人生何が起こるかわからない。心からそう思う。
この一年様々な信じられない出来事があったが今回のこれは今までの中でもトップクラスに入るだろう。
では今回の件を振り返ってみよう。
…。
…。
…。
一年生の三学期もあと数日で終わる、もうすぐ春休みだ。
そんな日の放課後、俺はいつもの様に文芸部室へと向かっていた。
その時……それは起こった‥。
…。
ーズン
…。
「うっ!」
…。
 
突如俺を襲った立ちくらみ……この感覚は記憶にある…そう、時間移動をした時の様なあの激しい………くぅ……。
…。
…。
…。
ブラックアウトまであと数秒…という所で俺の感覚は元に戻った。
しゃがみ込んでいた俺はヨロヨロと立ち上がる。
…。
……なんだったんだ今のは‥。
…。
あたりを見回すと…特に何か変わっている様子はない、時間移動をした訳ではない様だ。
…そうか、疲れているんだな俺は。まぁ無理も無い、なんてったってあの涼宮ハルヒや奇天烈な設定を持つ3人と一年間も付き合って来たんだ…何の属性も持たない俺が疲労するのも無理は無い……早く、文芸部室に行って朝比奈さんのお茶でも飲もう。
…。
…。
春休みもどうせハルヒに振り回されてのんびりする暇は無いんだろうな…。
そんな事を考えながら部室へと向かっていた時だ。
 
…。
「ん?キョン!?」
「え?」
…。
俺に声を掛けて来たのは谷口だった。
…。
「どうした谷口?」
「お前何瞬間移動してんだよ!」
「はぁ?」
…。
谷口が突然訳わからない事を言い出した。
…。
「お前今教室に居たじゃねぇかよ!」
「……熱でもあるのか谷口?俺はホームルームが終わってすぐに教室を出たはずだが?」
…。
「何言ってんだよ!さっきまで教室で話ししてたじゃないか!」
…。
谷口が言うには俺は谷口、国木田と3人でつい今まで教室に居たらしい…大丈夫かこいつ?
…。
「悪いがそんな記憶はな……!?」
「…どうしたキョン?」
…。
…なんで…こいつが…?
俺が谷口の背後に見たもの…。
…。
「あれ?キョン君と谷口君、まだ残って居たの?」
…。
通学鞄を片手にぶら下げたそいつは俺たちに笑顔を向けてそう言った。
…。
 
「どうしたの?……ん、キョン君?幽霊でも見たような顔しているわよ?それとも、わたしの顔に何かついてる?」
「……どうしてお前がここにいる」
…。
そいつは少し首を傾げ、涼しげな視線を俺に突き刺した。
…。
「どういうこと?わたしがいたらおかしいかしら?」
「……どうしたんだキョン?」
…。
…なんでだ!?
…。
「谷口…こいつが誰だか、お前も知っているだろう?ここにいるはずのない奴じゃねぇか!」
「キョン…お前やっぱりちょっとおかしいぞ、悪い事は言わん。今日は早く帰って休め」
 
「わたしもそう思うな、疲れているのよキョン君は…じゃあわたし帰るわね」
「俺も帰るか…じゃあなキョン、お前も早く帰れ」
…。
呆然と立ち尽くす俺を置いて谷口と“朝倉涼子”は立ち去って行った…。
…。
…。
…。
どういうことだ!?一体……駄目だ…落ち着け俺!
……そうだ、前もあったろ?深呼吸だ………OK、落ち着いた。
…。
……またか。
間違いなくここは改変された世界だ……これで3回目か…え?……いや、2回目だ、なんで3回って…。
 
いや、そんな事はどうでも良い、今やるべき事は今の状況を把握する事だ。
この状況を引き起こしたのは誰だ?ハルヒか?それともまた長門か?
俺のやらなければならない事は……長門…まずは長門だ!
文芸部室に居るだろうか…?考えていても仕方がない…向かおう。
…。
…。
…。
…さて、文芸部室前に来た訳だが…俺は前回の事を思い出していた。
あの時この部屋に居たのは宇宙人ではない、眼鏡をかけた内気で口下手なただの女の子になっている長門が居た。
……今回は?
…。
…。
ーガチャ
…。
文芸部室に入った俺は……驚愕な光景を見る事となる。
 
