「眠くないけどやっぱり寝よう・・・」
インターフェースに睡眠などいらない。
けど、睡眠を取れば少しでも人間の気持ちが解るんじゃないかと思った。
だから、眠たくないけど寝ることにした。
少しでも、彼の事を知る為に。

―――少しでも、貴方を知る為に。

「・・・」
私は、一人であの部屋へと向かっていた。
単身で行くことなんて早々無い場所だから少しだけわくわくとしている。
これが人で言うところの探究心や好奇心だろう。
SOS団と書かれた部屋をノックする。
「失礼します」
一礼してからその扉を開ける。
「・・・喜緑さんですか」
その室内には、彼しか居なかった。歩を進ませて入室する。
そして、扉を閉める。二人きり。胸が高鳴るのを感じている。
「キョンくん、お一人ですか?」
自分でも驚くぐらい普通に声が掛けられた。
今、極限の緊張状態の中でいつ裏返ってもおかしくないような状態なのだ。
「えぇ・・・みんな先生に呼び出しとかされてて来るのが遅くなるらしいんですよ、今日に限って」
あと30分は誰も来ないでしょうね。彼はそう言って苦笑いをしていた。
「そうですか」
「あ、お茶入れましょうか?朝比奈さん程ではないですが、結構自信ありますよ」
「いえ・・・お構いなく。今日は、私個人が貴方を見たくて来ただけですから・・・あっ」
なんて事か。自分でも驚くぐらいすらりと本音が出ていた。

「・・・今、なんて良いましたか?」
「お、お気になさらず・・・!」
「嫌です。気にします」
彼はきっぱりと言い切った。
そして、つかつかと足音を鳴らして私のところまで歩いてきた。
「どうですか。これだけ近ければよく見えるでしょう?」
彼との距離は、51.2cm
「え・・・あ、いや・・その・・・・・」
「それに、俺も貴方をよく見れますからね・・・」
「!!」
ぐっと彼の顔が近くまで寄った。目と目がぴったりと合わさったまま私の体は動かない。
距離を測定する。約10.2cm。あと少しで、唇がくっ付いちゃいそうな距離だ。
私の中でエラーが起き始めている。でも、どうしようもない。
それは、感情だから。長門さんにもあるエラー。
頬が赤くなる。これもエラーか。そんなエラーは聞いた事がない。
「・・・ずっと、この距離で貴方を見たかった」
「え?」
彼は凄く憂いに帯びた瞳で私を見つめていた。
なんで、そんな瞳をしているのだろう。
「喜緑さん・・・どうして、貴方は俺を見たいんですか?」
距離はこうしてる間にも近くなっている。現在8.9cm。
「そ、それは・・・その・・・・・」
「俺のことが、好きなんですよね?」
「!!」
「その反応は、図星ですね・・・?」
エラーが、加速する。
「・・・そ、そうですよ!キョンくんが好きです!!何か問題でも!?」
思わず叫んでしまった。感情っていうのは、とてもコントロールしにくいエラーのようだ。
しかし、そんな事など気にしてないように彼は微笑んだ。
「・・・いや、むしろ好都合ですよ。だって」

「俺も、貴方が好きですから・・・」
「・・・キョンくん・・・本当に?」
「ええ」
その言葉に嬉しくて、エラーがまた別の方向へと加速していった。
涙と呼ばれる水分が視界を覆い、零れていく。
「悲しい状況じゃないはずなのに、涙が止まらない・・・」
そう呟いた私に彼はそっと教えてくれた。
「嬉しい時にも、"人"は涙を流すんですよ・・・貴方は、もう"人"ですから・・・」
私達は、SOS団部室で抱き締めあった。
「・・・キョンくん。膝枕してくれる?」
「眠いんですか?まぁ、膝なら貸しますよ」
「・・・ありがとうございます」
私は、眠くなんて無い。眠くない場合人は起きているという。
でも、やっぱり寝よう。
彼に膝枕してもらった時に生じたエラーは、どこか嬉しい気がしたから。




『番外』

その頃のハルヒ。
「先生、お話はまだ終わらないんですか?」
「涼宮。んな早くは終わらないぞ。いいか!まず涼宮!僕は君に不満をもたざるをえない!
 それは・・・個性だ!!」
「個性・・・」
「そう!他の団員は個性が程よい奴らばかりだ。だがしかし、涼宮、お前はどうしても個性が強すぎる!!
 長門、朝比奈、古泉、キョン、鶴屋。他の奴らと比べてもお前はどうしても個性が強い!!
 そこでだ!!僕がそんな君を助けるために考え付いた!!
 涼宮ハルヒ改造計画!!」
「涼宮ハルヒ・・・」
「改造計画・・・」
「そう!まず手始めに普通の個性のない語尾に『にゃ』から始めようか」
「私は涼宮ハルヒ、にゃ。普通の人には興味はありません、にゃ」
「いい・・・いいよ。涼宮。じつに良い」
「はぁ・・・解らない」
「次!可愛らしく愛想を振りまく個性の無い普通の少女!!」
「ふふふっ。涼宮ハルヒでーす。みんなよろしくね」
「グレート!!素晴らしいよ、涼宮!!では次。個性のないただの生真面目な委員長タイプ!!」
「みんな、私のいうことを聞いて。なんで勝手なことばかりするの。
 不思議探索をするって言っているでしょう。ムキー」
「いいね・・・いいね。乗ってきたね、涼宮。ほら、由良。君も何かリクエストないのかい?」
「若奥様」
「お帰りなさい。お風呂にする?それともご飯が先?んふっ・・・それとも・・・」
「ぶふっ・・・良い」
「由良・・・随分マニアックだね」



その頃の古泉。
「うぎゃー!!やめろ、やめろー!!」
「ふはははは・・・これが、ベジータのアナール」
「古泉・・・離せ、離せぇぇぇええええ!!」
「ふぁあああああっっ!!マッッガーレェェェエエエエ!!!」
「ギャーッッッ!!」
「こ、このしまりは・・・・うわっ!!」
ぶちっ
「いっけね。締めすぎちった、テヘッ♪」
「ギャー!!僕の、僕のオティム氏がぁぁあああ!!シンジラレナーイ!!」


 


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