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● 人民元〔WIkipedia〕
人民元(じんみんげん)は、中華人民共和国の通貨で日本における呼称。中国では人民元とは呼んだり表記せず、人民幣(じんみんへい、人民币、Rénmínbì、レンミンビィ、RMB)とあらわされる。ISO 4217でのコードはCNY、¥記号を用いる。



■ 中国デジタル通貨発行に潜む野望 「万国時事周覧(2019-10-21 13:54:18)」より
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 民間企業であるフェイスブックが打ち上げたリブラ構想が国家の規制と云う巨大な壁に阻まれる中、中国がデジタル通貨を発行するのではないかとする憶測が流れています。デジタル人民元はリブラとは違って国家の後ろ盾があるものの、この構想に潜むリスクはリブラと何らの変わりはないように思えます。

 デジタル人民元の発行日を11月11日と報じた米フォーブス誌に対して、中国の中央銀行である中国人民銀行の情報筋はこれを憶測にすぎないとして否定したそうですが、ブロックチェーンといった先端的なフィン・テック開発に国家を挙げて取り組んできた中国のことですから、デジタル通貨の発行は技術的には可能なのでしょう。その一方で、発行形態や制度運営といった面については不明な点が多く、この不透明感はリブラ構想と共通しています。しかしながら、漏れ伝わる僅かな情報からしますと、以下のような計画が推測されます。

(※mono....中略)
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 その答えは、リブラと同様に、デジタル人民元が既存の銀行間決済システムを経ずして国境を越えることができるように設計されている点にあります。2018年6月、アリババの子会社であるアント・フィナンシャル(アリペイを運営…)は、ブロックチェーン技術を使ってフィリピンへの即時送金システムの実験を行っています。上述した‘米国の消費者まで利用可能’という発言も、デジタル人民元がアメリカ国内で流通する時代の到来を期待してのことなのです。そしてこの懸念は、アメリカに限られたことではなく、日本国を含む全ての諸国に共通しています。

(※mono....中略)
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リブラ構想が各国から激しい抵抗を受けたように、中国のデジタル人民元構想に対しても、他の諸国が黙っているとは思えません。何故ならば、この構想が実現すれば、各国は、自国の通貨発行権のみならず、金融政策の権限まで失いかねないからです。否、リブラ構想が世に問われたことで、今日、むしろ、それが内包する問題点も人々が明確に認識するところとなりました。リブラかデジタル人民元かの二者択一の選択を迫られる状況は、どちらを採っても悲劇が待ち受ける二頭作戦であるかもしれず、国際通貨の地位を脅かされるアメリカや中国との間に経済関係を有する日本国をはじめ、全世界の諸国は、リブラ構想の影で進行しているデジタル人民元構想に対しても、同等、あるいは、それ以上に警戒すべきではないかと思うのです。


IMF
■ 中国人民元をSDR構成通貨に採用 「Ddogのプログレッシブな日々(2015.12.1)」より
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自由な取引が儘(まま)ならなく変動相場制ではない人民元を国際通貨基金(IMF)がドル、ユーロ、ポンド、円と並ぶ主要通貨として、中国の人民元が加わってしまった。世界2位の経済力を背景に、存在感が高まったのだから、やむを得ないことかもしれない。
 中国人民元は金融・資本の自由な取引が行われていない。更に、政府の強引な市場操作も行われている。それでもSDRに採用されたことについて私はどうしても腑に落ちない。IMFは米国のドル基軸通貨体制の維持装置のはずだ。
 貿易決済で人民元が多く使われれば、人民元による影響力拡大は、設立を主導したAIIB(アジアインフラ投資銀行)など新たな経済秩序が構築されると米ドルの基軸通貨の地位が危うくなる。


米国とて基軸通貨の地位を手放したいなどとは思っていないはずだ。

しかし、すんなりとSDRになることを承認した裏には何かある可能性があると思えて仕方がない。

(※mono.--以下略、詳細はブログ記事で)


