━━━━「ハルヒ~お疲れ様~!」
 
車に乗り込んだアタシに、サイドウインドゥの向こうからミズキさんが声を掛ける。
アタシは慌てながらそれを開けると「お先に~!また明日ね!」と手を振った。
 
ミズキさんに誘われて、この仕事を初めてから半年になる。
まだまだ手探りな毎日だけど…ミズキさんは「流石、ハルヒね!」と、アタシの仕事を喜んでくれる。
それなりに充実した毎日…
 
そして、今日もアタシは愛しの旦那様の元へと帰り道を急ぐのだ━━━━━━━━━━
 
 
【HOME…SWEET HOME】
 
『第1話・携帯ばっかいじってんじゃないわよ!』
 
 
オフィスの駐車場から大通りに出るには、幅の広い歩道を跨がなければならない。
アタシは途切れない人の流れに舌打ちをしながら、カーラジオのスイッチを捻った。
 
…━━五時になりました!
皆さん今晩は、DJサブローです!
本日も始まりました、アフター5クルージング!
今夜も最新のニュースと情報を、皆様からのリクエストと共にお届けしましょう!
リクエストとメッセージの宛先はAFTER@K
…それでは、今日最初のナンバー、ハリー・コニックJrでウィーアー・イン・ラブ…━━…
 
ああ…キョンの好きな曲だ…
 
ラジオから偶然流れた耳馴染みのある曲に、思わず心が和む。
そして、それと同時に「慌てないで、ゆっくり帰って来いよ」と口煩く言うキョンの顔を思い出した。
 
まあ、のんびり帰ろうか… 
 
やがて、少しだけ人の流れが途切れた事に気が付いたアタシは、タイミングを合わせながらゆっくりと歩道を跨ぐと、大通りへと走り出した。
 
 
オフィスから自宅までは車で三十分、まずまずの通勤距離。
家はありきたりな3DKのアパートだけど、二人で暮らすには広すぎるくらい。
そして…大体、いつも部屋に先に帰るのはキョンね。
それから、少し遅れてアタシが帰る。
 
一人暮らしの頃の様に、暗い部屋に向かって一人で「ただいま」を言うより断然良い筈なんだけど…
 
 
最近のキョンは、これに関しては全然ダメ。ほら、こうやって玄関を開けるでしょ?
それから「ただいま…」って言っても…
背を向けたままリビングから「おー」とか「あー」とか言うだけ。
それで、何をやってるのかな?って覗いてみると…
携帯の画面と夢中で「にらめっこ」してる。
しかも、ここんとこ毎日。
とりあえず「おかえりなさいくらい言いなさいよっ!」と一発怒鳴り飛ばしてやるんだけど、バカキョンの奴ときたら「ああ…ごめん」とマヌケ面で答えるだけ。
これにはなんだか拍子抜けして、それ以上何も言えなくなっちゃう。
もう、こんな日が三日続いてるのよ。
まったく、欝だわね…
 
まあ…それでもその後は、普通に夕食を一緒に食べてから一緒にテレビを見て、一緒にお風…
 
ち…違うっ!入ってないっ!誤解よっ!
 
と・に・か・く!
そんな感じに普通に過ごしてくれるから、良いんだけどさ?
ただ…携帯の一件はやっぱり気になるわね。
 
 
━━次の日━━
 
いつもの朝が来て、アタシ達は普段通りにそれぞれの職場へ向かった。
結局、今日も携帯の事は訊きそびれたまま…だ。
気にはなっているものの、いざ会社に着いて仕事を始めると全神経を集中させるからか、すっかり仕事以外の余計な事は頭から消える…
 
…あ!ちなみにアタシの仕事は『カラオケ屋さん』ね!
『カラオケ屋さん』って言ったって、カウンターで「いらっしゃいませ~」ってやるヤツじゃないわよ?
『カラオケ』を作る仕事!
カラオケにする曲の原曲を徹底的に聴いて、パートごとに音符を耳で拾ってパソコンに入力していく…
一見、地味な作業だけどゲーム感覚で結構楽しい。
それに、この仕事は「絶対音感」っていう特殊な感性の持ち主ではないと出来ないんだって。
いまいち実感が湧かないけど、アタシにはそれがあるらしい。
ちなみに、アタシをこの仕事に誘ってくれたミズキさんは、アタシが高校の文化祭でミズキさんの居たバンドの手伝いをした時から『それ』に気付いていたって言うんだけどね。
 