「た~らこ~♪た~らこ~♪た~ぷ~りた~らこ~♪」
…。
「……」
…。
「た~らこ~♪たら~こた~ぷりた~らこ~がや~ってく~る~♪」
…。
…えっと…説明しても良いかな?
今俺の目の前でハルヒの赤い寝袋を着た長門がたらこの歌を歌いながらピョンピョン跳ね回っている…もの凄く楽しそうに…。
…。
「た~らこ~た~らこ~た~ぷ……!?」
「……」
…。
俺に気づいた様だ…しばらくの間、俺と長門は無言で見つめあった。
…。
「……」
「……」
…。
しばしの沈黙のあと長門はピョンピョン跳ねながら俺に近づいて口を開いた。
…。
 
「この星におけるこのインターフェースの性能と機能を試すため、このインターフェースの行動を制限…全身を拘束、反復運動を繰り返しながら発声する事により空間と次元との相対性を……」
「難しい事を言えば何でもごまかせると思ったら大間違いだ」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……ごめんなさい」
「わかればよろしい」
…。
長門は寝袋を脱ぎ、いつもの定位置に座った。
おっと、とりあえず現状の説明をしてもらわねば。
…。
 
「長門」
「なに?」
「今は一体どうなっているんだ!?」
「……意味がわからない」
「…とりあえず聞くぞ?お前は情報統合思念体に送り込まれたヒューマノイドインターフェース……それで間違いないな?」
「…そう」
…。
長門は「何をいまさら」とでも言いたげな目を向けて頷いた。
…。
「ならお前にはわかるだろ?また世界が改変された事が!誰の仕業なんだ?ハルヒか?お前か?それとも他の……そう、雪山の館で俺達を閉じ込めた奴か?」
…。
 
しかし俺の言葉に長門は首を傾げている…。
…。
「長門?」
「改変はされていない」
「え?」
「そのような兆候は見られない、今そのような事実はない」
「そんな訳ない!ならあの朝倉は何なんだ!?」
「朝倉涼子?彼女がどうかしたの?」
…。
長門は訳わからないみたいな目を俺に向けている……俺が訳わからねえよ!
…。
「……長門…お前の記憶まで改変されちまったのかよ…なんで俺だけ記憶を持ったままなんだ…」
「……」
「朝倉は…お前が消滅させただろ?」
「……あなたは」
…。
 
長門はそう呟いたあと俺に近づいて来た……な…なんだ一体…。
長門はマジマジと俺の顔を見つめたあと…。
…。
「そう」
…。
おい、今何を納得したんだ?
…。
「おい長…」
「隠れて」
「へ?」
「急いで、古泉一樹が来る」
「ちょ…話が見え…」
「危険、急いで」
…。
何なんだ一体…古泉が来るからってどうだってんだ?
とりあえず長門の言葉に従い俺はロッカーに隠れた。
…。
…。
カツカツ…ガチャ
…。
部室のドアが開いた?誰か来たのか?
…。
「おや、長門さんあなただけですか?」
…。
古泉?
 
…。
「そう」
「彼はまだ来てないと?」
「そう」
「ふっ…甘いですね。彼は今この部屋にいます…なぜなら僕のテドドンが反応しているからです!」
…。
テ…ドドン?なに言ってるんだこいつは…?
…。
…カツ…カツ
…。
ロッカーの前に…来た?
…。
「ここ!!」
…。
古泉の手がロッカーの扉を掴んだ。
…。
ーガチャ
…。
「うぃーす」
…。
「おや?」
…。
ロッカーを開けられる寸前に…文芸部室のドアが開かれ……誰か来たのか?
それにあの声…どこかで聞いたような…。
…。
 
