※この物語は、最終的に キ長 および 古ハル へと持って行きますので、苦手な方は遠慮してください。 

   なお、この文章の続きには 「始めから、これはない」 という方々に 理解 ならびに 納得 していただけたらと思う文章を掲載致します。 

   未熟で拙い文章ですが、御付き合いして頂けるとうれしい限りです。 

 

 

 

 

 

    午前で僕と彼の、っと言いますか、彼の一方的な理論展開が終わるとジャストタイミングに、電話での催促が涼宮さんから否応なく掛かったので、僕たちは喫茶店への復路をたどる。  しかも、小走りで。  別に不満など無いのだが、全力疾走すれば時間通りに間に合うかも知れないのに、このままでは結局のところ遅刻だろう。 

  そんな感じのことを彼に進言してみたら、「大丈夫だ。  お前も居る」と一蹴された。  何が大丈夫なのだろう。 

 

 

 「おっそい!  あんた、また遅刻!! 

  財布が軽くなるとか言ってたわりに、ぜんぜん積極的じゃないのね!」 

 

 

 「いやはや、申し訳ない。  なに、心から反省してるさ。 

  だから、お詫びと言っちゃなんだが、ここは俺と古泉が奢らせてもらおう」 

 

 

  成る程、僕はあなたの地獄への道連れですか。 

  まぁ、相手が涼宮さんですから、別にいいですけど。 

 

 

    結構な量の汗を掻きながら僕たちが喫茶店へ着くと、彼と涼宮さんがお得意の簡易コントを始め出した。  それにしても、彼は尻の穴が小さい。  それくらいかっこよく、「俺が払う」と言えないものか。 

  彼のせせこましい計画に若干呆れながらも、僕は僕でこちらの目論見を実行することにした。  やはり、企てるなら100%思い通りに行って欲しいというのが実情だろう。  その名も、「長門さんに頼もう」という企画だ。 

 

 

 「すみません、少しお願いしたいことがありまして」 

 

 

 「……………」 

 

 

    彼や涼宮さんからは見えないように、僕は長門さんへと話し掛ける。  しかし、そこは長門さんだ。  僕が話しかけても「わたしはなにも聞こえません」とでも言うかのように、清清しいほど毅然とした姿勢で華麗に僕をスルーする。  

  長門さんの返事など待っていたら、一向に僕の話なんて進まない。  それは、アダムがりんごを咽に詰まらせたことほど事実で、彼が集合時間に遅れて来るほど当然のことなのだ。  よって、僕は一方的に話を進める。 

 

 

 「えぇっとですね、 

  午後からの班決めを行う際に、また僕と彼だけになるように仕向けていただけませんか。 

  頭を地面に擦り付けてでも頼みたいことなので、なにとぞよろしくお願いします」 

 

 

 「……………」 

 

 

    僕が熱心に頼み込んでも、こちらを向く気配など微塵も漂っていなく、長門さんの揺るぐことの無い視線は遠い虚空を見据えている。  その姿はまさに、「柳に風と受け流す」と言うにぴったりだと僕は感じた。  

  しかし、嫌であるなら否定的なものを見せる筈だと思い、そして実際に僕にはそのようなものは見受けられなかったので、僕は長門さんの沈黙を肯定と見做して踵を返して立ち去ろうとすると 

 

 

 「何故」 

 

 

    と、呼び止められた。  もちろん、僕のほうは向いていない。 

 

 

 「どうしても、今日中に彼と話してしまいたいことがあるんですよ。 

  そこであなたのお力を貸していただければと思い、こうして頼みに来た次第です」 

 

 

 「……………」 

 

 

    僕は可もなく不可もない説明をしたのだが、長門さんの態度は我関せずといったものだった。  要するに、無視である。  だったら聞いてくるなと思はぬこともなく、僕の説明に納得していただけたのかも定かではない。 

  しかし、興味があったからこそ聞いて来たはずだろうし、ここまで聞いて流石に無下にはしないだろうと僕は思った。  よって、僕は涼宮さんたちのところへ近づいていく。 

 

 

    いまだに続けていた二人に、「まぁまぁ、そんなことよりも中に入りませんか」と僕は言って、喫茶店へと促すのであった。 

 

 

 

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    喫茶店に僕たちが入ると、涼宮さん・朝比奈さん・長門さんはそれぞれに飲み物と軽めの昼食をオーダーし、僕と彼はおのおのに飲み物と大量のお冷を注文した。 

