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● ワーキングプアの年収の実態を賃金構造基本統計調査を参考に詳しく調べました。 「平均年収.jp」より
ワーキングプアの年収は、200万円以下と一般的に言われてます。
賃金構造基本統計調査から計算してみたところ収入が200万円以下の人口は約1069万人となってました。
働く貧困層ともいわれるワーキングプアの定義を調べてみたところ、
正社員でもギリギリの生活さえ維持が困難
拘束時間が長い派遣社員
生活保護の水準以下の収入しかもらえない社員、契約社員
などがあてはまるようです。
※mono.--以下略、詳細はサイト記事で



貧困
■ 貧困強制社会の現実を克服せよ!日本型社会主義復活! 「愛国社会主義研究会(2018年06月13日 13時31分57秒)」より
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日本は素晴らしい国である。
それは疑いようもない真実だ。

しかし、深刻な問題も抱えていることを直視しなくてはならない。
その課題を克服すれば、日本はより素晴らしい社会へと進化していくだろう。

48歳「市の臨時職員」、超ブラック労働の深刻
6/5(火) 15:00配信 東洋経済
(※mono....長文引用略、詳細はサイト記事で)

この文章の中に、現代日本の病巣を見ることができる。
現代社会のありとあらゆる問題が集約されていると言っても過言ではない。

「構造改革」と称して、終身雇用や年功序列といった日本型経営のシステムが破壊され、非正規雇用が拡大した結果が引用したヨシツグさんのような人たちが陥っている「貧困強制社会」なのである。

この日本型経営から「構造改革」への転換とは、戦前に原型が作られ戦後の高度経済成長と「一億総中流」の共同体社会を作り上げた国民社会主義=日本型社会主義から新自由主義へ転換した時期と一致する。

戦前日本の国民社会主義 https://blog.goo.ne.jp/shishisamurai/e/27cce87117597c25fc6743ddff360719の記事も御覧下さい。

(※mono....中略)
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しかし、1991年末にソ連崩壊やバブル崩壊などにより、「グローバリゼーション」という名でアメリカ型経営方式が礼賛されるようになった。更に、この時期は、日本国内では「ギブ・ミー・チョコレート」で育った世代が企業のトップに就き、アメリカでは1980年代からの整理解雇ブームが続いていた。
従って、「失われた20年」が始まったことによって、日本企業は軒並みアメリカナイゼーションを実行し、それまでの日本型経済を投げ棄てた。
しかしながら、その後の景気回復傾向や、失業の増大の中で、「失われた20年」の中においても日本式経営を継続させてきた企業が世界的に成功する例も現れ始めており、再評価の気運が高まっている。』
(https://ja.wikipedia.org/wiki/日本的経営)

つまり、江戸・明治の精神の世代からアメリカナイズされた世代に交代したとき、日本型経営が途絶えてしまったのである。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 全然、逆襲になってないと思う 「非国民通信(2010.1.26)」より
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地盤沈下の労働市場で始まった ワーキングプアの「静かなる逆襲」(週刊ダイヤモンド) ※mono.--リンク切れ

「働かざる者食うべからず」と言われたのも昔の話。今や働く者でも満足に食えない時代になった。そんな世相を象徴するのが「ワーキングプア問題」だ。ワーキングプアというキーワードがメディアを賑わすようになって久しいが、労働環境は一向に改善される気配を見せず、むしろ景気の低迷と共にますます深刻化していく懸念が強い。そんななか、企業や行政に頼らずに、“あの手この手”を講じて立ちあがる労働者が増え始めたのを、ご存知だろうか?

 さて、その馬鹿っぷりを前にしては産経新聞すら裸足で逃げ出す週刊ダイヤモンドの記事を取り上げます(産経新聞ならテレビ欄や天気予報欄など信頼できる記事も載っているのに対して、週刊ダイヤモンドに信頼できる記事が載ったことなど……)。まず「働かざる者食うべからず」と言われたのも昔の話と記事は始まっていますが、むしろ昨今の方が強く言われるようになった気がしませんか? まぁ私はそれほど昔の人ではありませんので、昔の方が寛容だったのかどうか実体験を以て知るところではありませんけれど、少なくとも「働かざる者食うべからず」とは今も盛んに言い立てられていることであり、決して克服済の過去ではないと思います。

 「ワーキングプア」と呼ばれる立場にある人を探すことが、これほど簡単だとは思わなかった――。

(中略)

