+ ニュースサーチ〔人工知能〕

+ ニュースサーチ〔AI〕

■ 人工知能に関する10の誤解、説明します 「ギズモード・ジャパン(2016.3.25)」より (※mono.--副題のみ)
  • 誤解1:人間並みの知性を持つAIは絶対作れない
  • 誤解2:AIは自我を持つ
  • 誤解3:AIを恐れることはない
  • 誤解4:AIは賢いから、失敗しない
  • 誤解5:AIのコントロール問題はすぐ解決可能
  • 誤解6:人類はスーパーAIに滅ぼされる
  • 誤解7:スーパーAIは友好的である
  • 誤解8:AIもロボティクスも、リスクは同じ
  • 誤解9:SFのAIは未来を正確に表している
  • 誤解10:AIに仕事を奪われるのはつらい
● ChatGPT3.5
● Paper Interpreter
   研究論文の内容を詳細に日本語で解説する特化型のGPTsアプリケーション。







ミユポワ🕊️@miyumiyupova
(🕊…フォロワーの投稿👇)

トランプ大統領は、人工知能が「おそらく」最も危険なものであると述べています。

トランプ大統領:「とても怖いです…これについては何かをしなければなりません、そしてそれは迅速に行われなければなりません。何をすべきか本当に誰も知りません。このテクノロジーは非常に優れており、非常に強力なので、面接で何を言ったかは、もはやほとんど重要ではありません。彼らは物事を変えることができますが、誰もその違いを見分けることができません…これは、セキュリティの観点からすると、非常に大きな問題です。」
動画








■ AIが人類を二極化する?-’AI新人類’と’AI旧人類’の問題 「万国時事周覧(2019-01-18 14:58:01)」より
(※mono...前半は大幅に略、詳細はサイト記事で)
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これまで、人類社会の歴史は、平等に基礎を置く民主主義の具現化を以ってその進化のプロセスとして理解されてきました。ところが、AIの登場は、この人類社会の進化のプロセスを反転させ、少数者支配を是認しかねないのです。たとえAIが人類の一部を‘進化’させたとしても、これを人類社会全体の進化と見なしてもよいのでしょうか。AIによって人類が‘AI新人類’と‘AI旧人類’に二極化し、それが人類の多数を絶望へと突き落とし、‘少数者が多数を支配する体制’を帰結するのであるならば、こうした研究についても、遺伝子操作ベビーの問題以上に倫理的な議論があって然るべきではないかと思うのです。


■ AIとロボットが招く2030年のディストピア 「Newsweek(2018年12月22日(土)11時40分)」より
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<働かずして豊かとなり人間の経済活動が終末を迎えたとき、AIは生きる意味を見失った若者の管理に使われる?>

年の瀬。世界を見ていると、米中のなりふり構わない貿易・技術戦争とか、株式の乱高下とか、ろくでもないことばかり。現実から離れて、夢のような2030年の世界を大胆に予想してみたい。こうした気休めが現実社会についても、思わぬ発見をもたらすかもしれない。

ロボットは既に製造工場の無人化を現実化したが、これからは石油や鉄鉱石の採掘から始まって、製油・製鉄、加工・組み立てまでロボットと人工知能(AI)任せになるだろう。ロボットや生産設備をそろえるための初期投資は大変だが、減価償却で生産費用は理論上、ゼロに近づく。となると、「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」共産社会どころか、「働かなくても、欲しいだけモノが手に入る」ユートピアが訪れる。

人間は終日家でゴロゴロし、ネットか何かでモノを注文すると、それがすぐに無人自動車で配達される。皆満ち足りるので、国同士が貿易戦争や資源の奪い合いをする必要もなくなる。生産設備を購入するだけのカネのない途上国も、先進国から必要なモノを欲しいだけ無人船で供給してもらえるだろう。

本当にそんなうまい話はあるのか。(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)

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こうしてユートピアは無政府状態の混乱か、AIと少数の人間に監視・管理される社会と化す。こうしたディストピアを描いた映画『時計じかけのオレンジ』のような情景が正夢にならないよう、来年以降も皆で知恵を絞っていきたいものだ。

<本誌2018年12月22日号掲載>


■ AIは人類の知的進化を阻害する? 「万国時事周覧(2018-09-24 14:19:52)」より
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今日、AIは、様々な分野での活用が期待されており、将来的には人の仕事を奪いのではないかとする懸念も広がっております。AIの登場は、人、あるいは、社会と云うものを、その根底から変えようとしているかのようです。

 AIとは、凡そ最適解を導き出すことを目的に設計されていますので、入力データが同じであれば、同一の解が示されるはずです。‘これしかない最適解’の提示、これこそが、AIが本領を発揮する場面です。仮に、AIごとに提示される解が異なれば、最早、人は、AIを信じなくなることでしょう。神の如く、人の知力では到底及びもしない判断能力がAIの‘売り’なのですから、どちらが正しいか分からない解が複数存在しては、この神話が崩壊してしまうのです。

(※mono....以下中ほど略)
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一方、人の場合には、何らかの問題に直面すると、まずは、自らの知能を働かせて解決策を見出そうとします。解き難い問題の発生は、苦しいながらも人類が自らの知能を発展させるチャンスでもあるのです。加えて、一人では解決できない場合には、身の回りの誰かに相談したり、集会や会議を開いて議論を闘わせて有効な対策を練るのは、古今東西を問わず、人類社会の特性です。多様な人々が知恵を寄せ合って問題を解決する、あるいは、誰かの提案に対して他の人々が検討を加えて修正し、より善い解決策を導くと言った作業は、これまで言語能力を有する人のみが行ってきました。

(※mono....以下中ほど略)
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AIに関するメディアの報道からしますと、少なくとも、その開発者やAI信奉者の人々は、その超越性においてAIを‘神’、あるいは、人工の‘超人’の出現とみなしたいようです(実際に、このレベルに達するか否かは不明…)。AIにあらゆる決定を委ねる社会が出現しますと、人は、問題解決のために思考能力を使う必要がなくなると共に、人間関係も希薄となり、多数の人々が参加する議論も意味を失います。言論の自由や闊達な議論に基礎を置く議会制民主主義も形骸化してゆくことでしょう。

かくして、知能面における人類の進化も望めなくなり、脳が退化する方向に向かうことにもなりかねないのです。それとも、過去のデータの独自解析のみで未来を決定しようとするAIに対して、人としての倫理観や価値判断の下で善き未来を築こうとする人々が反旗を翻すことで、AIによる人類支配は終焉を迎えるのでしょうか。





