プロローグ 「アナルの中で・b」
 ―in Your Anal―
 
「なあこいずみ」
 少年の声がしました。
「何ですか、キョソたん」
 人型モトラドがそれに答えました。
「お前は本当に手が早いよな、いつもいつも」
「いやぁ、キョソたんにそう言われると光栄です」

 男たちが横たわっていました。
 どいつもこいつも例外なく掘られた後でした。
「それじゃ、行くか」
「かしこまりです!」
 少年が言うと、モトラドは韋駄天の足で疾走しました。
 追加の警官隊が現れた頃、そこにはアナルヴァージンを喪失した男たちしかいませんでした。




 キョソの旅 ――The Anal World――

 




 第一話 「穴の国」
 ―Ah―!―

 草のまばらな大地を、一台のこいずみくん(注・アナルゲイモトラド。イノセント。ガチホモ。全裸。危険物所持)が走っていました。
「こいずみ、ここはもう国の中なんじゃないのか?」
 運転手の少年が言いました。彼はキョソ。ちょうど十代半ばの少年で、ちょっとこのあたりでは見ない制服を着て、いつも世の中を斜めに見ているような顔立ちをしています。
「そうですね。ちょうど僕もそう言おうと思っていたところです。何せおとこのにほいが強烈になってきましたから」
 キョソは一度こいずみくんから降りて、辺りを見渡しました。
「こりゃあ一体……」
 なだらかな丘陵に、ちょうどキョソが無理なくくぐれるくらいの穴が、横一列に並んでいました。
「おや。これはこれは」
 その穴の一つから、初老の精悍な顔つきの男性が顔を出しました。
「びびくーん!」
 こいずみくんが反応しました。
「キョソたん。このおとこは僕には刺激がつよすぎます」
「そうかい」
 キョソがにべもなく言いました。男性は作業着のような、ツナギのような服を着ていて、全身泥だらけでした。彼はこちらに歩いてきて、
「アラ・カワ・モッフⅡ世です。お見知りおきを」
 別に本筋には何の関係もない自己紹介をしました。ちなみに本筋なんてありません。
「何してたんだ?」
 キョソは礼儀というものをまったく知りません。困った子です。ゆとり乙です。

 

 しかしアラ・カワは嫌な顔ひとつせず、
「穴を掘っていました」
 と、実にそのまんまなことを言いました。彼はキョソとこいずみくんを睥睨した後、
「素手で」
 と、実にどうでもいい情報を付加しました。
「何でまた」
 キョソが無関心に言って、穴の列を眺めました。穴は綺麗な円形をしていて、どれも均一な大きさでした。
「いやぁ、恥ずかしながら」
 と、アラ・カワは頬を赤らめて、
「掘りたい気分だったのです」
「びびくーん!」
 こいずみくんが無駄に反応しました。これもどうでもいい情報ですが、どうもこの時このモトラドは「こやつ、できる」と思ったそうです。
「いい年して穴掘りか」
 と、実に無礼千万なことをキョソが言いました。彼はすでに古泉くんに跨っています。
「ええ。若い頃からの夢……でしたから」
 アラ・カワは鼻をぽりぽりとかきました。泥が、初老男性の顔を少年に戻し……はしませんでした。
「ほどほどに頑張れ」
「頑張りますとも」
 そう言って、彼らは別れました。

 


 国から出てしばらく走ると、キョソたちはモトラドに乗った別の男性に出会いました。こちらはまあ何と言うか没個性な顔をしています。
「よう、旅の人だな」
 男はぶっきらぼうに言いました。
「何か用か」
 キョソはもっとぶっきらぼうでした。ぶっきらぼんぼん。
「俺の話を聞かないか」
「断る」
 キョソは即答しましたが、男が勝手にしゃべり始めました
「俺は祖父を探しているんだ。七年前『情熱が、情熱が、迸るぅぅううおおおおああああ!』って、発狂まがいのことを言って失踪しちまってな」
 キョソと古泉くんはぱちりと瞬きして、アイコンタクトしました。
(あいつか)
(ですよね)
 そんな感じのやり取りでした。
「五年間、俺は祖父を探して旅をしているんだ。祖父はそりゃあもう立派な、国の名士だった。毎日バリバリと社交界で幅を利かせていた」
 彼の目には、憧憬とも言うべき色が見て取れました。
「祖父は俺の目標なんだよ。だから、いなくなってもらっちゃ困る。必ず見つけ出す。そういうこった。じゃあな」
 そう言って男は去って行きました。キョソたちはふたたび出発しました。

 


 しばらくしてこいずみくんが、
「キョソたん」
「何だ」
「あの二人、会ったらどうなると思いますか」
「解らん。つうかどうでもいい」
「僕は、きっと彼もアラ・カワさんに掘られると思います!」
 この一人と一台が回答を得ることはありませんでしたけれど。



