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赤い光球は猛スピードで神人に接近すると、その回りを小刻みに円を描くような動きで飛びだした。
赤い光球が円を描くたびに神人の体が切り取られていく。
やがて神人は十数個ものパーツに切り分けられ、崩れ落ちていった。


朝倉「そろそろはじめよっか」
そう言うと朝倉は両腕を地面に突き刺した。

長門「逃げて」

オレたちの足元から朝倉の腕が飛び出してくる。
すんでのところで、ハルヒは朝比奈さんを抱えて、長門はオレを抱え、それぞれ
横っ飛びで回避した。

二手に分かれたオレたちに向かって、朝倉の腕がさらに追撃してくる。

長門「やらせない」
長門はすばやく呪文をつぶやき、朝倉の腕を消滅させる。

キョン(ハルヒと朝比奈さんは・・!?)

まずい!横っ飛びで倒れたままのハルヒに朝倉の腕が迫っている!

キョン「ハルヒ!」

そのとき、朝比奈さんがハルヒの体を突き飛ばした。

みくる「ぐ・・うぅ・・・」

見ると、朝倉の腕が朝比奈さんのわき腹に突き刺さっている。

ハルヒ「みくるちゃん!・・アンタよくも・・よくも!!」
みくる「ダメ・・・涼・・宮さん」

朝比奈さんがハルヒの腕をつかんだ瞬間二人の姿が消え、オレたちのそばに現れた。

キョン「朝比奈さん!!長門頼むッ!」
長門「まかせて」

長門が朝比奈さんのわき腹に手を当てる。出血は収まったが、今の長門の能力では
完治させるには程遠いようだ。

朝倉「これで一人リタイヤね。・・あれ?どうしたのキョン君、もっと怒らないの?」

ハルヒ「アイツよくも!許せない!絶対許せない!!」
キョン「落ち着けハルヒ!考えなしに突っ込めば朝倉の思う壺だ!」
ハルヒ「アンタよくも落ち着いてられるわねッ!!みくるちゃんがやられたのよ!」

完全にハルヒの頭に血が上りきっている。

キョン「朝比奈さんは大丈夫だ!長門がちゃんと見てくれてる。・・落ち着いて聞いてくれ。
  こうなった以上、朝倉を倒すのはオレたちの役目だ」
ハルヒ「・・・」
キョン「長門は朝比奈さんから手が離せない。古泉があのでくのぼうを倒すには
   もう少し時間がかかるだろう。朝倉の相手をできるのはオレたちしかいない」

ハルヒ「わかってるわよそんなこと!だから今からアイツに一矢報いてやるのよ!」
キョン「それじゃダメなんだ!・・いいか、お前には世界を変える力がある」
ハルヒ「・・なにいってんの?それはアンタが持っている力で・・」

キョン「違うんだ。オレたちのSOS団ではそうじゃないんだ。
   ・・SOS団の団員はみんなお前が集めてきただろ。お前は適当に選んだ
   って言ってたけどそれはウソだ。
   それぞれ立場は違うけど、みんなお前が願ったからこそSOS団に来たんだよ」

ハルヒ「・・・」

キョン「もちろんオレだってそうだ。お前が願ったからオレはお前の前に現れた。
   ・・そして一緒にSOS団を作った。そうだろ?」

ハルヒ「・・・私が?」

キョン「そうだ。SOS団はそれでいいんだよ。お前が中心でなきゃ駄目なんだ。
   お前を中心に動いてるのがSOS団なんだよ!世界なんざそのオマケだ」

ハルヒ「キョン・・・」


長門「‥sleeping beauty」

少し、寂しそうに長門がつぶやいた。


キョン「前にも言ったよな。いつぞやのお前のポニーテールは
   反則なまでに似合ってたって。・・・だからお前が髪を短くしたときは
   ちょっと残念だったんだぜ」