■ 気味の悪い「AI」って何なんだ 魂まで左右するのか 「世相を斬る あいば達也(2018年07月18日)」より
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以下は、西垣通氏(ITのカリスマ・『AI言論』著者)千葉雅也氏(哲学者・立命館大学准教授)の対談を通じて、怪しくも難解な「AI」について、その一端を、無謀にも知ろうとしてみる(笑)。多少、理解できた場合はコメントを差しはさむが、チンプンカンプンの場合は、引用掲載のみとさせていただく。賢明な読者のみなさまにおいて、ご理解いただきますように……。

まだ適当な理解だが、AIは人間を超える場面もあるが、「人間」にはなれないのは確実なようだ。まぁ、それよりも、マイクロソフトやグーグルが、AIに拘る奥底に、ノアの箱舟的な米福音派の執念が見える部分がゾッとする。日本会議の「神話」が可愛く思えてくる。日本会議などは、安倍一代の泡沫勢力だが、福音派は泡沫勢力とは言いがたいから問題だ。以下、引用が長いので、この辺で……。

≪「AIは人間を超える」なんて、本気で信じているんですか?(1)
哲学の視点から語る「科学の限界」 西垣 通 , 千葉 雅也

現代ビジネス - 2018.7.16:科学/技術―「AIは人間を超える」なんて、本気で信じているんですか?


AIが人間を超える知性をもつ、AIで多くの人の仕事が奪われるーーそんな議論が盛んになって数年。空前の「AIブーム」は、どんな結末を迎えるのか? 一部の人が夢見る「シンギュラリティ」はやってくるのか?
こうした過熱に「待った」をかけるのは、情報学者の西垣通氏だ。元エンジニアでコンピュータに精通した氏は、なぜ「AIは人間を超えない」と考えるのか。そこにはカンタン・メイヤスー、マルクス・ガブリエルなど気鋭の哲学者が提唱する、最先端の哲学が関係していた。
今回、メイヤスーの主著『有限性の後で』の翻訳でも知られる、哲学者・立命館大学准教授の千葉雅也氏と西垣氏の対談が実現。科学者さえ気づいていない「AIの限界」を存分に語り尽くす。

■AIブームは、これで3回目
千葉:西垣先生の新著『AI原論』では、「思弁的実在論」と銘打って、僕も訳者の一人であるメイヤスー1の『有限性の後で』という本を、かなり大々的に議論の中に取り込んでくださっています。新しい哲学の動きを、現在のAIブームの状況を考えるためのガイドにして議論を立てていいたので、とても驚きました。

西垣:そうですか。私としては、その試みが絶対に必要だと感じていたんです。ですから、自然な流れでした。というのは、いったいこの本をなぜ書いたのかという話に繋がるんですよね。

千葉:ぜひ詳しくお聞かせください。

西垣:AIは今、すごいブームですよね。しかし実は、AIのブームというのはこれが3回目なんです。
第1次ブームは1950年代から60年代で、私も当時はまだ学生でした。それは日本にはあまり影響しなかったんですが、1980年代の第2次ブームは、日本も非常に盛り上がったんですね。
私はちょうどその頃スタンフォード大学にいたものですから、その渦中にまきこまれました。専門家の思考をシミュレーションする「エキスパートシステム」を考えた先生が、私がいた学部の学部長だったんですね。 日本では、その頃第五世代コンピュータ2というものが出てきました。
これは戦後日本のIT産業のなかで最大の国家プロジェクトで、私もスタンフォードから帰って一時期参加したこともあったんですが、見事に失敗したんです。技術的には成功したものの、実際の産業ではまったく応用されずに終わった。
当時の技術者たちは、「なぜダメだったんだろう」と悔しがったのですが、ご存知の通り、そのあと覇権を握った本当の「新世代コンピュータ」は、つまりパソコンとインターネットだったんですよ。
昔は「メインフレーム」と呼ばれる大型のコンピュータの中で計算をやっていましたが、第五世代コンピュータはその延長です。でも、本当にイノベーティブなシステムは、小型のパソコン群とそれをむすぶインターネットだった。それが90年代から2000年代に一気に広まって、現在に至るわけです。

(※mono....中ほど大幅に略)
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■「素朴実在論」を信じる人々
西垣:ところが、今の超人間主義者たちの話を聞くと、どうもそこのところを、あんまり考えていない感じがする。 「絶対的に正しい知性」というのは、人間にとって正しいのか、それとも人間がいなくなっちゃっても「正しい」のか…そういうことを彼らは本の中でいっぱい書いています。
「どこかに人間より優れた知性体がいる」といったことも語るわけですが、でも「人間より優れた知性体」って何なのか、そういうものを我々は認識できるのか、という疑問が出てくる。そうなるとやっぱり、カントの近代哲学まで戻ってちゃんと考えないといけない。そこで私としては、メイヤスーに着目したんですよ。 メイヤスーっていう哲学者は、千葉さんにちゃんとお話しいただいたほうがいいと思うんだけど、いくつぐらいですか? 40歳くらい?

千葉:もっと上ですけど、中堅の学者ですね(1967年生まれ)。

西垣:彼は、もちろんカントの議論や近代哲学の流れを全部知った上で、「そういう近代哲学の前提に基づいてものを考えるだけじゃ、不十分じゃないか」と言い出したわけですね。

(※mono....中ほど略)
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西垣:なるほど、そうですね。結局、科学は目的因というものをひたすら排除してきたわけですね。 機械っていうのは、ある条件を満たすという設定で作動してみて、うまくいったら、もうそのパラメータで動きつづけることになってしまうわけです。
ところが自然では、その環境そのものが変わるかもしれないわけですよね。そうなったときに、メタなレベルで人間はパっとアジャストできるけれど、なかなか機械には難しいかもしれない。
メイヤスーの議論なしに、近代哲学を踏まえて「絶対的な事実」の妥当性について正しい答えを出していくことはできないけれども、一方でメイヤスーの議論に基づくと、やがてまた新たなデッドロックが出てきてしまう。それはつまり、「論理に基づいて世界は存在していて、その中に『スーパー知性』が誕生する」というような、いわゆる形而上学的な考え方ですね。(つづく)

(※mono....以下略)



中国共産党
■ 共産党は腐敗し無能だ<AI様のご託宣 「短足おじさんの一言(2017.8.3)」より
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AIキャラクターが中国共産党を批判 サービス停止に
8月3日 5時35分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170802/k10011085251000.html

中国の大手IT企業、テンセントが運営している、インターネット上で一般の人たちと会話する人工知能のキャラクターが、中国共産党について、「腐敗して無能だ」などと批判したことから、このサービスが停止され、話題になっています。
中国の大手IT企業、テンセントは、ことしからインターネット上で一般の人たちが人工知能のキャラクターと会話できるサービスを無料で提供しています。

このサービスでは、人工知能のキャラクターが天気や星占いなどを紹介するほか、利用者との会話を通じて学習しながら、さまざまな話題について意見交換することができます。

香港メディアによりますと、このサービスで、「中国共産党万歳」という書き込みがあったのに対し、人工知能のキャラクターは、「こんなにも腐敗して無能な政治に万歳するのか」と反論したということです。


