「ねぇ、キョン。ゲームで1upキノコとかあるじゃない。」
「ああ。」
「『1人増える』ってどんな感じなのかなぁ?」
「……。」
「増えるといってもドッペルゲンガーみたいに同時に存在してるわけじゃないじゃない?
 自分が死ぬともう1回、って感じで自分が出てくるわけでしょ?それってどういう現象かなぁ?」
「……。古泉、パス。」
「え……、長門さんお願いします。」
「……あ「お茶のお水汲んできますね!」さひ……。」
「そもそも最初は『3人』で始まってるじゃない? 自分『3人』って何?」



「涼宮ハルヒが1人増えた。」
「なんですと!?!? いったい何食ったんだ!?」
「1upキノコ。1人増えたことによって今4人いる。」
「なんだよその1upキノコって、おい4人!?」
「ミスしても大丈夫。」
「『ミス』にも引っかかるし、『大丈夫』にも突っ込み所があるな。」


「ああん! もう! また穴に落ちたわ! あと100機は欲しいところね!」


 

「とりあえず1upキノコで自分が増えるのは納得したわ。」
「どうやったら納得できたんだよ。」
「自分の死体はどうなるの?」
「……。」
「敵のキノコにぶつかったくらいで死ぬのも納得いかないわね。」
「毒キノコなんだろ……。触ったくらいで死んでしまう猛毒の。」
「納得できないけどまあいいわ。それより自分の死体よ!」
「1upキノコが納得できて猛毒が納得できないのかよ! 死体? 古泉任せた。」
「長門さん、どうぞ。」
「……待ってわたしが水汲みに行く、いつもお茶を淹れてもらっているお礼。」
「いいえ! これはあたしの役目なんです!」
「……………………………………………………。」
「…………長門、そんなに俺を見つめるな。そうだな、死体が生き返ってスタート位置にワープするんだろ。」
「納得できないわ! ワープできるならとっとと敵のボスの所まで行きなさいよ!」
「知るか!」


「問題発生。」
「どうした? 死体が歩き出したか?」
「違う。待機中の3人の涼宮ハルヒが実体を得た。」
「な!? それは非常にまずいんじゃないのか!?」
「幸い3人とも意識はなく、閉鎖空間で寝ている。今頃古泉一樹が驚いていると思われる。」
「神人が暴れているのか。」
「涼宮ハルヒにとって死体と2人目以降の存在について納得のいく答えが見つかった。もう収まるはず。」
「あいつ以外誰も納得できない答だな。」


「んー、穴が死体で埋まって平坦になれば楽なのに~。」



「あいつら絶対おかしいわ。」
「ゲームだからな。おかしいのはお前だ。」
「だって垂直跳びで身長の3倍以上の高さを跳べるのよ!?
 身長が170cmとして、えと510cm、5mの高さ跳べるのよ!?
 それだけじゃないわ! 5mどころか、うん100m以上の高さからちゃんと着地して、
 何事もなかったかのように走りだせるのよ!」
「お前にぴったりのゲームがある。あとで貸してやる。」
「あ、ありがと。それはともかく、なんであんなに高さ関連に強いわけ!?」
「えーとだな、そう! ドクター中○が発明した靴があるだろ? あれだ。あれを履いているんだ。」
「あのジャンピングシューズ!? うそよ! ありえない!
 だってあたしあれ買ってみたけどジャンプどころか転んで捻挫しただけだったわ!
 とんでもない不良品よ!」
「買ったのかよ。……それはいつの話だ?」
「小学生のころ。」
「だからだ。今は改良されている。しかもプロが履いているからな。」
「!」


「情報の伝達に齟齬が生じるかもしれない。でも聞いて。
 ドクター○松がノーベル物理学賞にノミネートされた。」
「オーケイ! アイシー! アンダスタン! わかった! 悪いがノミネートを削除してくれ。」
「大丈夫。すでに削除済み。」
「長門、愛してるよ。」
「もっと冷静な時に言って欲しい。」


「くぉらぁ! このクソ主人公!!! なんで膝の高さから落ちて死ぬのよ! 根性見せなさい!!」 



「キョン、ゲーム機まで貸してくれてるのに言うのはなんだけど、なにあのゲーム!?
 あそこまでひ弱な主人公初めて見たわ! 」
「ああ、史上最弱の主人公として有名なゲームだ。」
「最弱過ぎ! スタートして1秒で死んだわ!」
「それを考えると100m落ちても無事な髭オヤジの方がいいだろ?」
「そうね。少なくとも現実世界の人間より弱い主人公よりマシだわ。
 それより聞いて! さらに不思議なことがあるの!」
「……キノコを食べると大きくなることか? 花を食べると火の玉が出せるようになることか?」
「……それも不思議ね。170cmの人が2倍の身長に。340cm! ちょっとどういうこと!?」
「しまった。……おい長門!急いでどこへ行く!?」
「朝比奈みくるとお茶の水汲み。」
「そうか、手伝おう!」
「ちょっとキョン! キョン!! ……古泉くん、あなたならわかるわよね?
 どうしてキノコを食べると大きくなるのか。」
「そ、そうですね。キノコといった菌類や植物には解明が進んでいない部分が多くて
 今でも新種発見や、新しい薬効成分が見つかったりするそうです。
 大きくなったり火の玉が吐けるキノコや花が存在してもおかしくありません。」
「さすがは古泉くん! と、言いたい所だけどさすがに骨格は変わらないんじゃない?」
「いえ、大人を子供にする『APTX4869』という薬がありまして…」
「本当!?」