 第二話 「睡眠の国」
 ―Be quiet―

 草原を一台のこいずみくん(注・アナルゲイモトラド、ガチホモ、一説によれば「もっふ」の一声で国を一つ掘れるという)が走っていました。
 それにまたがるのは十代半ばの、やる気が下の中くらいの少年、キョソ。
 一人と一台は、均整な作りをした小さな国に到着し、入国しました。
 すったかすったかと街を行くと、
「こいずみ」「キョソたん」
 両者が同時に声を発しました。
「どうしたんだ」「キョソたんからどうぞ」
 またも声がかぶりましたが、キョソが、
「この街はえらい静かじゃないか」
 そう言うとこいずみくんは、
「僕はこの街は男っ気がゼロだと思っていました」
 両者の見解はあさっての方向へ向いていました。
「とりあえず宿屋だ」
 キョソたちは基本三日間国に滞在することにしています。
 彼は宿の戸を開け、カウンタの呼び鈴を鳴らしました。
「おい、誰かいないのか」
 思いっきり無礼ですが、苦笑いで許してあげてください。
 さて、キョソが無礼だからなのか何なのか、呼びかけに返事はありませんでした。 
「誰もいないのか?」
「少なくとも野郎はいませんよ。一億万パーセントいません」
 こいずみくんの男子観測精度は宇宙レベルです。
「それじゃ勝手に使わせてもらおうぜ」
 そうして彼らは堂々と不法侵入しました。適当に部屋を選んで、ドアを開けます。
「…………」
 無言で固まったのはキョソです。
 ベッドに少女が寝ていました。
「……」
 すう、と寝息も立てず、ショートカットの何となく読書が好きそうな少女は、眠っていました。
「キョソたん」
「うわ!」
 こいずみくんがキョソのうなじに吐息を吹きかけて言いました。キョソは思いっきり大声を出してしまいましたが、
「……」
 少女は眠り続けていました。キョソは、
「出よう。何かいけないことしてる気分だ」
 気分じゃなくて実際にしてると思います。不法侵入。

 キョソたちは何軒か宿を回りました。しかし、どこへ行っても誰もが寝ていました。皆一様に起きませんでした。伏線でも何でもありませんが女性ばかりでした。
 回りまわって、キョソたちは最初の宿屋に戻ってきます。
「これじゃどこ行っても一緒だな」
 空き部屋を見つけると、キョソとこいずみくんは三日間そこで寝泊りしました。ベッドはひとつでしたが、こいずみくんは床でも眠れるので問題ありません。

「何もない国だったな」
 キョソがこいずみくんに跨って言いました。
「男のいない国に価値はありません」
 こいずみくんがさらりと言いました。
「……」
「うわ!」
 何の気配も感じさせず、突然少女が目の前に立っていました。
「な、何だよお前」
「……」
 よく見るとそこそこに可愛らしい少女は、無表情なので残念ながら魅力が二割減じられていました。しかしこれはこれで物好きなファンがつきそうです。 
「お勘定」
 彼女は言いました。片手で伝票を差し出して。
「……」
 キョソは一分ほど黙り込んで、結局無言少女に屈してお代を払って出国しました。

 草原を、一台のこいずみくんが走っていました。
「ちゃっかりした国だったな」「男のいない国に価値はありません」
 道をしばらく行くと、彼らは案内板を見つけました。
 矢印が、ちょうど今来た方角を指していて「女型アンドロイドの国」と書いてありました。
「な、あいつ機械だったのかよ」
 キョソがちょっと驚いて言いました。
「キョソたん」
 こいずみくんが言いました。キョソが「何だよ」と訊くと、
「何にしろ男のいない国に魅力はありませんよ。過去はさっさと忘れるべきです」
 と、まったく中身のない文言でもってキョソを諭しました。ちなみにこいずみくんには説教なんて意識は皆無です。
「……」
 キョソはしばし黙って空を見つめ、
「それもそうだな」「そうですよ」
 そうして一人を載せた一台はまた走り出しました。
 道を走りながら、キョソはアンドロイドの表情を思い出していました。
 もう少し笑えばいいのに、と彼は思いましたが、そんなことは誰にも言いませんでした。



 第三話 「押し売りの国」
 ―You must buy―

 ある国に、一台のこいずみくん(注・イノセントアナルゲイモトラド、九十年製)が停まっていました。
 運転手の少年は、名をキョソと言います。十代半ばで、テストで十八点くらいしか取れなくても別に構わないような顔をしています。
「これこれ! これなんてどうですか! あなたにピッタリです!」
 キョソはある店に立ち寄っていました。というか、通りがかったら強引に止められたんです。
 店員の、何となくとある機関と対立している組織の幹部っぽい少女は、キョソに片っ端から色々なものを勧めていました。
「これは魔よけのネックレスです。ほら、首のとこのドクロがキュートでしょ?」
「……そうか?」
 キョソはネックレスを流し忘れのトイレを見るような目で眺めました。あからさまに悪趣味でした。ケッタイなイチモツです。
「そうなのです! これさえあればあなたもあらゆる災厄から身を守ることが出来ます!」
 キョソにとってはこの女こそが災厄でした。しかし彼は押しに弱いという現代人特有の気質を持っていたので、なかなか断れません。
「おいこいずみ」
 と振り向いた道端に、モトラドの姿はありませんでした。
「あなたのモトラドなら美形の行商人についていったわよ。男の」
「……やれやれ」

