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今日も俺たちSOS団は文芸部室で暇な大学生が喫茶店でだべってるように
特に何の活動をする訳でもなく暇を時間を潰していた。
ハルヒはネットで何を見ているのか、時折キーボードを叩いてニヤニヤしている。
テラワロスと呟いたのがさっき聞えたがそれはきっと俺の空耳だろう。
朝比奈さんは俺の隣でノートを開いて絶賛勉強中だ。なんでもそろそろテストがあるらしい。
俺のクラスもそろそろテストで谷口が何やら必死になっていたが俺には関係が無い。というかもう諦めた。
世の中諦めが肝心だからな、焦ってても意味がないさ。
古泉は相変わらず正視していると思わず引っ叩きたくなる面で俺とオセロをしていた。
どうでもいいがお前は弱いのになんでこうボードゲームが好きなんだ?
さて、長門は・・・と、いつもの指定席を見るとあるはずの物が無い。
どうやらまだ来てない様だ。そういえば最近は部室に来るのが遅いが居残りで喰らっているのかと思ったが
まさかな、あの長門がヘマをやらかして教師から罰を受けるような事は無いだろう。
大方図書室で今日読む本を吟味しているんだろう。

しかし待てども待てども、長門は一向にして現れない。
まさかもう帰ったのか?もしかしたら学校を休んだのかもしれない。
ハルヒなら何か知ってるかもしれん、聞いてみるか。

「なぁハルヒ、長門は今日休みなのか?」

「え?聞いてないわよ?・・・そういえばまだ来てないわね。
どうしたのかしら。みくるちゃん何か知ってる?」

「ふぇ?えっと、そのぉ、しりませんですぅ~~・・・」

おいハルヒ、朝比奈さんの邪魔をしてやるな。もし朝比奈さんが
赤点を取って留年をする事態にまで発展したらどう責任を取るつもりなんだ。

「古泉君は?」

「いえ、今日は長門さんとはまだ会っていませんよ。
そういえば最近来るのが遅いようですが、何か用でもあるのでしょうか」

「キョン、ちょっと有希のクラスに行って様子見てきなさい」

なぜ俺が・・・。とは思ったが確かに最近の長門を思い出して見れば調子が悪そうにも見えた。
長門鑑定士一級の俺がそう思うのだから間違いないだろう。例えひよこ鑑定士が鑑定してもその微々たる変化はわからないだろう。
そこだけは俺が唯一誇れる特技だ。

長門のクラスのドアを4回きっちりノックしてあける。
例え同学年と言えども他のクラスには礼儀が必要だ
ハルヒの奴ならお構いなしでズカズカ乗り込むだろうがな
俺はそういった波風は立てたくないから普段は礼儀正しく真面目な生徒として暮らしてるんだ。
ドアをあけると長門が1人でイスに座って俯いていた。なんだ?本も読まずにそこで何してるんだ?
思わず駆け寄って見るが反応は無い、まるで電池が切れたようにピクリとも動かない。

「長門、どうかしたのか?部室にも来ないで、調子でも悪いのか?」

声をかけるが三点リーダですら表現出来ないほどの沈黙が続く。
これは何かあったのかもしれない、肩に手を置き軽く揺さぶってみる。
するとなんだ、突然長門が立ち上がり俺の胸に飛び込んできたではないか。
思わず俺は「うひぃっ」と情け無い声を出してしまった。

長門に突然抱きつかれ思いもよらない急展開に脳がフットーしてると
胸に顔を押し付けている長門が何かポツポツと呟いている声が聞える。
何だ?まさかまた何時ぞやのようにバグが発生して消失長門に変化したんじゃないだろうな?

「な、なな、んgっと、なgとど、どどうしt?」

ダメだ、頭は冷静になっていても俺の神経回路は混線中で中々口が回らない。
長門が顔をすりすり押し付けてくるごとに俺の脳内国会は沸き、血圧は10ぐらいあがる。
俺だって健全な男子高校生だ、女子、それも可愛い小動物系にこうも抱きつかれると良からぬ想像もしてしまう。
もう5秒もすれば俺は脳の血管やら何やらが切れてSOSの歌詞にある狼になってしまうだろう。
流石にそれは不味いので、なんとか冷静になるために、素数を数えるが2まで数えた所でところで長門が顔をあげ
俺の顔を見つめてきた、思わず顔が熱をもつが長門の表情は泣いていてその熱もすぐに冷めてしまった。

このまま長門と見つめ合っていると、流石の俺も本気で危ないので
長門を俺から放し、なんとかイスに座らせ話を聞く事にする。
それにさっきまでの体勢だと、またアホの谷口あたりに見られて勘違いされかねんからな。
・・・だが長門は中々口を開こうとしない、さてどうしたものだろうね?
このままでラチが開かないと判断し声をかけてみる。

「なぁ、長門、どうしたんだ?お前らしくないぞ?
何かあったなら俺は全力でお前の力になりたいと思ってるんだが・・・話してくれないか?」

「……」

だからその顔で見つめられると本当に困るんだが。

「……以前、情報統合思念体内で私の廃棄が検討されているという話をした」

アナザー長門の時の件の話だな、まさかまた上の奴らは長門を消すつもりでいるのか?
もしそうならば俺が黙っていないぞ。ハルヒをたきつけてでも阻止してやる。

「違う。……でも私の廃棄が再検討されたのは事実。
だが私を廃棄すれば涼宮ハルヒはマイナスの情報を噴出すると情報統合思念体は危惧した。
だからその対策として、私の存在を消さずに私を無能な人間として作り変えた」

な、なんだってー!

