『なんだ、待っててくれたのか』

 

 

アタシがここで待ってる事を分かっていたみたいに、アイツはここに来た

 

「…久しぶり。相変わらずマヌケ面ね」

 

『はは、悪いな。・・・久し振り』

 

聞き手で頭の後ろをポリポリと書く

確かに会うのが久し振りだから、恥ずかしがる気持も分からなくは無いけど・・・アタシ達はそういう仲じゃ無いでしょ?

 

『だな。・・・ハルヒ、もっとこっちに来てくれ』

 

もう泣きそうなの?

全くだらしないわね。ほら抱きしめてあげるから

 

キョンの大きな体を、アタシの細い腕で精一杯抱きしめる。キョンも抱き返してくる

今、アタシ達に距離は無い

心は混ざり合っていた

 

『ああ・・・ハルヒ』

 

キョンの涙が頬を伝う

それを舌で舐めとる

 

しょっぱい・・・でも、愛おしい

駄目、もう抑えられない・・・キョンキョンキョンキョンキョン・・・!!!

 

『怖いんだハルヒ・・・またあの暗闇の中で何千時間も過ごさなきゃならないと思うと・・・怖くて、怖くて・・・・・・・辛くて』

 

「大丈夫よ。辛かったら心の中でアタシを呼びなさい、絶対に駆けつけてあげるから。いつも・・・・貴方の隣に居るからっ!!」

 

『ハルヒッッ!!!』

 

お互いに激しく唇を求め合う

水も、息も、声も、心も、アタシ達は求め合う

 

身体は透明になり、また暗い闇の中に舞い戻ろうとしている

早すぎる終焉・・・次、貴方と会えたら

話して過ごしたい事がある。

懐かしいあの日々の思い出を・・・

 

貴方の物が、少しでもアタシの物になりますように

貴方が、少しでもアタシの中に残っていてくれますように

 

 

また会う、その日まで

 

 

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・ 

 

 

 

 

銀河中の星々は祝福する。

その二人を

 

神聖な意思。残り続ける欠片。

彼らを繋ぎとめている思い

 

魂も、肉体も、遥か昔に転生した二つの欠片

 

それでも二人は消えない

 

 

それは神様の悪戯かもしれない

 

余りにもそれが熱烈だから

余りにもそれが透き通った恋だから・・・

 

神様の嫉妬

神様の恥じらい・・・?

 

 

とにもかくにも

彼らは360日に一度。8640時間に一度しか抱擁を交わすこと許されなかった

 

 

でも彼らは残っている

お互いを想う気持ちが強すぎたから

 

 

そんな想いを遠い星から受け取った一人の人間は、こんな伝説を残しました

その二人が何時か、神を越えた物から受け取れる至高の祝福を得る事を願って・・・・

 

 

織姫と彦星は一年に一度しか会えない

そして、その一日で更に二人の愛は深まるのだ・・・と

 

そんな七夕の切ない恋物語・・・

 

 

 

 

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「ねえキョン」

 

団長席に座りながらネットサーフィンをしていたハルヒが、唐突に俺に声をかけてきた

 

「なんだ?」

 

真正面の古泉が王手をかけられ唸っている状態を微笑ましく観察しながら、俺は聞き返す

 

「アタシ達って、ずっと昔どこかで出会った事がある?」

 

唐突な質問だった

過去に二回くらい、同じ質問を聞いた気がするぞハルヒよ

 

「ジョンスミスのことか?」

 

「それも驚いたけど、それじゃないわ。なんかこの時期になると、ふと頭をよぎるのよね」

 

「何がだ?」

 

「なんだろう・・・」

 

 

頭を抱えながら、う~んと唸るハルヒ。俺の目の前で古泉も同じように唸っていた

 

「お前ら息ぴったりな」

 

「何言ってるのよバカキョン」

 

 

そんなやり取りを見ていた朝比奈さんがふと何かを思い出したように長門に尋ねる

 

「そういえば今日って、七夕じゃありませんでしたっけ?」

 

 

『あーっ!!!!』

 

 

勢いよく声を張り上げたのはハルヒだった

 

「何か大切な行事を忘れてると思ったらそれよ!キョン、古泉君!アンタ達急いでコンビニでお菓子買い込んで来て!!今日は盛大に盛り上がるわよぉ~!!!!」

 

 

古泉と俺は同時に肩を竦め、部室を出る

 

部室の中では「さあアンタ達は飾り付けよ!!」なんて声が聞こえてきた

 

 

 

 

「しかし、何か考えさせられますね」

 

「何がだ?」

 

ここぞとばかりに爽やかなイケメンスマイルを向けてくる副団長

 

「いえ、織姫と彦星の事ですよ。彼らは僕達の願いを叶えてくれている。ならば、彼らは誰に願いを叶えて貰っているのでしょうか?」

 

「確かに、・・・な」

 

 

『アタシよ!!』

 

後ろで団長様の大きな声が響く

 

『アタシが織姫と彦星の願いを叶えてあげるわ!そうすればみんな願いが叶って万々歳よ!!』

 

その言葉を聞いた俺と古泉は思わず口を開けて笑ってしまう

 

『な、何よアンタたち!』

 

笑い過ぎて涙目になりながらも、必死に笑いを堪えながら俺は言う

 

「ああ、祈ってやってくれ。アイツらの願いを叶えてやれるのは、お前くらいしかいないさ」

 

 

 

年に一度の行事七夕、この日はみんな揃って願い事をする日だ。

 

その願いごとは彼らに届いているのだろうか?

何千人、何万人もの願い。

一つ一つ叶えていくのは大変そうだな、彦星さんよ

 

まあ頑張ってくれ

こっちは一人の願いごとを叶えるので精一杯なんだ

 

 

 

じゃあ、また来年にな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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