「うっほうほっほいいおとこー! もっほもほっほいいおとこー!」
 しかし、こいずみくんは男を掘ることができないのです。パンツをはいてますから。
「じゃあこれはどう? ある国の魔術師がこしらえた剣で、一度つかむと放せないのです」
 店員がおどろおどろしい演出をつけて語りました。キョソは、
「お前、今つかんでるじゃんか」
「え? あ。……ああああああああ!」
 営業スマイルも空回りです。
 キョソは首を振って、どさくさに紛れて露店から去って行きました。

 夜の宿屋――。
「キョソたん、この国のおとこはレヴェルが高いですよ!」
「そうかい」
 こいずみくんが相当興奮気味に話しました。キョソは昼間の店員のセールストークに辟易して、もうなんかうんざりです。
「見てください! こんなものを売ってもらいましたよ!」
 こいずみくんはそう言って、真っ赤な布きれを取り出しました。
「何だよそれ」
「ふんどしです!」
 目をキラキラさせてこいずみくんが言いました。キョソはしばし沈黙してから、
「それ、お前がはくのか?」
「キョソたん、はきたいですか?」「断固ノーだ」
「じゃあ僕がはきます!」
 そう言ってこいずみくんはパンツの上に赤いふんどしをはきました。
「こいずみ」「何ですか?」
「ちょっと後ろ向いてくれ」
 こいずみくんがくるりと振り向くと、赤フンにパンツヒップという、何とも滑稽な姿が現れました。
「似合いますか!」
 キョソは答えに窮しましたが、一分ほど経ってから「ああ」と生返事しました。
 その日、キョソは小さな罪の意識で、いつもより五分くらい寝るのが遅れたそうです。



 第四話 「追いかけている国」
 ―Run away―

 荒れ地を、一台のこいずみくん(注・モトラド、毎日自分でアナルを洗う。しこたま洗う)が走っていました。
「もっふ! もっふ!」
 走っていました。
「もっふ! もっふ!」
 走っていました。
「もっ――」
「こいずみ、もちっと静かに走れんもんかい」
「キョソたん、僕はかけ声がないと速度が七割減なんですよ。大損ですよ」
 ちぇっと言ってキョソは諦めました。彼は前方百メートルにある国を見つめ、
「いつ追いつけるんだろ」
 呟きました。こいずみくんは、
「僕ならいつまででも走っていられますよ! もっすふい!」
 怪気炎をあげて国を追いかけ続けます。

 キョソたちは走る国を追いかけていました。
 それは台車のような敷地を持っていて、何らかの仕組みで車輪を駆動させて走っています。
 一人と一台は、かれこれ小一時間この国を追いかけていましたが、どうにも追いつけずにいました。
「キョソたん」「何だ」
 こいずみくんはもっふもっふ言いながら、
「ここらで僕の本気を出――」「それは却下」
 荒れ地を、一台のこいずみくんが走り続けました。

 夜。
 一人と一台はようやくもって国に入国しました。どうも夜になるとこの国は動かなくなるようです。
 こいずみくんはまるで疲労知らずですが、キョソのほうは日中あんまり退屈だったんで心労がたまりました。
「宿……」
 それっぽい建物に入ると、眼鏡の、すらっとした姿態の、何となく会長っぽい雰囲気の人が怜悧な視線を飛ばしてきました。
「何だお前ら」
 結構無礼です。
「旅の者だ。疲れたから泊めてくれ」
 キョソも負けていません。しかし眼鏡さんは、
「あいにくだがここは宿屋じゃない。宿屋はもっと内っかわの区画にある」
 と言ってキョソたちを追い払いました。

 内っかわの区画、というのは、国の敷地の中を走っているさらなる区画のことでした。
 もうすっかり夜でしたが、キョソはこいずみくんに乗ってその走る区画を追いかけていました。
「もっふ、もっふ」「こいずみ、眠い」

 内っかわの区画に入れたのは朝のことでした。お察しかもしれませんが、朝にこの区画は走るのをやめたのです。
 キョソはようやく宿屋っぽい建物に入ったのですが、今度は「さらに内っかわの区画」があると知らされ、夜までそれを追いかけました。

