-放課後-

あの後俺とハルヒは部室でハルヒ特性弁当を食しまったりとした午後のひと時を過ごしていた。
もちろんハルヒの作った弁当の味は見た目、味共に文句なく上出来だった。コイツは本当に何でもできるんだな。
しかし、頭の中は今朝のことでいっぱいでしゅうしハルヒには怒られていたが
そのたびに何度となく「お詫び」としてキスをせがまれた。

そんなあまっちょろい生活を守るべく俺は孤軍奮闘せねばならんのだ、いや…孤軍ではないか。
ニヤケ超能力者だが時と場所においてはそれ相応に役に立つ古泉がいるし
朝比奈さんもきっと何か手立てを教えてくれるはずだ、たぶんだが。 きっと力になってくれるハズだ。

未来人と超能力者+一般高校生でなんとか宇宙人に太刀打ちできるだろうか。午後の授業からは
まるでRPGゲームのボスに倒せるかどうかわからないギリギリのレベルで挑もうかどうか迷っている主人公の様な心境だった。
とりあえず、古泉なら話を聞き入れてくれそうだったので。メールで話があると送っておいたのだった。

 -いつもの外の自動販売機前-

「そういう、ことでしたか…いやお二方が付き合っているということは薄々感づいていましたよ。お付き合いおめでとうございます。」
そんなことはどうでもいい。なんとかならんのか?
正直SOS団の中でばれていないのは朝比奈さんだけだろう。俺とハルヒの距離を見れば鶴屋さんなら一目でわかってしまうだろうな

「そうですね。はっきりいいましょう。なんともなりません」
なんともならない?ハルヒのためなら『機関』は何とでも動いてくれるんじゃないのか?

「ええ。そうです。ですが今回ばかりはなんともできないはずです。『機関』はまだ正式な今後の方針を決めてはいませんが
おそらく、僕が所属している派閥の人間はこのまま涼宮さんの能力の消去を望むでしょう」

そうか…そうだったな。お前は閉鎖空間に発生した、『神人』を狩るのが仕事でアイツが能力を失えば
閉鎖空間も起こらなくなるんだから 当然黙ってみているワケだよな。

「黙ってみているとは、なんとも人聞きの悪い。僕だって涼宮さんやあなた達と一緒にいることは楽しいですよ。
しかし、それとコレとは別問題なんです。例えあなたが生死の問題に立たされていようとしても
『機関』の一員としてはなんともアクションを起こせないのも現状です。」

そういうと古泉は申し訳なさそうに すいません。と一言だけ言い残しテーブルを去っていった。
よくよく考えてみればそうだろう
今、ハルヒの能力が完全になくなれば古泉はお役御免で『謎の超能力者』のポストから外れて
晴れて一般人の生活に戻れると言うわけだ当然、『機関』の主流派も平和を望むなら静観に徹するだろう。 
畜生パーティーからメンバーが一人減っちまった。頼りになるのはあとは…

 -体育館裏-

「どどどど…どうしたんですか?キョン君!?こここ…こんなところに呼び出してぇ?」
朝比奈さん、落ち着いて。今から大事な話をするから

「こんなところで大事な話って…キョン君…私キョン君とは仲良くできないから
…その…お付き合いとかは…その…禁則事項で…」
やっぱり、こういう展開か。ホントに期待を裏切らない人だな。コレがSOS団の心のオアシス朝比奈さんだよな。

えーと、告白でもないですから。ちなみにイジメでもないんで安心して聞いてください。
もしかしたら未来が変わってしまうかも知れないですから。

未来と言うキーワードにはやはり反応があるらしく。朝比奈さんはもじもじしていた体をシャンとして俺に向けた。
しまったもうすこし甘酸っぱい感じを味わっておけばよかった スマン、ハルヒ。

「キョン君。未来が変わってしまうってってどういうことですか?今のところその…上から報告はないんですが…」
俺が話す間に朝比奈さんは何度「えーっ!」といっただろうか途中まで数えていたんだが忘れてしまった。

…と言うわけで。頼れるのは朝比奈さんしかいないんです。どうにかならないでしょうか?

正直、古泉のときもそうだが『機関』だの『上』だのの末端の平社員に頼み込んでもどうにもならない気配は
プンプンしていた。頼むならせめて部長クラスからじゃないと俺の話は重役会議に通りそうもないだろう。
今なら現状を打破してくれるやつがいたならどんだけ頭を下げてもいいと思えるほど。俺は逼迫していた。

「うーん…」
朝比奈さんは俺の話が終わるや否や考え込んでしまった。確かに末端社員には難しい問題か。
長門の言う通りしか打開する方法はないのか…

「えっとぉ…やっぱり、私一人ではなんの権限もありませんから、一度上に話してみないと…」
意外にも上に掛け合ってくれるという朝比奈さんの言葉に俺はまさに溺れる者は藁をもつかむ勢いでお願いしておいた。
その間、朝比奈さんはただただ
「あぅ~」
とだけ言っていただけなんだが。少しは希望が見えたと言うべきだろうか。

  • 別の日の帰り道-

「なんか最近、みくるちゃんも小泉君も出席率悪いわねぇ。SOS団舐めてんのかしら?」
朝比奈さんは進路相談やら受験やらって言ってただろ。古泉はいかがわしいバイトでもやってるんじゃないか?
「うーん。まぁアンタがいてくれれば、アタシは満足なんだけどさ。みんな揃ってないと少し寂しいわよやっぱり。」
さりげなく、絡ませてくるハルヒの手は少し冷たかった。朝比奈さんと古泉はおそらく
それぞれが所属する『機関』や『上』に事の顛末を話しているのだろう。古泉はあれからほとんどSOS団には姿をみせないし。
朝比奈さんも同様だ。ただ長門だけは今日も黙々と読書兼監視を行っている。違うのは一緒に帰らなくなったことだ。
ハルヒは女一人で帰らすのは危険だと言ってなんとか言いくるめていたのだが
最近では学校に一番近いバス停までしか一緒に帰らなくなった。

「まさに三々五々ってヤツかしら。みんなアタシ達に気使いすぎじゃない?有希なんかバスにわざわざ変えちゃってるし。」
今の状況に気づいてないのはコイツだけだもんな。なんだか雰囲気が違うことには気づいてるみたいなんだがな。
事の発端は全てコイツなんだがなぁ。
…まてよ、まだ「思いが現実に変わる」能力があるなら
今の俺とハルヒの関係を保ちつつみんなの関係を修復できるんじゃないのか?ハルヒがそう願えば現実になるはずだ!



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