そうそう、そのミズキさんの事だけど…
ミズキさんはアタシの高校の先輩で、このオフィスの経営者だったりする。
1年前にそれまで働いていた大手のカラオケ配信会社を辞めて、この会社を始めた。
つまり、独立第1号の社員がアタシってわけ!
半年前に突然「私と仕事しない?」って電話がかかって来た時には、正直驚いたけどね。
まあ「経営者」とは言っても、高校の先輩な訳だし気兼なくやらせて…………
「ん?ハルヒ、どうしたの?」
「あ、いや!なんでもないっ!」
…目の前に居る相手の事を考えている時に、その相手にいきなり話しかけられると物凄く気まずいのは何故かしら。
とりあえず、不自然に会話を終らせるのは嫌だから、時計を見る素振りをしながら次の言葉を考える。
時計は…十一時を少し回ったところ…か。
 
「ねえ…もうお昼なのね?」
「ん?ああ…そうね。これを片付けたら、お昼にしようか?」
「賛成っ!」
 
細かい決まり事の無い二人だけの職場は、いつもこんな感じで一日が過ぎてゆく。
元請けの営業さんに見られたら「マジメにやれ!」と怒られそうな気もしないでもないけど、
アタシはこんな気楽な感じが好きなんだよね…。
 
 
お昼前に仕事を一段落させたアタシ達は、ミズキさんの「たまには外で食べようか」の一言で、近所のファミレスへと向かった。
いつものコンビニ弁当と、昼時ならではの「レジ前行列」には丁度飽々してたから、ミズキさんの提案は大歓迎だ。
昼時の少し前ということもあってか店内は思った以上に空いていて、アタシ達は店に入るとすぐに席に案内された。
席に着くと、向き直ったミズキさんが案内してくれた女の子に「日替わり2つね」と声をかける。
そしてそのままの姿勢で、ポーチの中から封筒を取り出すとアタシに差し出した。
 
「はいこれ、今月のお給料ね」
「あれ?給料日って、明後日じゃ…」
「いいのよ!明日は彼との記念日なんでしょ?先立つモノがなけりゃ、贅沢も出来ないわよ?」
 
そうだ、明日でキョンとアタシが暮らし始めてから丸二年…
つまり「二回目」の記念日なんだよね…
しかし…何かの話のついでに喋った二人の記念日の事を、ミズキさんは良く覚えていたもんだわ…
少し驚きつつも感動しながら「ありがとう」と言うアタシに、ミズキさんは照れたように笑いながら話を続ける。
 
「えへへっ…とはいいつつも、中身は『相変わらず』なんだけどね…」
「ううん!まだ立ち上げたばかりの会社だし、仕方ないわよ!それに仕事も楽しいし…ミズキさんはこうやって色々気をつかってくれるし…これ以上贅沢を言ったらバチがあたるわよっ!」
「そう言ってもらえると救われるわね。でも、もう少しなんとかしなくちゃ……実際、我が家も結構キツイのよ。
ほら!来年はウチの子供、小学校に上がるでしょ?
もう、机やらランドセルやら…揃えなきゃいけないものばっかり!もう少し業績あげてかないとヤバイわ…」
 
いつも感じる事だけど、ミズキさんは子供の話をする時は、決まって眉をしかめる。
でも口元は優しく…幸せそうに笑ってるんだ。
それを見て、度々アタシも「そろそろ子供を作らなきゃ…」と思うんだけど、中々踏み切れないでいる。
今は仕事に全力を尽したいしね。
だから今のミズキさんは大変そうだけど、チョッピリ羨ましい。
 
「それに比べると、ハルヒのトコは彼と二人でしょ?羨ましいわね」
「でぇっ?何が!?」
「だって、まだまだ恋人気分で居られるじゃない?」
「………恋人気分、か」
 
そう言われてアタシは、最近のキョンの様子を少し思い出した。
そして「おかえりなさい」も言ってくれないダメな旦那を相手に何が恋人気分だか…と思わず溜め息をついていまう。
そんなアタシの様子に気が付いたのだろうか、「何?なんかあった?」とミズキさんが心配そうな顔をした。
 