 そんな感じで、半日ごとにキョソたちは次の区画を追いかけて、どんどん中に入っていきました。
「キョソたん」「何だ…………」
 キョソは目の下にクマを作って、遠のきかける意識の中で何とか返事をしました。
「僕思ったんですが、野宿じゃだめなんですか? 初夏だしこごえませんよ」
「…………」

 キョソは安心したのか失神したのか、意識を遠くにロケットシュートしました。
 こいずみくんはその後、キョソを宿屋まで運んで看病したそうです。



 閑話 「森の中で」
 ―In the midanal―

「キョソたん」
 深い森の中でした。
「何だよ」
 野営の最中でした。
「僕は時々、自分がひどく全裸で、ガチホモな存在に思えることがあるんです」
「…………」
 キョソは毛布を引き寄せて、こいずみくんの話に耳を傾けていました。
「でも、そんな時は反対に、世界が全裸で、いい男に思えてくるんですよ」
 何が「反対に」なのでしょうか。それはこいずみくんにすら解りません。
「こいずみ」
「何ですか」
「寝ようぜ」
「そうですね」
 深い森の中でした。



 第五話 「ホモシアム」
 ―Gati-Homo―

 あるところに国がありました。
 そこは比較的文明の発達が遅れているため、まだ機械が生まれていませんでした。
 なので争いごとには剣とか肉体とかを使うことになります。パースエイダーはこの国にはありませんでした。
 この国にはホモシアムがありました。コロシアムを思い描いていただければ大体OKです。
 ホモシアムに、一人の旅人がやって来ました。
「頼む」
「……君、参戦希望かい?」
 受付の、何となくコンピュータに関して卓越した技能を持っていそうな、部長っぽい人が言いました。
「ずいぶんと小柄だけど、本当に大丈夫? ここはホモシアムだよ。一生のトラウマが生まれし場所だよ」
「構わない」
 少年は言いました。そう、旅人は少年で、名をキョソといいました。
 こんな緊迫すべき場面でも、十一時くらいまで寝てしまった休日の起きぬけみたいな顔をしています。
「つうか俺出ないし」
「……僕が、出るんですよ」
 旅人の後ろに、しなやかな肉体を持つ一人の男が、ぬっと、ぬめっと現れました。
「ああ、ですよね」
 受付の男は言いました。
 ある意味、その言葉が男の最後の言葉になりました。
「あなた、いい身体してますね」
「……へ?」

 堀――。

「さぁ盛り上がってまいりましたホモシアム! とうとう決勝戦です!」
 実況のアナウンスがあって、闘技場にファイナリスト二名が姿を現しました。
「まずはわが国随一のtddn(テトドン=ファイナルウェポンの意)の持ち主……」
 やや浅黒い肌を持つ、笑顔の能天気な男が前に出て、
「タ・ニグチーーーーー!!!」
 会場に投げキッスの乱舞を放ちました。映像で伝えることが出来ず、幸運に思います。
「続いて、突如現れたさすらいのダーク・アナル……」
 会場がさざめきました。
「こいずみーーーーーー!!!」
 人型モトラド、こいずみが決勝戦の舞台に上がりました。数々の激戦を潜り抜けたこいずみは、いまや峻厳な眼差しをしていました。
 会場のさざめきがどよめきに変わりました。ちびって逃げ出す人もいるくらいです。
「ルールはいたって簡単! 先に相手のアナルを奪取した者が勝者、賞金の一千万ハッテンを受け取ります!」
 タ・ニグチの眼差しがぎらりと、まるで闇夜の湖面のように光りました。
 こいずみの眼差しがそれを受け止め、彼のイチモツは静かに時を待つのがしんどくなってきました。
「それでは、レディ――」

 堀――。

 両者が消えた。
 直後、打撃が弾ける音だけが、空間のそこかしこに鳴り響いた。
 武術の達人は、辛うじてその骨肉の争いを視認することができた。
「す、すげぇ……何つう張り具合だ……」
 何のことを言っているのか、通にしか解らなかった。
 その間にも両者の、一線を画した掘り合いは白熱するばかりだった。
「はぁぁぁあ」
 タ・ニグチが眼光とともに、
「肛門拡張波(アナル・バースト)!!!」
 黄色に光る波動を放った。
 こいずみは丁度動きと動きの間に体勢を立て直すところだった。一瞬の隙だった。
「こいずみ!」

 破裂――。

「おーっと! 勝負あったかぁああ!?」
 闘技場の三分の一が消し飛んだ。
 そこにいた者は、老若男男問わず、アナル・ヴァージンを喪失した。
 辺りには粉塵がもうもうと立ち昇り、さながら某竜玉アニメの尺稼ぎのような様相を呈していた。
「…………その程度、ですか」
「なっ」
 タ・ニグチの自由が奪われていた。煙の柱を見つめていた彼は、こいずみが流水の動きで背後につけていたことに気付かなかった。
「たすけ――」 
「超・捻転肛門竜巻(アナルホド・ザ・ワールド)!!!!!」