★ IMF、人民元のSDR採用を決定 「ロイター(2015.12.1)」より
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[ワシントン/トロント 30日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は30日開いた理事会で、特別引き出し権(SDR)構成通貨に中国人民元を採用することを承認した。35年ぶりの大掛かりな構成通貨の変更となる。人民元のSDR通貨バスケット比率は10.92%と、事前予想並みの水準となった。

IMFが2010年に設定した直近の比率はドルが41.9%、ユーロは37.4%、英ポンドが11.3%、円が9.4%だった。

人民元が採用されたことで、この比率はユーロが30.93%に低下、ポンドも8.09%、円も8.33%にそれぞれ低下した。ドルの比率は41.73%とほぼ同水準に保たれた。人民元が構成通貨に加わるのは来年10月以降。

IMF関係者によると、全会一致での承認だった。IMF当局者によると、IMFは理事会投票結果を公表しない方針。

IMFの評価基準を満たすため、中国は過去数カ月間、国内為替市場への外国人のアクセス改善など一連の改革を行ってきた。

ラガルド専務理事は声明で、改革の継続に期待感を表明。「こうした取り組みの継続や深化に伴い、国際通貨・金融システムがより強固になり、中国・世界経済の成長や安定を下支えする」と述べた。

中国人民銀行(中央銀行)はこの日、IMFの承認を歓迎する声明を発表。自国の経済発展や最近の改革についてお墨付きを得たとの認識を示し、「中国は、金融改革や開放促進の動きを加速させる」とした。

アナリストは、中国が資本勘定を完全に自由化し、変動相場制に移行しない限り、投資家は人民元を国際通貨として使用することに引き続き慎重になる、との見方を示している。


■ 人民元が「主要通貨」入り決定する 「Annex to a house(2015.12.1)」より
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大方の予想通りに、人民元は「主要通貨」になることになった。
人民元、来秋から「主要通貨」入り IMFが採用決定

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朝日新聞デジタル 12月1日(火)2時32分配信
 国際通貨基金(IMF)は11月30日の理事会で、加盟国にお金を融通するための「特別引き出し権(SDR)」と呼ばれる準備通貨を構成する通貨に、来年10月から中国の人民元を加えることを正式に決めた。ドル、ユーロ、ポンド、円と並ぶ「主要通貨」の仲間入りをすることになり、中国経済の存在感の高まりを示した形だ。
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当然、これに世界経済は大きく影響されることになる。良くも悪くも、そして、悪い方向に引っ張られる可能性が高く、である。

(※mono.--以下略)


■ 2015年中に人民元がSDR構成通貨入りすると報じる赤いJ-Castニュース 「スロウ忍ブログ(2015.11.4)」より
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中韓国に都合の悪い記事を流さないと公言しているソフトバンクグループのYahoo!ニュースで、「人民元が遂にSDR構成通貨に採用されることになった」などという信じ難いニュースが流れている。ソースは反日バイアスの強いJ-CASTニュースだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151104-00000000-jct-bus_all&p=1
(※mono.--引用記事略)
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今年はちょうど5年に1度のIMFのSDR構成通貨見直す年に当たるわけだが、「IMFは2015年11月下旬に開く理事会で人民元の採用を決める方針だ」というのがJ-CAST記事の内容である。

中国人民元がIMFのSDR構成通貨に採用されるためには、その条件として「人民元を完全自由化」する必要性があるわけだが、ただ、それを中共が素直に受け入れる可能性は限りなく低い。というのも、仮に人民元が完全自由化されることになれば、中共主導の中国経済は確実に崩壊し、ひいては中共政権の存続自体も危うく成り得るからだ。

ここで中国が人民元を完全自由化などすれば、中国に滞留していたマネーは一気にキャピタルフライト(中国→米国)して中国経済は完全にお仕舞いとなるだろう。

(※mono.--以下略、詳細はブログ記事で)


