好感日記。Ⅰ

 

俺にとっての日常とは、妹による骨が軋むようなボディプレスをうけいろんな意味で
爽やかな目覚めを強いられ朝食も適当に、あの山頂ハイキングコースを登る。
そして学校で黒板に淡々と書かれていく理解もできないようの単語の羅列をこれまた淡々と
ノートに写す。そうして足は勝手にSOS団の根城、元(?)文芸部室へと運び気付けば朝比奈さんの
お茶をすすり、この世でボードゲームが最も弱いと思う古泉の相手をし、長門の本の閉じる音で
帰宅準備に走る。うむ。これが俺の今最も愛すべき日常だ。中学生の頃の俺なら考えられなかったがな。

しかし今日は少し違った。俺の日常が変わる原因はひとつしかない。
涼宮ハルヒのせいさ。
教室につくとハルヒはまだ来ていなかった。ほう、珍しい。俺があいつよりはやいとは。
イスに座り数分するとハルヒが教室の戸口に姿を現した。
お・・・これはだいぶイライラしているぞ。さてさて今日は何がどうしたことやら。お話を聞いて差し上げるとするか。
「おはよう、ハルヒ。」
「・・・・」
くっ、朝一で無視か、シカトか。
しかしもう何ヶ月お前といると思っているんだ。俺はめげんぞ。
「どうしたハルヒ。具合でも悪いのか?それとも何か悩み事か?俺でよければ聞いてやるが?」
「うるさぃ・・・ほっといて。」
やれやれ・・・。どうしたものかね。ここまで拒否するということはどうやらこれ以上たずねても逆燐に触れて終りそうだ。
俺はハルヒの機嫌がそのうち治るまで放置することに決めた。うむ、これが一番だ。