 時が、止まった。

 風が舞った。
 鳥が一羽、自由を慈しむように、遠くへ、羽ばたいていった。

 堀――。

 道なき道を、一台のこいずみくん(注・特別天然危険物、必殺技四十八種類)が走っていました。
「なぁこいずみ」
 乗り手の少年が話しかけます。
「何ですか、キョソたん」
「賞金、重すぎて持ちきれなかったな」
「ですね」
 彼らの通った後に、札束の道ができていました。




 第六話 「時間移動の国」
 ―Old anal,New anal―

「はい。キョソさんとこいずみさんですね。三日間の滞在を希望で。かしこまりました。それではどうぞ」
「すまん」
 門が開いて、一台のこいずみくん(注・ヒューマノイドモトラド、朝五時起床)が走り出しました。
 背中に乗っているのは、十代半ばの、アルバイトを初日でばっくれそうな少年、キョソ。
 さて、この一人と一台は、たった今とある国に入ったばかりです。
「キョソたん。どうしますか。宿屋にさっそくゴーしますか?」
「ん。そうだな、街を見て回ろう。ヒマだし」
 他愛無い凸凹コンビの会話もそこそこに、彼らはまず観光することにしました。
 国の中は赤茶色のレンガ造りの家々と、ベージュの石畳の道が続き、街の中央部に黒い屋根の教会がありました。
 教会には巨大な時計がついていて、国のどこからでも現在時刻を知ることができます。
「時間にタイトな国なんですね」
「ヤなとこだな」
 キョソは生まれてこの方、時間というものをほとんど気にしたことがないのです。こいずみくんも似たようなものです。
 一通り街を回ったキョソたちは、最後に教会にたどり着きました。
「ほ?」
「……」
 まだ幼さの残る、けれど場所によっては愛しの先輩をやっていそうな、しかもグラマラスな赤みがかった髪の少女が、教会の外で掃き掃除をしていました。
 彼女はまんまシスターな服装だったので、聖職者なのだと思います。

「ちわこんに」
「変な挨拶すんな」
 こいずみくんの無礼を珍しくキョソがとがめました。
「あなたたちは……どなた?」
「旅ゲイ人です」「旅人です! こいつの言うことはほっといていいんで」
 こいずみくんの言葉をキョソが上塗りしました。
 よく見ると、キョソはなんだか挙動不審というか、そわそわしています。
 ははあ、これはきっと一目惚れですね。こいずみくんに言わせれば一目掘れです。
「そうなんですかー。……あ、でもそれじゃあ」
 シスターがそう言った矢先、大地が振動しはじめました。
「ぷ、ぷるぷるしてますよ! 僕のイチモツがぷるぷるしてます!」
「お前の股間だけじゃねえよ。この国全体が揺れてるんだ!」
「あー、やっぱり……」
 シスターの胸元もいい感じに揺れていたんですが、何せパニックだったものでキョソは気付きませんでした。
 揺れは一分ほどで収まりました。
「な、何だったんだ!?」
「時間移動です」
 シスターが言いました。
「はい?」
 キョソの疑問にシスターは、
「この国は日に二回ほど時間移動するんです。五十年前と、後の間を」
「つまり、新旧のいい男が掘り放題と言うわけですね」
「そうですねえ」
 こいずみくんの言葉にシスターがクスクス笑って普通に返事をしました。キョソは唖然としつつ、
「それじゃ、今のここは……」
「はい。五十年前です」
「何てこった」
「あたしたちのところは、未来てくのろじーを過去で売りさばいて、やんやん儲けるんですよ。うはうはって話です」
 クスクス笑いながらシスターが言いました。キョソはそこに、この世の裏にひそめきうごめくものの何たるかを見てしまいました。

 三日後。元の時代に戻ったタイミングで、キョソたちは出国しました。
 平原を走るこいずみくんの背中で、キョソは、
「こいずみ、何かこえぇな、世界って」
「キョソたん。五十年前の男はこえぇですよ」
 何があったのか知りませんが、こいずみくんも相応にショックを受けたようでした。
 キョソはぼんやりと「時間旅行はもういいや」と思いました。


  
 第七話 「実況中継の国」
 ―Now on air―

「いやっぽー! テレビの前のみんなっ! 元気してるかなっ! お昼のツルヤンニュース! 今日の中継は、南市街の七番地からだっ! ちょいっと旅人さんに会ったんで、話を聞いてみるよっ! こんにちは!」
「……ども」
「あれれっ? 緊張してるのかなっ。リラックスリラックス!」
「……はい」
「そっちのまっぱの人はお仲間さんかいっ?」
「……ああいえ、そいつは」
「テレビの前の男性諸君、僕は近日中にあなた方を掘ります」
「こいずみ! バカ!」
「おっと、これはユニークな予告だねっ。みんな! お尻の穴には要注意だっ!」
「あなた何言ってんすか! こいつは本気ですよ!」
「あれっ、早速いなくなっちゃったみたいだね」
「ああ! マジだ!」
「というわけで皆! 頑張ってあの裸体男子から逃げとくれっ!」
「……忠告しとくと美形から掘られる。気をつけろ」
「それじゃまた次回! シーユー!」