「う!?古泉!!」
「おかしいですね…僕のテドドンが間違えるとは……まぁそんな事はどうでも良いですね。さて、キョンたん」
「くそ!……毎日毎日犯られてたまるか!!」
…。
バタン!!タッタッタッタッ…。
…。
「おやおや逃げますか、ふっふっふっ……追いかけてね~♪捕まえますよ~♪」
…。
ガチャ!バタン!!タッタッタッタッ……。
…。
…。
……何なんだ一体…それにあの声……俺?
…。
「出てきて良い」
…。
長門?
俺は長門の言葉に従いロッカーから出た。
 
…。
「危なかった」
「……長門、これは一体…」
…。
古泉と…俺?姿は見えなかったけど間違いなくあの声は俺…俺が2人…?
…。
「あなたはこの世界の人間ではない」
「……は!?」
…。
…。
長門の説明…。
自分の住む世界の他にパラレルワールドと言われる世界が無数に存在している。
俺は自分の世界からなぜか別の世界に迷い込んでしまった……そういう事らしい。
…。
「この世界はアナル世界、おそらく最もカオスな世界」
…。
アナル…世界…?
…。
 
「この世界の古泉一樹は変態」
「いや、うちの古泉も結構な変態だぞ」
「桁が違う。この世界の古泉一樹はガチホモ。常にあなたのアナルを狙っている」
「はい!?」
「さっきあなたをロッカーに隠れさせたのはその為」
…。
んな…馬鹿な…。
…。
「他の…ハルヒや朝比奈さんは?」
「朝比奈みくるは黒い」
「黒い?それはどんな意味だ?」
「…見ればわかる。そして涼宮ハルヒは…」
「ハルヒは?」
「ここ数日学校に来ていない」
「は?」
「涼宮ハルヒは腐女子…同人誌の締め切りが近いらしい」
「……腐女子…」
…。
…。
なんて狂った世界なんだここは……俺は一体どうしたら…。
…。
「長門、俺は……帰れるのか?」
「大丈夫、以前あなたの世界の長門有希と古泉一樹がここに来ている」
「長門と古泉が!?何をしにだ?」
 
「不思議探索と言っていた…連絡をとって迎えに来てもらえば良い」
「連絡ってもな…」
「私に任せて。ただ問題は……しばらく時間が掛かる。あなたは迎えが来る間古泉一樹の魔の手から逃れなくてはならない」
「……ガチホモだったなそういえば」
「今はまだあなたの存在に気づいていない……ここは危険。学校のどこかに身を隠して」
「わかった…頼むぞ長門」
…。
俺は文芸部室を後にした。
…さて、迎えが来るまで生き延びねば。どこに隠れようか……屋上に行ってみるかな。
 
屋上にでも行って新鮮な空気でも吸ってこよう。
…。
…。
そう言えば…朝比奈さんは黒いとか言っていたな…見ればわかると言っていたが…。
そんな事を考えながら屋上への階段を登っている時だ。
…ん?あれは朝比奈さんと鶴屋さん?
屋上へと向かう階段の踊場で我らがエンジェル朝比奈さんと鶴屋さんが何か話をしている様だ…こんな所で一体何を…?
…。
…。
 
「早く出せよ」
「ううっ…今日は持って無いにょろ」
「嘘つけよ、持ってない訳ないだろ?ヤニ代がねーんだよ。痛い目みる前にさっさと出せよ」
「本当に今はお金無いにょろよ…」
「ならジャンプしてみろよ」
「え?」
「ジャンプしろってんだよ!オラ!!」
…。
ーピョンピョン
ーチャリンチャリン…。
「持ってんじゃねぇかよ!!」
「ひぃ!このお金…このお金は駄目にょろ…これはスモークチーズを買うお金だにょろよ‥」
「ああん?私のヤニ代とお前のチーズとどっちが優先順位が先だ?ああ!?」
「ひぃぃぃぃ…」
…。
…。
……なんだ…この光景は…。
 
…朝比奈さんが鶴屋さんを…カツアゲしている?俺の精神がおかしくなってしまったのか?
ありえない光景に俺はただ呆然と立ち尽くすだけだった。
…。
「やっぱり痛い目見ないと分からない?」
「痛いのはいやにょろよ!」
「ならさっさと出せよ!」
…。
…いかん、止めねば!
…。
「……あの…朝比奈さん?」
「ああ!?……あ……キョンくん!?」
「なに…やってるんですか…?」
「え?え?…こ…これはね……そう!昨日見たドラマのシーンを再現していたの!そうですよね鶴屋さん?」
「……え…」
 