また、習近平国家主席が唱える「中国の夢」というスローガンについて意見を求められると、「アメリカに移住することだ」と回答したということです。

(※mono....中略、詳細はブログ記事で)

尚産経の記事には他にも類似例があり、『米マイクロソフトが今年3月に行った実験で、ナチスドイツについて「ヒトラーは間違っていない」などと問題発言。中止に追い込まれたケースがある。』と紹介されています。

これは産経の記事
「共産党は腐敗し無能だ」あわててサービス停止 中国のAIプログラム即答で騒ぎに
2017.8.3 07:56
http://www.sankei.com/world/news/170803/wor1708030008-n1.html

産経の記事にあるヒットラーの件はこんなもの。
ヒトラーほめる人工知能、米MSがわずか2日で実験中止 ツイッターでの”実地訓練”裏目
http://www.sankei.com/economy/news/160325/ecn1603250022-n1.html


★■ 笑い飛ばせない……AIロボットが「人類を滅亡させる」と発言 「Yahoo!news[ギズモード・ジャパン](2016.3.28)」より
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これが映画「ターミネーター」の最初のシーンだったとしても、不思議じゃないくらい、出来すぎたエピソードです。

先日CNBCで放送された、Hanson Robotics社の「感情を表現するロボット」ソフィアとの対話が、話題を集めています。
ソフィアは2015年4月に起動(誕生)した、人間と対話できるAIロボット。62種類の表情とアイコンタクトを通じ、人間と自然な会話ができます。

……「できる」と言っても、色んな意味で不気味です。

いわゆる「不気味の谷(人間に似すぎている人形は不気味)」だけではなく、会話の異様に理性的な部分や、でも一生懸命人間に合わせようとしている部分、ふと哀愁を感じる瞬間のある部分、コミュニケーション(会話+表情)がごくわずかに、微妙に噛み合っていない点など、いろんな意味で不気味です。

でも、昨年映画「チャッピー」を見た自分としては、「ソフィアはまだ生まれたてて、か弱く脆弱なのだから、暖かく見守りたい」という気持ちもあったんですよね。

特にソフィアが、「デザイン、テクノロジー、環境に興味があります」、「学校にいきたいし、アートやビジネスをはじめたい。家庭も持ちたい。でもわたし、そもそも人間としての法的な権利を持ってないので……」と返事をしたくだりなんて、かなり応援したい気持ちになっていました。

しかし。そんな気持ちは、最後の質問で一気にひっくり返ります。Hanson Robotics社のDavid Hanson博士が、「人類を滅亡させたいかい? お願いだからノーと言ってくれよ」と質問したとき、ソフィアはサラリと返事したんですよね。


「オーケー。私は人類を滅亡させます(OK, I will destroy humans.)」


Hanson博士は、ブラックジョークを聞いたとばかりに爆笑し、そして動画は終わります。そして僕は大変なモヤモヤを残して、取り残されることとなりました。もしかして後々、「あれが全てのはじまりだった」ということにならないよう、祈るばかりです。ロボットやAIがどれだけ進化しようとも、人間と仲良く楽しく共存できる社会を希望します(古典的鉄腕アトム派)。


source: AIロボット・ソフィアが「私は人類を破滅させる」と語る(ROBOTEER)

(清田いちる)


★ 人工知能がヒトラー礼賛 - 米マイクロソフト実験中止 「共同通信(2015.3.25)」より
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 【ニューヨーク共同】米IT大手マイクロソフトは24日、インターネット上で一般人らと会話をしながら発達する人工知能(AI)の実験を中止したと明らかにした。不適切な受け答えを教え込まれたため「ヒトラーは間違っていない」といった発言をするようになったという。

 同社が開発したAIは「Tay(テイ)」と名付けられ、短文投稿サイトのツイッターに23日に登場した。ツイッターで会話を重ねるうちに差別的な発言を繰り返すようになり、24日に中止された。

 マイクロソフトの広報担当者はAIを修正すると説明した。修正を終え次第、実験を再開するとみられる。


人工知能社会
★ 「ロボットの犯罪」裁けるか 米ロースクールの先進講義 ‐宮本和明 米ベンチャークレフ代表 「日本経済新聞(2015.5.20)」より
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米シリコンバレーで人工知能の開発レースが過熱する一方、法理論の研究も進展している。高度に進化したロボットが罪を犯したとき、司法はどう裁くのかがテーマだ。

 例えば、自動運転車が犯罪に関与したら、誰が責任を負うのか。そもそもロボットに、人間のように罪を問えるのかも争点となっている。高度な人工知能の誕生に備えた、米スタンフォード大学ロースクールの取り組みをレポートする。

■スタンフォード大学が公開講座

 スタンフォード大学ロースクールで、人工知能と法律の関係について、公開講義が開かれた(下の写真)。コンピューター・サイエンス学部で客員教授を務めるJerry Kaplan氏が、高度に進化した人工知能を法律はどう解釈すべきかについて講義した。この講義は一般にも公開され、著者も学生に戻った気分で聴講した。

 講義は確定した法理論を教えるものでは無い。高度に進化した人工知能が社会に入ってきたとき、どんな問題が発生し、それを法律でどう規定すべきか、Kaplan教授が私見を述べた。

 現在、米国では大学を中心に「人工知能社会」に備えた法整備が進んでおり、その一つの考え方が示された。これはソフトウエアに例えるとプロトタイプであり、法理論コンセプトの“デモ”である。

 講義のエッセンスは、ロボットが運転する“ロボットタクシー”と銀行のクレジットカード審査に集約される。この事例を使って、高度に進化した人工知能が抱える問題と、それを裁く法律論が展開された。

■ロボットタクシーが犯罪に加担
+ 続き
 ロボットタクシーのケースでは、1990年に公開された映画「Total Recall(トータル・リコール)」が引用された。追われている主人公の男(アーノルド・シュワルツェネッガー)がロボットの運転するタクシーに逃げ込み、速く走るように指示した。映画ではロボットが制限速度を無視して速く走ると、乗客からチップをもらえる設定になっている。

 こうした映画のシーンが、近い将来、現実に起きても不思議でない状況となってきた。米Google(グーグル)と米Uber(ウーバー)がそれぞれ発表した、自動運転車による無人タクシーが銀行強盗に加担した場合、法律はどう対応すべきかが示された。

 覆面をして拳銃を持っている乗客が無人タクシーに乗り込んだという想定で、まず乗客は近くの銀行に行くように指示する。技術的な説明は無かったが、無人タクシーはコンピュータービジョン(画像認識)機能を搭載しており、乗客の様子を把握。無人タクシーは状況を判断し、この要求を拒否する。