 たとえば、国税庁の調査による「平成20年・給与階級別の給与所得者数・給与額」をひも解けば、全国の労働者のなかで、年収200万円以下の個人が全体の約31%を占めていることがわかる。

 数年前、格差社会を象徴した「年収300万円時代」という言葉が流行したが、現状はそれどころではない。昨今の大不況に追い討ちをかけられ、低収入に喘ぐワーキングプアが続出する段階に移っている。

 この辺の現状認識は間違ってはいません。何しろ週刊ダイヤモンドですから、「どこの国の話だよ」と言いたくなるような日本とはかけ離れた「設定」に基づいて社会/経済を語る論者が当たり前のように居並んでいるわけです。そのダイヤモンド社の水準からすれば今回の記事はかなりマシな方と言えるでしょう。しかるに見出しにはワーキングプアの「静かなる逆襲」とあります。ふむ、追い詰められたワーキングプアがいかに「逆襲」を始めたのか、見てみようではありませんか。

|発想を転換して人生をリセット? 自分の身は自分で守る時代が到来|

 正社員としての被雇用者が減少傾向にあるのは憂慮すべき現状だが、一方でこれを逆手に取る発想もある。これまでの生活をリセットし、物価が高い地域から低い地域へと、生活圏そのものを変えてしまう方法だ。

 故郷の兵庫県から2年前に沖縄県へ移住したSさん(46歳・男性)は、「正社員で職を得ようと考えなければ、中高年がやれるアルバイトは結構あります」と語る。

(中略)

 もちろん、将来に対する不安はつきまとうが、物価の高い本土で派遣社員やアルバイトをするのと比べれば、低賃金でも現時点での生活水準は安定しているという。

 これも週刊ダイヤモンドの言うワーキングプアの「静かなる逆襲」なのだそうです。いったい、誰に逆襲しているのでしょうか? そもそも日本国内でそんなに物価に差があるか疑わしい、家賃などはともかく電化製品や家財道具、通信料金や書籍代が安くなるはずもなく、食料品にしたって安売り店が軒を連ねる都会の方が実は安いのではないかと推測されるわけです。まぁ仮に地方に移住して生活費が安くなり生活が安定したのが事実だとしても、それで「逆襲」を受けた人など誰もいないでしょう。おかげで人件費が浮いたとほくそ笑む人はいるかも知れませんけれど……

 都会と地方で何よりも相場が違うのは、やはり人件費ではないでしょうか。都市部の方がビジネスには好都合ですが都会では人を安く買いたたきにくい、一方で顧客と直接接する必要がない部門は地方においても問題ないので地方に設置される傾向があります。例えば本社は東京なのにコールセンターは沖縄に設置したりするケース等ですね。本来なら田舎の住人にも都会の住人と同等の給料を要求する権利があるはずですが、なんとなく田舎は給料が安くて当たり前、物価だって安いのだから~と流されがちな部分もあるのかも知れません。ここに挙げられた「Sさん」のように、わざわざ都会から田舎に移って低賃金の仕事を請け負ってくれる人は、結局のところ低賃金の労働力を欲しがっている雇用主の需要を満たしているだけで、「逆襲」を果たしているどころか余計に貢いでいるだけにも見えます。

 最も「逆襲」という言葉が相応しい行動を挙げるとしたら、怠業でしょうかね。低賃金労働を拒否する、賃金に見合った範囲でしか労働力を提供しない、適正な賃金が支払われない限りは働かない、一方的に搾り取られてきた労働者が雇用側に一太刀浴びせてこその「逆襲」でしょう。そういう意味での「逆襲」が始まった、使い捨てにされるばかりの労働者が反旗を翻すようになったのであれば、ちょっとした希望とも言えます。特にツッコミどころもなかったので省略しましたが引用元の記事には「キャバクラユニオン」等も取り上げられており、これならば「逆襲」に繋がる動きではあります。しかるに、反旗を翻すどころかわざわざ地方に移ってまで、より低賃金の労働を受け入れるようになった人もいる、「逆襲」とは反対方向へ突き進む動きもまた活発のようです。



★■ 高資格が仇に…女性弁護士ワーキングプアの窮状 「ダイヤモンドオンライン(2015.5.7)」より
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 過去の記事がヤフートピックスの関連記事などに取り上げられるたび、感想などのメールがどっと寄せられてくる。当連載の記事は、そんなゾンビ現象がよく繰り返されている。