★ IMF、人民元のSDR採用めぐる決定先送り=第一財経日報 「ロイター(2015.11.4)」より
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[北京 4日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は、人民元の特別引き出し権(SDR)構成通貨への採用をめぐる決定を11月30日まで先送りする。中国の第一財経日報が報じた。
当初は11月4日に決定する予定だったという。


■ 人民元に国際通貨となる資格はあるのか 「ダイヤモンドオンライン(2015.11.3)」より
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人民元が採用される見込みのSDRとはそもそも何か

 国際通貨基金(IMF)は、中国の人民元をIMFの特別引き出し権(SDR=Special Drawing Rights)に採用する見込みと報道されている。

 実際に、11月のIMFの会議で採用が決まると、人民元は名実ともに国際通貨としての地位を確立できる。中国にとって、人民元が有力な国際通貨としてのお墨付きを受ける意味は小さくはない。

 元々、IMFは、国際金融や為替の安定性を維持するために、外貨事情が悪化した国に対して、必要な資金を貸し付けて救済することを目的に創設された国際機関だ。

 それぞれの加盟国はあらかじめIMFに資金を拠出し、その出資比率に応じて必要なときに資金を借りる権利を持つ。SDRは借り入れを受ける権利のことであり、また、借り入れを受けるときの資金の単位でもある。

 現在、SDRの価値を算出するときに採用されている通貨は、ドル・ユーロ・ポンド・円の4通貨であり、これらの通貨を加重平均する=バスケット方式によってSDRの価値を算定する仕組みになっている。

 バスケット方式で算定する意味は、4つの主要通貨を加重平均することでSDRの価値をより安定させるためだ。そのバスケットの中に、世界第2位の経済大国である中国の人民元を入れることで、さらに安定性を強化することが期待できる。

 一方、日米両国は今まで、人民元が中国政府の厳しい管理下にあり、自由な売買が担保できないとして慎重なスタンスを取ってきた。

 しかし、中国経済の台頭と、英国やドイツなどの欧州諸国が親中国政策を取り始めていることもあり、人民元のSDR採用を容認せざるを得なくなった背景がある

+ 続き
IMFからの融資に使われるSDR 2015年は“バスケットの見直し”の年

 IMFは、1944年に米国のブレトンウッズで国際連合の専門機関として創設された。現在の加盟国は180ヵ国を超えている。

 IMFの主な役割は、加盟国が経常収支の悪化などで外貨繰りに窮する場合、必要な資金を融資することで当該国を救済することであり、最終的に国際貿易の促進を図ると同時に為替の安定を目的とする。IMFが行う融資の原資は、基本的には加盟国から受ける出資によって賄われている。

 実際にIMFから融資を受ける場合、直接IMFからの借り入れを行うこともできるが、1969年に創設されたSDRを使って他の加盟国から外貨を借り入れることが可能になった。

 具体的には、外貨の借り入れが必要な国は、保有するSDRを他の加盟国に渡し、それをドルなど必要な通貨に交換してもらうことになる。SDRを受け取った国は、それを外貨準備に計上することができる。

 SDRは、金やドルなどの外貨準備資産を補完することを目的に考案された。SDRは、IMFに対する出資比率に応じて各国に割り当てられるが、その金利水準は、バスケットを構成する通貨の市場金利の加重平均によって算出される。

 当初、SDRの価値は金を基準にしていたが、74年からは主要16通貨の加重平均によるバスケット方式に改定され、現在は、ドルなど主要4通貨のバスケットになっている。バスケットの中身は5年毎に見直しされる。

 2015年が見直しの年に当たることもあり、英独など欧州諸国の強い支持を受けて人民元をバスケットに入れることが議論されることになった。

IMFの基準に当てはまるのか? 特殊な通貨である人民元

 IMFは、バスケット通貨の算定について二つの基準を設定している。一つは、加盟国が発行する通貨の中で、過去5年間で財・サービスの輸出額が最も多いこと。もう一つは、自由に売買が可能な「自由利用可能通貨」であることだ。

