇宙艦隊総司令官の座に着いた。二十三歳の元帥の誕生である。新人類連邦の未来は安定したかに見えた。それだけではなく、ハルヒの指揮する艦隊によって天の川銀河を統一する日は近い。人々は期待に彩られた熱い息でそう囁きあった。
だが、元帥直後にハルヒは誰も予測しなかった行動に出た。なんと、元帥就任二日目に宇宙軍を辞任したのだ。連邦宇宙軍史上最も若い元帥は、元帥の在任最短記録も更新した。この記録は少佐、大佐、准将、中将、大将の在任最短記録更新に続くものである。ちなみに少佐から元帥までの最年少就任記録は全てハルヒが更新している。
連邦の国民は皆は唖然としたが、軍部および政府の動揺は民衆のそれとは比べ物にならなかった。この時点で大規模な戦闘は発生していなかったが、新人類連邦にとって英雄を失うにはリスクが大きすぎた。その傍若無人ぶりが彼らの間に知れ渡っていたにしてもだ。
血の気がうせた顔で同じ種の質問を浴びせかける軍の高官達に対して沈黙を貫き通していたハルヒは、ただ一言だけ自分の意思を明らかにした。この一言は己の野望の達成のために辞任するためのカモフラージュだったのだろうが、スズミヤ・ハルヒという人間の性質が凝縮されていたといっても過言ではない。
「軍隊に飽きた、それだけよ」
大多数の者は言葉を失った。なおも抵抗しようとする勇敢な者もいたが、馬の耳に念仏、ハルヒの耳に説得だった。
結局、ハルヒは戦闘が起きた時だけ現役に復帰するという条件を取り付けただけで、「一身上の都合で新人類連邦宇宙軍元帥の職を辞任する」と書いただけの辞表を強引に受理させて軍を去った。この時、子飼いの四人の部下にも同様に辞表を提出させて、受理を確認しないで連れ去っている。
軍を去ったハルヒはその足で故郷のリテラート星系に戻り、汚職疑惑で辞任する現星系首相の再選挙に出馬した。 選挙運動をする必要は無かった。軍を離れても“英雄スズミヤ・ハルヒ”のブランドは有効だった。選挙にはハルヒのほかに二人の候補者がいたが、支持率は勝負にならなかった。
選挙期間中ハルヒは実家ではなく子飼いの部下達と共にホテルに滞在して、その姿を人前に現すことをほとんどしなかった。この時期にSOS帝国構想の具体的な詰めに入っていたと推測されるが、ハルヒがホテルの前に出て押し寄せた民衆に手を振るだけで支持率が五%跳ね上がると言われていた。
四月二日に当然の首相当選の報が入るとハルヒは、第三次ローランド会戦時の艦隊運動さながらに迅速な行動を展開した。首相就任式もそこそこに子飼いの部下達を入閣させて新政府を始動させると、秘密裏にリテラート星系に隣接する四つの星系の首脳部と接触、彼女が構想したSOS帝国への参加を呼びかけた。
この提案は当初驚きの声を持って迎えられたが、すぐさま全ての星系首脳部、さらにはこれも秘密裏に行われた星系住民による投票で圧倒的多数の支持を受けた。四つの星系がそれぞれ四つの異なる勢力に属していたのにも関わらず、だ。彼らは疲弊し荒廃した天の川銀河に、彗星のごとく現れたスズミヤ・ハルヒという奇才と、彼女の脳内から生み出されたSOS帝国なる奇抜なアイディアに希望を託したのだ。
宇宙暦2003年、SOS帝国暦一年四月二十六日、ついにハルヒはSOS帝国の建国を全宇宙に宣言した。
建国当初のSOS帝国は首都星をリテラート本星とし、リテラート、ローザンヌ、テヴェレ、パラマリボ、ウィンダーズの五つの星系と合計で約六十七億人の人口を支配下に置いていた。新人類連邦が四十六の星系と合計で約590億人の人口を支配下に置いていたのと比べれば、実にささやかなものであった。 
