L:クーリンガンを祀る = {

  t:名称 = クーリンガンを祀る(イベント)
  t:要点 = 暗黒の,祭壇,邪悪なる

  t:周辺環境 = 地獄
  t:評価 = なし

  t:特殊 = {
    *クーリンガンを祀るのイベントカテゴリ = 藩国イベントとして扱う。
    *クーリンガンを祀ることによってクーリンガンは強化される。

    *クーリンガンを祀ることによってXXを得る。
  }

  t:→次のアイドレス = 邪悪なる王国(条件イベント),暗黒の大司祭藻女(条件ACE),クーリンガンの量産(条件イベント),対抗して缶の量産(×イベント)

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クーリンガンとどうすれば、我が国らしく付き合っていくことが出来るだろう。

こちらの思いを伝えるだけではいけない、
国が地獄のようになってしまう事態も良いわけがない。
それに今はクーリンガンのせいだけで国民が苦しんでいるわけでは無い。

どうすればいいのかわからない。
けれど手探りでも歩み寄っていきたい。理解しあえるようになりたい。
その素直な思いを込めて一輪の花を贈ることにしました。






<荒魂・和魂>


同じ物でも見る時間、場所、そして見る者によってその姿や形は異なっている。


たとえば、月はいつも変わらずこの星に付従っている。
けれど、私たちは太陽の光を受けている部分ばかりを見ている。
だけど、たとえ新月の時だって月は暗黒の闇に閉ざされるわけではない。
その背で太陽の光を浴びているから、
たとえこちらからは見えなくても月には光と闇の両方が存在する。

そんな大きな物じゃない、ただの囲炉裏の火だって、ゆらゆらと姿を変え続ける。
そして見る者によってはただの火としてだけでなく、
揺らめく灯りに自分の心を写したりもする。
変わるのは見た目だけにとどまらず、心だって移り変わる。
落ち込む時、腹が立つ時、悲しい時、楽しい時、気持ちが変われば
行動だって変わっていく。それは人には限らない。

空の表情からは悲しみや喜び、怒りを感じ取れる。
我慢強い大地だって時に肩を震わせその身が砕けるくらいの感情に揺れ動いている。
人も草木も動物達も、そして風や川、神々や妖達。
姿かたちは変わっても、
その在り方は違っても、魂に変わりはない。


ただ、
神々や妖怪達の心を表すための言葉として
荒魂(あらみたま) 和魂(にぎみたま)
という物がある。
これは神々は心次第で姿形や性格、振るう力が
全く別の神と感じられるほどに変化するため名前が分けられている。

荒魂には疫病を流行らせたり、人々を争いへ駆り立てるなどの働きを持つ。
そして、荒魂は神様が起こす祟りの表れでもある。
それに対して和魂は優しく平和的な側面であり、神の加護として表れる。
具体的には、荒魂が洪水を起こすのに対して
和魂が治水を行う働きを持っているようなものである。

ただし、荒魂が必ずしも災厄をもたらすわけではない。
洪水は家や田畑を流すが、
それだけでなく荒れた大地に豊かな土を運ぶ働きもあるように、
争いに駆り立てるだけでなく外敵を排除したり、
疫病を流行らせるだけでなく疫病を鎮める力も持っている。
激しやすい神々はいるが、それがすなわち邪悪なる存在なのではない。
畏れとそして信仰を忘れぬ者には加護を授け、守ってくれるのだから。

ただ、国を平和に治めていくには荒魂ではなく、和魂の加護が必要な事が多いため、
そして何より神様にも怒ったり悲しんだりするのではなく、
明るく笑っていてくれる事を願うために
荒魂和魂にするために祀りが行われる。



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国中にたくさんの遺体が長くさらされたままになっていました。

大勢の人を死なせてしまいました。
遅くなりましたが、墓地を作り弔い 冥福を祈りました。
線香の煙が空に昇っていきます。


雨が降ってきました。
空は晴れて太陽は輝いていました。
狐神様が見て下さっているのかと思い、また祈りました。
(天気雨を狐の嫁入りと呼ぶ地域があります。)





藻女:
「皆さんに改めてご報告があります。
我が国では、我が国では、孔明廟にてクーリンガンを招き 祀ります。
違いはあっても同じ国に住む者同士仲良くしていくためには
神様として祀るという形がよいと思うのです。


人の世が変わっても変わらぬ信仰を守ることができたなら、
いくら世代が代わっても、絆は変わらない。
けれど、今のままではいけません。
私にとってこの国に住むすべては家族。
けれど、守ってくれている事さえ認めてもらえないと神様も住みにくい国になってしまいます。