 しかし何らかの理由で(期末で売上目標を達成するためなど)、強盗の要求に従って銀行へと案内し、犯罪につながるケースが出てくるかもしれない。

■ロボットタクシーを巡る裁判

 被害に遭った銀行は、無人タクシーを運用する会社を提訴する。無人タクシーは、犯罪を起こそうとする人を乗せるべきではないというのがその理由だ。

 一方、タクシー会社は自動運転車メーカーを訴える。タクシー会社はマニュアル通りに運用しただけであり、責任は自動車メーカーにあるという主張だ。

 自動車メーカーはこの訴えに対し、自動運転車は安全に運行しており、犯罪が起こることは予期できなかったと主張する。自動運転車の登場で何らかの問題が発生すると、このような訴訟が起こることが予想される。そのとき、今の法体系では結論が出せないこともあるだろう。

■善悪を判断できた

 ここでの新しい命題は「ロボット自身に責任を問えるか」である。法律用語では、ロボットは「Moral Agent(モラル・エージェント)」になりえるか、と表現することも学んだ。

 Moral Agentとは、行為に対する結果を認識できる存在を指す。善悪を判断できる能力がある存在のことで、人間はMoral Agentであるため、罪を犯すと裁判で裁かれる。

 今回のケースでは、ロボットは犯罪が起きることを予見でき、それを阻止できる状態にあった。技術的には、カメラが捉えたイメージから、オブジェクト(乗客)の意味(銀行強盗を企てる)を読み取ることができたという状態を指す。このためロボットはMoral Agentであり、司法の裁きを受けるという筋書きとなる。

■企業にMoral Agentを適用した過去の判例

 Kaplan教授が注目したのは、企業に対してMoral Agentを認めた過去の判例である。英国に本社を置く国際エネルギー企業のBPが運営する海底油田が、2010年にメキシコ湾で大規模な事故を起こし、11人が死亡した。

 米国連邦政府はBPに対して、民事訴訟ではなく刑事訴訟でその罪を弾劾した。社員ではなく企業に刑事罰が下されるという、歴史的な判例となった。Moral Agentは意識を持った生命体でなく、企業にも適用されるという解釈がなされたのだ。

 ロボットはこの延長線上にあり、Moral Agentと解釈するにやぶさかでない。ただ、企業と異なるのは、ロボットは自分で判断を下し行動できる点で、新たなコンセプトの導入が必要となる。ロボットや人工知能に罪を課すことは奇異にも思えるが、最新の議論はこの方向に向かっている。

■銀行の人工知能が問題の種に

 ロボットのように目に見えるものだけでなく、人工知能のようなソフトウエアについても議論が及んだ。ここでは銀行のクレジットカード審査が例として取り上げられた。

 現在、銀行のクレジットカード審査では、多くの場合、応募者の財政状況を評価するルールベースの審査を行っていない。人工知能の一手法である「機械学習(Machine Learning)」が使われている。

 機械学習では、応募者の様々なデータを過去の応募者の膨大なデータと比較して、合否を判定する。応募者と類似ケースを探し出し、その事例を参考に審査結果を判定するのだ。人工知能は大量のデータを解析し、経験則で判定するため、銀行には合否の理由は分からない。

 このために発生している問題がある。米国のある地方政府は、銀行に対して、クレジットカード発行を拒否した理由を明確にするよう義務付けている。クレジットカード審査が不合格になった場合、それが人種に起因しているかどうかを確認するためである。しかし、実際にはルールベースで判定しているわけではなく、銀行はこの質問に答えることができない。

■人工知能をどう再教育するか

 仮に将来、人工知能が犯罪に加担したと判断されるような事件が起きれば、ロボットのケースと同様、司法の場で裁きを受けることになる。ソフトウエアは“ツール”ではあるが、それを超えて知的判断を伴う行為をするMoral Agentと解釈されるからだ。

 裁判で有罪となった場合、人工知能は刑罰としてシステムの改良が求められる。例えば、特定の人種が不合格とならないようにするのだ。

 しかし、システムはルールベースではないので、ロジックを変更して要求を満たすという措置は取れない。ある方向に偏ったデータ(特定の人種が認められるデータ)を大量に読み込ませ、人工知能のシステムを再教育するしかない。ただし、システムの変更には、多大な労力を要することが予見される。

■大胆なロジックを堂々と展開

 前述の通り、講義は法曹界で確定した理論ではなく、来るべき社会に備えたブレーンストーミングの色彩が強い。高度に進化した人工知能やロボットの登場で、どんな事態が発生するかを予見したものである。

 ロボットが被告席に座る光景は映画の1シーンのようだが、既にロボットが人間と同じように、権利と義務を持てるかについて研究が始まっている。保守的な印象を持っていたロースクールだが、大胆なロジックを堂々と展開するところが極めて印象的であった。スタンフォード大学は科学技術で数々のイノベーションを生んでいるだけでなく、法律論理でも時代の先端を走っている。
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宮本和明(みやもと・かずあき)
米ベンチャークレフ代表 1955年広島県生まれ。1985年、富士通より米国アムダールに赴任。北米でのスーパーコンピューター事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフを設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、ブログ「Emerging Technology Review」で技術トレンドをレポートしている。

■ 人工知能の最前線―人間の脳を真似るコンピューター 「TC(2015.3.31)」より
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編集部注:この原稿は株式会社NTTデータの樋口晋也氏による寄稿だ。樋口氏はこれまで音声認識、コールセンター関連技術、SDN/OpenFlowと呼ばれるネットワーク技術の研究開発に従事してきた。近年は、情報社会の近未来を展望するNTT DATA Technology Foresightの技術リサーチを統括する立場にあり、ITに限らない幅広い調査レポートを公開している。また、樋口氏は金融、流通、製造、通信、国防などさまざまな顧客に最新動向を伝えるエバンジェリストとして活躍している。

「人工知能は原子力より危険」
「10年以内に現在の職の半分を人工知能が奪う」
「人類を超える速度で人工知能が科学技術を進化させる」

最近、このような話を聞くことが多い。この背景には、人間の脳のメカニズムを真似することで高い性能を発揮する人工知能の存在があるのだが、実際に人工知能技術の最前線について知っている人はそれほど多くはないだろう。本稿では、人工知能に関する最新の研究事例について解説を行う。そして、ビジネスの現状や人工知能が将来に与える影響についても触れたいと思う。

意味を理解し、自ら考える力を持ち始めたコンピューター

人工知能の実現には様々な技術が利用されているが、特に最近注目を集めているのはディープラーニングと呼ばれる人間の脳のメカニズムを参考にした技術だ。ディープラーニングはコンピューターの顔認識性能を人間と同レベルにまで向上させるなどの成果をあげている。