「うん…最近ね、なんだか夢中で携帯をいじっててさ?様子が変なんだよね…」
「携帯?」
「そう。昨日も、アタシより先に家に帰っててさ?携帯握って、なんかやってるのよ。『ただいま』って言ってもウワの空だし…」
「なるほどねぇ」
「あ、でもね?べつにその後は普通なのよ?だからつい『何やってたの?』って言いそびれちゃう…」
「うーん…なるほど…」
 
ミズキさんは、しばらく腕を組んで考えて見せると、何か閃いた様な顔をして再び喋りだした。
 
「それは…『恋スピ』にハマった危険性があるわね!」
「何?それ…」
「恋愛スピリッツって…ほら、出会い系サイトよ!最近流行りの…」
「ちょっと待ってよ!出会い系なんて、アタシ達が高校か大学の頃の話じゃない?」
「それがね、最近また流行ってるんだって!
この前なんかさ、友達が旦那がそれやってるの見付けちゃってさ?」
「それで…どうしたの?」
「いや、あのね?正確に言うと、怪しい感じがしたから旦那が風呂に入っている隙にチェックしたんだって!
そしたら案の定…って感じでさ?
頭にきて、そのまま生ゴミと一緒に携帯を棄ててやった!って…」
 
この際その友達の気持ちを尊重して、敢えて「ゴミの分別」については突っ込まないでおこうっと…。
しかし、出会い系とはね…。
キョンに限って、そんな事は無いと思うんだけどな。
 
大体、キョンは一行以上の文章は苦手な筈だし。
アタシ以外の誰かと、メールとかその類でコミュニケーションをとれるとは到底思えない。
 
「うーん…、キョンに限ってそれは…」
「まあまあ、とりあえず携帯をいじってる時の旦那の様子を、冷静に観察してみたらどう?」
「………うん、そうねえ」
 
やがて『日替わり』が手元に届くと、ミズキさんの感心はそっちに向いてしまい、話は一旦終わった。
アタシも一緒になって割り箸を割りながら、少しだけキョンの事を思い出す。
 
ウチのキョンに限って…ねえ…
 
 
仕事を終えて家に帰ると、やっぱりキョンは携帯をいじっていた。
 
思わず「もうっ!毎日毎日何やってんのよっ!」と口から出そうになるけど…
ここはひとつ、ミズキさんの言う通りに冷静に観察してみる事にする。
 
とりあえず、リビングの入り口から覗いてみるか…
 
アタシはテレビで観たことのある探偵の様に、壁に体を半分隠して腰を少し曲げながらリビングを覗きこんだ。
画面の内容までは見えないけど…キョンの指が動く様子と表情は丸見えだもんねっ!
 
 
━━それから三十分後━━
 
 
疲れた…この姿勢で覗き続ける事に物凄く疲れたっ!
キョンの奴、なんで同じ姿勢のままで三十分近くも居られるのかしらっ!
しかも、表情も同じままで……って…あれ?
 
…今、キョンが照れたように笑った…
しかも…頬が少し赤い…
 
なによ…
微笑んだ理由は!?
相手は誰!?
 
…とうとうアタシの中で何かが弾けた!
フルスピードでキョンに詰め寄って、胸ぐらを掴み上げる!
そして、おもいっきり睨みつけながら「なにやってんのよっ!」と怒鳴り飛ばした!
 
「うぉっ!?ハ…ハルヒ?どうした?」
「どうした…っじゃないわよっ!何やってんのか訊いてるのっ!」
「べ…別に…ただメールを…」
「相手は誰っ?」
「ハア?相手?」
「そうよっ!ニヤニヤニヤニヤしちゃってさ!馬鹿みたいっ!まあ大方、今流行りの出会い系でしょうけどっ?」
「お…おいっ!俺はそんなのやらん!」
「トボケたって無駄よっ!アンタの悪巧みはエブリシングお見通しなんだからねっ!」
「誤解だ!ハルヒ、いい加減にしろ!」
「だったら説明しなさいよっ!ここんとこ毎日毎日そんな事ばかりやってて!………携帯ばっかいじってるんじゃないわよっ!」
 
言ってやった…
ついに言ってやった…
思わず大爆発したアタシにキョンが驚いている。
でも…肝心の『携帯で何をやってたか』についての言い訳はしてくれない。
ただ黙っているだけ…
 
何か、くだらない言い訳でもいいからしてほしい。
それとも…
本当にミズキさんの言ってた通りなの?
 
