お天気シリーズ番外編。古→ハルヒで、ハッピーエンドじゃないです。
よく分からないものになりました。
曖昧な天気は、あまり好きではない。
ねえ、涼宮さん。期待してしまうではないですか。
晴れのあと、曇り空が広がっていくのは、分かっていたのに。
「今日の活動は終了よ!あ、古泉くんは残ってもらえるかしら?」
「かしこまりました」
窓の外は晴れている。
僕は笑って彼女に答えた。
「じゃあ、みなさん、また明日」
「…さようなら」
「んじゃ、またな」
彼らが部室を後にすると、涼宮さんは言った。
「これから団長と副団長の秘密会議を行います!」
僕はこの、彼女と二人きりになれる時間が好きだった。
もちろん、彼とのボードゲームも面白いけれど。
…でも僕は、涼宮さんに好かれている彼を、あまり好んではいなかった。
そして彼は何も悪くないというのに、彼がいなくなる夢を、――よく見た。
なんてくだらない妄想だろう。
朝は必ず、心の中で彼に謝罪した。
しかし、夢は終わることなく、何日も何日も僕を苦しめるのだ。
「…どうしたの、古泉くん?調子悪い?」
我に返ると目の前に涼宮さんの顔があった。
少しびくりとすると、彼女は笑う。
「なあに、考え事してたの?」
綺麗だった。オレンジ色の空によく映えた。
そして何より、彼女が僕を心配してくれていたことが、嬉しかった。
「さ、帰りましょう!」
次の日、部室に入ると彼はいなくて、かわりに涼宮さんが僕を笑顔で出迎えた。
「待ってたのよ、古泉くん!今日は何して遊ぼうかしら?」
長門さんも本を閉じ、歓迎するように僕を見る。
朝比奈さんは僕を涼宮さんを交互に見、にこにこと笑う。
彼はずっと来なかった。
だってこの世界に、彼は存在しないのだから。
「!」
時計が鳴り響いた。慌てて飛び起きると、7時だった。
セットし忘れていたらしい。
「…遅刻ですね」
すっかり慣れてしまった口調で呟き、僕は着替えて家を出た。
ああ、駄目だ。最近の僕はおかしい。
謎の転校生は、遅刻などしないのに。
…謎の転校生は、神に恋などしないのに。
大規模な閉鎖空間。
白雪姫。
「ハルヒ」
「…!」
アダムとイヴ。
彼は涼宮さんに選ばれた。
カレハスズミヤサンニエラバレタ。
嗚呼。
謎の転校生は、彼女に恋などしないのに!