SOS帝国の独立は順風満帆には少し届かないものの、この戦乱の時代においては奇跡と呼べるほど平穏なスタートを切った。SOS帝国が周辺の勢力――特に己の領土をみすみす独立させてしまった新人類連邦、人民統合機関、天の川情報共同体、未来同盟、コンピケン連合――に攻撃されることもなく独立を成し遂げたのはいくつかの要因があった。
まず一つはスズミヤ・ハルヒ本人の突出した才能によるところだ。ハルヒがモデルや女優として銀河の歴史に名を残すことも十分可能な容貌(ただし外見が有効活用されるのは黙っているときだけ、というのは彼女の側近達の共通認識である)を持っていたが、その中に詰まっていたものが入れ物以上の価値を秘めていたことは前述した通りだ。
ハルヒの軍事的才能は言うに及ばずだが、その結果勝ち取った名声を有効に活用する才能もまた人並みならざるものだった。
「SOS帝国は安心して不思議な出来事を探せる国づくりを目指しているわ。各方面の優秀な人材やSOS帝国の理念に賛同できる人はあたしの元に来なさい!後は宇宙一の超英雄であり、銀河の歴史に輝ける時代を創造し続ける超皇帝でもあるスズミヤ・ハルヒ様が引っ張って行ってあげるわ!!」
SOS帝国の建国スピーチに含まれたこの一節は、聴衆を魅了したかは定かではないが、とにかくスピーチを聞いた人間の心に衝撃の弾丸を撃ち込んで揺さぶった。現にSOS帝国成立後、史上最高と歌われる軍事的英雄の甘い蜜に誘われて大量の亡命者が流入してきた。民間人だけでなく泥沼を連想させる陰湿な自国の政治にうんざりした軍人が、指揮下の部隊を引き連れて設立されたばかりのSOS帝国宇宙軍に合流した。その中に駆逐艦リスフィⅢの姿があったことも付け加えておくべきだろう。乗員達は家族を艦に乗せて“とんでもない元艦長”のために馳せ参じたのだ。
たとえ神を前にしても一歩も退くことが無いであろうハルヒの豪胆さは、暗い現実を見飽きた民衆の目に希望の光のように映り、政策を発表する際の己の正しさを一寸も疑わない自信に満ち満ちた姿は、ハルヒ以上に頼れるリーダーは存在しないとSOS帝国国民に学習させた。彼女は自らが備える能力を最大限に引き出し、かつ利用して力強い新世代の指導者という役を完璧に演じた。
スズミヤ・ハルヒは完成したばかりのSOS帝国という不安定な芸術品を構成する、五つの材料を結びつける強力な接着剤として機能したのだ。
この他にも、SOS帝国に参加した五つの星系の地理的有利性も味方した。この星系達は五つの勢力の緩衝地帯であり、時として血生臭い戦場となっていた。それゆえにSOS帝国が独立した際は、各勢力は他者の出方を窺うばかりで、突如として湧き出た新興勢力に手を出すことが出来なかった。さらにハルヒの元雇い主である新人類連邦は彼女の蠢動を察知することが出来ていたのにも関わらず、何ら有効な手段を打つことが出来なかった。
当時悪辣な捜査と法に基づかない尋問で血塗られた黄金時代を築いて、連邦の人々を震え上がらせていた連邦安全保障局も、首相選挙で若干の妨害を行ったのみである。以前、酒に酔って大統領の悪口を十通りほど大声で叫んで安全保障局に連行された下士官二名を救出するために、ハルヒが部下を500名ほど集めて安全保障局本部に殴り込みをかける事件があった。この事件以後、安全保障局は何かある度にハルヒに対して嫌がらせを行ったていたのだが、安全保障局内にわだかまる暗い情熱を持ってしても、今回のSOS帝国独立に介入することは出来なかった。
