━━━━季節外れな暖かい陽射しが、俺の座る窓際の席を心地よく包んでいた。
まったく…少し気を抜けば授業中の今でさえ、深い眠りに堕ちてしまいそうだ…━━━

【三分間劇場@コーヒー】

俺は瞼の重さに耐えながら、必死に黒板を凝視していた。
いつもならハルヒが、後ろの席から何かと妨害工作を仕掛けてくるので、少しくらい眠くなっても直ぐに目が覚めてしまうのだが…
何故か今日は静かだ。
珍しく、真面目に授業を受けているのだろうか…
だとしたら丁度良い。とりあえず後でノートを写させて貰うとしよう。
(普段、俺に散々迷惑をかけているんだから、それくらい当然だろ。)

俺は、とりあえずハルヒの様子を確認しようと、少しだけ体を捻って後ろの席に視線を送っ……あれ?

(寝てやがる…。)

ハルヒは机の下までヨダレを垂らしながら、マヌケな顔を右に向けて眠っていた。
まったく、たまに静かにしていると思えばコレだ…。
(まあ、いいや。ノートは後で国木田にでも写させてもらうさ。)
俺は残りの授業の時間に集中すべく、体を元に戻す。

そしてノートを開いた瞬間…後ろの席から突然ハルヒの声がした!
「あははっ!もらったわよっ!」
俺は驚いて思わず振り返る!そして「いきなり何を言ってんだ!」と言いかけて…ハルヒが先程の姿勢のままでいる事に気が付いた。
(寝言……か?)
やれやれだ。この女は眠っていながらも、俺に妨害工作を行うらしい。
ハルヒとはこのまま付き合って行きたいが、次から席順だけは学級委員に考慮して頂く事にしようと思う。
そして、俺がそんな考えを巡らせている今も、ハルヒは妙な雑音を発し続けている…。
「う~ん、ムニャムニャ……みくるちゃん……ここが良いの……うふふ……」
…ちょっと映像化して欲しい『雑音』ではあるが。
「ううん…………知らなかったでしょ……………マヨネーズが以外と合うのよ……」
朝比奈さんとマヨネーズの接点がさっぱり解らない俺を置き去りにして、ハルヒの寝言は暴走していく…。
「ムニャムニャ…………大三元…………詰められるだけ詰めなさいよ………マッガーレ………」
もうだめだ…聞いていると脳がウニか蟹味噌になっちまいそうだ。
耳にティッシュペーパーでも詰めて遮断しよう。
「……ううん………キョン………大好きよ…………」

あ…

やっぱり…いいか。
我が儘はともかく…寝言くらいは…な。

俺は少し振り返ってハルヒの寝顔を見ると、再びペンを握りノートに向かった。

おしまい

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