 二つの基準に照らして人民元を考えると、まず一つ目については何も問題はない。近年の中国の輸出額を見ると、その基準をクリアしていることは明らかだ。

 問題は二つ目の基準だ。人民元は、必ずしも自由に取引が可能とは言えない。現在の人民元の取引は、中国本土内の取引=オンショア人民元(CNY)市場と、香港中心の本土外の取引=オフショア人民元(CNH)市場とに分かれている。

 本土内での取引は、中国人民銀行の強い管理体制の下で行なわれており、実際の為替レートは事実上、人民銀行が決める水準に限られる。

 現在では、人民元のレートは、基本的にドルとほぼ連動している。ただしドルと厳格に固定されているわけではないため、緩やかなドル連動制=ソフトドルペッグ制と呼ばれている。

 一方、香港を中心とした本土外での人民元の取引は、中国政府の厳しい規制が及ばない。そのため、国境を跨いだクロスボーダーの決済や、為替レートの変動の制限などはなく比較的自由に取引が可能だ。

 そうした状況を考えると、人民元はドルやユーロ、円などに比べて取引の自由度はかなり制限されている。米国やわが国はそうした点を考慮して、今まで人民元のバスケット入りに慎重なスタンスを取ってきた。

 それに対して中国政府は、今後、一段と人民元の国際化を促進すると表明しており、今年8月11日に、事実上の人民元切り下げを行ったときにも、当該措置は国際化への一環と説明していた。11月2日、中国人民銀行は2005年の人民元改革着手以降で最大となる大幅な人民元切り上げを行ったが、これもSDR入りを意識したものとみられている。

中国に接近する欧州諸国が後押し 日本はどう対応すべきか

 中国政府はこれまでにも、人民元をSDRのバスケットに組み入れて、主要国際通貨の一つとの認識を受けることを積極的に働きかけてきた。

 近年、そうした動きに対する強力な援軍が出てきた。英国やドイツなどを中心とする欧州諸国が、中国政府の要請を明確に支持するスタンスを取り始めた。そのため、中国をめぐっては、同国に接近する欧州諸国vs.距離を置く日米の構図が鮮明化しつつある。

 一部の欧州諸国が親中国のスタンスを明確にし始めた背景には、人口減少などの問題を抱えて安定成長期にある欧州経済にとって、13億人の人口を抱える中国が巨大消費地としての重要性を増していることがある。

 特に、強力な輸出産業を持つドイツは、中国市場への積極的な進出によって世界市場でのマーケットシェアを拡大しており、今後もそうした展開を進めることが最大課題の一つになっている。

 スコットランドの独立や、EUからの脱退などの問題を抱える英国にとっても中国の存在は大きい。10月の習近平主席の訪英時には最大限の歓待の意図を示し、原子力発電所建設に係るプロジェクトにも中国からの支援を受ける意向を示した。

 また、金融の都=ロンドンを抱える英国にとって、人民元の決済口座をロンドンが確保し、今後、拡大が見込まれる人民元取引を集中させたいとの意図は明確だ。そうした英国政府の姿勢については、同国内から「やり過ぎ」との批判が出ているものの、当面、親中国のスタンスは変わらないだろう。

 世界の覇権国であり、長年にわたって主要欧州諸国と強力な同盟関係を維持してきた米国にとって、英国やドイツなどが露骨に中国になびきつつあることは予想外の展開だったかもしれない。

 特に、南シナ海での強引な人工島建設に伴う問題が顕在化している現在、米国の意図を軽視する欧州諸国の態度には困惑を感じざるを得ないはずだ。中国との領土問題を抱えるわが国にとっても、そのスタンスは好ましいものではない。

 ただ、わが国にとって、欧州諸国と正面から対立する構図は得策ではない。今後の主要国の態度を注視すると同時に、冷静な大人の態度が必要だ。

 足元で中国経済の減速は明確化している。かつてのような高成長を望むことはできないだろう。中国経済のエネルギーが低下すると、したたかな欧州諸国は新中国一辺倒の政策運営はできなくなるはずだ。そうした変化を敏感に掴み、上手く使うことを考えればよい。

