長門有希の笑顔
ある土曜日の午後。あたしは不思議探索で有希とペアになった。

「ねえ、有希?」
「・・・なに?」
「あなたって、いつも制服着てるわよね。」
「・・・この服は北高の女子生徒が標準的に着る服。とても機能的にできている。問題はない。」
「確かにね。でも、休みの日まで制服でだと学校に縛られてるみたいで私はいやね。」
「・・・」
ふとあることに気づく。
「有希、ひょっとして、制服以外の服を持っていないの・・・?」
「・・・」
こくりと、肯定の意を表した。
「だめじゃない。有希は元が可愛いのにもったいないわよ!」
「・・・」
かわいいといわれたときに有希は少し赤くなった気がした。あくまでも気がしただけだけどね。この子は表情が全くないようだけど、長い間付き合ってるとだんだん微妙な表情が読み取れるようになってきた。そうだ、いつか有希の笑うところが見てみたいな。あたしは心の中でSOS団の当面の活動目標のひとつに有希を笑わせてみせるという項目を付け加えることにした。

「ねえ、一緒に服を買いに行きましょうよ!」
「あたしはかまわない。」
「じゃあ、決まりね!」
わたしは、以前不思議探索の時にみくるちゃんと一緒に服を買いに来た店にはいった。
「ねえ、有希これなんかどう?」
「・・・」
三点リーダーで返事をする有希がまどろっこしくて私は試着室に有希ごと放り込んだ。
そして、着替える終わった有希を鏡の前にたたせた。
「! もう、有希ったらめちゃくちゃ似合ってるじゃない。」
あたしは思わず抱きついてしまった。
「・・・・・・」 無表情の中にも驚きと喜びがにじみ出ていてあたしもうれしくなった。

昼になってみんなとまた合流した。有希の姿を見て残りのメンバーも驚いていた。
「おや、長門さん新しい服をお買いになったのですか。よくお似合いでとても魅力的ですよ。」
「長門さん、すごくかわいい・・です。」
「見違えたぜ、長門。お前の魅力が当社比で100パーセント増しだな。」

「・・・ありがとう」
そのとき、有希がかすかにほほ笑んだのをあたしは見逃さなかった。

おわり

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