気まずい沈黙に耐えられなくなって「何とか言いなさいよ…」と思わず呟く。
すると…キョンは少し思いつめた顔をしながら「明日まで待ってくれ…」と申し訳なさそうに口を開いた。
 
明日…
 
そうだ、明日は二人の記念日だったっけ。
なのに、アタシったらこんなに派手に『やらかし』ちゃった…
 
アタシはキョンの言葉に返事もせず、ソファーに横になって背を向けた。
多分、物凄く不機嫌そうに見えるだろうけど…心の中は自己嫌悪でいっぱいだ…
 
キョンは暫く黙って立っていた様だけど「…今日の夕食当番は俺だったよな」と言い残してキッチンへと足音を向けた。
 
完璧に…言い過ぎだったわね。
たいした証拠も無いのにさ…
でも、なんで『明日』なのかしら…
 
 
━━また次の日━━
 
迂濶だった。
いつも通りに支度をして、オフィスに向かう途中で気が付いた。
今日はミズキさんが気を効かせて、休みにしてくれてたんだっけ…
 
仕方なくコンビニの駐車場でUターンをして、家に帰る事にする。そして家に帰ると、アタシはテレビのスイッチを入れて…そのままボンヤリと暇を潰す事にした。
 
だいたい…別に休みを貰ったところでキョンは普通に仕事だし、このままじゃ『記念日のお出掛け』は無理そうだし…
退屈なだけなのよね…
いや、退屈と言うよりはむしろ昨日の今日で、独りきりのこの時間は辛いかも…
嫌だなぁ…もう…
 
 
憂鬱な気分とは裏腹に、窓から見上げた空は青く晴れわたっている。
アタシはソファーに横になると、無理矢理目を閉じた。
そしてそのまま…ただ時間が過ぎるのを待った。
 
 
気が付くと、すっかり窓の外は青からオレンジ色に変わっていた。
 
とりあえず起きなくちゃ…
 
アタシは体を起こそうと、背もたれに肘をかける。
その時、玄関のドアがガチャリと開く音が聞こえた。
 
「おーい、ハルヒー!居るのかー?」
 
キョンがアタシを呼びながらこっちに来る。
アタシは大急ぎで不機嫌な顔をしてみようとしたけど…間に合わなくてやめた。
 
「あ、やっぱり居たんだ…。どうした、体調が悪いのか?」
「ううん…今日、記念日で休みを貰ってあったのを忘れてたのよ。
途中まで会社に行きかけてから気が付いたの。バカね…アタシ…」
「…そうか…じゃあ、出掛けようぜ?」
「え…?」
「だって…記念日だし…」
「ああ…うん…」
「じゃあ、駐車場から車をとってくるから…支度して待っててな?」
 
そう言うとキョンは、慌ただしく玄関の外へと出ていった。
 
「仕方がないから、一緒に出掛けてあげるわよ…」
 
とりあえず、誰も居なくなった玄関に向かって呟いてみる。
そして、髪を整えようと覘きこんだ鏡の中のアタシは悔しいくらいに…笑顔だった。
 
 
支度を終えて玄関から出ていくと、キョンはもう車に乗って待っていてくれていた。
慌てて助手席に乗り込むと、不意にいつものラジオが聴こえてくる。
 
━━…五時になりました!
皆さん今晩は、DJサブローです!
本日も始まりました、アフター5クルージング!
今夜も最新のニュースと情報を、皆様からのリクエストと共にお届け……━━━
 