「ほっほうほっほいいおとこ、ほっほもほっほいいおとこー♪」



 第八話 「海辺の国」
 ―Anal on the beach―

 海辺を、一台のこいずみくん(注・アナルゲイモトラド、男のアナルの直径をサーチできる瞳を標準装備)が走っていました。
 それに跨るのは、十代半ばの、お年玉を一週間以内に使い果たしそうな少年、キョソ。
 海はすべての始まりと終わりを見通すかのように、どこまでも青く深く澄んでいました。
「キョソたん!」
 こいずみくんが目をらんらん輝かせて言いました。肌が少しだけ日に焼けています。
「何だよ」
 キョソは海原に乱反射する陽光に目をすがめながら答えます。
「人間、生まれたままの姿で海辺を駆けると心が晴れていきますね!」
 いつでも晴れてるのにこいずみくんはそんなことを言いました。
「……」
 キョソは「そうだろうか?」と思って、何も答えませんでした。
 実際、彼は海を眺めていても何となく憂鬱で、この青色は彼の内面を映しているに違いないとすら思いました。
「なあ、こいずみ」
「何ですか!」
 ついさっき浜辺で男を四、五人平らげたばかりのこいずみくんは、目を爛々と輝かせています。
「この旅に意味はあるのかな」
 キョソは陸地のほうを眺めました。そちらには延々と街並みが広がっています。白い石造りの、伝統的な家々。
「世界中の男とねんごろになれますよ!」
「……」
 キョソはまたしても黙り込みました。午前の間、キョソはそれきり口を聞きませんでした。
 
 昼過ぎに宿を取った一人と一台は、この国の商店を見て回りました。
 旅行や観光で訪れる人々への土産物を扱った店が主で、キョソは何となく退屈でした。
「――――」
 ふと、ある店の軒先に出てきた少女と目が合いました。
 この街とは対照的な、どこか異国めいた雰囲気の真っ黒な髪と瞳を持った少女でした。
「――――」
「お前は……」
 少女は瞬きもせずに、ただただキョソを見つめていました。
「――――」
「あら」
 店の奥から、ウェーブがかった黄緑色の髪を持つ、どことなく生徒会書記職っぽい雰囲気の少女が姿を見せました。
「こんにちは」
 彼女はにこりとキョソに微笑んで言いました。
「――――」
 黒髪の少女のほうは、以前キョソを見つめています。
「まあ、この子ったら」
 黄緑の少女は気がついて言いました。キョソは、
「そいつは何なんですか」
「この子、寝てるんですよ。これで」
「――――」
 そのようでした。端的に言えば目を開けて寝ていました。
「ちょっと天然って言えばいいんでしょうか。でもわたしの妹です。ふふ」
 黄緑色の髪の少女はあてやかに笑って言いました。
「ところで」
 と姉はキョソのほうへ向き直り、
「昆布かワカメ、いかがですか?」

 海辺を、一台のこいずみくんが走っていました。
「キョソたん」
「何だ」
「これ、何とかなんないですかね」
「……」
 キョソは今度は自分の否を解っていて無言になりました。
 こいずみくんは頭部からべたべた垂れ下がる海草類に半ば飲まれるように、前衛的なヘアスタイルを何とか維持していました。
「何か買いたい気分だったんだよ。……すまん」
「目の前が真っ暗です。というか真緑です」

「――――」
「今日は旅人さんがたくさん海草を買ってくれたのよ」
「――――」
「あら、また寝てるのね。ふふふ」

 憂鬱は買い物をすることで晴れたりするのかもしれません。
 でも衝動買いには要注意、とキョソは肝に銘じました。



 第九話 「モトラドの国」
 ―Hot heart―

 夜でした。
 荒野にある岩陰で、一人の旅人が眠たげな目をこすりました。
 彼を見て、傍らにいるモトラドが、
「キョソたん、もうおねむですか?」
「……zzz」
 訊いたときには旅人は寝ていました。
「あ、寝ちまいましたか。それじゃ僕は深夜の男ハンティングに繰り出すとします!」
 そう言ってモトラドは姿を消し――、

