「はぁ…」
こんにちは、朝比奈みくるです。
最近めっきり寒くなって来たのでSOS団の部室にも暖房が設置されました。
「みくる!今日も部活かいっ?」
あ、鶴屋さん。
「寒くなってきたから風邪を引かないように気をつけるんだよ!んじゃあね!」
「はい、また明日」
鶴屋さん、マフラー付けてて暖かそうでした。
部室は暖かいとはいえ、外は寒いですし、そろそろ手袋とマフラーが欲しいなぁ。
といっても既に手元にはあるんですが、別の色のも少しだけ興味がありますし。
「うん、編んでみようかな」
手編みのマフラー。
久しぶりにやってみたかったんです。
あ、前にやったのがいつかは禁則事項ですよ?
そうと決まれば早速部室で編もうっと。
「こんにちはぁ」
「………」
長門さんだけですか。
相変わらず早いですね。
よし、メイド服に着替えて、長門さんにお茶を淹れて、と。
「はい、どうぞ」
「…ありがとう」
「あれ?暖房付けてなかったんですか?」
寒かったらいつでも付けて良いんですよ?
「…私には寒いという概念がない。体温管理は自在にできる」
「そうなんですかぁ…」
そう言ったきり、長門さんは黙々と本を読み続ける。
…私もマフラーを編み始めることにしましょう。
毛糸どこにやったかなぁ…あ、あった。
色は…水色にしてみよっと。
暖房を付けてその前に椅子を置いて、静かに編み始める。ひたすらな単純作業なんですが、楽しいんですよね、こういうのって。
「…と、かけまちがえちゃった」
どうやって直すんでしたっけ…
少しずつ戻して…あ、ほどけちゃった。
うーん、やり直しですね。
「………」
「あれ?どうかしましたか長門さん」
本から顔をあげてじっ…とこっちを見てます。
私の顔に何か付いてるんでしょうか…
「…それは何?」
「へ?」
長門さんがほどけて一本に戻ってしまった糸に指をさしている。
「えと…毛糸ですけど」
「…そうでは無い、毛糸を使ってあなたは何を作ろうとしていたかを聞いた」
「あぁ、マフラーを編んでたんです」
ほら、と言って私が既に持っていた真っ白なマフラーを取り出す。
「…マフラー」
…マフラー知りませんか?
「…知らない」
「えと、こうやって使うんですよ」
自分の首に巻いてみせる。
「…何故?」
「何故って…首が冷たい時とかに暖める為にですよ」
「…そう」
そのまま本の続きに入ろうとしたようですが、チラチラ白いマフラーを見てますね。
「長門さんも巻いてみますか?」
「…いいの?」
「いいですよ。はい」
ち、ちょっと、振り回して遊ばないでください!
「じっとしてくださいよ。こうやって付けるんです…うん、できました」
「…フカフカ」
「暖かいでしょう?」
「…私には暖かいという概念が無い」
…そうですか。
「…ただ、私という個体は落ち着く、と感じている」
「ふふっ、良かったらそれ、あげますよ」
「…ありがとう」
無表情のままですけど、気に入ってくれてるのかなぁ?
「…フカフカ」
…でも、少なくとも嬉しそうです。
おわり
最終更新:2008年11月28日 10:13