最初はうまく事態が掴めなかったが段々わかってきたぞ。
ようするに、長門は宇宙人の操り人形のなんとかフェースなんかでは無く。
正真正銘本物の看板に偽りなしの生娘・・・じゃなくて人間になったって事でいいんだよな?

「……そう」

正直、俺は嬉しく思ってしまった。今まで長門は宇宙人の操り人形として辛い思いをしてきた。
ずっと長門はその役目に縛られて苦しんできたんだ。
だが今はもう違う、恐ろしい力なんか持っていない、普通の、大人しい、女の子だ。

「でも」

なら、なぜ長門はここ最近の長門は調子悪そうに見えたのだろうか。
本来ならば長門も役目から開放されて嬉しいに違いないはずだ。

「……怖かった。今の私には何の力も無い。
ただの無能な人間。……何かあったときに、もうあなたを守る事が出来ない」

そんなことを気にしてやがったのか、こいつは。
確かに、今の俺たちSOS団には敵が多い、実際その敵の相手をしてきたのは長門だった。
たぶん、今ここで何かが襲ってきたらひとたまりもないだろう。
でもな・・・。

「……ぁ……」

俺はいつのまにか長門を抱き締めていた。
こいつは優しすぎるんだよ、だからすぐに壊れてしまうんだ。
・・・そんな長門を、俺は愛しく思っていた。

「長門、もう俺に、俺たちに気を使うことなんか必要ないぞ。
もうお前は自由なんだ、自由になったんだから少しぐらい我侭になってもいいんじゃないか?」

「………ぅ……うぅ……っ……」

よしよし、やっぱり可愛いな。長門は。
こんな長門を泣かす情報統合思念体は許せんが、そんなことはどうでもいい。
俺は長門の頭を撫でる、髪がさらさらで気持ちいい。

ずっとそのまま長門を抱き締めながら撫でていたが
突然ボトリと、長門の髪を撫でていたはずの手が落ちた。
俺の手首からは血が噴出し、長門を赤く染める。
なんだ?何が起こったんだ?長門は目を開きふるふると震えている。
何事かと思ってあたりを見渡すと、ハルヒが俺たちを睨んで突っ立っていた。

不思議と痛みは感じなかった。でも俺の手首からは尚血が噴出し俺自身と長門を赤く黒く染める。
このまま放って置けば俺死ぬぞ。というかこの状況で頭が冷静なのは日頃の訓練の賜物かもな。全然嬉しくないが。

「有希・・・そういう事だったの・・・?キョンの気を引いて・・・。
卑怯者・・・あたしのキョンなのに・・・ずるい・・・ずるい・・・」

おいハルヒ、何を勘違いしてるんだ。目がやばいぞイっちまってる。
今にも「嘘だッ!!!!」て言いそうな目だ。つか俺の手を直してくれ。
長門は長門で目を見開いて、震えている。

「きょ……違う…あなたは勘違いしている……このままじゃ彼が死んでしまう……うぅ……」

なんかもう、おなか一杯だ。

さてさて、長門が人間になったり、俺の手が落ちたり、ハルヒがなんか良くわからん状態になったりと今日は色々な事が起こったな。
もし俺がブログを持っていあたら日記のネタには困らないだろう。

「おい、ハルヒこれには深い訳があってだな・・・とにかく勘違いだ!落ち着け!」

「うるさい」

そうハルヒが呟くと俺の両腕が肩から外れた。血は出なかった。

「おいおいハルヒ、冗談じゃすまんぞ!落ち着いてくれ!」

言ってもハルヒには聞えていないようだった。
あ、今度は両足が根元から外れた。俺は教室の床に倒れた。
イスに座ったままの長門のパンツが見えたので良しとしよう。
・・・そんな事考えてる場合じゃないんだがな、やれやれ。

さて、この状況からどうしたものかと考えていたら飛沫のような物が降ってきた。
上を見上げるとなんと長門の首から上が飛んで血が吹き上げている。
俺は思った。一番厄介な敵っていうのは宇宙人でも未来人でも超能力者でもなく、ハルヒかもしれないなと。

そこでキョンの思考は途絶えた。ハルヒがキョンの頭と首を切り離してのである。
その日、世界は終わる事は無かった。ただ1人の少年と1人の少女の世界が世界の一部から切り離されただけであった。


おわり
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