他の勢力に至っては自国内の星系で秘密裏に選挙が行われている動きさえつかむことが出来なかった。それぞれの勢力の統治能力が限界に達して、支配下の星系にある程度の見切りをつけられていたことが大きい。各勢力の諜報組織もハルヒが元帥を辞任して政界に進出したこと自体が連邦宇宙軍が考案した策略だと思い込み、諜報能力をそちらの方面に注ぎ込んでいた。そのおかげで、情報をつかめばつかむほど連邦上層部の混乱が伝染するばかりであった。  
しかしながらSOS帝国独立の最大の要因にして最大の功労者は、独立後にその存在が始めて明らかとなったSOS団なるハルヒの私的組織の四人の団員であろう。四人の存在自体はハルヒ子飼いの部下として一般にも広く認知されていたが、この四人が古の秘密結社よろしく歴史の裏で暗躍していたとは、宇宙軍憲兵隊や安全保障局でさえ気づくことがなかった。
SOS団はハルヒが士官学校在学時に、目をつけた生徒を説得して、または半場強制的に快諾させて結成したとされている。即ち、不思議な出来事を安心して探すことの出来る国づくりに賛同し、団長であるスズミヤ・ハルヒに絶対的忠誠を誓った者達の集団である。
余談ではあるが、SOS帝国やSOS団のSOSはやや強引な略ではあるが、「Saviour of Suzumiya」(救世主スズミヤ)とする説が主流で、公式な発表はされなかったものの、ハルヒの自伝「SOS帝国興亡記」にもその説を後押しする記述が見られる。だが、最近発見されたあるSOS団員の日記には、SOSは人類発祥の地である地球に存在する島で使用されていた言葉を略したものとする記述がある。偶然かもしれないが、SOS団の団員は全員その島に住んでいた民族の末裔である。
コイズミ・イツキは士官学校で用兵や組織学等で非凡な才能を持つと評され将来を有望視されていたが、卒業後は一貫してハルヒの補佐に回った好青年である。SOS団の中での地位は団長のハルヒを補佐する副団長であり、彼はSOS団で割り振られた役を宇宙軍の中で忠実に実践していたのだ。
有能な人材はおいしく利用したいと考えていた宇宙軍は、ハルヒという強烈な個性にコイズミの能力が押し潰されないかと危惧していたが、彼は暴走気味の機関車を髣髴させる上官の誘導役として、士官学校の教官達に期待されていた以上の力を発揮することが出来た。
ハルヒも自分に足りない部分を補ってくれるこの優秀な参謀を高く信頼していた。特に作戦立案時には、まずハルヒが突拍子も無い作戦を提案して、次にコイズミが常識論を述べて若干の軌道修正を施すことで、双方の味が程よく混ざった驚異的な作戦群を大量生産していた。
そして、裏ではSOS団副団長として並々ならぬ政治手腕を駆使して、状況をハルヒにとって好都合となるように仕向けていた。その中には買収や脅しなど俗に言う汚れ仕事も含まれていたが、彼は何食わぬ顔でそれらの仕事をこなしていたという。第三次ローランド会戦でのハルヒの活躍も、コイズミの分艦隊司令部での提言、独断で艦隊総司令本部へ提出した分艦隊単独行動作戦案、各方面に贈った多額の賄賂が無ければ、連邦宇宙軍戦史に華々しく輝くことは無かったとされている。
SOS帝国独立直前は密使として四つの星系を駆け回り、ハルヒの理念を伝える伝道師の役割を果たした。相手が帝国への参加を少しでも渋る素振りを見せた場合、反撃に転じる暇を与えない苛烈な論戦を挑み、そのことごとくに勝利を収めるたという。コイズミの巧みな話術には戦乱の世で鍛えられた老練な政治家でさえ舌を巻いたと言われている。独立後は帝国宰相に任命され、次々と湧き起こる帝国内外の問題に対処する多忙な日々を送った。
以上のことを踏まえると、コイズミ・イツキは表と裏の二つの面でスズミヤ・ハルヒの栄進を支えた重要な存在だと言える。
