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「んっ・・・・」

 

眩しさが急に消え、目を開く。するとそこは港であった。海のほうを見ると、はるか彼方の水平線は空と一体化しているかのように見える。

うん。なんだ?ここはプレイスタート時のエスタード島か?

と俺は思ったね。それくらい何もないんだ。あ、何もないと言っても雲や太陽はあるぞ。

 

「さてと、俺はまずどこにいきゃいいんだ?」

 

たしか朝倉は4人のプレイヤーキラーがいるって言ってたな・・・

なんて考えているうちに両腕が少し重いことに気付く。

な・・・なんじゃこりゃあ!

右腕に金属製のリストバンドのようなものが。そのバンドには4つの星型の窪みがあるではないか。ああ、ここにスターチップでも入れるんだな。そして左手には決闘盤。

うん。予想通りだ。あいつらもディスクはつけてたしな。

やれやれ、と思いながら後ろを向く。海ばかり見ていても飽きちまうだけだからな。

・・・・・アレか。アレなのか。俺の視線の先にはいきなり城のようなものが眼に入った。

 

「ひとまずあそこまで行ってみるか」

 

 

歩くこと30分くらいだろうか。軽く汗ばむ程度にウォーキングを楽しみ、俺は城についた。

しかし俺の目の前には長い長い階段が立ちはだかっているではないか。

 

「こんなところにきてまでどうして俺はこんなに運動しなければならないんだ、全く」

 

仕方なくその階段をのぼり、息がはぁはぁし始めるころ、ようやく城の入り口に着いた。

長いんだよ、ホントに・・・

どんとそびえ立つペガサス城。さすがだよ、この城。デュエルモンスターズの創造者の城だけはあるね。

てくてくと歩みを進め、城の入り口の扉で止まる。扉には大きなダイヤル状の鍵がついている。ほら、なんだ?旅館の金庫についてるようなやつを思い浮かべてくれ。

ただ、旅館のやつとは少し違ってて、本来番号があるところに星型の窪みが4つ。

ああ、やっぱり。スターチップか。恐らくスターチップを4枚入れなければ開かないのだろう、と思ったが、一応ドアに手をかけてみる。

 

ガチャガチャ

 

やっぱり開かないか。そうだろうと思ったぜ。

 

「さて、どうしたもんかな」

 

あの長い階段、また下りるのかよ、なんて考えながら振り返って、何気なく島を、広いなぁ、やっぱり、なんて見回しているときだ。

 

「ん?なんじゃありゃ?」

 

さっきいた港を挟んで島の反対側にある森のほうと海のほうになんかよくわからんが変な建物があるではないか。

もしやと思って反対側にまわるとそこには・・・うん。何もなかったんだな。それが。

ここでじっとしてても何の解決にもならんし、ひとまずどっちかの建物に行ってみることにしよう。

 

「じゃあ、最初は森のほうにでも行ってみるか」

 

まってろよ、みんな。すぐにカードの中から解放してやるからな。

 

 

あのやたらと長い階段をおり、途中まで息に来た道と同じ道を通り、ようやく森についた俺。ああ疲れた。どうせなら城なんか行かずに最初にこっちに来ればよかったぜ。

まぁ城から見るまで森があることすら気付いてなかったんだがな。

森には一本の細い道があった。ちと薄暗いが、獣道を歩いて迷子になるのに比べれば全然いいだろ。

 

「ここ、か」

 

細くて狭い一本道を少し歩いたところに木に囲まれた広場があり、そこにその建物は建っていた。途中、鳥の声にびびっちまったことは秘密だ。

建物の大きさはどこにでもあるようなコンビニくらいの大きさ。

俺が近づくとギィィィと音を立てて建物の扉が開く。まるで俺が入るのを待ち構えてるみたいだな。

早く来いってか?はいはい、今行くから待ってろ。

部屋の中は真っ暗で、光といえるものは開いた扉から入るわずかな光のみ。

俺が数歩歩くと、バタンと音を立てて扉が閉まった。

 

「しまった!罠だったか!?」

 

といって後ろに振り向く。・・・別に「閉まった」と「しまった」をかけているつもりは毛頭ない。

 

「ようこそ。キラーボックスへ」

 

ピカッと部屋の照明が点いたかと思うと、背中側から聞きなれた声がした。驚きのあまり体が動かない。口も金魚のようにぱくぱくするだけで言葉が出てこない。

 

「どうしました?後ろを向いたまま突っ立っているなんて、あなたらしくないですよ?」

 

ええい、ちくしょう。俺は何をやってるんだ、と体に言い聞かせ振り返る。そこにはいつも見慣れた0円スマイルの超能力者が立っていた。

 

「こ、古泉なのか!?本当に古泉なのか!?」

 

「ええそうですよ。僕は古泉一樹です」

 

どうなっているんだ?お前はカードに封印されているはずじゃ・・・?

 

「そんなことどうでもいいじゃないですか。それよりも闘いましょう」

 

闘うってお前・・・

 

「決まってるじゃないですか。部室での決着をつける為ですよ」

 

なにもお前、こんなところでやる必要があんのか?

 

「ありますよ。なぜなら僕はプレイヤーキラーの一人だからです」

 

・・・・・今お前何ていった?