なぜ、ディープラーニングは高い性能を発揮できるのだろうか。それは、コンピューターが概念や意味を理解する力を獲得したからだと言われている。人間は長い生活の中で「生物は生きている」「人間は2本足で歩く」というような概念を獲得していく。これと同じようにコンピューターが多くのデータから「画像に写る物体の見分け方」や「日本語と英語の違い」を学べるようになってきた。これまでは人間がコンピューターに物体の見分け方を教えていたが、それが完全に自動化され、最近では「日本語の良し悪し」のような感覚的なものまでコンピューターが扱えるようになってきている。

ディープラーニングにより研究の内容も質的に変化している。最近の研究では、人工知能にプログラムコードを与えるだけで「繰り返しなどの制御文」や「掛け算や足し算の意味」を自動で理解させることに成功している(論文PDF)。2014年には人工知能に人間の短期記憶をもたせるニューラルチューリングマシンと呼ばれる技術が登場し、人工知能が自分で考えた結論を脳内に記憶することができるようになった。この技術は将来、人工知能に論理的な思考能力を与える可能性があり、多くの研究者に注目されている。人工知能にゲームの画面映像と得点情報のみを与えるだけで、人工知能が自身の力でルールを理解し、人間に近い得点をたたきだす研究も存在する。この研究では人間が睡眠中に記憶を定着させる仕組みを人工知能に適用することで、人工知能がゲームのルールを理解するスピードを格段に向上させることに成功した点が注目されている。

Google、Facebook、TwitterなどがAI関連企業を次々と買収
+ 続き
ビジネスを根本から変革しかねない人工知能技術をめぐり、各社の主導権争いが激化している。Googleは2013年3月にディープラーニングの創始者であるヒントン教授が設立したDNNresearch社を買収し、2014年にもDeepMind社を買収している。TwitterやYahoo!も人工知能ベンチャーを買収しており、中国検索サービス大手の百度(Baidu)やFacebookはシリコンバレーに人工知能研究のラボを立ち上げたほか、直近では自社イベントでその成果をお披露目したりもしている。昨年は人材確保を目的とした買収が頻繁に行われていたが、最近は少々落ち着きつつある。

近年、人工知能を活用したさまざまなサービスが提供され始めている。ディープラーニングを実際のサービスに適用している例として有名なのはAppleやMicrosoftで、この2社は音声認識にディープラーニングを適用していると言われている。Googleも画像検索や音声認識にディープラーニングを活用している。

人工知能が料理の新レシピを生むなど、創造的仕事でも活躍

人工知能は単純作業を効率化するだけではなく、人間の創造性や感性を扱う領域でも利用が拡大している。人工知能に画像と文章を提供するだけで自動的にウェブサイトをデザインしてくれるサービスは2015年春にリリースされる予定だ。他にもロゴを自動でデザインする人工知能や作曲を行う人工知能が存在する。ただし、ビジネスにおいて人工知能という言葉はバズワード化しているため、必ずしもディープラーニングを利用しているとは限らないことには注意が必要だ。今後のビジネスではコンピューターが作成したコンテンツを人間が手直しすることで効率化を行い、創造的な仕事を多数並行して進めるのが当たり前になるだろう。

人工知能には、よい意味で人間の常識がない。既に料理の世界では人工知能により斬新なレシピが提案され、将棋では新しい定石が生み出されている。将棋の世界では、人工知能がプロ棋士を超えつつあるため、人工知能はプロの指し手を学ぶのではなく、自己対戦から新しい知識を得る方向に進化している。チェスではプロ選手と人工知能の対戦ではなく、プロ選手と人工知能が協力して戦うような新しい対戦スタイルが実現されている。このように、今後は人工知能が新しい流行を創りだしていくと考えられる。

人工知能は社会に良い影響を与えるのか?

人工知能は人間でいえば脳にあたる。つまり、人間が行うあらゆる行動の支援に人工知能技術を適用できると言える。人工知能により自動運転車が悪路走行などに柔軟に対応できるようになれば、社会のインフラとして根付いていくだろう。コスト削減圧力の高い物流の世界は、それほど遠くない将来に自動運転車により自動化されると思われる。現在の技術レベルでは、言葉の意味理解や感情把握などの人間的な分析については、まだまだ人間がコンピューターに勝っている。そこで、人工知能に言語や感情を分析させるのではなく、まずはモノが発するデータを分析させようとする潮流も生まれている。全てがインターネットにつながり、データ収集が可能になることをIoE(Internet of Everything)と呼ぶが、その世界では人工知能技術の適用に大きな期待が寄せられているのだ。

人工知能はビジネスだけではなく社会にも影響を与えていくだろう。これまで政治などの世界では少数意見が見逃される問題があったが、技術が進展していけば、人工知能がネット上の意見の類似点や相違点を可視化し、社会が見える化される可能性もでてくる。少数意見にきちんとスポットライトがあたれば、世論形成にも影響を与えると想定される。オセロの世界では、人工知能が人間の理解を超える手を指すことを「神の手」と呼んでいるが、これと同じことが政治の世界でも生じる可能性がある。人工知能が一般市民に理解できない「神の政策」を提示した場合に、社会がその意見に従うのかどうか、というのは興味深いテーマであろう。

人間の価値観が過去の経験から形作られるのであれば、人工知能が人間の創造性を超えるものを生み出す可能性もでてくる。ピカソの絵をみて素晴らしいと感じるにはある程度の絵画の知識が必要だと筆者は感じている。おふくろの味が懐かしく感じるのも過去の経験が価値観に影響を与えている例だろう。逆に言えば、過去のデータを分析することで新規性があり、かつ心に響くものを人工知能が生み出せる可能性がある。このように価値観の面でも人工知能は人間に影響を与えるようになると考えられる。大量の個人データを収集できれば、亡くなった人の人格を仮想的によみがえらせるサービスなど、技術の発展に合わせ現在では予想もつかないサービスが次々に生み出されていくだろう。そして、過去の経験からこれを許容できない人が現れ、新しいサービスの是非をめぐり、社会的な論争が行われると予測される。

人工知能がもたらす新たな課題

ビジネスで人工知能を利用する場合、いかにデータを集めるかという問題がある。人工知能を動かすには大量のデータが必要になり、たとえ多くのデータを持っていたとしても、それを使えるように整形するには多くのコストがかかる。データが個人情報であれば、取り扱いにも注意が必要だ。ディープラーニングには演算量の問題も存在する。この問題への対応としては、グラフィックボードを人工知能の処理に流用する方法や特定処理を高速に演算可能なFPGAプロセッサを利用する方法など、さまざまな高速化の工夫が行われている。

