どうも古泉一樹です。平穏な日々にちょっと過激な非日常を味わっている古泉一樹です。なぜ二回言ったか、ですか?気紛れです。はい。
さて過激なっと申し上げましたがこの頃の涼宮さんは神的な力はあまり使っていません。それには僕も安心しています。
まあ以前と変わらず彼との関係はあまり進展していないようですが、彼はいつまであの鈍さを継続させるつもりなんでしょうねぇ。
彼は鋭い面もあるはず……というより一般的な方よりは大分鋭い方と僕は思っています。
 
っとこんな悠長な事をしている場合ではありませんでした。
先ほど涼宮さんの力はあまり使われていない、と言いましたが閉鎖空間が現れるのは以前と変わりません。
いえ、以前よりは発生しにくくなりました。しかし彼が鈍いおかげで(発生頻度が減ったのも彼のおかげですが)今日は発生してしまったようです。
まあこれを彼に言えば「俺が一体何をしたっていうんだ?」っと返されるでしょうね。まったく鈍いにも限度がありますよ。
というわけで今は僕は神人退治に向かっているわけです。
 
「今回の閉鎖空間は小規模な物のようだ。」
「そのようですね。涼宮さんも精神も安定してきたということでしょう。」
 
ああ、今話しているのは新川さんです。ある時は運転手ある時は執事ある時はスネ(ゴホン)としてこの人も大変なんですよ。
おや、新川さん咳なんかして風邪ですか?
 
「いや咳をしなければならないような気がしてな。」
「そうなんですか。とは言えお体にはお気を付けください。」
 
うむ。と返事をした新川さんは再び運転に集中し始めました。さてそろそろ閉鎖空間に到着しそうですね。
今日も何事もなく(と言いうのは変ですが)神人を倒せるといいですねぇ。
 
 
 
「っと言う願いは却下ですか……そうですか…。」
 
閉鎖空間に入った僕は自分の考えの甘さに気付かされました。
彼は涼宮さんとどれくらい激しく喧嘩したんでしょうか。神人がもう大暴れです。しかも二匹ほど。彼ではありませんが、やれやれですね。
まあぼやいても始まりません。仲間も頑張っていることですし。僕も早急に参加しましょう。
いつも通りに赤い玉と化した僕は一匹に集中攻撃している仲間達の元に応援に行きました。
そこからは慣れた物です。比較的楽(とは言え疲れますが)に一匹を倒した後さらにもう一匹の元へ急ぎます。
戦いも終盤、つまり神人がもう少しで倒せそうなところまできた頃。僕にも仲間にも予期せぬ自体が発生しました。
 
「WAWAWA忘れ物~~。」
 
そんな奇妙な鼻歌とともに現れたのは彼の友人である……え~~たしか谷口くん?……でした。
僕も仲間も一瞬神人の事を忘れ、突然の来訪者である谷口くんを凝視していました。
 
「ぬぉ!?なんだこりゃ!?」
 
まあ当然の反応ですね。と冷静に判断している場合ではありません。
なぜ彼がここに?もしかして彼も超能力者?など疑問がいくつかありましたが今はそんなことより彼の位置です。
 
「うおおおお!こっちくんなボケェ!?」
 
彼の位置は神人の真下です。今まさに神人の鉄拳が彼に勢い良く向かっています。なぜ神人が自由に動いているんだ。ですって?
さっき僕達が呆気に取られた一瞬のせいですね。
 
「のわぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
 
僕達は何とか谷口くんを助けだそうと頑張りました。本当ですよ?いくら面識が少ししかなくても知った人間が死ぬのは僕も嫌です。
しかし動作中の神人を止めることも直接助けだすのも間に合わず、神人の鉄拳により谷口くんはまさに蟻のように潰されてしまいました。
涼宮さんはそんなに谷口くんの事が嫌いだったんでしょうか?迷い無き一撃です。
いつもチャック全開だったらしいので仕方ないのかさも知れませんが……。
悔やむのは後にして僕達は神人退治を再開しました。冷たい奴だなんて言わないでくださいよ。
もしかしたら谷口くんは生きてるかもしれない。そう考えれば神人を倒すことで、谷口くんを助けだすこともできるはずです。
万が一とは言えこの可能性は捨て切れません。
 
 
 
 
「……腑甲斐ないですね。彼にどう説明しましょうか…」
「そういうな古泉。谷口という男は運が悪かったんだ。説明の方はそちらに任せるしかないがな。」
 
この会話で何があったか大体わかるでしょう。あの後神人を倒した僕達はあの辺りをくまなく探しましたが…谷口くんは見つかりませんでした。
恐らく跡形もなく……。
しかしどう説明しましょうか…。こんなことは初めてですし。いくら説明好きの僕としましても…。
いえこういう時助言を求めるとすれば………
機関は却下です。さっき僕に無理矢理一任してきました。
ならSOS団の誰か…朝比奈さんは無理ですね。いくら谷口くんとはいえこういうことを話せば卒倒してしまうでしょう。
彼は……というか彼に説明するんですから無理です。
涼宮さんは…どう説明しましょうか。……そこから無理ですね。
残るは長門さん……淡々と聞いてくれそうですが、アドバイスとなるとどうでしょうか?
もう聞いてくれるだけでいいでいいから長門さんに相談してみましょう。そうとなれば電話を……。
 
『………』
 
ワンコールで出るのは嬉しいんですが返事をしてほしいところです。まあ長門さんですからいんですけど…。
 
「長門さんですか?」
『そう』
「こんな時間に突然電話してすいません。。少し相談したい事があるのですが、今よろしいですか?」
『……………いい』
 
少し長めの沈黙でしたね。何か考えていたんでしょうか?気になりますが今考えるのは止めておきましょう。
 
 
 
 
「…………というわけで谷口くんが消えてしまったわけです。」
『…………』
 
僕は掻い摘んで長門さんに事情を説明しました。
やはりといいますか、長門さんは淡々と聞き手に回ってくれました。
そりゃもう相づちも何もない聞き手でした。別に悲しくなんかないですが………ね。
 
『問題ない』
「問題ない。とはどういうことでしょうか?長門さんには何か妙案でも?」
 
これは長門さんに電話して正解だったかも知れません。
 
『違う』
 
なんと……違うんですか。ならどういうことなんでしょうか?
 