★ 人民元、国際通貨に採用へ…IMFが最終調整 「読売新聞(2015.10.27)」より
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【ワシントン=安江邦彦、北京=鎌田秀男】国際通貨基金(IMF)はIMFの「特別引き出し権(SDR)」を構成する通貨に、中国の通貨・人民元を採用する方向で最終調整に入った。

主要国に異論がなければ、IMFは11月に開く理事会で最終決定する。中国は人民元の国際的な地位を高めるため国際通貨であるSDRへの採用を求めてきた。

 SDRは加盟国がIMFからお金を借りたり返したりする時に利用される単位。米ドル、日本円、ユーロ、英ポンドの4通貨を基に算出されている。

 SDRの構成通貨となるには「輸出の規模」と「自由に利用可能」の二つの基準を満たす必要がある。中国は世界最大の輸出国で前者の基準を満たしていたが、後者については課題となっていた。IMFは中国が国際的に決済可能な取引所を増やすなど、通貨の自由化に向けた改革を進めていることを評価したとみられる。

(※mono.--記事の続きは会員記事)

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★ 中国、人民元のIMF構成通貨入りへ圧力 欧州勢前向き、日米は改革要求 「産経ニュース(2015.10.11)」より
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 【上海=河崎真澄】中国当局がIMFの準備資産「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に、ドル、ユーロ、ポンド、円に続く第5の通貨として人民元を加えるよう外交圧力を強めている。

 元の国際化を推進したい中国はIMFによる“お墨付き”の獲得が悲願だ。

 リマで開かれたIMF関連会議で9日、中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁が「元は組み入れの要件を満たしている」と訴えた。対中経済関係を強化したい欧州の閣僚らも相次ぎ支持し、前のめりの姿勢をみせた。

 IMFは11月に開く理事会で元のSDR構成通貨入りを最終判断する。決定に必要な加盟188カ国の議決権70%以上の賛意も、欧州勢を中心に得られる見通しだ。だがIMFは技術的な問題点を勘案し、元の採用は最短でも来年10月とする方針を決めている。「さらに準備期間が必要だ」との慎重な見方も広がる。

 元の為替市場は人民銀行の管理下に置かれた官製相場のまま。通貨の国際化には欠かせない国境をまたぐ資本勘定の取引も自由化や改革が遅れるなど、国際通貨としての要件を満たしたとは言い難い。8月の事実上の元切り下げなど金融政策も不透明だ。貿易面での通貨の使用比率など、規模だけは急拡大している。

 IMF最大出資国、米国のルー財務長官はIMFCの声明で中国に「市場原理に基づく改革」を要求。出資2位の日本も、共同歩調を取っているもようだ。

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★ 人民元の主要通貨入り、年内に判断 IMF、導入は来秋 「朝日新聞(2015.8.21)」より
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 国際通貨基金(IMF)は19日、加盟国にお金を融通するための「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨の見直しの判断を、年末までにおこなうと発表した。中国政府が人民元の主要通貨入りを目指して採用を求めてきた。採用された場合でも、新しい構成通貨の導入は当初の予定より9カ月遅い来年10月になる。加盟国に準備のための十分な時間を与えることなどが理由だとしている。

 IMFでは、加盟国の出資額に応じてSDRと呼ばれる仮想通貨を割り当てている。危機に直面した国はSDRと引き換えに、現在の構成通貨であるドル、ユーロ、円、ポンドの4通貨でお金を融通してもらえる。今年はその構成通貨の5年に1度の見直しの年で、人民元が採用されれば、中国が進める人民元の国際化の強力な後押しとなる。

 構成通貨入りの判断には、その通貨を持つ国や地域の「輸出額の大きさ」と「通貨が自由に取引できるかどうか」の二つが判断基準となる。中国は5年前の入れ替えですでに輸出額の基準は満たしており、取引の自由度が課題となっている。(ワシントン=五十嵐大介)