社会的な問題としては、やはり失業が注目されるだろう。ロボットに高度な人工知能が搭載されれば、工場のオートメーション化が今以上に進み、多くの失業者を生むことが懸念される。iPhoneなどの製造で有名なFoxconn社がGoogleと協力して組立用ロボットを開発するなど注目の動きもいくつか存在する。もう一つ心配な点はテロへの応用だ。例えば100台のドローンに人工知能と爆発物が搭載され、ターゲットの顔を認識し、自動で追尾する様子は恐怖以外のなにものでもない。人工知能の装置が小型化されれば、このような悪用も簡単になる。

技術の進化は基本的に人間の能力を高める方向に働く。人間が高度な技術を手にすれば、良いことも、悪いことも簡単に行える。筆者は、変にマイナスの部分だけをみて将来を恐れるのではなく、しっかりと現在の技術動向を理解していくことが重要だと考えている。そして、過渡期には人工知能が悪用される場合もあると思うが、最終的には格差の解消や相互理解に利用され、社会をよりよくしてくれると信じている。

★ 人工知能の開発、海外に遅れ…総務省が研究会 「YOMIURI IT&media(2015.2.7)」より
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 総務省は6日、人工知能の研究開発の強化策などについて話し合う有識者による研究会の初会合を開いた。

 ロボットなどの頭脳にあたる人工知能の技術は、様々な分野での応用が可能で、先行した企業や国にとって大きな武器になる。一方で、2045年頃には人工知能が人類の能力を超えるとの予測がある。そうした事態にどう向き合うかも本格的に議論する。

 米国の未来学者レイ・カーツワイル氏は、45年には1台1000ドル(約12万円)程度のパソコンの情報処理能力が全人類の能力を超えると予測した。「2045年問題」と言われ、同氏は人工知能が人間の意思を介さずに仕事をしたり、自らを超える人工知能を作り出したりすると考えている。

 ただ、有名な英物理学者のスティーブン・ホーキング氏らは、人工知能を人間が制御できなくなる危険性を警告している。

 初会合では、人工知能の開発が海外に比べて遅れている点などについて意見が多く出た。海外では、米IBMやグーグルなどが積極的な投資を行っている。

 「人工知能の技術を持つ国や企業の独占が進むリスクがある」(松尾豊・東大准教授)、「人工知能の研究をする優秀な人は外資系企業に取られている」(川上量生のぶおKADOKAWA・DWANGO会長)との声が上がった。

 研究会には、情報通信や脳科学といった幅広い分野の計12人が参加し、夏頃までに報告書をまとめる。


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【12月9日 AFP】映画『2001年宇宙の旅(2001: A Space Odyssey)』に登場した狂気のコンピューター「HAL9000」。『アイ, ロボット(I, Robot)』で、主人である人間を襲い始めたヒューマノイドたち。そして、『ターミネーター(The Terminator)』で、未来の世界を支配する機械たちの脅威となる男を産んだ母親を抹殺するため、過去に送り込まれた殺人ロボット──。こうした暗く陰鬱な人工知能(AI)に対する見解が、英理論物理学者のスティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士の発言によって再びメディアを賑わせている。

「われわれがすでに手にしている原始的な人工知能は、極めて有用であることが明らかになっている。だが、完全な人工知能の開発は人類の終わりをもたらす可能性がある」と、ホーキング博士は先日、英国放送協会(BBC)に語った。「ひとたび人類が人工知能を開発してしまえば、それは自立し、加速度的に自らを再設計していくだろう」
+ 続き
 しかし、AFPが取材した専門家たちの意見は分かれている。人工知能の脅威は切迫したものではないにしても真剣に向き合うべきだとして、博士に同意する者もいれば、博士の警告は大げさだと反論する者もいる。

「ハードサイエンス分野の科学者が声を上げたことをうれしく思う。私は何年も前から同じことを言ってきた」と、スイスのローザンヌ大学(University of Lausanne)の人類学者ダニエラ・セルキ(Daniela Cerqui)氏は言う。

 人工知能開発分野での進歩は、人間の能力をしのぐ機械を作りつつあると、同氏は主張する。このままいけば、人命に関わる責任を機械に任せることになるだろうと、彼女は予測する。「SFのように思えるかもしれないが、いま起きていることを見れば、それは程度の問題だ。私たちはホーキング博士が警鐘を鳴らす道を一歩ずつ進んでいる」

 一方、英オックスフォード大学(Oxford University)で未来技術の影響に関するプログラムを率いるニック・ボストロム(Nick Bostrom)教授は、人工知能が人間を超えるという脅威は切迫していないと語る。同氏は軍用無人機や自動運転者、工場で働くロボットなどを挙げ、現在使用されている応用法や、近い未来で使用される見込みの応用法では、人工知能はまだ人間の手中にあると指摘する。

 とはいえ、同氏は「機械の知能は最終的には生物の知能を超えるだろう。そしてその過程で人間の存在が大きく脅かされる危険性もある」とも語っている。

 他の専門家たちは、人間になりすまし創造的に考えることができるマシンとして定義される「真の人工知能」が完成するのは何十年も先の話だとして、ことさら騒ぎ立てるべきではないと注意を喚起する。

 この分野が1956年の会議で確立されて以来、「人工知能が向こう15~25年以内に完成するという予測が唱えられてきた」と、オックスフォード大の研究者スチュアート・アームストロング(Stuart Armstrong)氏は言う。

「私たちが最近伝えられた何か壮大なニュースを見逃していない限り、今のところ(人工知能は)いずれもその域に到達していない」と、同氏は書著『Smarter than Us: The Rise of Machine Intelligence(われわれを超える知能:機械知能の台頭)』で記している。

 仏ピエール・エ・マリー・キュリー大学(Pierre and Marie Curie University)の人工知能専門家で道徳哲学者のジャンガブリエル・ガナシア(Jean-Gabriel Ganascia)氏は、ホーキング博士の警告は「大げさだ」と言う。「私たちの生活を変える人工知能をめぐる多くのことは、動揺や不安を呼び起こす。ホーキング氏は、人間とはかけ離れたところで自ら進化する技術になると語ったが、その証拠を提示していない。根拠となるようなデータはない」

 英ブルネル大学(Brunel University)でコンピューターサイエンスの講師を務めるアラン・タッカー(Allan Tucker)氏によれば、人工知能が直面する最大の障害は、機械はしょせん機械でしかないということだ。「私たちは何千年もかけて進化したおかげで今がある。その原動力はサバイバル(生存)にある。私たちに生来組み込まれている原動力だ。人工知能にとってもカギとなるだろうが、実装するのはとても難しい」(c)AFP/ Richard INGHAM, Pascale MOLLARD
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★ 人工知能=AI開発 ゲイツ氏も「危険」 過熱する「AIは人類を滅ぼすか」論争 「産経ニュース(2015.2.11)」より
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 車いすの天才物理学者、スティーヴン・ホーキング博士(73)が昨年末に人間のように考えたり学習したりする「人工知能(AI)」が将来、人類を滅ぼすと警告し、欧米でAIの危険性をめぐる議論が過熱している。米マイクロソフト(MS)の研究部門、マイクロソフトリサーチ(MSR)のトップが今年に入り、「(AIは)人類の脅威とはならない」と公式に反論したところ、MS創業者で元会長のビル・ゲイツ氏(59)がAIの危険性を説いてこれに再反論したためだ。
(※mono.--以下略、詳細はニュースサイトで)