 1年ほど前に掲載した「高学歴女子ゆえに地元で職につけない…地方公務員ワーキングプアの不条理な実態」の記事に対しても、最近ふたたび、数多くの反響が寄せられてきた。

 弁護士の資格を持ちながら、社会と上手くつながることができず、引きこもり状態の人たちに近い特性をもっている50代前半のA子さんも、その1人だ。

弁護士資格を持ちながら
アルバイトで細々暮らす50代女性

<大卒ですが、有名国家資格を2件取ったためにワーキングプアになりました>

 そう明かす彼女は、ここ5年ほど、弁護士としての仕事がまともになく、資格を隠して、細々と週1回、関係のないアルバイトをしているという。

<別の仕事もいくつかやってみましたが、以前から、その仕事をしていた人たちに追い出されてしまいます。(弁護士)資格の年会費も払えず、やめざるを得ないかという状態に追い込まれています>

 こうした窮状を訴えると、A子さんに関わりたくない人たちが離れていき、かえって社会とのつながりが減っていった。

<生きていく策を見つけるために必死で、うつ病になる余裕さえありません。>

 A子さんは、「引きこもり」というカテゴリーには当てはまらないかもしれない。ただ、いま抱えている状況は、当事者たちのそれによく似ているように思う。
(※mono.--以下略、詳細はサイト記事で)

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★■ 高学歴女子ゆえに地元で職につけない…地方公務員ワーキングプアの不条理な実態 「ダイヤモンドオンライン」より
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 地方公務員の中にも、劣悪な待遇や職場環境の格差などによって傷つけられている非正規職員がいる。しかも、その数は増える傾向にある。

 彼らは、自治体によって「臨時職員」とか「日々雇用職員」などと呼ばれる“地方公務員ワーキングプア”ともいうべき存在だ。

 しかし、その内実については、外側にいる一般の市民からは、なかなか窺い知ることができない。

仕事内容は正職員とほぼ同じなのに
名刺もメアドもない、年収は100万円台

 地方の小さな都市に住む30歳代女性のYさんは、市の広報に掲載されていた「臨時職員募集」を見て、この職に応募した。

 Yさんの自治体では、「臨時職員」として雇用契約を更新。上限3年の条件で、総務課に配属された。

 勤務時間は、午前9時から午後4時まで。昼休みは正午から1時間あって、働くのは実質6時間。残業は決してさせてくれなかった。

 手取りは、多くても月収9万円。雇用保険料、社会保険料はきっちりと引かれる。

 年収にすると100万円台。それでいて基本的には、正職員とほぼ同じ仕事内容だ。

 しかも、決済をとることができないため、彼女が何の仕事をしても、自分の業績として認められることはない。それらの仕事は、それぞれ依頼してくる正職員の“お手柄”になった。

 「体のいい使い捨てだなって、何度も感じました」
(※mono.--以下略、詳細はサイト記事で)

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★■ “高学歴ワーキングプア”が急増中!「官製資格ビジネス」に乗せられた博士たちの悲痛 「ダイヤモンドオンライン(2010.1.15)」より
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 いよいよ大学入試センター試験が始まる。就職難が深刻化する時代、なんとしてもわが子を大学へ行かせたい、という親は多いはずだ。

 だがもし、「博士課程に進みたいんだけど……」と子どもが言い出したとしたら、どうだろう。

 “高学歴ワーキングプア”が急増中だ。最高学歴を獲得した人々が、生活保護受給者や無保険者になっていく――。この奇妙な逆転現象の発端は、20年前に国が始めた“官製資格ビジネス”構想にあった。

 大学崩壊の実情を現場に聞いてみた。

実験結果の捏造を断れば――

 「じつは今、教授から不正を強要されているんです……」

 それは、若手研究者が集まるある会合でのこと。博士研究員のひとりが打ち明けた話の内容は驚くべきものだった。

 彼が加わっていた研究プロジェクトは暗礁に乗り上げようとしていた。予想を裏切り、思ったような実験結果が出てこないのだ。そこで上司である教授はこう指示したという。『君、データを少しいじってくれないか』。

 「つまり、実験結果を捏造しろと。もちろん、研究者としてはそんなことをしたくない。でも、断れば仕事を失ってしまいます」

 博士研究員、別称“ポスドク”。大学院博士課程を修了後、正規の就職先がないために、任期制で大学や研究機関に非正規雇用された研究者のことだ。いわばアカデミズムの世界におけるパートタイマーである。