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★ 人民元はIMFのSDRに採用されるのか 「東洋経済(2015.4.15)」より
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SDR(Special Drawing Rights、特別引出権)は、1969年にIMF(国際通貨基金)が加盟国の外貨準備資産を補完する手段として創設した国際準備資産だ。SDRの価値は現在、ドル、ユーロ、ポンド、円の主要4通貨の加重平均(バスケット)で決められている。バスケットは通常、5年毎にIMF理事会で見直しが行われており、今年はその年にあたる。注目されているのは、通貨のバスケットの中に人民元が入るかどうかだが、10〜11月頃には結論が出るはずだ。

世界の貿易及び金融システムにおける通貨の相対的重要性を反映するように、SDRの通貨バスケットの構成は決められる。世界経済における中国経済の重要性が大きくなっているのは誰の目にも明らかだ。

世界のGDP(国内総生産)に占める各国のGDPの割合を見ると、1980年には中国は2.8%に過ぎず、アメリカの25.9%とは比較にならない規模だった。その後中国経済のシェアは1990年代後半から急速に拡大し、2010年には日本を抜いて世界第2位の経済大国になった。

IMFの予測では、2019年でもアメリカが21.8%を占めて第1位の経済大国の地位を維持するが、中国は15.3%とユーロ圏の15.4%にほぼ並ぶ見通しになっている。

通常は、その年の実際の為替市場のレートを使って各国のGDPを比較するが、為替相場の変動により順位も大きく動いてしまう。中国の場合には人民元の為替レートを政府がコントロールしているので割安になっていると考えられている。こうした問題を考慮して、IMFは購買力平価(PPP)を使った経済規模の比較も発表している。
+ 続き
PPPを使った経済規模の比較では、アメリカと中国のシェアは2014年にはすでに逆転し、中国経済は16.5%とアメリカの16.3%を抜いて世界一となっている。これからFRB(米国連邦準備制度理事会)が利上げを行なってドル高が進む可能性が高いので、実際の市場の為替レートを使った比較では、中国経済はなかなか世界一にならないかも知れない。

購買力平価を使った場合には2019年には中国経済のシェアは18.7%となり、15.4%に留まるアメリカとの差は拡大していくという予測になっている。ニッセイ基礎研究所をはじめ、実際の為替市場のレートで換算しても2020年頃には中国の経済規模がアメリカ経済を上回ると予想している機関は、少なくない。

貿易の面では中国経済の重要性が拡大していることがより顕著だ。中国の輸出金額は2009年にはドイツやアメリカを上回って世界一になった。輸入金額でも、中国は2009年にはドイツを上回って世界第二位になり、2013年の輸入金額は1.9兆ドルに拡大して、アメリカの2.3兆ドルに迫る規模となっている。

人民元のオフショアでの利用は拡大しつつある


経済規模や貿易面では中国の重要性が増したが、これに比べると国際金融市場での人民元の利用は進んでいないと言われることが多い。SWIFT(国際銀行間通信協会)の発表資料によれば、国際決済に使われる通貨の構成比率で、人民元は、米ドル、ユーロ、ポンド、円に次ぐ第5位を2014年11月から維持していたが、今年の2月には第7位に下がった。しかし、2月には春節の影響があったと見られる。2012年12月には第14位だったのだから人民元の利用は急速に拡大しており、ポンドや円を上回るのも時間の問題だろう。

人民元を使った金融取引には、中国の国内の金融システムに不安があることや、司法制度が信頼できないことなど様々な問題が指摘されている。また、為替レートの安定を維持するために、中国政府が人民元の国際的な取引の自由化を望まないという見方もある。

しかし、SWIFTの資料からは、人民元による国際決済は香港が約7割であり、香港以外の中国国外での利用が2013年2月の17%から2015年2月には25%へと高まっていて、オフショア市場での利用が拡大していることが分かる。中国は国内の規制を残したまま、オフショア市場での人民元の国際的な利用拡大をはかる方針だ。