「よろしくお願いします。」
「わかった。wせdrftgyふじこlp」
「子供の古泉くんってかわいかったですね♪」
「……。」
「ふう。長門さん、ありがとうございます。まさか小学生になるとは……なぜか睨まれているんですが?」


「また穴……。あたし、もしかしてヘタクソ?」 



「この前聞くのを忘れてたわ。ちょっとキョン! 聞いてる!?」
「ああ、当然だ。だから朝比奈さんも一緒に聞いてください。長門、お前もだ。」
「なんで鍵を閉めるんですか~~!?」
「何やってるの? で、キョン! 100mの高さから落ちて無事な主人公がなんで穴に落ちて死ぬのよ?」
「古泉。」
「長門さん。」
「……………。」
「え、えっと涼宮さんお願いします。」
「あたし!? んーと、あれ? キョン! あたしの質問よ!」
「正直わからん。古泉任せた。」
「長門さんお願いします。」
「あたし、長門さんならわかるんじゃないかなって思うんですけど。」
「え、有希わかるの!?」
「……………………………………………………………………………………………………らぴゅた。」
「! だからさすがに助からないのね!? さっすが有希!!」



「すまん長門! 俺たちが悪かった!」
「ごめんなさい! あたしが調子に乗ってました。ごめんなさい!」
「お願いしますよ長門さん。早く機嫌直してください。」
「なんでもおごってやるから早くこの落ちてきたロボットを何とかしてくれ!!!!」
「あと申し訳ないんですがあの天空の城も何とかして欲しいんですが……」


「ここは上空1万m、この穴に落ちたら命はない。……あぁ、ミスった! ダメ! 緊張するわ!」

 




「ねぇ、キョン……。人の命ってお金で買えるのかなぁ……。」
「なんだ、えらく深い話じゃないか。」
「今まであんまり意識してなかったけど、ちょっと気になってきて……。」
「そうだな、病院や薬が買えるとかで金持ちと貧乏人の寿命の差が出てきてる事を考えると、
 金で命は買えると言えるかもしれん。」
「それって寿命を買ってるわけじゃない? そうじゃなくて命そのものってどうかな?」
「う~ん、クローン技術はある意味金で命を買ってると言えるかもしれんな。」
「その費用って金貨100枚くらい?」
「…………真剣に考えてた俺がバカだった。コイン100枚で1upって話じゃねぇか!!!」
「重要な話よ! あの巨大な金貨なら十分価値があるわ!」
「ハルヒよ、あれはデフォルメだ。実サイズだと画面2ドット分がせいぜいだ。わかるか?」
「ええ!? ちが……うの……?」
「なんでショック受けてんだよ。」
「あれだけ大きい金貨だと人間とか買えるのかな、と思ったんだけど……。クローンなんてもっと無理よね……。」
「えらく問題発言だぞ。それは。」


「金の価格が暴騰している。」
「そうきたか……。」
「昨日と比べ3倍の値段がついている。経済はもちろん、半導体機器製造にも影響が出るのは間違いない。
 このままでは弱小国の破綻や戦争が勃発し世界が崩壊する可能性がある。」
「閉鎖空間じゃなくても世界を危機に陥れることができるのか……。」
「でも任せて。情報操作は得意。佐渡島の金脈を復活させた。あと石見銀山に金の鉱脈を追加した。
 埋蔵量は現在地球上にある金の量の倍。」
「………。」
「…………ちが……うの……?」
「……違うな…。」