  提案したのは彼で、「俺とお前だけでも、食事代を浮かすぞ」と言って、このような横暴を強行し、及び、僕にさせて来た。  いやはや、本当にケツの穴が小さい方だ。  一度極太バイブでも突っ込んで、切れ痔にさせてやらねばならないようだ。 

 

 

 「さっ、ちゃっちゃと引きなさい。 

  今度はみんな、ちゃんと食べ終わってるから」 

 

 

    涼宮さんが、したり顔で彼に言う。  たぶん、朝の彼の言葉に対する嫌味なのだろう。  しかし彼はそんなことは気にも留めず、「はいはい、わかったよ」と無愛想に言って、彼女の手から爪楊枝を一本引き抜いた。  それが印付きなのかどうか僕には分からないが、恐らくどうにかしてくれているだろうし、なっているだろう。 

  ついで、長門さん・朝比奈さんと引いて、僕の番が回って来た。  僕は差し出される二本の爪楊枝を前に気持ち精神を集中して、そっと抜き去ったその爪楊枝はというと。 

 

 

 「印ありですね」 

 

 

    途端に奇声を上げたのは、 

 

 

 「なにぃー!!」 

 

 

    彼だった。 

 

 

 「うっさい、だまれ」 

 

 

 「……すまん」 

 

 

    流石の彼も、涼宮さんのまったくの正論には謝罪するしかなかったようだ。  そのいつもとは違う彼の潔さっぷりに、涼宮さんがうんうんととても満足気に唸って一言、 

 

 

 「じゃあ、ここの代金ぜんぶあんた持ちね」 

 

 

 「はぁ?」 

 

 

    納得ができないと言うような彼に、勇みよく伝票を突き付けた。 

 

 

 

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    しぶしぶと会計に向かう彼を放って、先に僕と涼宮さんたちは外に出た。  彼が僕を巻き添えに減らさせた出費は、まさに彼の財布に舞い降りた天恵となったのである。  無論、彼にとってだけだが。 

  程無くして僕たちの分まで払い終えた彼が戻って来ると、直ちに「また朝と一緒になっちゃったわね。  まぁ、いいわ!  それじゃ、ここに4時に集合よ!!」と涼宮さんが大きく宣言して、同じ班の長門さん・朝比奈さんを連れると消えてしまった。 

 

 

    彼女らの姿が見えなくなると、彼がお得意の「やれやれ」とポーズを決め、僕もそれに微笑みながら倣うと、 

 

 

 「っで、昼もお前となっちまった俺は 

  お前の話とやらを聞かなきゃならんのか」 

 

 

 「そうして頂けるのなら 

  僕にとって、幸いこの上ないですよ」 

 

 

    彼が「そうか」と言ってくれて、「なら、断る」なんてことは言わず、普通に了承していただけた。 

 

 

 

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    喫茶店から歩き出した僕たちは、さっきと同じくあの河川敷へと向かっている。  大切な話はそこでする、というのが彼の流儀らしく、反論する理由も無いので僕は素直に従った。  まぁ、僕にとってもあそこ以外に適当な場所など思い付かないのだが。 

  彼とのんびりぶらぶらと、所々に歓談などを交えながら向かう道中の最中、突如彼が僕にこんな話を持ち出した。 

 

 

 「……そういえば、

  お前さっき長門に近づきなんかして、何をしていたんだ」 

 

 

  おや、あなた方からは見えないようにしていたのですが…ね? 

 

 

 「そんなことはどうでもいい。  俺の質問に答えろ」 

 

 

 「いえ、別になんでもありませんよ。 

  ただ少し、長門さんに頼みたいがありましてね。 

  まぁ、聞いて頂けたのか偶然なのかは、わかりませんが」 

 

 

 「………そうかよ」 

 

 

    僕から視線をついと逸らすと、はなはだ不満気にそう言い放った。  何故あなたがそのような態度をするか、自分でも解かりますか?っと、そっぽを向いたままの彼に問いかけようとしたが止めた。 

  それは、彼と僕が川べりに着いてからゆっくりと話そう。  込み上げて来る不敵な笑みを、僕特有のお愛想スマイルで包み隠し、その後もそっぽを向き続ける彼とともに僕たちは先ほどの河川敷を目指すのであった。 

 

 

 

 

 

 

     ― To  be  continued ―  

 

 

 

 


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