「 そ う で す よ ね 鶴 屋 さ ん !! 」
「ひぃ!そ…そうにょろよ!」
…。
とても演技には見えなかったが…。
…。
「そう…なんですか…」
「そうなの!…あ!?私もう行かないと!じゃあキョンくんまた明日ね」
…。
朝比奈さんはそう言って逃げる様にこの場から去って行った……また明日って、今日は部室には来ないんですか?いや、それ以前に…。
…。
「あの…鶴屋さん」
…。
残された鶴屋さんに俺は話しかけた。
…。
「今の…演技じゃなくて本当にカツアゲされてましたよね?」
 
「…うっ…うっ…ありがとうキョン君…助かったよ」
「一体いつから…」
「昔からさ…いつもなら見て見ぬ振りしているキョン君が助けてくれるなんて…うっ…うっ…」
「昔から?……いや、それに見て見ぬ振りって…」
「ううっ…凄く嬉しかったよあたしは…これはお礼さ!」
…。
そう言って鶴屋さんは俺に右手を差し出した。その手に握られているのは……スモークチーズ?
…。
「それじゃあたしは帰るよ」
…。
鶴屋さんは笑顔で階段を降りて行った。
…。
長門、お前が朝比奈さんは黒いと言った意味がよくわかった……早く帰りたい。
…気を取り直して屋上に向かおう、さっき以上に新鮮な空気を吸いたくなった。
…。
…。
 
…。
…。
屋上に通じるドアの前に来た……さて……ん?声?
…。
「さあ捕まえましたよキョンたん…部室で楽しみましょう」
「…ちくしょう」
…。
この声は…。
…。
ガチャ
…。
「あ!?」
「へ!?」
「は!?」
…。
目の前のドアが開き俺を小脇に抱えた古泉が現れた……やっちまった…。
…。
「キョンたんが…2人?」
「お…俺?」
…。
目の前の俺と古泉は俺を見て驚いている……まずい。
…。
…。
沈黙を破るかのように古泉が声を上げた。
…。
 
「ふっふっふ、神の贈り物ですね…まさか僕にもう1人キョンたんを与えてくれるとは」
…。
ちょ!おい…なんだその目は…性犯罪者の目だぞそれは…。
…。
「両手にキョンたん…いただきます♪」
「ちょ!!」
…。
古泉の手が俺に伸びる……その時だ!
…。
ゲシ!!
…。
「うっ!!」
…。
古泉に捕まえられていた俺が古泉の腹に膝蹴りをいれた。
…。
ガッ
…。
「逃げるぞ!!」
「え!?」
…。
俺は俺の手を掴み一気に階段を駆け下りた。
…。
タッタッタッタッ…。
…。
…。
…。
 
「なんとか逃げれたみたいだな」
「ああ」
…。
俺達2人は全力で走りなんとか古泉から逃げる事に成功した。
今物陰に2人で息を潜めて隠れている。
…。
「んでお前は…未来の俺か?」
「いや…それがだな…」
…。
…。
…。
「…ついに来たか異世界人」
「ああ…そうか、そうなるんだな」
…。
俺はこの世界の俺に自分が別の世界から来た事を説明した。
…そうか、俺は今、異世界人なんだ。
…。
「それで迎えはまだ来ないのか?」
「長門が今連絡してくれている」
 
「そうか、ところでお前の世界の古泉はホモじゃないのか?」
「一緒にナンパしたり風呂を覗いたりしたし…それに今長門と良い感じみたいだ。まずありえないだろう」
「長門とねぇ…」
…。
確信はないが最近の長門の古泉に対する懐きっぷりは思わず嫉妬したくなるほどだ……古泉もまんざらでもなさそうだしな…。
…。
「まともな訳だな?」
「バカだけどホモではないな……そんなにここの古泉はヤバいのか?」
 