 立場の弱い彼らが教授の命令にそむけば、次のプロジェクトのポストは与えられないだろう。とはいえ、一度捏造に手を染めてしまえば、いつか発覚されるのでは、と脅えながら研究生活を送らねばならない。

“パート先生”の年収は15万円

 毎年約1万6000人ずつ輩出されるという博士課程修了者。2009年の就職者は約1万人と就職率はわずか64%だ。「博士課程修了者は専門性ばかり高く、フレキシビリティーに欠けている」と、敬遠する企業が少なくない。

 それにしても、ポスドクの給与は低い。月に20万円ももらえればいい方だ。任期制のため、関わっているプロジェクトが終わればお払い箱になる。

 しかも研究テーマを自分で選べるわけでもなく、次々に違うテーマを追うのでキャリアに結びつかないケースが多い。結果的に30代、40代になっても、低収入のままいろいろなプロジェクトを渡り歩くことになる。その姿は、あちこちの工場を転々とする製造業派遣社員とも重なる。

 「ポスドクなんて、我々から見れば天国ですよ」

とため息をつくのは細谷伸治さん(仮名・40歳)。都内私立大学の非常勤講師で、専攻はドイツ文学だ。

 無理もない。週に1コマ(90分の講義)につき、月額2万5000円。これが非常勤講師の平均賃金である。

 コマの数を増やすことでしか収入を上げることができない彼ら。最悪の場合、半期分の仕事しか得られず、年収15万円という人もいる。しかも大学の講師職は、その専門性の高さゆえ、職場の数そのものが多くない。

 首都圏ほかの大学非常勤講師組合の2007年度アンケート調査によれば、専業非常勤講師約600人のうち、ほぼ半数が年収250万円以下だ。

 さらに、非常勤講師は原則として単年度契約のため、どんな理由で次年度の職を失うかわからない。予算の都合、カリキュラム変更など――。

 大学側からすれば、人件費を抑えるうえでも、非常勤講師の存在はありがたい限りなのだろう。ある私立大学では、非常勤講師が担当するコマ数の割合は全授業の約6割。にもかかわらず、非常勤講師の人件費は全人件費の5%にすぎない。大学の授業は、無数の“パート先生”によって成り立っているのだ。

「将来は生活保護しかない」
親の扶養で暮らす非常勤講師も

 「独文では食えない、ということはわかっていたんです。でも、いくらなんでも博士号を取れば、貧乏でもどうにか生活していけると思ってました」と細谷さん。

 博士課程修了者が博士号を持っているとは限らず、むしろ文系では少数派だが、細谷さんは数年前、教授に勧められて留学したドイツで取得した。

 なけなしの貯金がどこまで持つか、ほんとうに博士号を取れるのか……。不安と戦いつつ、一日中机にしがみついていた日々を今も思い起こす。

 が帰国当初、大学は1コマしか授業枠を与えてはくれなかった。ポストは年配の教員たちに占拠され、若手が入り込む余地はない。

 仕方なく貯金を食いつぶしつつ、研究を続けた。現在はどうにか週に5.5コマの授業を獲得しているが、当然それだけでは食べていけない。授業の合間を縫って、予備校講師のアルバイトをしている。本業の研究の時間を割かれるのでつらいところだ。それでも年収は200万円以下という。

 現在、年金暮らしの母親と同居中。自身は国民健康保険はかろうじて払っているものの、とても年金までは払えない。

 「このまま定年まで勤められたとしても、将来は生活保護を貰うしかないでしょう」

 前出の組合で委員長を務める松村比奈子さんによると、非常勤講師の中には健康保険すら払えず、無保険状態の人も少なくないという。

 都内私立大学などで非常勤講師を務める富山幸一さん(仮名・42歳)も、健康保険料は払っていない。

 「ずっと親の扶養に入っていました。電話を止められるくらい貧乏でしたから。今も被扶養者かどうか、ですか?じつは怖くて親に聞けないでいるんです。

 健康面については不安が大きいですね。かけもちで非常勤講師をしているので、移動時間だけで1日に5、6時間取られることもある。

“官製資格ビジネス”が
生んだ大量の失業者たち

 博士号まで取得した人々が、失業者や生活保護受給者になる今の時代。行き場のない博士たちはなぜこれほど増えたのか――。

 事はおよそ20年前にさかのぼる。

 1991年から始まった、旧文部省の「大学院重点化政策」だ。大学の主体を学部から大学院に移させる、というものである。

 その目的を、旧文部省は「専門職業人養成のため、大学院の規模拡大を図る」と謳っている。だが、そこには将来の少子化をにらんだ文部科学省や大学側の意図も見え隠れする。

 大学院に学生を呼び込めば、その分、学費収入が見込める。さらに「条件を満たせば国から補助金が下りる」ということもあって、学部から大学院重視へのシフトはどんどん進んでいった。

