● 北野一〔Facebook〕
● 北野一〔プロフィール〕 「スパイシー」より
● 北野一 「日本プランニングアート」より
経歴:1982年に三菱銀行入行。1985年より資金証券部(円債ディーリング)、1988年にニューヨーク支店(米国債ディーリング)を経て、1991年より為替資金部にて為替アナリストを経て、1997年より東京三菱証券(2002年より三菱証券、2005年より三菱UFJ証券)にて株式ストラテジストを担当。日経アナリストランキングのストラテジスト部門ではランキングトップの常連である。2006年1月に株式調査部チーフストラテジストとしてJPモルガン証券株式会社に入社。現在は、作家の村上龍氏が発行するメールマガジン「JMM」やコメンテイターとして様々なメディアで活躍中。


◆ jpモルガン北野一への批判 「togetter by dajgdajgdajg」より




第二次安倍政権】 / 【浜田宏一
■ 『経済学の限界を知る経済学者』と『経済学の神になったつもりの経済学者』 「Various Topics(2013.2.7)」より
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JMMの1月29日の質問:

『安倍総理の金融政策ブレーンである、米エール大学名誉教授・浜田宏一氏による、外国特派員協会での記者会見の概要が以下にあります。
http://blogos.com/article/54334/

感想があれば、お聞かせください』http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/economy/question_answer757.html

この質問に対する北野一氏(J.P.モルガン証券チーフストラテジスト)の回答の抜粋を貼り付けます。
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/economy/article757_3.html

真壁さんや中島さんが回答で触れておられた1月20日放映のNHK日曜討論をオンデマンドで見ました。この中で、浜田宏一氏は、「巷間、安倍晋三さんのアドバイザーと言われておりましたが、まず、その点はどうなんですか」という質問に対し、「今回は、私の書いていた本と、安倍先生の11月に発言されて、それが株価、円等に大きな影響を与えた。そういうお考えが、偶々、収束したということで、たいへん私は幸せに思っております」と答えておられました。

私は、このご発言を、一般の国民はどう聞くのかな、ということに興味があります。まず、政府の経済政策によって、「幸せ」を感じなければならないのは、何と言っても国民でしょう。確かに、株高、円安を受けマスメディアは大騒ぎです。

しかし、仮に、アベノミクスについて街頭インタビューがあったとしましょう。その際に、「私は幸せです」と答える日本人は、どの程度いらっしゃるのでしょうか。浜田氏は、前後の文脈から推して、ようやく自分達(リフレ派)の考えが政府に採用されたことで「幸せ」だとおっしゃったのだと思いますが、その言葉を使うタイミングとしては、ずいぶん早いように思いました。

参与とはいえ、政府の一員ですので、経済学の一つのグループの領袖といった立場ではなく、国民の目線で語って頂きたかったという感想を持ちました。できれば、「国民が「幸せ」だと言うのを聞いて、私は幸せだ」と言ってほしいなと思いました。

+ 続き
また、経済学というのは、明日は科学になろう、明日は科学になろうと研鑽を積んでいるあすなろ物語のような学問だと思います。その意味で、一つの政策の効果を、実際の経済活動や市場動向によって確認するなら、もし、その政策がなかった場合にどうなっていたのかも慎重に検討することが求められるでしょう。

マスメディアの報道を参考にするなら、多くの市場関係者も、アベノミクスへの期待→円安→業績改善→株高という経路を当然のごとく受け入れているようですが、私は必ずしもそうではないと思います。昨年末に、政権交代がなくとも、安倍首相が誕生していなくても、株価はやはり上昇していたのではないかと思います。

まず、過去の企業業績(全産業ベースの営業利益の前年度比)と、円相場には何の相関もありません。密接な関係が認められるのは、鉱工業生産です。そして、この鉱工業生産は、世界の景気循環に強い影響を受けます。