また、知的な人柄と甘いマスクで連邦軍のみならず他勢力の女性兵までも魅了していたが、彼自身はゲイ、もしくはバイ・セクシュアルであったという出所不明の噂がまことしやかに伝えられている。当人はその噂の真相を尋ねられると、静かに笑って話をそらすなど曖昧な態度をとっていたそうだが。
アサヒナ・ミクルの戦場での評価は必ずしも良くは無かった。むしろミクルより下のレベルの指揮官は天の川銀河広しといえども、二、三人しかいなかったされている。事実、一度だけ艦隊の指揮を任されたとき、ミクルはその艦隊を“迷子”にしてしまい、結局前線にたどり着いたのは戦闘が終わってからだった、という笑えない逸話が残っている。艦隊司令部には航法士官が何人もいたのにも関わらず、何故ミクルの指揮する艦隊だけが“迷子”なってしまったのかは今もって謎に包まれている。
しかし、ミクルは他のSOS団の団員と肩を並べても何ら見劣りのしない功績の持ち主であった。ミクルの真の実力は最前線ではなく、艦隊の遥か後方に位置する机の上で発揮されたのだ。当時連邦宇宙軍の中で、補給計画、軍事土木、事務処理等々デスクワークにおいてはミクルの右に出るものはいなかった。長くミクルの副官を務めた士官は、彼女が椅子に座った瞬間、机の上においてあった書類の山が独りでに踊りだし、情報端末内のデータが自ら整理されて表になっていくようであったと、後にミクルの仕事ぶりを回想している。
このように軍では縁の下の力持ち的な地味で重要な任務を得意としていたミクルであるが、SOS団内での地位はハルヒ曰く“ロリで巨乳な萌えマスコット”であった。“萌え”が何を意味する単語なのかは不明だが、町を歩けば道行く女性の九十七%以上が羨望の眼差しを向けるであろう豊かな乳房と、まかり間違えれば十代前半に見える身長と童顔のセットは、抜群のプロモーションと大人の色気を兼ね備えたハルヒ以上に強力な破壊力を秘めていた。
この“ロリで巨乳な萌えマスコット”は長らくSOS団の後方任務的な仕事であるお茶酌みをしていたが、SOS団独立後は帝国民政尚書の職に就き、軍のデスクワークで発揮した能力を今度は帝国の行政部門でフルに活用した。ミクルの構築した星間ネットワークと経済政策のおかげで五つの星系の経済基盤は、飛躍的に強固なものへ進化を遂げることとなった。
この功績によりミクルはSOS団副々団長の地位を授けられた。もっとも、ハルヒはこの昇進の真の理由は「SOS団のために美味しいお茶を淹れてくれたこと」と公言していたそうだ。
一見すると影が薄く目立たない少女という印象が強いナガト・ユキは綿密に織り込まれた隙の無い用兵、機械関係、特にコンピューターに対しての天性の素質、極端なまでの無口で“戦術AIの従兄弟”や“沈黙提督”なる異名で名を馳せたSOS団きってのエースである。戦闘中、めったに開くことのないナガトの口からポツリポツリと漏れ出す指令の一つ一つは、苛烈でダイナミックかつ周密な計算に基づくものばかりであった。
ナガトは軍事的才能だけに限るとハルヒのそれを凌駕しており、ハルヒ自身もそのことを自覚していたようで、ナガトの出す提案や指揮には常に全幅の信頼をおいていた。さらに、戦闘が重要な局面に達するとナガトに戦局を左右する大切な任務を与えることも多かった。例えば駆逐艦一隻で海賊の根拠地を壊滅させたときのように。
ただ、士官学校での成績は意思伝達能力の欠如を理由に首席とは程遠い結果となっていた。本人はまったく気にしていない様子だったが、このことに憤慨したハルヒが校長室のドアを蹴破って侵入して校長を吊るし上げにする事件を起こしていた。
ナガトは戦いの渦中において敵兵にファイトジャンキーと揶揄され恐れられる存在だったが、戦場を一歩離れるとたちまち読書が好きな一介の少女に変貌していた。
