長門有希がある気掛かりな夢から目が覚めると、乳房が大きくなっていた。

 極めて起伏の少ない体に設定されているにもかかわらず、今の大きさは涼宮ハルヒの乳房に匹敵する。しかも、圧迫すると白濁した分泌物が噴出する。

「……身体情報の改変を検出。原状回復のための有機情報連結解除及び再構成を申請する。」

 普段の自分の体とはあまりに掛け離れたこの姿。このまま登校するわけにはいかない。

『Application was rejected.』

 しかし、申請は拒絶された。その他、見た目だけを元に戻すなど様々な回避策を講じたものの、それらはすべて拒絶された。

 ここまで状況証拠が揃えば間違いない。この現象は涼宮ハルヒの仕業と断定できる。そして、彼女がその状況を強く望んでいることも。

 では、どのような対策を講じるか。様々な方法を検討した結果、学校に連絡した上で午後から登校することにした。

 

 放課後の文芸部室。既に噂になっていた有希の現状を確かめようと、全速力で部室に飛び込んできたハルヒは、我が目を疑った。

「ちょっと、有希! どうしたのよ、その胸は……!」

 変わり果てた……細身であるため余計に胸部の隆起が目立つ有希の姿に、文字通り目を丸くする。

「今朝起きたら、腫れていた。」

「腫れてるの!? 痛くない?」

「すこし。」

 ハルヒは心配そうな顔で有希を見ている。

「しかし、すごい変化ね。腫れてる以外に、何か変わったことはない?」

「他には、圧迫すると、白濁した分泌物が出る。」

「……え?」

 有希の冷静な状況説明に、ハルヒの動きが止まる。

「分泌物を出すと、少し痛みが和らぐ。しかし、時間が経つとまた張ってくる。」

「ちょ、ちょっと、有希! お、おっぱいを搾ると、白い液体が出るっていうこと? それって、まさか……!?」

「…………?」

 有希は、ハルヒが何が言いたいのかを理解できなかったが、次の言葉で理解した。

「うちの娘を孕ました奴は、どこの馬の骨じゃぁぁぁぁ!! シゴウしゃげたる!!」

 ハルヒは般若の形相で絶叫していた。

「まずは検査薬で物的証拠を固めてから、相手に迫るわよ! もちろん、とりあえず動かなくなるまで殴ってからね!!」

 そう言って今にも薬局・薬店に駆け出そうとするハルヒのスカートのベルトを、有希の指がしっかりと捉えていた。

「たわわ!? ちょっと、有希! どこ掴んでんのよ! スカートが脱げちゃうじゃない!」

 ずり落ちたスカートを引き上げながら、ハルヒは非難した。しかし、有希は平坦な声で、

「まずは落ち着くべき。」

「これが落ち着いていられますかって!」

 髪を振り乱して絶叫するハルヒに、有希はなおも冷静に告げる。

「妊娠の事実はない。これはただのホルモンバランスの崩れ。生理不順の類と同じ。」

「何ですって!? そんなこと言ったって、あんた。その膨らみ方は尋常じゃな……」

「わたしは、男性とそのような関係を持ったことはない。」

「…………」

 なおもジト目で睨むハルヒに、有希は真摯な瞳で、

「……信じて。」

 ハルヒは、やがて溜め息を一つついて、

「……まあ、あたしだって、有希がそんなことしてるとは信じたくもないわ。」

「午前中に診察を受けてきた。取りあえずは経過観察となった。」

「そっか。様子を見るしかないのかしらね……」

 取りあえず落ち着いたハルヒは団長席に着き、有希も定位置で読書を開始した。

 ハルヒはPCでネットの情報を検索しながら、有希の方をちらちらと見ている。しかし、やがて我慢できなくなったのか、

「……ねえ、有希。今、胸が張って痛い?」

「……わりと。」

「えっと、お、お乳を出せば、しばらくは痛くないのよね?」

「そう。」

 ハルヒは席を立つと、部室の扉を施錠して、有希の背後に回りこんだ。

「分かったわ。ちょっとじっとしてなさい。」

 そう言うとハルヒは、有希の乳房を揉みはじめた。

「勘違いしないでよね。これは、『治療』なんだから。」

 さっき熱心に調べていたのは、「母乳の出を良くするマッサージの方法」だったらしい。

「服の上からだとやりにくいな、やっぱり……有希、ちょっとごめんね!」

 ハルヒは有希の制服をめくり上げ、そして絶句した。

 