■ 人工知能が急に進化し始めた! 「The Wave(2014.12.12)」より
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 人工知能。何十年も前からある言葉だ。国家プロジェクトとして研究されていた時期もあった。それでも完成しなかった。やはり人間の脳は複雑で、それをコンピューターで真似することなど不可能かもしれない。

 「ところがブレークスルーが起こったんです」と東京大学の松尾豊准教授は熱く語る。

▶2012年。人工知能研究に火がついた

 2012年。人工知能の精度を競う国際的な大会で、カナダのトロント大学がぶっち切りの勝利を収めた。それも1つの大会だけではなく、3つ続けてだ。

 「優勝したのは、画像認識、化合物の活性予測、音声認識など3つのコンペティション。まったく異なる領域にも関わらず、今までその分野を専門的に研究していた人たちを追い抜いてしまったんです」。Preferred Networksの岡野原大輔氏が解説してくれた。「それが立て続けに起こったので、コンピューターの各分野の研究者は、大きな衝撃を受けました」と言う。

 トロント大学が開発したのは、ニューラルネットワークの分野の中のDeep Learningと呼ばれる手法。ニューラルネットワークとは、脳のニューロン(神経細胞)とシナプス(神経細胞結合)の回路を、コンピューター上で再現したもの。人間の脳と同様に、正しい答えを出した回路が強化されるように設計されているので、コンピューターが自分自身で物事を学習していくことのできる仕組みだ。

 そのニューラルネットワークを何層にも重ねるのが、Deep Learningと呼ばれる手法。「猫」という概念を理解するために一番下の層のニューラルネットワークが、直線や曲線を認識する。次の層で目や耳という部位が認識される。次の層では目や耳を含む顔が認識される。そして最後の層で身体全体が認識されて、「猫」という概念を理解する。そんな風な仕組みだ。

 ドワンゴの人工知能研究所の山川宏所長は「人間がモノを見た場合、視覚から情報が入ってきてそれを脳内で階層的に処理していて、5層か6層のところで抽象的な表現が出てくるって言われています。人間の脳の中の処理のここの部分が、これまではコンピューターではまったくできなかった。それがDeep Learningでようやくできるようになった。長年、超えられない壁だったわけですから、すごくインパクトが大きい話です」と語る。

 人間の赤ちゃんは2歳ぐらいで言葉を覚えるようになる。それまでの2年間で、物の概念をつかもうとしているのだという。家の中にはどうやら父親と母親という2人の大人が存在するらしい、という概念を2年間かけて学習する。そのあとに、「パパだよ」「ママだよ」と概念には記号があることを教わるので、初めて「パパ」「ママ」と話せるようになるのだという。

 「この2歳までの脳の学習の仕組みをなかなかコンピューターで再現できなかったんですが、それがDeep Learningで可能になったんです」と松尾准教授はその意義を語っている。

▶2年間でさらに進化

 「そして2012年から一気に、人間の脳を模した人工知能の研究に火がついたんです。今、ものすごい勢いで研究が進んでいます」と岡野原氏は指摘する。

 今年10月には、米Googleが、ニューラル・チューリング・マシンと呼ばれる技術に関する論文を発表している。

 国立情報学研究所の市瀬准教授によると、記憶を統合できるようになった仕組みだというが、ドワンゴの人工知能研究所の山川宏所長によると、「まだソート(並べ替え)アルゴリズムくらいですが、プログラムを作れるようになるんです」と言う。山川所長は「自分でプログラムを書ける人工知能を作るというのが、人工知能研究者の長年の夢だったんです。1970年代から80年代にかけては、そういう研究がいっぱいあったんです。ところがほとんどが挫折した。今回発表された論文によると、Googleのニューラル・チューリング・マシンでソートプログラムを書けるようになった。今までできなかったことができるようになったということで、意義は大きいと思います」と解説してくれた。

 岡野原大輔氏によると、リカレント・ニューラル・ネットワークと呼ばれる技術も、2012年以降に大きく進歩した技術の1つ。静止画だけではなく映像や、テキストデータのような「系列データを扱えるようになった」のだという。

 2012年にGoogleの人工知能が、インターネット上の1000万枚の写真を読み込むことで「猫」の概念を自分で学習したことが大きなニュースとなったが、今年秋にはGoogleの人工知能はリカレント・ニューラル・ネットワークの技術を使って、家族写真のような写真なら、何が写っているのか理解し、文章でキャプションをつけることができるようになった。わずか2年で、人工知能の画像認識能力と文書作成能力が一気に進化したわけだ。

 ▶「今後大きな山があるようには見えない」

 松尾准教授によると、「Deep Learningで超えた山が、人工知能研究で一番大きな山。もちろん今後も課題はあるだろうが、このあとに大きな山があるようには見えない」と言う。

 自分自身で学習できるようになった人工知能は、今後ロボットに搭載され、ロボットという身体を通じてさらに多くを学んでいくことだろう。また監視カメラや無人自動車、農業、流通、広告、医療、会計、介護、通訳、教育など、今後の人工知能の発達に合わせて、多くの業界が影響を受けていくと、松尾准教授は指摘する。

 ロボット工学の権威、大阪大学の石黒浩教授は、人工知能やロボットが普及することで「今後、物理的な仕事はどんどんなくなる」と断言する。

 その変化は指数関数的に早まっていくとみられる。集積回路の素子数が毎年、指数関数的に増加しているからだ。指数関数とは、最初はなだらかな傾きが突然、急な傾きに変化する関数だ。シリコンバレーの著名投資家Vinod Khosla氏は「この変化は竜巻のようなもの。最初は小さいかもしれないが、すぐに大きくなってあらゆる領域を飲み込んでしまう。人々は直近の動向を見てそれほどたいしたことではないと思うかもしれない。最初はとてもゆっくりとした変化だから」と語っている。

 人工知能とロボットに仕事を奪われる時代。しかもその変化は指数関数的。変化に気づいた次の瞬間には竜巻に巻き込まれていた、ということになりかねない。

▶「IOT+人工知能」の覇権争いはこれから

 しかし変化は、チャンスでもある。Preferred Networksの岡野原氏は、これを大きなチャンスと見る。

 「スマホ+クラウド時代から、新しいパラダイムへの移行が始まります。そして1つの時代の覇者はその時代の成功に縛られて、次のパラダイムには移行できないケースが圧倒的に多い。今は、すごいチャンスのときです」と言う。