そういうとオレはハルヒの肩を寄せ、唇を重ねた。

瞬間、強烈な光がハルヒから放たれた。その光は除々に強さを増していき、
やがて目も開けていられなくなる。


朝倉「うそ・・なにこれ?なんなのよこのエネルギーは!」


やがて光が収まると、そこには黄金色に輝くハルヒがいた。

朝倉「そんな・・・」

ハルヒ「よくもやりたい放題やっちゃってくれたわねぇ。この借りは高くつくわよ。
   ・・そうね、三十倍返しってトコかしら!」

朝倉「なんであなたがそんなエネルギーを!?ウソ、ウソよ!」

ハルヒ「戒名は考えるヒマはないからやっぱやめよ。覚悟しなさい!」

ハルヒは一瞬で朝倉の前に立つと、右手をかざした。そこから再び
目もくらむような光があふれ出す。

光を浴びた朝倉の体が結晶の粒となり、拡散していく。

ハルヒの体から放たれていた輝きも、少しずつ収まっていった。


朝倉「結局やられちゃったか・・・ホント、あなたたちには負けっぱなしね」

キョン「リベンジはいつでもいいぜ。また返り討ちだ」

朝倉「あーあ、なんだか長門さんがうらやましいな。こんなに素敵な友達がいるなんて」

ハルヒ「SOS団に入りたかったらいつでも来なさい!ただし、このキョンと同じ
雑用でよければだけどね!」

朝倉「・・考えておくわ。でもちょっと遅かったみたいね」

朝倉はすでに全身が結晶の粒と化していた。

朝倉「ねえキョン君、そろそろちゃんと誰かを選んであげたほうがいいんじゃない?
  あんまり待たせるのはよくないと思うな・・・」

キョン(・・・・・)

長門「・・・さよなら」

朝倉「またどこかで会えるといいね・・・じゃあね」

結晶の粒は音もなく崩れ去り、やがて消滅した。

古泉「キョン君!こっちは・・どうやら終わったようですね」

古泉はゆっくりと降下しながら言った。どうやら神人退治のほうも片付いたようだ。

キョン「ああ。ハルヒが終わらせてくれたよ」
みくる「キョン君、涼宮さん・・すごいです!」

いつのまにか朝比奈さんがオレの横にいた。朝倉から受けた傷は完治しているようだ。
キョン(さっきのハルヒの光・・あれのおかげかもな)

長門「閉鎖空間が消滅する」

朝倉涼子の消滅とともに世界を覆っていた灰色の空が除々に割れ、
その隙間からオレンジの光が差し込んできた。亀裂は空全体に広がっていき、
やがて元の夕焼けに戻った。


古泉「考えてみれば、我々SOS団はキョン君が生み出した閉鎖空間内部に存在していた
わけですから、全員で現実の世界に来たのはこれが始めてということになりますね」

ハルヒ「・・・・・」

みくる「でも・・これでお別れですね」

キョン(!・・そうだ。オレの能力はあとわずかで消える。そしたらみんなは・・)

長門「もしもあなたが望むのなら・・」
長門がおもむろに口を開いた。

長門「あなたが望むなら、限定的に時空改変を行うことは可能」

キョン(長門・・・)

