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マル激トーク・オン・ディマンド 第1082回(2022年1月1日)
年末恒例マル激ライブ コロナ後の世界で権威主義とメタバースに取り込まれないために

 5回目の金曜日に無料で特別企画をお送りする5金スペシャル。2021年最後となる5金は、12月に東京・大井町の「キュリアン」で約1000人の観衆を前に開催された「年末恒例マル激ライブ」の模様をお届けする。

 2021年は前年に続いてコロナに明け暮れた。一時は1日に2万人を越える新規感染者を出しながらも東京五輪を強行した菅政権は、安倍政権と同様、コロナ禍に対する有効な手立てを打ち出せないまま迷走を繰り返した挙げ句、9月末に退陣に追い込まれた。皮肉なことに後を引き継いだ岸田政権が誕生する頃には、日本国内の新規感染者の数は一気に減少に転じ、2021年の終盤にはコロナの直接の脅威は一頃に比べるとかなり低下した感があるが、海外では今まさにオミクロン変異種が猛威を奮っていることもあり、まだまだ予断を許さない状況が続いている。

 ところが、収束とまではいかないにしても、コロナの危機的な状況がひとまず落ち着いてくると、そこには決してバラ色とは言えない日本や世界の現実が待っている。

 コロナ後の世界はどのようなものになり、その世界を生き抜く上で、何が鍵となるのだろうか。

 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は中国の武漢から感染拡大が始まったとされるが、その一方で、コロナの感染爆発のような国家規模の危機に対する対応能力という意味では、必要に応じて政府が権威主義的な権力を行使できる中国が、西側先進国と比べていち早くコロナの抑え込みに成功したことが世界の注目を集めた。新型コロナ流行の原因を作ったとされる中国を褒める気にならない気持ちはわかるが、中国のコロナ対策の成功は、民主主義の危機が叫ばれて久しい欧米の民主主義陣営にとって実はとてもショッキングな出来事だった。

 一方、中国の権威主義に対して民主主義陣営の盟主たるアメリカは、日本とは比べものにならないほどの大規模なコロナの流行にのたうち回る中、鎮静効果のあるオピオイド系麻薬の過剰摂取による死者の数が年間10万人を越えたことが報道されている。また、アメリカでは同時に、医療用ではなくレクリエーション目的での大麻利用を合法化する州も日一日と増えるなど、特に白人の間で麻薬常習者の数が年々増えていることが報告されている。

 これはコロナに限ったことではないが、今回のようにまともに直視するのが辛い艱難辛苦を度々経験させられ、底知れぬ不安ややるかたない不満を覚えた時、人は強い権威主義的な政府に頼りたくなったり、オピオイドや大麻に代表される麻薬に逃避したくなる。かつてSNSでそうした不安層・不満層の取り込みに成功しビジネスで大成功をおさめながら、民主主義の破壊者として政治的な批判に晒されたフェイスブックが、社名を「メタ」に変更し、次なるビジネスチャンスを仮想現実のメタバースに見出していることは、決して偶然ではないだろう。

 今世界には「権威主義対民主主義」とほぼ平行する形で、「ユニバース対メタバース」のせめぎ合いが起きているのではないか。それはコロナが流行するかなり前から社会の底流を流れていた対立軸だが、コロナによってその対立軸がより顕著になったと言えるだろう。

 実際に世界の政治状況を見ても、アメリカのトランプ現象見るまでもなく、自由主義陣営ではほぼ例外なく権威主義的な主張を掲げる勢力が支持を拡げている。そしてそのほとんどすべてがポピュリズム(大衆迎合主義)的な主張やスタイルを採用し、SNSを支持拡大の最も有効なツールとして利用していることを見ても、彼らがどのような戦略に基づき、どのような人々を標的に勢力の拡大を図ろうとしているかを如実に物語っている。そして、この点については決して日本も例外ではないことは、昨今の選挙でも実証済みだ。

 ますます権威主義と大衆迎合主義への傾斜と、麻薬やメタバース的仮想現実への取り込みが横行するコロナ後の世界において、そうしたものにかすめ取られずに生き抜くために、われわれは何をしなければならないか。

 今年最後の5金スペシャルは、人々の不安や不満に付け入る形で忍び寄ってくる権威主義や大衆迎合主義に騙されないためのキーワードが「仲間」にあるという立場から、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、2021年を総括し2022年を展望する。

【プロフィール】
宮台 真司 (みやだい しんじ)
東京都立大学教授/社会学者
1959年仙台生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授を経て現職。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。

神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

【ビデオニュース・ドットコムについて】
ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(月額500円+消費税)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。(www.videonews.com)

(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

■ 【哲学】現実は「水槽の中の脳」が見ている夢だった! デカルトとカントも唱えた「シミュレーション仮説」の真実性とは? 「TOKANA(2016.08.05)」より
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 昨今、我々の現実はコンピュータシミュレーションに過ぎないと唱える「シミュレーション仮説」が盛んに議論されている。トカナでも以前、英・オックスフォード大学のニック・ボストロム教授やフューチャリストのレイ・カーツワイル氏といった科学者が同説に賛同しているとお伝えした。

 また、科学分野のみならず、「スペースX」社CEOであるイーロン・マスク氏も、人間は現実とVR世界の区別がつかなくなっていくだろうと予言しているように、今後シミュレーション仮説に関する話題は増えていくものと考えられる。VR元年といわれる今、改めて「シミュレーション仮説」の可能性を哲学的・理論的にガッツリ考えてみたい。

■現実は「水槽の中の脳」が見ている夢

 ご登場いただくのは、アメリカの哲学者ヒラリー・パトナム(1926-2016)。民主党大統領指名候補ヒラリー・クリントンと同じ名前だが、パトナムは男性。哲学の中でも特に英語圏で支配的な「分析哲学」や「科学哲学」で活躍した、20世紀を代表する哲学者の1人だ。その影響は、英語圏にとどまらず、分析哲学とは犬猿の仲と噂されるドイツやフランスを中心とした「大陸哲学」にまで及んでいる。残念なことに、パトナムは今年3月に亡くなったが、彼の著作は第一級の哲学書として今後も読まれていくだろう。

 さて、パトナムは多くの洞察に富んだ「思考実験 (thought experiments)」を残している。その中でもひときわ有名なものが、主著『理性・真理・歴史―内在的実在論の展開』(法政大学出版局)で紹介された「水槽の中の脳 (Brain in a vat)」だ。簡単に説明しよう。

「科学者が、ある人から脳を取り出し、特殊な培養液で満たされた水槽に入れる。そして、その脳の神経細胞をコンピュータにつなぎ、電気刺激によって脳波を操作する。そうすることで、脳内で通常の人と同じような意識が生じ、現実と変わらない仮想現実が生みだされる。このように、私たちが存在すると思っている世界も、コンピュータによる『シミュレーション』かもしれない」

 まるでマトリックスの世界だ。これは、そのまま「シミュレーション仮説」のことではないだろうか? そう、実はパトナムは1981年の段階ですでに「シミュレーション仮説」を思考していたのだ。


■デカルトとカントも「シミュレーション仮説」を唱えていた

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)














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最終更新:2022年01月11日 17:24