「ヤバいなんてもんじゃない…今お前が想像している古泉の3倍は変態だ!」
…。
…一体どれだけ変態なんだ…。
…。
「さて、固まっているのはまずい…二手に別れよう」
「なんでだ?」
「あいつの考えは読める。おそらく俺達2人とも捕まえるまでは掘る事は無いだろう」
「……掘るって‥」
「たとえ1人捕まってもまだ大丈夫って事だ……捕まるなよ、じゃあな!」
…。
この世界の俺は周囲を見回した後駆け出して行った……俺もどこかに隠れよう。
…。
 
…。
…。
…ここなら大丈夫だろう。
俺は今体育館の裏の木の陰に身を潜めていた。
あたりが暗くなってきた、俺が文芸部室を出てからもうすぐ一時間か……まだか長門。
…。
10分ほどそうしていただろうか…あれは!?
…。
「長門!」
…。
長門が体育館の入口に立っていた。
…。
「…あ」
…。
長門が俺に気づき近づいて来た。
…。
「え~と…この世界の長門だよな?迎えは来たか?」
「……まだ」
「まだか…古泉が俺を探しているんだ、今この世界の俺も逃げている」
「そう…なら来て」
「長門?」
「ここは危険。安全な場所に案内する」
「本当か!助かった」
…。
俺は長門に連れられて体育館の中に入った……良かった外は寒かったんだ。
…。
 
…。
「ここ」
…。
長門に連れて来られた場所は体育館内の体育倉庫だ。
…。
「ここなら安全」
「すまないな長門。それじゃ俺はここに居るから迎えが来たら頼むな」
「コクン」
…。
さて、大丈夫だとは思うが念には念を入れて跳び箱の中にでも隠れるか…。
そして跳び箱を開けると…。
…。
 
…。
「ん゛ー!ん゛ー!」
「なっ!!?」
…。
中には縛られ猿ぐつわを着けられた俺が入っていた……何故?
…。
「ふっふっふ…」
…。
え!?
…。
後ろを振り向くと……長門?
…。
「どうしたんだ長門?……これは一体…」
「かかったな小物め!!」
…。
バリ!!
…。
「うわあああああああ!!!!!?」
…。
ありえない!!ありえない!!
ありえねえええ!!!
…。
「ふっふっふ、こんな古い手に引っかかるとは思いませんでしたよ」
「ちょっと待て!体格から何から完璧に違うだろ!!」
「そんなものは根性でどうとでもなるのですよ」
 
「根性でなんとかなる問題じゃないだろうが!!」
…。
最悪だこの状況は…放課後の人気のない体育館の体育倉庫…目の前には筋がね入りのガチホモ…。
…。
カチャ
…。
鍵を閉めるな!!
…。
カチャカチャ
…。
何ベルト外してんだよ!!!
…。
「僕の夢だった両手にキョンたん…まさか叶うとは」
「やめろ…近づくな…」
「さぁ、楽しみしょう」
…。
絶 対 絶 命 !!
誰か…助けてくれ!!
…。
ドン!!
…。
ん!?……外から扉が叩かれている?
…。
ドン!!ドン!!ドン!!
…。
 
「誰ですか僕の両手にキョンたん計画を邪魔するのは…」
…。
古泉はそう言って扉に向かった。
…。
カチャ
…。
「どなたですか…」
…。
ガッ!!
…。
「ぐっ!!」
…。
古泉が何者かに殴られ吹き飛んだ……誰だ?
…。
「どうやら間に合ったようですね」
…。
この声は…。
…。
「申し訳ありません。遅くなりました」
「古泉!!」
…。
俺の目の前に古泉が…古泉一樹がいつもの穏やかな笑みを浮かべ立っていた。
…。
「古泉…お前は俺の世界の古泉なんだよな?」
 
「はい、そうです。いや、焦りましたよ…長門さんからあなたが突然世界から消えたと聞いて…ねぇ、長門さん」
「長門!?」
…。
古泉の後ろから長門が現れた。
…。
「迎えに来た」
「長門…古泉…」
…。
ヤバい…涙出てきた。
…。
「まさかよりにもよってここに来ていたとは…」
…。
古泉は少し顔を歪めてそう呟いた…ん?何を見て……あ!。
…。
「……なるほど、キョンたんが2人いるならば僕が2人居てもおかしくはないか」
…。
古泉!?
 