その日も授業を適当に聞き流していたら気付けば放課後であった。俺は掃除当番であったため遅れてSOS団の部室に向かう。
いつものように一応ノックをする。「はぁ~い」と俺の耳をくすぐる可愛らしい声。
戸を開けるとそこには部屋の隅で黙々と本を読む宇宙人、長門、思わず顔が緩んでしまうような朗らかさを身にまとう
未来人、朝比奈さん。そして、いつものニヤニヤ顔で俺を見る超能力者、古泉。
しかし部室には一人足りなかった。言うまでもないハルヒだ。
「あれ、ハルヒはまだ来ていないのか?今日は掃除当番でもなんでもないはずだが。」
「涼宮さんなら今日は帰られましたよ。今日は自主休部らしいのですが・・・どうせ来てしまったのですから
あなたを待っていようかと思いましてね。」
「そりゃーありがいこった。あ、朝比奈さんありがとうございます」
朝比奈さんがお茶を差し出してくれた。うーん・・・やはりおいしい!これを飲むだけでも来る意味がある。
「ところで・・・今日の涼宮さんはどこか変わったところはありませんでしたか?」
「変わったところ?・・・ああ、今日は一日中不機嫌だったな。まぁいつもの事だろう。明日になればいつものうるささが戻ってくるだろうさ。」
「それがですね・・・。もしかしたらそうもいかないかもしれないのですよ。」
「何故だ?いつもとは違うとでも言うのか?」
「ええ。涼宮さんは20分ほどここにいらっしゃったのですが恐らく30秒に一回は『退屈』という言葉を発していました。
恐らく相当今の涼宮さんは満たされていないのでしょう。その証拠に今次々と閉鎖空間が発生していますよ。僕も今すぐ仲間の援護にいかなくては
いけないのですが・・・今回の問題を解決できそうなのもまたもや貴方です。」
「ふぅー・・・また俺がひとくたびれしなくてはならないのか・・・。」
「仕方ありません。貴方は選ばれたのですからね。」
いつものニヤニヤで俺に近づく古泉。ええい、近づくな。
「失礼。では今回の問題を片付けるための僕からのささやかな援助アイテムを差し上げましょう。・・・こちらです。」
古泉が取り出したのは、普通の大学ノートだった。こんなもんであいつの機嫌を治せというのか?
「言ったでしょう、これは援助アイテムです。実際に行動を起すのは貴方ですから。このノートはきっかけでしかありません。」
「で、俺になにをしろと・・・?」
「涼宮さんと明日から交換日記をしてください。」
俺はしばし昔に、ここにいる3人から自分達は普通の人間ではないと告げられたときくらいの衝撃をうけた。
「交換ノート!?何故俺がそんな乙女チックなことをあのハルヒとしなければならないのだ!?」
「涼宮さんは貴方に明らかな気持ちを持っていることはもうご理解していますよね?ならば」
「ちょっと待て。ハルヒの俺に対する明らかな気持ちとはなんだ?俺にわかりやすいようにご教授願いたいね。」
俺は間違ったことは言っていないはずだ。しかし何故だ。何故俺は3人からこんなに冷たい哀れみの目を向けられてるんだ。
「はぁ・・・。もう貴方には少々失望の念すら抱いてしまいますよ・・・。」
「・・・・鈍感。」
「キョン君・・・ひどいですぅ・・・。」
長門に朝比奈さんまで・・・。お、俺が何をした。なんだか俺が罪な男みたくなっているではないか。
「もう仕方ありませんね。閉鎖空間の勢いからすれば数日後に突然世界がなくなってもおかしくありません。貴方自身で気付いて
ほしかったのですが・・・ではお教えしましょう。」
おお、何を教えてくれるというのだ。どうせたいしたことではあるまい。このニヤケ面から俺の心が躍るようなお言葉は述べられたことはない。
「涼宮さんは貴方に男女の間として好意を抱いています。率直にいうならば貴方のことが好きだということです。」
ん・・・?悪い古泉。最近耳の手入れを怠っていたせいかよく聞こえなかった。もう一度ゆっくり言ってくれ。
「ですから、涼宮さんは貴方のことが好きなのです。」
どうやら俺の頭のスペックはもう満杯のようだ。古泉の言葉を理解するのにややしばらくかかった。
「そ、そんなわけがないだろう!第一あいつは俺のことを雑用係としか認識していないはずだろう?」
「いいえ、それは貴方が気付いていないだけですよ。こちらに機関が入手した涼宮さんが貴方のことを好いているという証拠を納めた
ビデオがありますがご覧になりますか?」
「いいや、やめておく。断固拒否だ。」
それがもし真実であった場合きっと俺は寝れない夜を過ごすことになるだろう。
「今涼宮さんが求めているのは退屈から脱出することです。きっと貴方かもしくは涼宮さんから愛の告白さえあれば一発で解決する
問題でしょうが、貴方も涼宮さんも『告白してください』といってするような人ではないでしょう」
ククク・・・と微笑をしながら俺を見る古泉。
「そこでこの交換ノートです。涼宮さんにとっては貴方と触れ合え、退屈しのぎにはなる。あわよくばそのままどちらからか告白も・・・という展開も期待
できることでしょう。」
「おい、ちょっと待て。何故俺とハルヒがくっつくようなことが前提で話が進んでいるんだ!?」
「それはですね、規定事項なのです。そこに事を運ぶまでの道のりは違えど貴方はこの学校の在学中に必ず涼宮さんとお付き合いすることになっているんです。」
めずらしく朝比奈さんが真面目な顔で語ってくれた。
「はぁー・・・規定事項・・・ねぇ・・・。」
まぁ・・・はっきり言おう。確かにハルヒのことを友達だとは思っていない。その枠からは外れて所謂、恋愛対象というものに入るのだろう。
しかしそんなこと素直に言えるはずもなく温めてきたのだろう。
「はぁー・・・わかったよ。とりあえず交換日記をすればいいんだろう?それで世界が助かるなら安いもんだ。」
「貴方ならそういってくださると思っていました。ではこちらをお渡ししておきましょう。では僕は仲間の援助にいかなくては・・・では。」
そういうと古泉は足早に部室から去っていった。
「じゃ、ちょっとはやいですけど私達も帰りましょうか?」
朝比奈さんの一言で今日は解散となった。


