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 キョンがまた入院した。
 と言っても、あの十二月の意識不明昏睡状態とは違い、今回はちゃんと意識がある。
 理由は、交通事故。両腕と左足を骨折し、全治三ヶ月の重症である。
 もう、バカキョンったら。なんであたしの指示を仰がずに交通事故に遭うのよ!これは懲罰物よ!だから早く治りなさい!一週間で!

「キョン、この涼宮ハルヒ様がお見舞いに来てあげたわ。喜びなさい」
「キョン、腕、痛くない?ちゃんと食べてる?早く元気になってね」
 って……病院のトイレで、あたしは何の予行練習をやっとるんじゃァァァァァァァァァ!
 眼前の鏡には美人女子高生、というより完璧あたしね。そいつがニヤニヤクネクネと気持ち悪く踊る姿が映っている。
「ふ、普通でいいのよ。普通に……あたしの普通ってなんだァァァァァァ!?」
 元来、普通を嫌っていた弊害が、まさかこんな所で顔をだすとわ。
「……せっかく来たんだし、行こう」
 あー、第一声はなんてかければ良いのかしら。

 

 
 キョンが入院している個室病棟の部屋番号を確認し、持ち手に手をかける。何でちょっと緊張してるのよ。ばかばかしい。
「キョン。元気してるー」
「ちょ、!看護婦さん!近いですって!顔に当たります!俺の精神力を削るのは勘弁してください!」
「キョン君は本当に可愛いわね。大丈夫よ誰も見てな……あ」
 お邪魔しましたー。それとあんたSOS団クビだから。
「だー!待て待て待て待て待て!」

 

 

 

「へー。さっきのは両手が使えないから、あの巨乳看護婦に食べさせて貰ってたんだー。便利な言い訳ねー」
「は、ハルヒさん?その笑顔は疲れないですか?さっきから一ミリも口角が下がってませんよ?」
 死ね!退院したらもう一回交通事故に遭っちまえ!そして一年くらい入院しちまえ!
「せっかくお見舞いに来てやったのに、団員の自覚が短ないじゃないの?少しは不思議探しでもしときなさいよ」
「両腕骨折に車椅子じゃなきゃ動けない入院患者が、何を探せって言うんだよ」
 こんだけ広い病院なんだから、幽霊の一人や二人いてもおかしく無いわ。あんた会ってない?
「会ってねーよ」
 キョンは思ったより元気で良かった。元気すぎて看護婦を誘惑したみたいだけど。どこのエロビデオよ。
 み、見たことは無いんだからね!?
「ところで食事制限とかは無いわよね。お見舞いにプリン持ってきたけど食べる?」
 このプリンは一階の売店に陳列していた物だ。あたしが優しくするなんて今回くらいよ。
「ありがとな」
 え、え、え、えーと?なんで口をパカッと開けているのかしら?
「いや、だって俺、一人じゃ食えないし」
 そうだったぁぁぁぁぁぁ!これはあれか!?俗に言う「ア~ン」ね!?選択ミスった!いや、正解なのかしら!?って!どっちでもいいわ!
「い、いいわよ!食べさせてあげるわよ!」
「なんでそんなに力んでるんだよ」
 効き手の指が小刻みに揺れているけど、プリンの蓋は気持ち良いくらいにキレイに開いて、薄ベージュのプリンを掬い取る。
「じゃ、じゃ、じゃ、口を開けなさい」
 さっきからスプーンがガタガタに揺れている気がするが、そんなことは気のせいに決まっているので、慎重にキョンの口に運んでいく。うわ、キョンって結構まつ毛長いわ。
「お、旨いな。このプリン」
 どうやらキョンの口に合ってくれたらしい。それだけであたしはお腹一杯だが、
「あたしが選んだんだから当然でしょ」
 という強がりを言ってしまう。うー。なんで素直にならないのかしら?