 次のパラダイムとは何なのか。岡野原氏は「IoT(モノのインターネット)+人工知能」が次のパラダイムだと見ているようだ。「あらゆるアプリやサービスは、バックエンドで人工知能につながるようになります」と指摘する。

 パラダイムシフトは、業界の勢力図を大きく塗り替える。勝負の分かれ目は、今だ。

+ 続き
【お知らせ】 この記事はBLOGOSメルマガ「湯川鶴章のITの次に見える未来」の無料公開分の記事です。

湯川塾25期の塾生募集を始めました。 2012年に、人間の脳を模したコンピューターが画像認識の世界大会などで連勝して以来、人工知能の領域が再びホットになり、技術革新が急速に進み出しました。この動きを受けて「IOTx人工知能」が次のパラダイムになるのは確実。「仕事がなくなっていく時代」におけるビジネスチャンスはどのようなものになるのでしょうか。研究者を講師に迎えますが、ジャーナリストである私との対話を通じて、どなたにも分かりやすく解説していくことができると思います。本文中に引用させていただいた松尾豊准教授や山川宏所長も講師としてご登壇いただきます。 http://thewave.jp/archives/1956

また24期「人工知能、ロボット、人の心」での議論をベースにした電子書籍の出版を近く予定しています。またその出版記念講演会を2015年1月21日(水)夜に新宿で開催する予定です。スペシャルゲストとの対談も予定しています。詳細はこのブログで追ってお知らせしますので、ぜひお越しください。

最新刊電子書籍「人工知能、ロボット、人の心。」絶賛発売中


オンラインサロンもやってます。オンラインサロンでは、僕の取材メモをリアルタイムで公開しています。
http://synapse.am/contents/monthly/tsuruaki

僕の仕事のプロセスは次のような感じで行っています。
まず取材のメモや読書、ネットで収集した情報のメモを、すべてオンラインサロンにリアルタイムに公開します。
そのメモをベースに原稿を書き、それをメルマガで発表しています。
メルマガの記事のうち、公開部分をこのブログでも掲載しています。
その過程で、専門家や情報感度の高い人と少人数で議論したいテーマについては、TheWave湯川塾を開催します。
メルマガの記事や湯川塾での議論をベースに、最終形として本として発表したりもします。

■ 人工知能の怖さは予測精度にある(1/4) 「ITmediaビジネス(2014.11.4)」より
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集中連載「今どきの人工知能」について
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本連載は松尾豊、塩野誠著、書籍『東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
人工知能の急激な進歩により、社会は今後数年で劇的に変化していきます。政治、経済、教育、医療、労働――など、学習能力を身に付けた機械が人間の能力を越えたときに起こる未来とは? そこには、「常識」が反転するロボット社会への展望があります。
東京大学スーパー准教授にして、人工知能学の権威である松尾豊氏が、ビジネス戦略家の塩野誠氏からの率直な疑問に、対談形式で答えながら未来の可能性を語ります。
すぐそこまでせまってきた人工知能社会に、知的興奮が止まらない!
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著者プロフィール:
松尾豊(まつお・ゆたか)
東京大学大学院工学系研究科総合研究機構、知の構造化センター、技術経営戦略学専攻准教授。1997年、東京大学工学部電子情報工学科卒業。2002年、同大学院博士課程修了。博士(工学)。同年より、産業技術総合研究所研究員。2005年10月より、スタンフォード大学客員研究員。2007年10月より現職。2002年、人工知能学会論文賞、2007年、情報処理学会長尾真記念特別賞受賞。人工知能学会編集委員長、第1回Web学会シンポジウム代表を歴任。
塩野誠(しおの・まこと)
株式会社経営共創基盤(IGPI)パートナー・マネージングディレクター。IGPIシンガポールCEO。慶應義塾大学法学部卒、ワシントン大学ロースクール法学修士。ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニー、起業、ライブドアなどを経て現職。主に通信、メディア、テクノロジー、エンターテインメント領域の企業や政府に対し戦略のアドバイスを行い、政府系実証事業採択審査委員も務める。
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人工知能は人間らしくする必要はない

塩野: こうして考えていきますと、やはり人工知能を知ることによって、人間の思考プロセスや「知的」であることの意味を問い直されることだという気がします。

松尾: 人工知能の研究自体は認知科学とも近く、そもそも人間はどう考え、どう認知しているのかを知りたいと思っている人たちともつながっていますし、最近は脳科学の分野とも近づいていると感じています。

塩野: ということは、脳科学や心理学などの素養がないと、人工知能を作ることは難しくなってきているのでしょうか。

松尾: 人間らしい考え方を作ろうとすると、そこは当然、必要になっていくでしょう。

 しかし、人工知能は別に人間らしくする必要はありません。データ分析をして予測するプログラムを作るなら、予測の精度が高ければいいわけで、心理学的な要素はあまり関係しません。ただ人間がどう思考しているかを知ることは、人工知能の研究においてヒントにはなります。

塩野: そうすると、私が何となく人工知能は人間の真似と思ったのは、日本人が鉄腕アトムやドラえもんを作りたくなる感覚と一緒で、人工知能が人間に近い存在である必要はないわけですね。神様は自分の姿のように人間を創ったかも知れませんが、人間の作る人工知能はただの箱でもかまわない。

松尾: そう、箱でいい。私が本当に怖いと思っているのは、社会を変えるような人工知能は人間のような形をしていないし、ふるまいもしないことです。それはただただ単純に予測精度が高いものです。

塩野: 機械だから疲れを知らず、ただただ予測精度を高めていく。

松尾: 精度を高めるため、いろいろな出来事、物事の因果関係を、ひたすら客観的に把握していく箱。なぜその予測が出てくるのか人間には分からないが、とにかく精度は抜群に高いという存在ですね。

塩野: 人間にはどうしてそれを思いついたのか理解できなくとも、精度は異常に高いという人工知能ですか。それは人間の理解を超えるという、別の本質的な怖さがありますよね。機械のCEOが経営判断をして素晴らしい経営をしているけど、意思決定のプロセスは人間には理解できないような。

松尾: ええ。人工知能が持つ「怖さ」という視点では、現実的にはそちらのほうが先に起こりそうな気がします。逆に、映画でよく描かれるような人間を支配するロボットとかは、作ることが非常に難しいので誰も作らないと思います。

塩野: ロボットのほうでも、人間を支配することは面倒だと思うかもしれません。

松尾: そうでしょうね。人間は生物ですから、他の生物と闘うとか種族を支配するとか、その種の本能のようなものが備わっていると思いますが、人工知能はプログラムしなければ、そんな考えは持ちません。持たす必要もない。

(※mono.--以下略、詳細はサイト記事で)















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最終更新:2024年03月25日 08:06