 その結果、大学院生の数は急速に膨れ上がった。91年の大学院在学者は9万8650人だが、08年は26万2655人。およそ3倍だ。

 ところが、前述のように修士課程修了者の就職率は6割程度。教員の数も1割程度しか増えていない。“余剰博士”が溢れたのも当然だろう。

 修士・博士課程でかかる学費はおよそ500万円。必ずしも就職に役立つとはいえない学位の対価としては、あまりに高額だ。大学院重点化政策から20年。この間、大学院をめぐり、いわば“官製資格ビジネス”が広がっていたといっても過言ではない。

奨学金は“日本版サブプライム”か?

 学費をまかなうために借りた奨学金の不良債権化も、深刻な問題だ。

 日本学生支援機構によると、奨学金を3カ月以上滞納した人は2007年度、約20万人。延滞債権は2200億円超に上っている。

 もちろん、中には無責任な借り手もいることだろう。だが、一方で低所得のため、返済したくてもできない人々もいる。大学院卒で6カ月以上の延滞者を見ると、正社員はわずか31%。アルバイトや無職は52%だった。年収300万円未満の人も66%いる。

 専門の社会政治学の分野で、すでに多数の著書や翻訳書を出している吉村幸二さん(仮名・44歳)。博士課程のとき、奨学金として400万円を借りた。だが、いまだに返すことができないという。

 「2つの大学の非常勤講師を掛け持ちし、専門学校の講師や通信添削の副業をしても、年収はやっと180万円弱。年間19万円の返済額はとても捻出できません」

 借金を背負い、先の生活の見通しも立たない状況では、不安が募ってやりたい研究にも没頭できない。

 首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長はこう説明する。

 「高学歴を取得するには、研究に時間を割かざるをえない。したがって多くの院生はアルバイトをする時間もなく、やむをえず奨学金を借りるわけです。しかし大学の学費は近年高くなる一方。私立大学の授業料は30年前の4.5倍、国立大学はなんと15倍です。OECD諸国内ではトップのアメリカに次ぐと言われています。

 しかも独立行政法人化後の国立大学は、国からの運営費交付金が年々減額されているため、もう学費を下げることはできません。その結果、世界でも異常なほどの高額な借金を、若手研究者が背負うことになってしまったのです」

 奨学金とはいっても、欧米のスカラシップ(給付型)と違い、日本のものは単なる“教育ローン”だ、と松村さんは言う。おまけに6割以上の学生が借りるのは、利子がつく第2種奨学金だ。

 「まもなく施行される改正貸金業法では、年収の3分の1を超えるなど、返済能力を超えた貸付けは禁止されます。ならば、無職の学生に多額のおカネを貸す今の奨学金事業は、“日本版サブプライム”とはいえないでしょうか」(松村さん)。

潰れていく“学者の卵”たち

 日本科学者会議事務局次長 上野鉄男さんはこう懸念する。

 「今のままでは、高学歴の若手研究者がどんどん使い捨てられてしまう。これは、本人のキャリアの問題にとどまりません。親の教育投資が無駄になるばかりか、税金の無駄遣いにもつながる。我が国の学術の発展そのものにも、決定的なダメージを残すはずです」

 同会議では、現在の科学技術政策の根本的な見直しと同時に、具体的な解決策を提案している。

 「授業料の免除や奨学金など、大学院生に対し欧米に劣らない経済支援を行うこと」「学術と教育に対する公的資金を欧米並みに増額し、大学教員などの増員を図って若手研究者が定職に就けるようにすること」

などを国や自治体に提言していくという。対処療法に終わらない、政策的な展望が必要だ、と上野さん。

 「経済的な成功なんて最初から求めてない。だから大学の同級生が会社で出世していたって、うらやましいとも思わない。僕はただ、自分の研究を続けてゆきたい――それだけなんです」

 ある非常勤講師はこう心情を吐露した。

 優秀な研究者を支え、育てる仕組みが失われようとしている今の日本。病院が壊れかけているように、大学もまた崩壊の危機に直面している。
















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最終更新:2018年06月13日 19:52