戦闘終結後早々に部下に一通りの指示を出すと、どこからとも無く分厚い本を取り出して、指揮官席に座ったまま文字が踊る海の中に潜ってしまうことが珍しくなかったそうだ。いったんナガトがこの沈黙のオーラを身にまとうと、誰が話しかけても色素が薄く感情に乏しい顔を少しの間だけ向けて、またすぐに本の世界へ回帰してしまうので直属の部下達を心底困らせていた。とりわけ指揮官に付きっ切りで補佐をする副官への負担は激しく、硝子体の代わりに液体窒素が満たされたような瞳から発せられる無言の重圧に悲鳴を上げていた。
ちなみに、SOS団の名前が銀河に轟くようになると、事あるごとに政府の報道でナガトの読んだ本が紹介され、紹介された本はSOS帝国中の本屋で羽根が生えたように売れたという。
ナガトのSOS団での任務は諜報であった。ナガトが天の川銀河内に張り巡らした諜報網が無ければ、SOS帝国の独立は到底不可能だったとされている。組織の構築はコイズミの助力によるものだったが、諜報や情報かく乱のノウハウは全てナガトが考案したものだった。独立後も宇宙艦隊司令長官と情報管理局長を兼任して、諜報活動の指揮を執っている。
ナガトは軍事的才能以外にも諜報能力や情報収集能力にも秀でていたのだ。天は寡黙な読書少女に二物も三物も与えたのだ。だがその代償として奪っていった物も大きかった。特に胸部の・・・・・・(この先はナガト・ユキ記念財団の抗議により閲覧不可)
キョン。この言葉を初めて耳に入れた者はどのような印象を持つだろうか?ある者は惑星の名前だと思い、またある者は宇宙船の名前だと想像するだろう。答えはSOS団に所属するとある人物に付けられたあだ名である。
いつ頃から彼がキョンと呼ばれ始めたかは不明だが、士官学校に入学して二週間ほどたった時点で、すでにハルヒからキョンと呼ばれていたのを同窓生が記憶している。より詳しい研究では、キョンというあだ名は彼の親族が本名をもじって作成し、彼の妹が広めたことが判明している。
ではキョンの本名はというと、それがなんと現在に至るまで判明していないのだ。SOS帝国ではハルヒの命令により公式文章から個人の回顧録に至るまで彼の名は全てキョンで統一されている。それ以前に彼が所属していた新人類連邦の記録は住民登録表等に本名が載っていたに違いないが、連邦がSOS帝国に吸収された際にこれもハルヒの指示により書き換えが行われている。こうして、キョンの本名は後世に伝わることなく、歴史の闇の中に埋もれてしまったのだ。
何故ハルヒがそこまでキョンにこだわっていたか、これも彼の本名と同じく謎に包まれている。長年SOS団研究者の間では、キョンにこだわった理由について議論が交わされ様々な憶測が生み出されたが、未だに統一された結論が出ていない。その中にはキョンに対するただの嫌がらせではなかったのか、という説まである。なんにせよ、キョンの本名の謎は天の川銀河七不思議の一つに数えられるまでに成長してしまったのだ。
謎が謎を呼ぶキョンだが、戦場における彼はハルヒの派手さやナガトの緻密さの陰に隠れてしまうものの、ハルヒ曰く“斬新さと面白みに欠けるが”手堅い用兵を使いこなす、まず水準以上の戦術家であった。さらに、深い洞察力と柔軟な思考の持ち主でもあり、人情に満ちた(ハルヒには甘すぎると批判されていた)采配で兵士達に好かれていた。
逆にキョンには皮肉屋、面倒くさがり、事なかれ主義を信奉にする等、批判される部分も決して少なくなかった。キョンが良く好んで、あるいは無意識のうちに呟いていた言葉が「やれやれ」だったことは、彼の内面をうかがうことのできる一つの例だろう。