見る事は出来ずとも、声は聞こえずとも神様はみんなのそばにいます。
どうか信じる事を思い出して、忘れないでください。



今は、国が大きく乱れしまって
国民のみんなに暮らし辛い生活を強いてしまい申し訳なく思っています。
政府の対策も後手に回りまだ十分とは程遠く、安心して暮らしていくには足りません。

それでもこんな状況の中でもまだこの国で踏み止まり、
この国を好きでいてくれる人をこの国を良くしようとしてくれている人を、
子ども達を守ろうとしてくれている人を守りたいです。

死は終わらせる事は出来るけれど、直すことは出来ません。
過ちを犯した人たちも改心して、新たな道を歩める事から直すということが始まるのだと思います。
人は皆歩む道は違います。
そして人も国も少しずつ変わっていくことでしょう。
けれど、
子ども達を守り、育てていくその事だけは変わらずありたいと思います。
理由なんてなくても目の前で困っている子に手を差し伸べれるようにあろうと思います。
そして、それは子どもであればそれ以上の事は要求していません。
クーリンガンだってこの国にいて、私が王である限りは守るべき子ども達の1人。

困る事はないかもしれません。
力も知識も私の方が劣っているでしょう。
けれど私が目指すのは子ども達みんなが仲良く暮らせる国。
人の輪が広がれば歪む事も多いでしょう。
けれど、それでも手を取り合ってわかりあうことを諦めない国でありたいのです。
だから、クーリンガンともよい関係を築いていきたいです。


これから、
この国の神々にもクーリンガンを祀り、
同じ国の同胞として迎え入れる事を報告しにいきます。
また、孔明廟にクーリンガンを招き、荒魂としてではなく、和魂として力を発揮していられるように祀ります。
それが成就した際は みんなも少しずつで良いから同じ国の仲間として受け入れていって欲しいです。
どうかお願いします。」




巫の姫巫女は国内の神々に報告に出発する朝、国民に向けて声明を発表しました。


姫巫女と部隊の皆は、神々に会うため禊を行い国内各所の神々の住まう所を訪ねていきます。
国が乱れている中、それでも国を助けてくださった事への感謝。
そして、クーリンガンを国の同胞として迎え入れる事を。


行く先々で、まだ残されている遺体があれば弔い冥福を祈りました。
呪いで苦しんでいる者がいれば、
いま治療薬をお願いしているからと、手を取りました。
快癒を祈りました。
町を脅かす者、暴れている者と図らずも戦う事になった時は、式神と共に戦いました。
お弔いとお参りの間には、時間の許す限り壊れた建物があれば直し掃除をしました。

町も、
かつての懐かしい姿に少しでも近づくように。
皆が住みよいと思える町になるように願って。
皆がまた健やかでいられるよう祈って。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆  ☆  ☆




孔明廟が建立された時、孔明廟の裏に洞窟が見つかりました。

どうしてこんな所に洞窟が見つかったのか、
噂はいくらかあったけれど、大きく分けると次の2つに別れました。
「神社の神木に空いた洞に神様が暮らす事があるように、洞窟の中に住まわれている。」
「クーリンガンと同じく 子供の守り神をしているお地蔵様の足元には地獄への入り口があるから
きっとこの洞窟も地獄へ続いているのだ。」

噂だけではどちらが正しいのか、
それともどちらも正しいのか、それを確認する事は出来ません。
けれど、実際はどうあれ、
地獄へ続いているなら間違って入る者がいてはいけませんし、
神様が神社じゃなくてそんな所ですんでいるなら
「どうかこちらへいらしてください。」とお願いに行かなくてはなりません。

そこで洞窟の入り口の祭壇を作り祈りを捧げました。
祈りの言葉は自分の言葉で紡いでいこう。
拙くても自分の心からの言葉でなければ届ける事はきっと出来ない。
そう信じてどんな国を築いていきたいか うたいます。


「築きたいのは故郷

けれど遠くにあるような故郷じゃない
悲しく歌うだけの故郷じゃない

どれだけ時が離れても
どれだけ距離が離れても
目を閉じればあらわれる
どんな時でもそばにある

たとえ地獄の底だって
絶望の淵に追われたって
振り返ればそこにある

いつも心で繋がっている
それが僕らの作る故郷」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆  ☆  ☆





けれど祭壇は燃え上がり、灰となってしまいました。
入り口ではまだ遠かったのか、
それとも祈りの言葉がまだ届くには弱かったのかはわかりません。
ですが、届かないなら近づくだけです。

けれど用意もなしに洞窟を入るのは危険です。
誤って人が入らぬように祭壇を建て直して貰っている間に準備をして洞窟の奥へ進んでいきました。
用意した装備ではこれ以上進むと戻れなくなる。
そんな所までたどり着いて再び祭壇を用意し、祈りを捧げました。
今度は共に暮らしていこうという思いを込めて。



「 正しき知識は闇を切り裂く光となる

知れば知るほど闇はなくなり、やがては光が全てを消し去る
知ることはできるけど
知らない頃には戻れない

朝と夜とが巡り来る
僕らの生きる世界のように
闇に閉ざさず、光に消えず
半分の光と半分の闇
ひとつの世界を二つに分けよう

闇に覆われ見えない場所は
違う世界を見る友の
言葉を通して見つめよう
1人でいたら見えない世界
2人でならば見通せる
もしもそれでも見落とすならば
二人に見えない世界を見る友を
世界を駆けても探し出そう

僕の瞳に映るもの
君の瞳に映るもの
そして2人の瞳に映らぬもの
その全ての幸いのため

知識は人を救いはしない
けれど僕らが知識を重ね
みんなのために動くなら
集った知識に心がこもり
苦難を払う力となろう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆  ☆  ☆  ☆





けれどそれでもまだ届きません。
用意できた装備でなんて思ってしまったのがダメだったのか、まだ思いは届かなかったようです。
焼けた祭壇を建て直してもう一度用意からはじめました。
装備を理由にしたりせぬよう、
1つの歌がダメでも思いが届くまで歌いつづける覚悟を用意して再び洞窟の奥へ入っていきました。


奥に行くにしたがって灯りで照らしきれない闇に覆われ、
灯りに照らされた場所にも異形の群れのようなオブジェがそこかしこに見つかります。
けれど地獄だって罪を犯した悪人が行く場所だから邪悪な者が多いけれど、
悪人が行く場所であってそれ以外が行かない場所ではありません。
間違って辿りついたり、さらわれたり、
そしてそんな地獄から救い出そうとしてくれる者もいます。

だから邪悪な者も大勢いるのは確かだけど、
そんな所でも助けようとし続けている者達の事を忘れてはいけません。
悪が強いと思うならばその中でも負けないでいられる強さを持って助けてくれている者達がいるのです。
そんな風に
怯える心を奮い立たせながら進んできたけれど、
とうとうどんな装備でも自分達ではこれ以上薦めないところへ来てしまいました。

ただの水なら潜れても、
瘴気が出ている様子は ここにはあまり長くはいてはいけない事を教えてくれるようです。
それでもなんとか祭壇を用意して今度こそ祈りを届けようと、自分の思いを歌い続けます。




「白くやわらな衣装を着せて

後の事は風任せ
眠りの中で芽も開かぬそのうちに永の別れを告げていく

その後の行方も知らぬまま
それでも共にこの場所で
死を待ちながら生きるより
風吹く先に希望の地
あること信じて送り出す
ただ幸いを祈りながら

届かぬままに命尽き旅路を終える者達も
せめて心は孤独にならず
思われていたと
思えるように」


「虹のように世界を綺麗に彩ろう

必要なのは染める事じゃない
今ある色をわける事
白く輝く光をわけて、虹の架け橋作るように
赤は緋色に紅に
青は藍に紺碧に
黄は菜の花、山吹に
無数の色にわけていこう

心だって同じこと、動くことない心より
喜び、悲しみ、怒りに分けて揺れる心に育てよう

変わらぬ明日より変わる未来
苦しみ、悲しみ、怨嗟に満ちた絶望の明日も来るだろう

けれど雨もいつか降り止む
その時虹で彩れるように、いろんな色を育てよう

どんな色にも出番はある
それがどんな出番でも、自分だけの場所がある
それを信じていられるように、全ての色を守りましょう」





時間を忘れ、喉がかれるまで歌い続けました。



そして、


紡ぐ言葉もなくなって歌い終わった頃まだ祭壇が壊れることなく、
焼けることなく残っているのを確認して、地上へと戻りました。


一緒に育てていける事を願いながら

















文:藻女 ミツキ(花を贈る部分と報告の部分の素案)
絵:谷坂 少年(祭壇) ミツキ(虹)
編集:みぽりん ミツキ

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最終更新:2010年02月17日 23:33