ああ、もう五時か。
今日一日…なんだか無駄に過ごしちゃったな…
 
思わず溜め息をついたアタシに、キョンが「どうした?」と首を傾げる。
 
アタシは何と無く気分を変えたくなって、CDの入った箱を後ろから取り出してキョンに差し出した。
 
「ねえ、せっかくだからさ!何か聴きながら行く?」
「いや…ラジオでいい」
「あれ?キョンも、この番組知ってるの?」
「ああ。ハルヒがよく、このラジオの事を話してるから…」
「そう…」
「あ…そうだ!メールが紹介されるのはいつだ?」
「うーん、ニュースが終わってからだから…もうすぐね」
「えっ!もうすぐ…なのかっ?」
「うん、もうすぐ…どうしたの?」
 
キョンが珍しく額に汗をかきながら動揺している。
アタシはサッパリ訳が解らないまま、とりあえずラジオのボリュームを上げた。
 
━━…それでは、皆さんから頂いたメッセージを紹介しましょうね?
まずは西区にお住まいのラジオネーム・ミルクプリンさんからのメッセージ……━━━
 
「ほらキョン、始まったよ?」
「う…ああ」
「どうしたの?」
「うん…まあ、聴かないか?」
「え?ええ…」
 
その後も、何人かのリスナーのメッセージがラジオから流れたけど…
その間、キョンはずっとこんな感じだった。
そして、メッセージのコーナーが終わると同時に深く溜め息をついて、何か決心したようにアタシに語りかけてきた。
 
「実はなハルヒ…昨日の携帯の事なんだが…」
 
━━……あっ!まだ時間が有るようなので、もうひとつメッセージを紹介しましょう!ラジオネームは…ハルヒの旦那様…でいいのかな?…━━━━
 
ラジオから流れてきた声に、キョンが固まった。
アタシも…開いた口が塞がらない…
 
 
━━━じゃあ読みますね…『今晩は!サブローさん、初めてメールします。
今日は、いつも仕事の帰りにこのラジオを聴いている妻にメッセージとリクエストをお願いしたくてメールしました。
『今年で俺達が知り合って十年、そして今日で暮らし始めて二年だな。
いろいろあったけど、俺はハルヒと一緒で本当に幸せだ。
これからもよろしく。』
リクエストはバネッサパラディの『あなたが居る限り』をお願いします。…━━━
 
 
「ねえ…キョン?まさかアンタ…ここ何日かの間ずっと携帯で『コレ』を書いてたの…?」
「う……うん」
「ぷっ…あははははははははははっ!」
「わ…笑わなくたって良いだろ!ちょっと…良いかな…と思ったんだが…」
「あははははははははははっ!うんうん良い良い!」
 
アタシは、真っ赤な顔でむくれるキョンを見ながら、キョンがここ何日間か一生懸命に携帯をいじっていた事を思い出す。
そして…昨日、携帯を見ながらキョンが見せた表情にも納得した。
 
もう、おかしくて…笑い過ぎて涙が出てきた…
 
涙が…止まらない………
 
 
キョンは少し困った顔をしながら、前を向いてハンドルを握っている。
アタシは涙を拭くと、「ありがとう」と「昨日はごめんね」の代わりに、キョンの肩に少しオデコを当ててみた。
 
そして少しだけ思う。
後で…お腹いっぱい御馳走を食べた後で…
アタシは直接言ってやろう…
 
「アタシもキョンと一緒で本当に幸せだ」って…
 
 
おしまい
 
 
 
━━予告━━
 
「なあ、ハルヒ…そろそろ俺も車で通勤したいんだが…
自転車じゃ、最近寒くて…」
「なに言ってんのよ!自転車屋が自転車乗ってかなくてどうすんのよ?」
「ちょっと待て!確かに『自転車屋』ではあるが、俺はメーカーの人間だっ!
それにハルヒが考えてるより毎日大変なんだぞ?
谷口のせいで、職場でまで『キョン君』て呼ばれるし…セクシー課長だって…」
「…ちょっと待ちなさい?『セクシー課長』って何!?」
「あ…いや…なんでもない……」
「こらっ!白状しろっ、この馬鹿旦那っ!」
 
次回・HOME…SWEET HOME第2話
 
『なんでもアタシに言わなきゃだめじゃない!』
 
お楽しみ に?
 


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