BIS(国際決済銀行)の「外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ」によると、世界の外国為替取引額は2013年4月の調査では1日で5兆3450億ドルに上る。貿易金額は年間で19兆ドル程度に過ぎない。貿易の決済需要は国際金融取引の中で重要でなく、対中貿易が拡大して世界一になっても国際金融の世界ではドルの圧倒的地位は変わらないと考えるかも知れない。しかし、貿易取引の拡大は人民元の国際金融取引を拡大する圧力として働いている。

中国との貿易取引を行うには、いやでも人民元で支払いをしたり、人民元を受け取ったりせざるを得なくなってくる。現在は、契約や支払いを米ドルで行う取引が中心だ。しかしこうした取引では、例えばドルと人民元、ドルと円という2回の外貨取引コストがかかる上に、為替レートの変動によるリスクも二重に発生する。

今後中国の輸入がさらに拡大すれば、人民元建ての貿易取引は拡大し、自国通貨と人民元との直接取引を拡大しようという動きはより強くなっていくだろう。中国と取引する企業は、自国通貨と人民元との間の為替レートの変動による損失を避けるためには、どうしてもある程度の人民元建ての資産・負債を保有することが必要になる。先行きの為替レートの変動に対するヘッジ取引の需要も増えていき、金融取引は重層化して急速に拡大していくだろう。

「自由に取引できる通貨」であることが条件?


SDRの通貨バスケットに人民元が入ることに、どのような意味があるのだろうか?SDRの価値を決める通貨となるための条件は、「世界の貿易及び金融システムにおける通貨の相対的重要性」だけではなくて、自由利用通貨(Freely Usable Currency)であるという条件がある。

2010年11月に実施された前回の見直しでは、財・サービスの輸出額と他の国々が外貨準備として保有している額に基づいて構成比が決められた。人民元は貿易での利用などで重要性が高まっているものの、自由に取引できないという理由で採用が見送られた。

IMFが発表している外貨準備の通貨別構成でも、通貨の判明分の中では米ドルが6割以上でユーロが2割強、ポンドと円がそれぞれ4%程度、カナダ・ドルとオーストラリア・ドルがそれぞれ2%程度だ。ここには人民元の影も見えない。

インド中央銀行のラグラム・ラジャン総裁は、かつてIMFの調査局長だったことがあるが、著書の中で「・・・原理的にはこうした(人民元の)所有は、IMFによって(外貨)準備として見なされない、なぜなら人民元は交換可能な通貨ではないからだ。」(筆者の訳)と述べている(Fault Lines: How Hidden Fractures Still Threaten the World Economyp248、邦訳『フォールトライン』)。

人民元が各国政府や中央銀行に保有されていないのではなくて、各国は外貨資産としてある程度保有しているものの、世界の外貨準備残高の通貨構成の半分近くを占めている「不明」の中に含まれているか、そもそもIMFが発表している外貨準備残高の中に入っていないという可能性が高いと筆者は見ている。

これまでのルールでは、人民元がSDRのバスケットの中に入るということは、自由に取引できる通貨だと認められることと同義だ。人民元が突然外貨準備通貨として認められることになり、IMFが発表している外貨準備の通貨別構成の中で大きな比率を占めていることが分かる、という可能性もあるだろう。

SDRに採用されることで重要性がより高まる


中国との間の貿易がさらに増えて行けば、自国通貨と元との間の為替レートの変化が輸出入を通じて、各国の経済に与える影響が大きくなって行く。中国との経済的な結びつきが強い国では、自国通貨を米ドルに連動させるよりも人民元に連動させることのほうが重要性を増すことになる。政府や中央銀行が為替市場に介入するために、人民元を外貨準備として保有する必要性がもっと高まるはずだ。