 

 

 


 途中、一口二口ほど零したけど、あたしの「ア~ン」ミッションはなんとか遂行できた。
 これはまずいわね。本気で恥ずかしい。いや、決して嫌じゃないないというか、むしろ率先してやってあげたいけど……えーい!何を考えてるのよ!
「……なぁハルヒ」
「へいぃ!」
 どこのうっかり八兵衛よ!
「どこのうっかり八兵衛だ。じゃなくって」
 するとキョンが全身をクネクネ振るわせ始めた。ベッドの上でできる金魚運動?
「実は、そろそろ溜まって来たんだが」
 ……タマッテキタ?溜まって……!
「だ!ダメよキョン!いくら両手が使えないからって、あたしに何てことさせる気よ!」
 そういうのはもっと親密な関係になってからじゃないといけないの!このエロキョン!
 だがキョンは、あたしが狼狽していることに気にも留めず、ナースコールを押して……あれ?ナースコール?
「はぁーいキョン君。呼んだー?」
 出たな!この巨乳看護婦!って、ちょっと待ちなさいキョン!あんたその人にやってもらうつもり!?ふざけんじゃないわよ!あたしだってやったこと無いのに!
「あー、すいません。お小水お願いします」
 って、そっちかい!そりゃそうよね。もー、あたしったら、何てハレンチな想像を。もとい、妄想を。いけないいけない。
 だが、
「あら?でもせっかく彼女さんがいるんだし」
 へ?
「彼女さんにやってもらったら?」
 気がつくと、あたしの腕の中に尿瓶が包まれていた。
 よし、みんな準備はいい?
「どこのエロビデオよ!」

 

 

 


 涼宮ハルヒは尿瓶を装備している。つまりこの中にキョンの「あれ」を……
「……ハ、ハルヒ?別にそんなことしなくてもいいんだぞ?むしろ今すぐ止めていただきたいのですが……」
 ……え?あたしに触られるのは嫌なの?
「そんな顔をするな!いや、別に触られたくないとかそんなんじゃなくな、俺たちは別に恋人同士ってわけじゃないわけで」
 恋人同士じゃない。そりゃそうね。なんかあたしの片思いくさいし。でも、キョンのお漏らしなんて見たくないわけで。
「……いいわよ」
「は!?お前何を血迷ったことを言」
「うるさい!ガタガタぬかすんじゃないわよ!」
 ガタガタなのは、あたしの方だけど!
 なにか言おうとしているキョンを無視し、とりあえず掛け布団の中で腕を忍び込ませる。大丈夫大丈夫見なければ大丈夫。
 よし。パジャマズボンとパンツキャッチ。そのままゆっくり下ろす。
 スルスルスルスルとキョンの腿をずり落ちていくズボンに反比例するかのように、あたしの心拍数は16ビートを刻んでいく。こっちみんなキョン!
「よせハルヒ!こっから先は禁則事項に該当するから!変な使命感に駆られるな!」
 黙りなさい!決心が鈍る!
 とりあえずパンツを腿までズリ下げることに成功した。だけどここからが最難関である。
 キョンの「あれ」を尿瓶の口に押し込めなければならない。つまり「あれ」に触らなければならないのよね。
 考えちゃダメ考えちゃダメ考えちゃダメ考えちゃダメ考えちゃダメ。ここはためらわず、一気に行く!うるぁぁぁぁぁ!
「……あ」
 キョンの口から男とは思えないほど甘い吐息が漏れたのは、あたしの手がキョンの「あれ」を鷲掴みしたからだ。
 親父の以外には見たことが無いわけであり、ましては触ったことの無い「あれ」は、まさに初めての体験だった。
 それは皮膚の下でドクドクと熱い液体が蠢いており、人間のどの部位よりも熱を持っていたと思う。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 反射的に手を「あれ」から離し、掛け布団がはためく。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 さらに絶叫。布団がはだけ、「あれ」があたしとご対面!うっそ!?あたし、これに触れたの!?こんな、え!

 

 


「キョンく~ん。元気ですか~?」
「どうですか?僕の叔父が経営している病院は?」
「買ってきた。お見舞いカレー」

 

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