「古泉、これはどういう事?」
森さんが僕が提出した書類を机に叩き付けながら言い放ちました。
ちなみに今は、機関の事務室にいます。書類は今度行われる夏合宿の概要をまとめたものです。
「何か問題でも、ありましたか?」
「あるわよ!なんで今回は一般の民宿な訳?」
そんな事言われましても、海外じゃないだけいいじゃないですか。
「また鶴屋家のお嬢様に頼んだって言うから期待してたのに…」
ハァ、と森さんが溜息をついて続けます。
「折角(機関の経費で)新調したのにどうすんのよ」
そう言ってメイド服を取り出し、着替え始めました。あの、僕の事虫けらかなんかだと思ってます?
「どう?結構セクシーじゃない?」
はいはい、そーですね。ですが、今回は諦めて警備の方に回ってください。
休憩時間にでも観光していればいいじゃないですか。
「観光なんて別にどうでもいいのよ。気になるのはあの二人よ!」
涼宮さんと彼ですか?
「そう!未だ進展なしなんでしょ?」
ええ、でもまぁ兆しは見えてきましたよ。
「なおさらじゃないの!あーあーもうつまらないわ~」
仕事なんですから、我慢してください。それと警備の方々に失礼ですよ。
「滅多にない出張なのにやる事はいつもと同じなんて…というかあんたさっき軽く流したでしょ」
何をですか?と、とぼけてみる。
森さんが着ているメイド服を見せるようにして
「これよ!まったく彼女が出来た途端これだもの。昔のウブな古泉が懐しいわ」
やれやれと言った感じで、両手を肩の所まであげ首を振ります。
ん?彼女が出来たなんて言いましたっけ。まだ誰にも…そういえば朝比奈さんには即バレしましたね。しかし…
「ブツブツうるさいわね。本人から聞いたからよ」
本人?僕じゃないとすると長門さん!?森さんと長門さんに繋がりなんてありましたっけ?
「さっきから?が多過ぎるわよ。春先くらいかしら某カレー屋でたまたま一緒になってね、それからいろんな店のカレーを食べ歩く仲よ」
半年前からですか!いくら敵対はしてはいないとはいえ一応…
「あんたに言われたくないわよ!仕事とプライベートは別よ」
確かに今の僕には言えないですけども、機関でもそれなりの地位にあるのに
しかし長門さんがカレー好きなのは知ってましたが、森さんまでとは思いませんでした。
「しっかし古泉。あんたもくっさい告白したもんねぇ。聞いてるこっちが恥ずかしくなったわ」
長門さん…森さんにまですべて話したんですか。こんな形で弱味を握られるなんて。
強気の森さんがニヤニヤして続けて言い放ちます。
「しかもあんた、かなりがっつくみたいね。まるで獣みたいだったてよ~」
うわぁ…恥ずかしいこれは恥ずかしい。誰か僕に一発で昇天できるものを。
「すぐ昇天したくせに何言ってんの、あんたは」
ぐはぁ!そうですよ、どうせ僕は早漏ですよ。心に深く傷付きましたよ。早く長門さんにこの傷を癒してもらおう。
「いいわよねーあんたらは。青春って感じでさ。その辺にいい男でも転がってないかしら」
石ころみたいに転がってるわけないじゃないですか。そんなんだったら誰も苦労しませんよ。
というか森さんもいい歳なのに。メイド服なんか着て、それじゃ一部の人にしか需要がないですよ。
「なんか言った?」
…いえ、別に。

……「地獄耳」ボソッ
………
…………
さて、そろそろ長門さんとの約束の時間ですね。片付け始めましょうか。
片付け始めた僕を睨んでいた森さんでしたが、やがて携帯を取り出して誰かに掛け始めました。
「もしもし、ユッキー?古泉がねー、まだ終わらなくて遅れるって、うん、そう。じゃっ、またねー」
ちょっ森さん!ユッキーって…
「そう、長門有希よ。ユッキーとモリリンって呼び合う仲よ」
モリリンって、いや、それは置いといて。何勝手に遅れるって事にしてるんですか。
しかも公私混合じゃないですか。
「うるさいっ!彼女できたからって調子乗ってんじゃない!今日はしごいであげるわ」
そんな、理不尽な!八つ当たりしないで下さい。
「じゃあ、園生式特別演習Cコースやりましょうか」
そう言いながら、僕を引きずっていきます。
Cコースってマジですか!それやると丸一日動けなくなるんですけど。
意気揚々と僕を引きずる森さんには聞こえないみたいです。
 
長門さぁーん
 
ボスケテ―
 

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最終更新:2008年05月08日 03:35