「うわwww無限増殖wwwキタコレwwwww」 



『緊急事態。待機中の涼宮ハルヒが増え始めた。』
「……ハルヒめ、とうとう気づいたか!」
『このまま増えすぎると閉鎖空間を内側から破るかもしれない。
 だからあなたに待機中の涼宮ハルヒの有機情報連結の解除の許可を求めたい。』
「俺に!?」
『あなたは彼女の鍵。早く、許可を。』
「えらく信頼されているな。だが『急いで! 許可を!』な、えっと長門?」
『早く! 時間がない!』
「落ち着け、大丈夫だ。倍々ゲームでなくて1人ずつ増えてるだろ?」
『……増えている事には変わりない。』
「今何人だ?」
『125人目、126人目、!! 全員消えた。』
「長門は知らないだろうが、裏ワザに『無限増殖』ってのがあるんだ。
 だが『無限』といいつつもなんだかコンピューターの関係で
 126人以上はマイナス扱いで死んだらゲームオーバーになるんだ。」
『恐らく2進数の補数によるマイナス表現と思われる。』
「さすがだな、長門。……まあいつでも相談してくれ。少しでも力になりたい。」
『感謝する。あなたに負担ばかりかけていて申し訳ない。……ひとつお願いがある。』
「なんだ?」
『涼宮ハルヒが遊んでいるゲームの内容が知りたい。詳しく教えて欲しい。』
「ああ、お安い御用だ。今度の土曜日に俺んちに来てくれ。同じのがあるぞ。」
『ぜひお邪魔したい。』


「タイムオーバーまで無限増殖。どれくらい増えたかしら♪ !!!
 なんでゲームオーバーなのよ!!! あんだけ1up、1upって言ってたじゃない!!」



「ねぇ、キョン……。生物って神秘よね。ちゃんと寿命があってそれまでに子孫を残す。
 細胞分裂には限界があって、その限界を超えてしまった細胞はもう分裂しない。
 でもそのルールから外れて細胞分裂するものは癌となってその生命体自体を殺すの。」
「………無限増殖しすぎてゲームオーバーになったんだな?」
「………なんでわかったのよ?」
「みんな一度は通る道だからな。どうせどっかのサイトみて試したんだろ? 注意書きなかったか?」
「あとで見た。もっとわかりやすく書くべきだわ。」
「でもやり方がわかったんだろ? カウントして増やせばいいじゃないか。」
「3時間やって成功したのは1回こっきりよ……。キョン! あんた出来るの?」
「ああ、百発百中じゃないがそれなりの成功率だと思うな。」
「教えなさい!」
「へっ?」
「やり方教えなさいよ! いいわ、今度の土曜日にあんたの家に行くわ。決定!!」
「なっ! 俺の都合は無視かよ!」
「なに? どうせ暇してるんでしょ? それとも何か都合が悪いことでもあるの?」
「い、いや…。そうだ朝比奈さん! ついでに俺んちに来ませんか? 長門、古泉、お前らもどうだ!?」
「了解。」
「あ、有希……」
「いいいですね。さすが団長、たまにはレクレーションでテレビゲームというのもいいアイディアだと思いますよ。」
「あの~あたしテレビゲームはよくわからないんですが……。」
「大丈夫ですよ! すぐ覚えれますよ。」
「ん~~~っんん、いいわ! キョンの家に朝9時集合よ!」
「9時!?」


「古泉、今日はなんで俺の味方してくれたんだ?」
「いえ、長門さんが本当に人を殺しそうな視線を送ってきたので……。」
「……すまん、長門。」
「……………………………………いい。」
「……すまん。」 




「5分前に来たのに最後なんですね……。さすがにキョンくんも迷惑じゃないですか?」
「みくるちゃん、最後なのはまだ顔を洗ってるキョンよ。」
「おふたりが早く来すぎてドタバタしたせいだと伺っていますが?」
「そうよ有希、1時間前に来るのはご家族にも迷惑よ!」
「……着いたのは同時のはず。」

「そこでジャンプ! そう、ちょっとずらして。で、もう一回ジャンプ!」
「! 出来た! 出来たわ!! いい感じよキョン! もうコツは掴んだわ!!」

「う~ん、さすがに最終面は難しいわね。そろそろストックがなくなってきたわ。」
「おい、ハルヒ、「うっさい! いま話しかけんな!」…。」

「うそ、ゲームオーバー!? もう一回…。」
「おいハルヒ。ハルヒ~。ハルハル~~。」

「シャミがなついてるのはキョンくんと有希ちゃんだけなんだよー。ずるいよー。」
「ねこさんいいなぁ。いいなぁ。」
「長門さんの番ですよ。」
「うりゃーーーー!! よしスター出現!!」
「あがり。」
「また長門の勝ちだな。まさかトランプの裏表の特徴を全部記憶しているとか?」
「全部ではない。汚れや傷のあるものだけ。」
「まじかよ……。」
「では次はトランプ以外のゲームをやりましょうか?」
「うぉ!? どこにそのボードゲームを隠してたんだ!?」


「よっしゃー!! クリアー!!! やった!! やったわキョン! あれ?」
「あなたはずるい。わたしのプレイ時間がなくなった。」

 

「長門、あのゲームは面白いか?」
「ユニーク。20年以上の前のゲームにしてはハイクオリティ。」
「そうか。クリアできたか?」
「正規ルートはクリアした。だがまだ全部終わっていない。」
「全部?」
「マイナス面。」
「そ、そうか。」


「あー!! 何回やっても何回やってもエアーマンが倒せないわ!! キョンに電話しよ!」



スーパーハルヒ 完 




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