古泉「たしかに、さきほどの涼宮さんの力とキョン君の能力を合わせれば、
それもありうる話でしょう」

長門「SOS団の存在を現実化できる」

しばらくの間沈黙が続いた。オレは・・みんなと離れたくない。

キョン「みんな・・オレ・・」
ハルヒ「・・だめよキョン!そんなことしたら、私たちの代わりに現実の私たちが消えちゃうのよ・・」

古泉「たしかに、改変によって僕たちが現実化すれば、今現実にいるほうが代わりに
  消滅することになるでしょう。それは多少後ろめたい気がしますね」

キョン「だって、このままじゃみんな・・・消えちゃうんだぞ・・」

ハルヒ「消えないわ!」

ハルヒが力強く叫んだ。

古泉「そうです。僕たちは元々あなたにアイデンティティを与えられた存在です
  ・・・元となったモデルがいたとしてもね」

みくる「だからこの実体が消えたとしても、キョン君が私たちのこと覚えててくれる限り、
   私たちはずっと存在することができるんですよ」

キョン「古泉・・朝比奈さん・・・」

長門「概念的な話ではない。あなたが作り出したSOS団は、数ヶ月前に
   閉鎖空間が消滅した後も確かに存在していた」

キョン「長門、本当なのか・・?」

ゆっくりとうなづく長門。

ハルヒ「だからねキョン!最後は・・私たちSOS団自体の願いをかなえるってのはどう?」

キョン「・・ハルヒ」

ハルヒ「実際もう半分以上かなえられちゃってるようなもんだけど、ね?」

キョン「・・そうだな。SOS団の目的はずっとそれだったもんな」

オレは長門、古泉、朝比奈さんの顔を順に見た。それぞれ、無言でうなずき返してくれた。

ハルヒ「じゃ、決まりね。キョン、手を貸して」

オレはハルヒに右手を差し出した。ハルヒはオレの手を強く握る。

ハルヒ「せーのでいくわよ」

キョン「おう。・・それじゃいくぞ」

ハルヒ「せーの!」


ハルヒ・キョン『宇宙人や未来人や超能力者を探し出して、一緒に遊びたい!!』


その瞬間、オレとハルヒを中心に強い光があふれた。
まばゆいばかりの光はさらに強さを増していき、やがて七色に輝く帯となって、
空に向かって無数に放たれていった。

みくる「わあ!きれい・・・」
古泉「・・幻想的な光景ですね」

キョン(・・もしかしてオレたちの願いは、世界中に届けられたのかもな)

ハルヒ「願い事、かなうといいわね」
キョン「・・ああ」

古泉「・・キョン君。そろそろお別れの時間のようです」
みくる「キョン君・・・絶対に私のこと・・わ、忘れないで下さいね」

古泉はにこやかに、朝比奈さんは目をうるませながら言った。

ハルヒ「・・じゃあねキョン。あんたが宇宙人でもとっつかまえたら、また見にくるわ」
キョン「ハルヒ・・みんな、また会おうな」

ハルヒたちはやがて、光にすいこまれるようにして消えていった。
3人がいなくなると、空は再び元の夕焼けに戻った。


キョン「えらくあっさりと消えちまったもんだな、長門」

長門「消えたのは実体だけ。存在は確認できる」

キョン「それってもしかして、お前の親戚みたいなもんか?」

長門「情報生命体とは概念が異なる存在。・・言語では理解困難」

キョン「・・いいさ、なんとなくわかるから」

長門「そう」

キョン「ああ・・そうさ」

ふいに、長門がめまいを起こしたようにふらついた。

キョン「おい、大丈夫か?」

オレはとっさに支えたが、長門はかなり消耗しているらしい。

長門「・・エネルギーを使いすぎた」
キョン「今日一日でかなり無理させちまったからな・・お前も、もういっちまうのか?」
長門「いつでも会える。・・あなたの願い」
キョン「・・そうだったな」

長門「・・いつでも、あなたのそばに」

言いおわると、長門は気を失った。

キョン「みんな行っちゃったか・・・」

長門を横に寝かせると、オレは再び海に向かって腰をおろした。

キョン(今日一日で、いろんなことが起こりすぎたな・・・)

まるで一瞬にして何年もすぎていってしまったような感じだ。

キョン(やっぱり少し寂しいや・・・)

夕日が沈み、あたりが暗くなる頃に長門が目を覚ました。

長門「・・うーん、あれ・・・私・・」

ゆっくりと身を起こす長門

長門「あ、キョン君?・・・よね。ここは・・・?」

どうやら、元の長門に戻ったようだ。

キョン「ああ、今さっき全部片付いたトコだ」

オレは笑顔で、長門にそういった。

長門「え・・・?全部?」

キョン「ああ、全部キレイさっぱりだ。そろそろ帰ろうぜ」

長門「う、うん」

事情を話すわけにもいかないので、オレはテキトーにごまかした。
状況をいまいち把握できていない長門をせかして、オレたちはここを後にした。


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