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4月の一件以来、日常の一つとなった喫茶店でのアルバイトは始めてからもう半年程になる。
季節はカエデが紅く染まる秋。もう、冬が近いけれど。
観察対象である涼宮ハルヒが「鍵」である彼と付き合い始めてからは私の仕事も減りました。
4月の佐々木と呼ばれる少女と天蓋領域の周防九曜らが起こした事件は大変でしたが…今では彼女らも大人しくしています。
私の仕事は観察対象の起こした事象の事後処理と長門さんの監視。
ずっとそう思っていました、私の中に長門さんと同じエラーが発生しても冷静に処理してきました。

しかし、最近はエラーの処理が追いつかなくなっています。

カランカラン

「江美里ちゃん?お客さんだよ?」店主の言葉に私は気がつきました。店の入り口には、老夫婦が二人いました。
「いらっしゃいませ、二名様ですか?」いつものように対応する。考えてはいけない、冷静に処理しなければ。
私は長門さんのようにはならない。エラーに動かされる事などあってはならない。
「ご注文はお決まりでしょうか?」「コーヒーを二つお願いします」「ハイかしこまりました」

私は対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。それ以上でも、それ以下でもない。

「お待たせしました」私は注文の品を先程の老夫婦の所へと運び言った。「ありがとうございます」
先程からこの老夫婦は私の方をずっと見ている。何故だろう?
「どうかなされましたか?」私は老夫婦に聞いてみた。特に意味など無い、気になっただけだった。

「いえ…娘に似ていたもので…」老夫婦は少し戸惑いながらもそう答えた。そうなんですか。
「ええ、見てください。そっくりでしょう?」差し出された写真を見た時、私の中でエラーが発生した。

笑顔の少女、セーラー服を着ている所を見ると、中学生だろうか?確かに私に似ている。いや、似すぎている。

「生きていれば、ちょうど君ぐらいの年だろう」老夫の言葉に私の中に今までとは違うエラーが発生した。
「この写真を撮った次の日に事故でね…あ、すまないね。こんな話をして」いえ。私はそう言って席から立ち去った。

自分の住むマンションへ帰宅した私は直ぐにベットに寝転んだ。
老夫婦との会話の中で発生したエラー。何度処理をしても直ぐに発生する。
このエラーは危険だ。私の中の何かがそう叫ぶ。必死に処理するが処理できない。
消せないこのエラーが怖い。自分が自分でなくなってしまいそうだから。

気がつくと私は携帯電話で電話を掛けていた。「もしもし、○○だが」男の人の声、会長に電話していた。
「どうした?こんな時間に君から連絡してくるなんて珍しいな」
時計を確認すると23時、そんな時間に私は電話をかけていたのか。
「なんでもないです、夜分遅くすみませんでした」そう言って私は電話を切った。

何をしているんだろう?どうして私は会長に電話したのだろう?分からない
またエラーが発生した。消さないと…エラーは消さないと

ピンポーン

こんな時間に誰だろう?画面も確認せず応答する。どなたですか?「私だ」その声に私ははっとなった。
会長がこんな時間に私に何の用だろう?「とりあえず入れてくれるか?寒いんでな」
私は入り口のドアを開けるボタンを押して受話器を置く。暫くすると、呼び鈴が鳴った。
玄関のドアを開けると会長がいた。どうぞ、と言って会長を部屋に入れる。
「あの…何かありましたか?」私の質問に会長は

「それは私が聞きたいぐらいなんだが?珍しく電話を掛けて来るから、何事かと思えばなんでもないと言う」

「ええ、本当に何でも無いんです」ただ、気がついたら会長に電話を掛けていた、とは言わない。

「だったら何で泣いているんだ?なんでもないのに泣く必要があるのか?」
会長の言葉に私は驚いた。泣いている?私が?顔に手をやると、雫が手についた。言われるまで気が付かなかった。

「何があったかは聞かないで置く。だが」そう言って会長は私に抱きついてきた。「一人で抱え込むのはやめろ」
会長の言葉に私の中で大量のエラーが発生する。不快じゃない、心地よいエラーが。
「うう…わぁぁぁ!」会長に抱きしめられながら、私は思いっきり泣いた。
結局その後、私が寝てしまったため、会長は私の家に泊まって行き、朝早くに帰宅した。


「聞きたいことがあります…」

一人になった私は情報統合思念体にアクセスした。

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