『思い出の結晶』

ハ「たまにはデータの整理でもしようかしら」
それはまずい。俺の苦労の結晶がバレたら間違いなく死体になってしまう。
「お、俺がするから。団長ならしっかり次の予定を考えとけよ、な?」
ハ「あやしいわね……」
み「あやしいです!」
あ、朝比奈さん!?
み「前にキョンくんは必死で何かを隠してました!きっとなにかありますっ!!」
うわぁ…敵が増えたよ。

しかし大丈夫なはずだ。
俺関係のフォルダにはあらかたロックをかけてある。
長門でもない限り無理……
ハ「有希、確かパソコン得意だったわよね?このパソコンにあるロック外せるかしら?」
ちょっと待て、ヤバい。
いや、長門なら断るはずだ。本を読みたがるに違いな…
長「………簡単。手伝う」
って、おい。
長「わたしも気になる」
あはは……終わったな。遺書でも書こうかな……。

それから3人はパソコンを見つめ、俺のフォルダを発見しやがった、畜生。

ハ「有希っ!ここが怪しい!」
み「え~と…【kyon】ですかぁ。確かにいろいろありそうなフォルダですねぇ……」

さすがハルヒだ。一発で当てやがった、完敗だ。
長「じゃあそこを………」
カチャカチャカチャ
長「セキュリティは解除した……主に画像フォルダが多いと見られる」
長門……早ぇよ、ロックの意味ないじゃないか。

長「………どこから見る?」
ハ「じゃあ……【mikuru】からお願い!あ~、楽しくなってきたわっ!」
ハルヒ……こっちを見てそんな怖い顔をしないでくれ。

カチカチッ
ダブルクリックの音か……あははは。
み「…………あっ!!」
そこにはいろんな朝比奈さんが写ってるなぁ…。
露出が多い画像はほとんど消したがな。ほとんどな。

朝比奈さん、そんな涙目で睨まないで下さい、はぁ……

ハ「……次は【yuki】ね」
長「………」

カチカチッ
長「……………………」
そこは長門の読書姿にウトウトしてる姿に飯食ってる姿だったかなぁ…。
無表情が怖いよ、長門。

ハ「次は【haruhi】ね…」

カチカチッ
ハ「あ…………」
これは一番まずいな。
俺がカメラを向けるとハルヒは笑わないから全て隠し撮りだ。
あ、睨まれてる、睨まれてるよ。はははは…

ハ「キョンっ!!」
み「キョンくんっ!!」

あ、ハモってる。なんてな。

み「こんなに恥ずかしい写真をなんで残してるんですかっ!消すって言ってたのにぃっ!」
ハ「あたしのはいつ撮ったのよっ!!この盗撮魔っ!!エロバカキョン!!」

2人の言葉が真実だから余計にグサッとくるぜ。
そんなつもりで撮ったんじゃないんだがなぁ……
長「まだ」
ん?
ハ「なにがまだなの?有希」長「まだ1番大きなデータが残っている場所がある。ファイル名は……【sosdan】」
「ちょ……長門!そこはダメだ!」
立ち上がった俺をハルヒは吹っ飛ばして俺は尻餅をついていた。
ハ「有希。開いてちょうだい」

そこはハズいからマジでやめてくれ……

カチカチッ
その瞬間、みんな驚いた顔でディスプレイを見ていた。
長門も……意外な顔だな。

ハ「なによ、これ……」
み「こ、これはいつ……?」長「……………………」
俺はスタスタと歩き、ウィンドウを閉じて電源を切った。
「だから見せたくなかったんだよ、あ~ハズい」

それは俺が写した活動中の全員が写っている写真のフォルダだった。
全員が心の底から楽しんでいる様子を隠し撮りした画像だ。
「……なんだかんだで楽しかったって言っても忘れることあるだろ?俺は忘れたくなかったから隠し撮りして保存した。以上だ、なんでも好きに罰を与えてくれ。盗撮の一種だからな、これも」

ハ、み、長「…………………」
何故かみんな絶句していた。ハ「キョン、あんた……」
長「…………………………」そこで朝比奈さんが問いかけてきた。
朝「な、なんで隠したりしてたんですか?こ、こんなに良い写真を……」

「だから恥ずかしかったんですって。みんなが楽しそうにしてる写真見てニヤニヤしてる俺ですよ?」
俺は苦笑しながら言った。
「結局は思い出の結晶を独り占めしたかったんですよ」

ハ「ご、ごめんね…キョン」み「ごめんなさい、キョンくん……」
なんだ?
二人ともなにを泣いてるんだ?
み「こんなに団のこと思ってるのにぃ…う、疑ったりしちゃって……」
ハ「あたしも……誤解してた。」
俺は二人の頭をなでた。
「気にしてないから。ま、隠してた俺が悪いってのもあるから、頼むから泣かないでくれ」
ハ、み「で、でも……」
またハモったな。

「じゃあこれからは堂々と撮らせてくれるってのとを認めてくれよ、それでこの話は終わりだ。」
ハ「うん…うん…」
ハルヒは何度か頷いた。
そして泣き疲れたのか朝比奈さんと身を寄せあって寝ていた。

パシャッ

「また俺の思い出の結晶が増えたな」
呟いてみた。

さっきから読書に戻っていた長門が首を傾げて俺を見た、がまた読書に戻った。


次の日の不思議探しから俺の役職は雑用から専属カメラマンに格上げされた。

古「おや、昨日なにかあったのですか?」
結局部室に来れなかった古泉がニヤけた顔で聞いてきた。
「さぁな」とだけ答えといた。
古泉は肩をすくめ、いつものジェスチャーをしただけだった。

ハ「今日の不思議探索はみんなで行くわよっ!」
古「それはまた珍しいですね。何故ですか?」
ハ「そっちの方が……思い出を作れるからよっ!!」

み「が、頑張ってくださいね!」
朝比奈さんが俺に声をかけた。
「ありがとうございます」と答え、俺はカメラのレンズを覗き、ハルヒを見た。
いい顔してやがる。

今日は大変な1日になりそうだな。

終わり

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