次の日、学校に向かうとハルヒが先に席についていた。
「よう、ハルヒ。」
「・・・・」
うつぶせのままハルヒは無音だった。ほお・・・古泉のいうとおりだ。
しかし昨日のように俺はここで引き下がるわけにはいかなかった。
「な、なぁ、ハルヒ。聞き流したかったらそのままでいい。とりあえず話を聞いてくれ。」
屍のようなハルヒに向かって声をかけるもやはり反応はナシ。まぁいい。
「き、昨日から元気ないからさー俺考えたんだよ。きっとお前はなにか悩みを抱えているんだろう?そして昨日教えてくれないということは
口では言いにくいことなのだろう?そこでだ。お、俺と交換日記でもしてみないか?」
い、言っちまった。しかし意外にもハルヒは反応を示した。と、言ってもちょっと顔を上げて俺をにらむように見ただけだが。
俺は自分の口から『交換日記』などと乙女チックな単語を発してしまった恥ずかしさと、にらみ付けるハルヒの重圧に少々押されながら
苦笑いの笑顔で取り繕った。
「なによ・・・交換日記だなんて。あんた、そんな乙女なことが好きだったのね。」
くっ、自分でも思っていることなのに言われるとなかなかきついものがあるな。でもまさかここで『古泉の提案で・・・』なんて口が裂けてもいえない。
「ま・・・あんたがどーーしてもっていうなら・・・やって、あげないことも・・・ないけ、ど・・・?」
さっきまであんなにローテンションで全く喋らなかったハルヒがのってきた。恐るべし古泉提案。
「あ、あぁ。どうしてもだ。俺はどうしてもお前と交換日記がしたい。」
くぁー・・・は、恥ずかしい。フロイト先生どころか世界中の人が爆笑しそうだ。
「しょ、しょうがないわね。じゃ、じゃぁ言いだしっぺのあんたから書いてきなさいよ。」
顔を真っ赤にしてハルヒが言う。くぅ、赤くなっちゃって可愛いじゃないか!
「ああ、わかった。じゃ明日回すからな。」
そういい終えた瞬間、岡部が来てHRが始まった。
それから一日ハルヒはなんとなく元気になったようでいつものハイテンションとはいかないがミドルテンションくらいはあったであろう。
部室にもちゃんといたし、みんなで一緒に帰るときもそれなりにいつも通りに見えた。
帰り道、古泉がハルヒに聞こえないように俺に囁く。
「どうやらうまく話を進めたようですね。さすがです。」
「世界のために俺がどれだけ恥ずかしい思いをしたと思っている・・・。」
「いえいえ、これは世界のためだけではなく貴方達のためでもあるのですよ?」
爽快なニヤケ顔で俺を見る。やめてくれついつい殴りたくなってしまう。
「暴力はいけませんよ。それに内心貴方も嬉しいでしょう。今まで以上に涼宮さんが見えるはずですよ。」
それが俺にプラスなのかはなんなのかはわからんがきっと喜ばしいことなんだろう。
そんなこんなでいつもの分かれ道に差し掛かった。しかし俺とハルヒは同じ方向だ。古泉に『頑張ってくださいね』と囁かれた。何を頑張れというのだ。
「あんた、よく交換日記しようだなんて思ったわね。」
「ん・・・あぁまぁな。」
こっぱずかしくて気の利いた返事はできないがその辺はご愛嬌としていただきたい。
「あんた・・・くだらないこと書いたら死刑だからね。せいぜいあたしを楽しませるようなこと書いてきなさい。じゃなかったら本当に死刑だから。」
死刑を2回も重ねられたということはくだらないことを書いた日には本当に俺の首はなくりなそうだな。
「ああ、わかったよ。死刑はいやだからな。」

 

好感日記Ⅱ

 


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