「サ、サラシ……」

 有希の胴体には、隙間なくサラシが巻かれていた。

「突然大きくなったので、下着のサイズが合わなかった。」

「だからって、何もサラシを巻かなくても……Tシャツとかさ。」

「Tシャツでは、乳首の突起を隠せなかった。」

「……病院に行った足で、買いに行けば良かったんじゃ……」

「うかつ。気が動転していて、そこまで意識が至らなかった。」

「いや、まあ、そうよね。朝起きたら、いきなりそんなことになってたんだよね。ごめん。ああ、でも、ぐっしょり濡れちゃってるわね……」

 サラシの胸の部分には、二つの染みが広がっていた。

「そのままだと色々まずいから、一旦サラシを取るわよ。」

 丁寧に巻かれたサラシを、丁寧に取り去ると、有希の乳房が顕になった。

「うわ、でっかい……じゃなくて。オホン。さっきも言ったけど、これは治療だから!」

 ハルヒは顔を真っ赤にしながら、乳房や乳首のマッサージを始めた。

「有希のおっぱいを揉んでるなんて、何か信じられない気分だわ……あっと! 飛び出た……」

 無表情で胸を揉まれる少女と、だんだん無口になっていく、胸を揉んでいる少女。一種異様な光景が続いた。

「そろそろいいかな……」

 乳房を入念に揉んだ後、ハルヒはおもむろに有希の『ぼにう』をむさぼった。

「……ぷはっ! あー、念のために言っとくけど、そのまま飛ばすわけにはいかないでしょ? だからあたしが飲んで処理してるわけよ。OK?」

「……これが『母乳』と断定されたわけではない。ただの『膿』である可能性も否定できない。」

「いいの! 有希の体から出るものに、汚いものなんかないの! 美味しかったから大丈夫なの!」

 そこまで言って、ハルヒは、はっと何かに気付いたように、

「い、今、何か、あたし、とんでもないことを口走ったような……」

 激しく赤面しながら、もじもじするハルヒ。だが、やがて吹っ切れたように、

「これは治療行為、これは治療行為、これは治療行為、これは治療行為……」

 うわ言のようにブツブツ呟きながら、また有希の『ぼにう』を吸い始めた。

「これは治療行為、これは治療行為、これは治療行為、これは治療行為……」

 ひたすらブツブツ呟きながら有希の乳房に吸い付くハルヒは、自分の頭が有希に優しく……まるで母乳を吸う赤子を抱くように抱きかかえられていることに気付いていなかった。

 

「……ぷっはー! と、とりあえず、あらかた吸い尽くしたわ!」

 しばらくの奮闘の末、ハルヒの「治療行為」は終了した。

「……かなり楽になった。」

「とりあえず乳首は防水も兼ねて、絆創膏でブロックしなさい。それならTシャツでも大丈夫でしょ。」

 有希は無言で頷いた。ハルヒは早速、有希に絆創膏を貼る。その後は再びサラシを巻く作業になった。

 結局その日は、有希の体調を考慮して、ということで、そのまま解散となった。

 

 翌朝、有希が目を覚ますと、乳房が大きくなったままだった。しかも、圧迫すると白濁した分泌物が噴出するのも同じ。

「……原状回復のための有機情報連結解除及び再構成を申請する。」

『Application was rejected.』

 今日もダメだった。これは、またハルヒに『ぼにう』を吸われることになるだろう。

「涼宮ハルヒは……わたしの胸を揉んだり吸ったりしたいと欲している……?」

 もしそうならば、彼女が満足するまで、この状態は続くだろう。

 有希は、新しい下着と搾乳機の購入を真剣に検討していた。


|