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───2時5分。
まったく遅いわね!キョンのくせに!
絵本絵画展終わっちゃったらどうするのよ!
あたしから誘ってあげたデートだというのにこんな大事な日に遅刻するなんて何考えてんのかしら!
今日は美容院に行って髪型セットしてきたっていうのに。
やっとポニーテール結える長さになったんだからね!

それにしてもおっそいわ…
あったまきた!
電話かけてやる……って携帯持ってくるの忘れたわ。
仕方ないわね。
すぐそこの電話ボックスに行ってるからその間に来るとかそういうのは無しだからね!
……



───────…
はぁはぁ…
しまった、もう2時15分じゃないか。
道端で偶然会った長門に誕生日プレゼントなんて買ってる場合じゃなかったな。
ハルヒがまだ待っててくれるといいんだけど…
早く電車よ…もっと急いでくれ!

駅についたときには待ち合わせに大きく遅れて20分を過ぎていた。
罰金どころでは済まされないだろう。
あれ、ハルヒは?
待ち合わせ場所にはものすごい人だかりができていた。
「おい…見ろよあれ」
「うわー…やべえなこれ」
野次馬がなにやら騒いでいた。
そんなことはいい。
早くハルヒを探さないと。
…ん?なんだあれ。
人だかりの方を見ると駅前の街頭やら電話ボックスやらがめちゃくちゃに壊れていた。
看板やらベンチまでも突き飛ばして、乗用車が…壁に激突していた。
おいおい…運転手、大丈夫か?
「うわぁ…助けるの遅くない?」
「待ち合わせでもしてたのかなぁ……かわいそうに」
「高校生くらい女の子だって……」
………
なんだこの胸騒ぎは?

それよりハルヒはどこだ?
人が多すぎてこれでは探すに探せない。
奥には救急車が来て回転灯が辺りを赤く染めていた。
まさに今怪我人を運ぼうとしているところらしい。
──ドクン。
何か胸騒ぎがする。
まさか…おい、邪魔だ!
どけよ!どけよ!
「──ってえな。なんだよ…」
うるせえ!そんなことはどうでもいい!
救急車が行く前に少しだけ確認させてくれ!
バタン。ピーポーピーポーピーポ……
間に合わなかった。

ハルヒは待ち合わせ場所にはいなかった。
きっと遅刻なんだ。あいつも。
もしくは怒って帰っちまったか?
そんなはずはないと思いつつも携帯に電話をかけてみる。
………電話にでない。

心臓がバクバクと音を鳴らしている。
まさかな。あの被害者はハルヒじゃないだろう。
世界を創造するほどのハルヒがこんな事故に巻き込まれるはずがない。
女の子だって言ってたな。彼氏とのデートだったんだろうか。
かわいそうに…
待ち合わせしていて急に事故に巻き込まれたんだろうか。
運のない人だったんだ……
でも、ハルヒじゃないんだよ。
ハルヒは今どこかでこの事故を見て怯えてるんだよ。
怖かっただろ?遅れてゴメンな。
そういって抱きしめてやるから…早く来てくれ。ハルヒ。

野次馬が減って入れ替わりで警察がやってきた。
事故車はそのままだがさっきよりは見晴らしがいい。
警官がバッグらしきものを手にとって中を物色しながら無線で話していた。
「えー、事故発生。14時15分ごろ」
なんだよ…俺がちょうど駅につく直前くらいじゃないか。
「遺留品の身分証明書の写真にて本人と確認……被害者氏名、涼宮ハル───」
……今…な、なんて言ったんだよ?
何かの聞き間違いだろ?
そんな事務的な口調で…
「えー、涼しい宮に……」
……

「何やってんのよ!バカキョン!」
背後からの突然の大声にびっくりして振り向くとハルヒがすごい形相でこちらを睨み付けていた。
「罰金!罰金!何分待ったと思ってるのよ!
あんまり遅いからどっかで迷子になってるんじゃないかと思ってぐるっと駅を一回りしてきたのよ!
それなのになんでこっちに来てんのよまったく!」
ハルヒの眉は左右とも吊り上り物凄い怒りをあらわにしているのに、
なぜか口元は少し笑っていた。
「お前…無事だったのか…?」
「無事!?あんたの遅刻のせいでさんざん待たせといて無事はないでしょ!」
俺は嬉しかった。
なぜだかとっても安心した。
……ハルヒ。
偶然か…それともハルヒの力なのか。
涼宮さんという事故の被害者はハルヒとは全くの別人だった。

今日は全部俺のおごりだ。なんでも言ってくれ。
「あったりまえよ!明日も明後日もずーっと一生あんたのおごりにしてやるんだからね!」
一生か…それもいいかもな。
そう思えた夏の午後であった。
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