士官学校での成績も興味がある科目は他人に自慢できるほどの点を取っていたが、その他は赤点すれすれの超低空飛行、という有様だった。
その上、いくら悪い点数を取っても動揺することなくけろりとしていたそうだ。士官学校には二回連続で赤点を取ったら即退学、という厳しい規則があったので、ハルヒはさぞかし気を揉んだことだろう。
このような性格が災いしてか、キョンはSOS団で雑用係なる苦労する割には報われない寂しい地位をハルヒから押し付けられていた。
雑用係はその名の通り、他の団員の仕事の下働きをしたり、時には団長の犬となって駆け回らなければならなかった。苦労の度合いは団長のそれに匹敵していただろう。だが、キョンの肩書きには雑用係の前に、より大切でより重要な地位が見えない文字で書かれていた。それはスズミヤ・ハルヒ最大の理解者であり、公私に及ぶ最高のパートナー、という何人たりとも代役を務めることの出来ない役目である。
ハルヒが立ちはだかる障害物を蹴散らして突撃するときには、いつも一歩離れたところでキョンが付いて見守っていた。新たな壁が現れたことに困惑して立ち止まったときも、どのSOS団のメンバーよりも先にキョンを相談相手として選んでいた。二人を繋ぐ見えない信頼関係はどんな物質よりも強固であっただろう。
それだけでなく、キョンはSOS団内で唯一団長に抵抗して真っ向から対決できる人物であったと言える。その証拠に、戦闘において“常に勝つこと”を意識していたハルヒに対して、キョンは“とりあえず負けないこと”を第一に考えていた。こうした意見や考えの違いから二人はしばしば衝突を繰り返していた。もっとも、衝突は深刻にならない程度のものだったし、すぐに関係も修復されたので、二人にしてみれば衝突は夫婦喧嘩のようなものであったのだろう。会議の場を使って夫婦喧嘩をされるのは、部下にとって迷惑この上ない話だったが。
逆に他のメンバーは提案をすることはあるものの、自らの意思表示をすることはほとんど無く、基本的には団長命令に従順なイエスマンだった。
それゆえに彼はスズミヤ・ハルヒ、そして、SOS団の鍵となる存在だった。
「スズミヤさんの個性をまともに受け止められるのは、彼くらいですよ」
とコイズミは微笑みと苦笑を入り混ぜた顔をして評価を下したことがある。
この苦笑の中にはハルヒを補佐する役でありながら、その全てをカバーすることのできない自分に対する複雑な心境があったのかもしれない。
キョンはパートナーが皇帝の座に登り詰めてからは、軍事尚書に就任して五カ国に及ぶ雑多極まりない宇宙軍の集まりにすぎないSOS帝国軍を、統一された使える軍隊へと昇華させる途方もない作業をナガトと共同で行っている。口では「やれやれ」と嫌そうに呟きながら、である。
とにもかくにも、キョンはSOS団の中で最大の謎の保持者であると同時に、最大の苦労人であることは揺ぎ無い事実であろう。
こうした要因に守られたおかげで、生まれたての異端児SOS帝国は半年間を国内問題の解決と国力の充実に専念することができた。
もしこの奇跡の半年間が無ければ、SOS帝国は志半ばで雲散霧消して宇宙の闇へと還元されてしまったであろう。
宇宙暦2003年、SOS帝国暦一年十一月、奇跡的に続いた平和な日々は、友好的雰囲気の欠片も無い挑発的な書簡を運んできた一隻の軍艦によって打ち破られた。隣接する一大勢力コンピケン連合が、半年前に強奪されたウィンダーズ星系を我が手中に取り戻さんと闘志を燃やし、SOS帝国へ牙を向けてきたのだ。

 

 

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