具体的には、アメリカの鉱工業生産との相関が強い。その生産の先行指標となるのが、在庫循環です。アメリカでは昨年末に在庫調整の終了が確認される状況でした。一方、その頃、日本のエコノミストの間では、景気はすでに後退しているとの見方が支配的でした。

ここで、市場参加者に、この二つの情報(アメリカの在庫調整の終了、景気後退懸念が支配的)を与えるとしましょう。彼らは、間違いなく株式相場に対して強気になるはずです。株が上昇するという「期待」を持つはずです。

実際、11月以降の株価上昇局面の業種ごとの騰落率を計算して、これと似た局面を探すと、2003年と2009年が似ているということが分かります。この両局面は、今回、同様、アメリカの在庫調整の終了局面です。一方、当時のドル円相場をみると、むしろ円高が続いていたところです。

よく「相場は相場に聞け」と言われますが、「今は、どんな相場なのか?」と相場に聞くと、「景気の底入れを期待している」という答えが返ってきたようなものです。むろん、アベノミクスへの期待が全くなかったとまで言うつもりはありませんが、それ以外の要因についても検討する態度が少なくとも「科学者」には必要でしょう。

(中略)
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いずれにせよ、単純な話は「分かりやすく」、溜飲も下がりやすいのですが、もう少し、問題の本質を掘り下げる努力を続けても良いのではないでしょうか。私は、そういう感想を持ちました。

昨年3月のブログの中で、私はK教授(=『先輩の経済学者』)とその若い友人(=『ある若い、有望な経済学者』)との会話を紹介したことがあります。

「ある若い、有望な経済学者が、先輩の経済学者から「最新の経済学の粋を駆使してこういうことを分析、結論を出してくれないか」と頼まれ、「それは無理ですよ、経済学は、あくまで前提をおいた上で、仮説を検証するということしかできませんから」と答えました。

更に「前提をおいて仮説を検証をする必要性も分かるが、第一線の学問的成果がすべてそういうやりかただけでなされ、それだけで評価がなされるということでは、なぜ、何年もかけて経済学を勉強するのか、という基本的疑問に答えられず、結局、経済学は世の中のためには役に立たないという俗説を正当化することになってしまうのでは」と言われた彼の返事は、

「確かにそういう面もあります。しかし、経済学を使って、常識では分からないことを解明できることもありますから」。

このなかの言葉-「経済学は、あくまで前提をおいた上で、仮説を検証することしかできませんから」というようなことを言える、もしくはそれを聞いて心に刻み込める人が、一番信用のできる経済学者に思えます。

まあ、少なくとも、経済学者でもない安倍首相が自分の理論を支持したからといって『先生』呼ばわりする経済学者の言葉には、私は重みを感じません。

(※ 太字はmonosepia)

■ 日銀は日本をデフレから救えるのか - ゲスト:北野一氏(J.P.モルガン証券チーフストラテジスト) - 「ビデオニュース・ドットコム(2012.12.8)」より
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「我が党は3%を目指す。」
「うちは2%が目標だ。」
「いや、うちは1%が適正水準だと考える。」
 総選挙まで残すところ1週間あまりとなったが、11月30日の主要11政党の党首による討論会では、原発、消費増税の是非などとともに、「インフレターゲット」と呼ばれる政策が論争のテーマとなっていた。
 インフレターゲット(通称インタゲ)とは経済政策の一種で、一定の物価上昇(インフレ)率を目標(ターゲット)に据えた上で、その目標を達成するまで中央銀行が金利を下げるなどして金融を緩和するというもの。日銀がインフレターゲット政策を採用すれば、日本経済は今日のデフレ状態から抜け出すことができるとして、自民党やみんなの党などが今回の選挙で公約に掲げたことで注目されるようになった。専門性が高い金融政策が総選挙の一つの争点になるのは、おそらくこれが初めてのことだろう。
(※ 以下略。)








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最終更新:2013年02月07日 03:34