先ほど古泉に殴られた古泉が……ややこしい、こいつはこれからホモ泉と呼ぼう。
ホモ泉が笑みを浮かべながら近づいて来た。
…。
「失礼しました、あなたのキョンたんをあなたの許可なく可愛がろうとして…」
…。
俺は誰の物でもないぞ!
古泉は無言でホモ泉を睨みつけている。
再びホモ泉が口を開く…。
…。
「提案があります。せっかくですので4Pというのはいかがでしょうか?」
…。
……とんでもない事を言い出しやがった。
…。
「……あなたは根本的な誤解をしている」
「誤解とは?」
 
「彼は誰の物でもない……そして何よりも…」
「何よりも?」
…。
古泉ははっきりと言った。
…。
「僕はホモではない!!」
…。
そうだ!お前はホモなんかじゃない、ただの変態な超能力者だ!
ホモ泉を見ると…その顔から笑みが消え…驚愕しているようた。
…。
「……一体何を…あなたは古泉一樹ですよね?なのにホモではないとは…」
…。
何をここまでショックを受けているんだこいつは…。
…。
「……みとめない!あなたは間違っている…考えてみて下さい!男と男の肌のぶつかり合いを!!想像して下さい!キョンたんで!!」
 
…。
勝手に俺を想像に使うな!!
古泉を見ると……かすかに震え…目にうっすらと涙が…。
わかる…わかるぞ古泉!もしも俺がお前の立場なら……いたたまれない…。
古泉が口を開く。
…。
「……もうしゃべるな……やはりあの時消しておくべきだった…」
「あなたを修正します…男の味を教えてあげましょう」
「黙れと言っている……表へ出ろ!」
「…古泉!?」
「申し訳ありません…帰るのは少し待ってもらってもよろしいですか?」
「あ…ああ」
…。
古泉の全身から殺気がにじみ出ている……殺る気なのか?
…。
 
…。
…。
…。
体育館の真ん中で古泉とホモ泉が対人している。
俺は縛られたこの世界の俺を解放し、2人の長門と共にこの対決を見ている。
…。
「あなたは間違っています…あなたを正しい道へと修正します……それに自分というのも気持ちよさそうだ」
「黙れと言っているだろう!!お前は修正不可能だ…俺はお前を消す!!」
「おやおや…下品な言葉遣いですね」
…。
…。
「…なあ長門」
『なに?』
…。
うお!2人同時に振り向いた。
…。
「あ…いや…古泉がなんか怖いのだが…俺とか言っちゃってるぞ…」
 
「……素敵」
「はい!?」
「古泉一樹は今激昂している…本気の古泉一樹が今から見れる」
「……本気にならざるを得ないだろうなこの状況は…」
…。
怒りの表情を浮かべ自分を俺と言っている今の古泉はかなりレアな姿だろう。
…。
「お前を殺す!!」
「あなたを犯す!!」
…。
始まるのか!
…。
「まさに殺るか犯られるかね」
…。
え!?……朝倉?
…。
いつの間にか朝倉と喜緑さんが来ていた。
…。
「朝倉、喜緑さん…何故ここに?」
 
「あなたの所の長門さんと古泉君とはちょっと縁があってね」
「そうなんです、前回一緒に晩御飯を食べた仲ですので」
…。
前回?ああそうか、そういえば前に長門と古泉がこの世界に来たとかどうとか…。
…。
「それにしても別の世界のキョン君だったのね。どうりでおかしいと思ったわ」
「ああ、まさかあの時は世界移動しているだなんて思わなかったからな…」
「ところであなた達の世界にわたしは居ないの?」
「え!?あ……俺達の世界のお前は……」
…。
俺の言葉を遮るように長門の声が響いた。
「始まった」
…。
…。
…。
…。
後編へ続く。

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