 旅人は夢を見始めました。
 それは少し遠く、けれど近くもある時間のお話。

 ………
 ……
 …

 その国はモトラドの製造に数百年の伝統と歴史を持つ、世界でも有数の工業国家でした。
 国民はほとんど全員がモトラド工として長年の修行を積み、やがて一人前になります。
 この国の子どもたちの話し声が聞こえます。
「あーあ、親方みたいになれたらいいのになぁ」「無理無理。十年早いわよ」
「僕が職人になったら、絶対ギアを十段変則にするんだ」「わたしはサイドカーをもっと充実させたいわ」
 彼らの談笑の輪を、どこか冷めた……いいえ、かなり冷めた目で眺めている少年がいました。
「…………暇だ」
 彼は名をキョソといいました。
 年は十代の半ばにさしかかろうかというところ。
 彼は心の大事な部分に厳重に鍵をかけて、ずっと見向きもしないような少年でした。
 まわりの少年少女がモトラド工として技を磨く中で、キョソはもうずいぶん前から研鑽の日々を送ることをやめていました。
「つまんないな」
 彼は退屈な毎日に飽き飽きしていました。キョソにしてみれば、モトラドなんて作って何が楽しいんだろうって感じでした。
 家でマンガ読んだりゲームやったりしているほうが七万倍マシに思えました。
 でも、それすらもうだいぶ前に飽きてしまっていました。
「何か起こらないかな」
 彼は青空を見上げて、一人つぶやきました。
 ふと、どこかから音が聞こえました。
「……ん?」
 キョソは耳を澄ませました。
「誰かそいつを捕まえてくれぇ!」
 どこかの職人の声がしました。
 直後、奇妙な音がドップラー効果とともに聞こえました。

 ぴたぴたぴたぴたぴたぴたぴたぴた――!

「な!」
「うっほ! かわゆいおとこのこ!」
 全裸でした。ぶらんぶらんでした。
「オーノー!」「きゃぁあああ!」「なんてこったい!」
 街の人々は、突如現れた全裸のおとこに、驚愕と好機と羞恥が入り混じった声を投げました。
 キョソが驚く間もそこそこに、おとこは彼をマッハで肩車して駆け出しました。
「あなた! 名前は何というんですか!」
 ぴたぴた走りながら、全裸おとこはハッスルボイスを発しました。
「……キョソだ」
「キョソたんですね!」
「お前は何者なんだよ」
 この間に、街の警備兵が様々な捕獲術を駆使しましたが、おとこは全てをかわして身体も交わしました。
「僕は人型モトラドのこいずみくんです!」
 自らに「くん」をつけて紹介したこいずみくん(注・モトラド。危険物所持。スーパーアナホリックモード)は、いとも簡単に五人の警官を掘り倒しました。
「駄作扱いされて眠っていたんですが、退屈だったので起きちゃいました」
 こいずみくんはにこやかに言いました。キョソは内心ちょっとだけ「おもしろいやつ」と思いました。
「待て! させるものか!」
 どっかのハンドボール大好き熱血教師っぽいモトラド工は、自らの過失を償わんとばかりに出国口に立ちはだかりました。
「少年! せめてこれを持っていけ!」
 モトラド工はキョソに何か布切れのようなものを放り投げました。キョソが広げてみると、それはパンツでした。
「そのトンデモゲイの暴走を止めるにはそれs――」

 堀――。

 ………
 ……
 …

 夜でした。
 すっかり消えた焚き火の傍に、一台のこいずみくんが戻ってきました。
 旅人、キョソは、その時だけ目を覚まして、
「こいずみ。ちゃんとパンツはけよな」
「もちろんです! これがあったほうが色々うずきますしね!」
 そう言ってパンツをはきました。その頃にはキョソはとっくに寝静まっていました。



 第十話 「情けのない国」
 ―I am the law―

「こいずみ!」
 少年の声がしました。
「……キョソ、たん」
 力の抜けた別の声が答えました。
「こいずみ! 大丈夫か!」
 最初の少年が言いました。
「ちょっと……無理をしちゃいました。……もうダメかもしれません」
「馬鹿いえ! お前がいなかったら俺は誰を頼ればいいんだ!」
「……ごめんなさい。僕は……もう」
「こいずみーーーっ!!!」

「あなたたち、もう少し静かにできないの?」
 祭りの縁日でした。青く長い髪の、何となくクラス委員っぽい雰囲気の少女が言いました。
 キョソ(少年。主人公。十代半ば。五十分の授業中、四十五分くらいを寝てすごしそうな顔)は、へばりきったこいずみくん(モトラド。アナルゲイ。毎日、アナルの抜き打ちの練習をする)に向けて、
「こいずみ。お前でもダメか……」
「うふふ。うちの射的はよほどのプロでもないと無理なのよ」
 少女は冷淡な微笑をたたえて言いました。キョソとこいずみくんは、祭りの射的にホモシアムで稼いだお金を全額つぎ込んでしまったのでした。
「つうか」
 キョソの呟きに
「何?」
 少女が答えます。
「的が遠すぎんだよ! 何メートルあんだ!」
「5メートル……にちょっと毛の生えたくらいよ」
「嘘つけ!」
 どう見ても数百メートルありますありがとうございます。
「あなたたちが引き際を見極めないから悪いのよ。ふふ」
 笑った少女は、手首のスナップを利かせてナイフを投てきし、見事一発で遠くの的に命中させました。
「…………僕に、あと一度だけチャンスを」
 こいずみくんが最後の気力を振り絞り、立ち上がりました。