3月にアメリカ、カナダの専門家と意見交換した際には、ほとんどの人が人民元が主要国際通貨になるのはかなり先の話だとみていた。貿易取引で元の利用は拡大するものの、国際金融取引におけるドルの地位は揺るがないと考えていた。しかし、人民元がSDRの通貨バスケットに採用されると、それをきっかけに新興国や発展途上国を中心に金融機関の行動が変わっていく可能性が高いのではないだろうか。

アメリカはIMFで事実上の拒否権を持っており、人民元をSDRのバスケットに入れることを阻止することは不可能ではない。最近注目を集めているAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立の背景には、IMFの議決権を新興国や発展途上国により多く分配するというガバナンス改革が、アメリカの反対で進まないこともある。SDRに人民元が採用されるかどうかは、現在のIMFを中心とした、アメリカのドルを用いる国際通貨体制の将来にも大きな影響を及ぼす。SDRの見直しはどう決着するのか。行方からは目が離せない。

★ 人民元は決済システムに加わる必要、取引困難化も=HSBC 「ロイター(2015.4.10)」より
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[ロンドン 10日 ロイター] - 英金融大手HSBCの幹部は10日、主要通貨の決済プラットフォームであるCLS(多通貨同時決済システム)に中国の人民元が含まれていないことが銀行とってに大きな問題となりつつあると指摘し、改善されなければ元の取引が困難になると警告した。

HSBCで新興国通貨のトレーディングと欧州での人民銀行事業を統括するデビッド・パビット氏は「元を扱う市場関係者はこれが成長の足かせになるとみている。まだ成長の余地は多く残されているが、出来高が増えるにつれてオフショア人民元の取引は難しくなる可能性がある」と語った。
+ 続き
「われわれはこれまでに何度か中国当局にこの問題を指摘した」と述べ、中国も状況を把握しているとの見方を示した。

複数の外為市場関係者がロイターに明らかにしたところによると、政府や中央銀行がCLSに自国通貨を加えるよう申請してから作業が完了するまでに数年かかる。

CLSは元に関するコメントを控えたが、複数の当局と新たな通貨の採用について協議していると述べた。CLSは昨年、人民元を加えることが最優先事項との認識を示している。

HSBCのパビット氏は、通貨を決済対象に加える上でCLSは信用格付けや法的制度、為替管理、運用基準などの条件を設けていると説明。「現時点で中国は条件を幾つか満たしていない可能性がある」との見方を示した。

中国人民銀行(中央銀行)はファックスによる質問状に対して回答していない。

■ 不動産バブル崩壊でも人民元が増長する秘密 「iRONNA(月刊正論3月号)」より
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田村秀男(産経新聞特別記者兼編集委員)

 習近平共産党総書記率いる中国が「人民元帝国」建設に向け血眼になっている。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)本部を年内に北京に創立し、日米主導のアジア開発銀行(ADB)に対抗する。米国の裏庭、中南米のニカラグアでは中国資本が第2パナマ運河建設事業に乗り出した。そして、中国の執拗なまでのワシントンでのロビー活動の結果、早ければこの5月には人民元が国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「SDR」の構成通貨に認定され、円をしのいで一挙にドル、ユーロに次ぐ世界第3位の国際通貨の座につく公算が出てきたという。 

 不動産バブルの崩壊で揺れる中国がなぜ、国際金融大国となりうるのか。筆者自身、2010年に『人民元が基軸通貨になる日』(PHP研究所)を上梓してこの方、絶えずこの疑問と格闘してきたが、結論を先に言おう。人民元帝国は虚構の産物であり、いずれ限界に突き当たり、雲散霧消する可能性がある。だが、その膨張プロセスが長引けば長引くほど、横暴によって世界が受ける災厄の度合が高くなるかもしれない。

 まずは、人民元の正体、さらに、「人民元帝国」の虚構性を解明し、日本はどう立ち向かうべきか考えてみる。

 人民元増長の最大の秘密は、基軸通貨ドルの膨張にある。中国の不動産バブルは、ドルと人民元の密接な関係の産物である。

(※mono.--以下略、詳細はサイト記事で)















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最終更新:2019年10月21日 19:53