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 静寂。それからは何故だかよく分からないが心の平安を与えられる様な気がしないだろうか?
 …決して頭のネジが捩曲がった上にぶっ飛んでしまって空いた穴に石油が溜まってしまったからこんな訳の分からん事を言っているのではない。

 元来、スローライフやらなんやらに対して少なからず憧れを抱いていた俺だからこそ感じれる感覚なんだよ。
 だからそんな俺にとって今隣で置物以上に置物っぽく座っている番の片割れはまさしくベストパートナーと言うに相応しいんだな。
 長門有希。なんたらこうたらうんたら体がハルヒの唐変木な力を調査するために生み出したなんちゃらフェース。
 なんていうものは過去の認識であり、今は多少人間には出来ない事が出来たり、多少普通の人間とは違った習性を持ってはいるものの今そんなインターなんちゃらなんて風に読んだら人権擁護団体が騒がしくなってもな不思議ではない位、人間らしくなっている。
 そして何より俺とは
「…………」
 いきなり手をギュッと握ってきたりしても俺の頭の中では素数が行進を始めたりはしないような間柄になった。
「いきなりどうしたんだ?」
「…………」
 以前にも増して近しい間柄になったとはいえ未だに長門が何を考えているのが解らないときはある。
 まあ、いくらなんでも相手の考えていることが全て解るっていうのは精神衛生上良くない。
 が、自分の恋人が一日中普段とは違う雰囲気をまとっていたら精神衛生なんてどうでもよくなるもんである。
「朝から様子が変だったが…何かあったのか」
「…………」
 俺の問い掛けに対しすぐに返事をよこすようならしくない真似はしない。
 だから俺自身も深く追究するような野暮ったい真似はしない。
 まあ、その代わりと言っちゃあ何だが繋いだ手を少し強く握りしめてやるのが俺のかつとめだろうよ。
 
 
 
 
 
 
 そうする事数分。
 俺の繋いだ手が空気を読めずに汗ばみだした頃、長門は口を開いた。
「…今朝、悪い夢を見た」
「夢?」
「そう、私は今まで夢について本やその他諸々から得られた情報によりある程度の知識はあった。しかし、実際にそれを見た事は今まで無かった…正確にはそのような機能は有していなかった」
 始めて見た夢が悪夢か…
 俺自身初めての夢がそんなの風だったら軽いトラウマになるだろうな。
「私は夢を見るという体験をするため私自身に対しそれを見れるような情報操作を施した。…私自身夢に対して理想を抱いていた事は事実。しかしこれまでの経験上その理想が打ち破られるのも想定していた。…しかし、今朝のそれはあまりにも酷かった………」

 長門は一呼吸置き、そして呟いた。

 聞き取れた俺は勲章を貰えるんじゃないかという位小さな呟きを。

「………それは貴方が奪われる夢」
「奪われる?俺が?誰に?」
「そう。一体誰が貴方を奪ったのか解らない。私の記憶にはない者だった」
 なんともあやふやだなおい。
 らしくないぜ全く。
「…貴方はずっと私の傍にいてくれると約束してくれた。それを疑うつもり微塵もない。ただ…」
「ただ?」
「もう一度約束して欲しい」
「……嫌だと言ったら?」
「…………」
 そんなこの世の終わりどころかあの世の終わりみたいな顔するなよ。
 余計にいじめた…ゲフンゲフン
「嘘だよ。お前さんが望むなら何度でも言ってやるさ」
「………本当に?」
 不安げに俺を見つめるな、可愛すぎるだろ全く…
 やれやれ、何時から俺はサディストになったっていうんだ?
「ああ本当だ。耳の穴かっぽじって聞けよ」
 長門が普段より深く頷いたのを確認し俺は
「            」
 この世のものともあの世のものとも言いがたいほど臭いセリフ再びを吐いた。

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