 数分後、歓声と悲鳴が上がりました。
 それは以後数週間、その国で語り継がれることになりました。 

「うっほうほっほいいおとこー」
 舗装された街道を、一台のこいずみくんが走っていました。
「なあこいずみ」
 運転手のキョソが言いました。
「何ですか?」
「あれは反則だ」
「何ででっか?」
 変になまってこいずみくんが言いました。
「肛門拡張波はもう使うな」

 こいずみくんは、街のいいおとこを的にすえたのでした。
 一発一中だったそうですよ。ちゃんちゃん。
「てへ」



 第十一話 「続・時間移動の国」
 ―Time goes by Anal―

「……おお」
「ほわああ」
 つぶやきが静かに響きました。
「こりゃすごいな」「すげえですね」
 そこは元いた場所より五十年ほど未来の世界でした。
 キョソという名の、文化祭の終わりなんかを密かに寂しく感じていそうな顔の旅人と、こいずみくんという名の、変態人型モトラドが、あたりの様子に感嘆していました。
「ふ。どうだ、この国は定期的に五十年隔てた未来と今を行き来できるのさ」
 何となくいけ好かない感じの、何となくパンジーの花を想起させる、へたれが言いました。
「へたれじゃねぇえええええ!」
 あ、突っ込まれてしまいました。へへ。
 彼、通りがかりのパンジーさんは、この国の住人のひとりでした。
 彼がすごいのではなくこの国がすごいのです。
「うるせぇえええ!」
 また地の文にツッコミを入れてきますね彼。
 さて、国の様子はさっきとうって変わって、それっぽい未来版のホヴィー(ホヴァー・ヴィークル、浮遊車両のこと)とか、やたら背が高いビルとか、ファンタジーからSFに変化してしまった雰囲気に満ちています。
「キョソたん」
「男漁りは我慢しろよ」
 キョソはこいずみくんの心を読むまでもなく答えました。
「ふ。この国はどういうわけか昔から時間移動ができるんだ。なんでも過去に移動できる国があって、そこと連動することで――」
「お、あれ乗ろうぜ。レールのない電車みたいな」「いいですね!」
「話を聞けお前ら!」
 
 キョソとこいずみくんは、未来の国をひとしきり堪能して次の日をむかえました。
 目が覚めると、元の時代に戻ってきていました。
「何だ、元の時代に戻っちまったんだな」
「おとこの試食がまだだったのにこんちきしょう」
「何ならもう一泊していけばいい。一日おきに今と未来を移動してるからな」
 パンジーくんはさみしかったのです。
「さみしくねぇええええ!」

 けれど、キョソとこいずみくんは滞在三日目だったこともあって、この国を出て行くことにしました。
 パンジーくんが色々言って引きとめようとしても、結局出て行くことにしました。
 出国手続きを済ませた一人と一台は、うららかな陽光の下を走り出しました。
「未来のおとこってどんな味だったんでしょうねぇ」「知らん」
 この凸凹コンビの遥か後方、パンジーくんではない、もっと別の誰かが、彼らの後をつけていることに、二人は気がつきませんでした。



 第十二話 「最後の国」
 ―All roads lead to Anal―



 エピローグ 「アナルの中で・a」
 ―to Your Anal―

 戦いに巻き込まれ、困っている国がありました。
 もうだめ、敗北寸前。人々は救世主の登場を願っていましたが、それは儚い願望にすぎないと、半ば諦めかけていました。
 灰色の雲が立ち込めて、炎が家屋を焼き払おうとする頃――、

「うっほうほっほいいおとこー、もっほもほっほふんもっふー♪」

 牧歌的な、調子外れの鼻歌が、まるで希望の角笛のように響き渡りました。
「あれは、鳥か?」
「飛行機か?」
「いや……おとこだ!」

「違うな。こいつはモトラドなんだよ。人型の」
 そう言って、一人の旅人が降り立ちました。
 見慣れない服を着た、十代半ばの少年でした。名前をキョソといいます。
 彼は運動会のかけっこを初めから諦めていそうな顔をしていましたが、不思議と、瞳には光が宿っていました。
「やっちまえ、こいずみ」
「もっふ!」

 堀――、

 間もなく、どこかから駆けつけた警官隊が言いました。
「この辺におとこを掘りまくっているわるいモトラドがいませんでしたか!」
 しかし、町の人々は首を振ってこう言います。
「いいえ、とても素敵な、いいモトラドと旅人のコンビが通りかかっただけですよ」
 雲は遠くに去って、太陽が顔を出しました。


 (穴)

|