■ 異様なクルマ罰金国のTPP開国 「大礒正美コラム「よむ地球きる世界」(2012.11.25)」より

(※ この記事は「自動車にかかる税金の改革などこのままでは出来ないので、TTP開国によって車と税の関係を見直すしかない」という話だが、税と車のことが書かれているので掲載。)
率直に言ってしまえば、米国基準を加盟国に広げようとする米国流国家戦略であって、日本にとっては1989年に宇野内閣が受け入れた「日米構造協議」と、それに続く「年次改革要望書」方式で、とっくに経験済みの流れだ。

TPPはその総仕上げともいうべきもので、日本が死守してきた国内システムを、全部捨てるよう迫られる段階に来たわけである。

その根幹はクルマであって、農業ではない。ここがなぜか隠されている。

実は日本という国全体が、クルマ使用者に対する罰金的課金によって成り立っているのである。
 業界団体によれば「日本の課税は米国の約50倍」と訴えている。ざっと見てみよう。
___________________ 
自動車にかかる税金(朝日 10/30、今年度)
   購入時にかかる税      9072億円
   所有段階でかかる税  2兆4519億円
   燃料にかかる税      4兆3948億円
               小計  7兆7539億円(消費税含む)

 つまり約8兆円とすると、税収が約42兆円なので、これだけで19%を依存していることになる。この内には取得税と消費税、自動車税と重量税といった二重取りも入っている。
 しかし、これだけではない。使用者にとっては直接の税金ではない出費がもっとかかるのだ。
____________
税金以外の強制的出費推計
   免許取得費用 新規取得者130万人×平均25万円=3250億円
             (原付除く) 
   車検諸費用   継続3000万台×1年平均2万円=6000億円
             (軽含む)
   高速道路    全国6社の料金収入2兆5000億円
   強制保険・任意保険     プラスアルファー
   車庫証明用車庫費用    プラスアルファー
              小計 3兆4250億円+α

(※ 中略)

今となっては、クルマ・燃料課税を米国基準に合わせるとなると、消費税4%分に近い税収減をどう手当てするか、不可能というしかないだろう。

 それに罰金的出費も世界の常識に合わせるなら、車検官庁や整備業界、教習所などの縮小、失業問題をどうするか、また高速道路の維持をどうするかなど、誰も考えたくない難問に直面する。
 国内販売は上向くだろうが、交通事故や渋滞が増えるというマイナスも考えられる。

 実際には、消費税との二重課税すら解消できないのが現状であって、税収が国家予算の半分にもならない逼迫状態の日本が、自発的にそんな大改革に乗り出せるわけがない。
 だからTPP開国しかないのである

最終更新:2012年11月26日 17:22