『………うまく言語化できない…しかし大丈夫』
「それは確証があってのことでしょうか?」
『そう』
 
ならいいでしょう。長門さんが確証を持っておっしゃっているのならば……。
 
『……』
 
その後楽しくおしゃべり……なんて事はありませんでした。わかっていましたがね。さてここからは少し省略させてもらいます。
誰も僕の食事、入浴、就寝、風景など見たくないはずですからね。
 
 
 
 
というわけで次の朝。自分のクラスへいく前に彼と涼宮さんのクラスを少し覗きに行きました。もちろん谷口くんの事で、です。
しかし覗いてすぐ目に入ったのは昨日神人の鉄拳で潰されたはずの谷口くんの姿です。
ええ、驚いきましたよ。チャック全開は本当だったんですねぇ。
……っというのは冗談として谷口くんは健在です。健康そのものです。長門さんにはこれがわかっていたんでしょうか?
 
「何してるんだ古泉?ここはお前のクラスじゃないぜ。それともまたなにかあったのか?ハルヒの機嫌は直しておいたはずだが」
 
話し掛けてくれたのは彼です。そういえば涼宮さんとの仲直りを頼んでいたんでした。
 
「え、ええ。涼宮さんの精神は安定しています。まあ少し気になることがありましたが…」
「はっきりせんやつだな。問題発生したなら発生したといえよ。」
 
気だるそうにしながら彼は少し笑っています。仲直りはかなりうまくいったようですね。
 
「今は貴方に報告するような問題は起きていません。」
「そうか。まあ俺が苦労するようなことがないならいいさ。ハルヒの機嫌も直ったようだし。まったく人騒がせな奴だよ。」
 
彼は言葉とは裏腹にかなり嬉しそうな顔をしていました。ふふ、まったく本当に素直じゃないですね。
 
「あら古泉君。こんなとこにいるなんてめずらしいわね?キョンか私に何か用?」
 
さてそうこうしているうちに涼宮さんが来てしまいました。今日の涼宮さんはかなり上機嫌です。毎日このくらい上機嫌なら閉鎖空間も発生しないでしょう。
 
「いえ、ただの気紛れですよ。」
「ふ~ん。古泉君でもそんなことあるのね。まあいいわ。」
 
少しの間不思議そうに僕を見上げてきた涼宮さんでしたが何かを納得した様子で自分の席に座りました。
 
「お前もそろそろ自分のクラスに戻れよ。ホームルーム始まっちまうぜ?」
 
了解しました。と軽く頭を下げ五組を後にしました。しかし谷口くんが健在ですか。さてどういうことなんでしょうか。
おやおやもうこんな時間。長門さんにお話を聞くのはまた後にしておきましょう。
 
 
 
 
時は流れ放課後。僕のいる場所はいつもの部室です。長門さん以外の方はまだのようですね。好都合です。
いやはや昼休みや休み時間に聞きに行くのもよかったんですが………案外違うクラスの女子を呼ぶというのは難しいものなんですよ。
嫌味だ。ですって?ご冗談を。僕は器量の小さい人間です。
っと自虐的なのはここまでにしておきます。長門さんにお話を聞く時間は限られていますから。
 
「長門さん。昨日の件……っと言いましても午前零時を回っていましたから今日の件と言うのが正しいでしょう。に関してご説明して戴きたいのですが……」
「おそらく原因は涼宮ハルヒ」
「っといいますと?」
「昨日の午後11時24分5秒から今日の午前0時42分38秒。馬……彼の肉体は無作為転移し続けた」
「無作為転移ですか?つまり瞬間的に他の場所に移動したっということですね。それも何度も。」
 
つまり瞬間移動ですか。それが閉鎖空間への移動でなく、なおかつ無作為でなければ僕もしてみたいところですよ。……というか馬?
 
「無作為といっても涼宮ハルヒの認知している場所のみ」
「……それで無作為転移は何度ほど行なわれたんですか?」
「確認したかぎりでは3回。内わかっているのは…」
 
長門さんはわかっている場所を淡々と言ってくれました。閉鎖空間、谷口くんの自宅ときましたか。
自宅はつまり帰ったということでしょう。驚きなのは長門さんにも一ヶ所わからないところがあったことですね。
これに付いてはまた後で聞きましょう。わからないことを追求しても意味がありません。
 
「おそらく昨日の仲直りの仕方が原因」
「彼と涼宮さんのですか?」
「そう」
 
困ったものですねぇ。どんな仲直りの仕方をすればこんな事態になるんでしょうか?

「聞いてみればわかる……それについて私は観察していない」
「そうですか。」
 
これは彼の到着を待つしかなさそうです。この時間だと涼宮さんと一緒に来る可能性がとても高いですが……さてその場合どうしましょうか。
 
続く
 
 

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最終更新:2008年03月06日 23:53