 

「もう一度いいますよ?なぜなら僕はプレイヤーキラーの一人だからです」

 

そうか、分かった。お前は古泉じゃないな。本物の古泉がこんな真似するわけないだろうが。

 

「フフフ、それはどうでしょうか?」

 

ええい、その気持ち悪い笑顔をやめろ。何者かは知らんが、お前がプレイヤーキラーなのだけは分かった。そうと決まったらさっさと闘うぞ。俺はこんなところで時間を食うわけにはいかんのでな。

 

「あなたもひどいですね。分かりました、それでは闇のゲームを始めましょうか」

 

そういうと古泉(?)の顔から笑顔が消えた。そうか、お前も本気か。望むところだ。かかって来い。

 

「ふふふっ、今度は負けませんよ?それでは・・・」

 

 

「「決闘!!!」」

 

 

お互いが5枚の手札を引く。引きが悪くても先行が俺のジャスティス!

 

「俺の先行だ!ドロー!俺はモンスターを1枚セットし、リバースカードを1枚セット。これでターン終了だ」

 

ブォンと飛び出すビジョン。うほ、これは面白いぞ。なかなかいけるかもしれん。

それは置いておくにしても、古泉のデッキは戦士族がメイン。おそらくいつもみたいに、戦士族の高い攻撃力で突っ込んでくるだろう。少しは用心しておかないとな。

 

「僕のターンですね。ドローです。僕もモンスターとリバースカードを1枚ずつセットしてターン終了です」

 

ん?おかしいぞ。なんかおかしい。いつものあいつならここですでに攻撃しているはずだ。ということはこの古泉はやっぱり偽者なのか・・・?

まあいい。全ては終わったあとに分かるだろ。

 

「俺のターンだ。ドロー。俺は手札より熟練の黒魔術師(1900/1700)を召喚!」

 

効果音とともにフィールドに魔術師が召喚される。さて、どうするべきか。いつもの古泉ならあんまり気にせず攻撃できるんだが・・・まあアレとアレを伏せてあるし、攻撃してみるか。

 

「そして俺は熟練の黒魔術師でお前のモンスターを攻撃だ!」

 

「ありがとうございます。あなたならそうすると思っていました」

 

なんだと?

 

「リバースモンスターオープン、名工 虎鉄(500/500)。このカードが表になったとき、デッキから1枚装備魔法を加えることができるんですよ。それじゃあ僕が加えるカードはデーモンの斧です」

 

俺に見せた後、古泉はシャッフルしながら少しだけ唇を歪ませた。

デーモンの斧・・・確かあれは装備したモンスターの攻撃力を1000上げるカード。次の古泉のターンでダメージは確実だな。でも他になんかたくらんでいるのか?

 

「ちっ、ターン終了だ」

 

「僕のターンですね、ドロー。あなたが先ほど攻撃してくれたおかげで、デーモンの斧意外にももうひとついいことがあるんですよ」

 

やっぱりか。嫌な予感がする。ハルヒが部室に、おっ待たせ~!と言って入ってきたときぐらい嫌な予感がする。

 

「僕は手札より、魔導ギガサイバー(2200/1200)を特殊召喚!このカードは相手フィールドに存在するモンスターが自分のモンスターの数より2体以上多い場合、手札から特殊召喚できるんです」

 

お前、絶対古泉じゃないな。いくら最近強くなってきたからといって、古泉はこんなにカードの扱いが上手くないぞ。

 

「一応お褒めの言葉として受け取っておきます。そして、魔法カード、増援を発動!これによって僕はデッキからレベル4以下の戦士族モンスターを手札に加えることができます。僕が加えるカードは・・・そうですね」

 

古泉は、少しばかり悩んでから、不意打ち又佐にします、と言ってシャッフルしデッキをディスクに戻した。

 

「それでは手札に加えた不意打ち又佐(1300/800)を召喚。知っていますか?この又佐は、バトルフェイズに2回攻撃することが可能なんですよ?」

 

てことはもちろん・・・

 

「デーモンの斧を又佐に装備して又佐の攻撃力は2300にアップです。そうしたらまずは又佐で熟練の黒魔術師を攻撃します!」

 

そうくるよな。ぬぬぬ、今の俺じゃ防げん。喰らうしかないな。

パリーンという音とともに、黒魔術師が破壊された。くそっ、もうライフが400減っちまった。

 

「まだまだですよ?不意打ち又ざでさらにリバースモンスターに攻撃!」

 

予想通りだぜ。まあこないに越したことはないんだが。

 

「リバースモンスターオープン!墓守の偵察者(1200/2000)!このカードが表になったとき、デッキから名前に「墓守」とついたモンスターを一体特殊召喚することができる。

俺はデッキから墓守の偵察者を特殊召喚するぜ」

 

これ以上ダメージを食らうわけにはいかないんでね!防がせてもらう!なんとかこれでこのターンはしのげるな。危ない危ない。

 

「いくら守備力が2000と高くてもギガサイバーにはかないませんよ!僕はギガサイバーでそのモンスターに攻撃します!」

 

あーあ、墓守よ。せっかく出したのにあっけなく破壊されちまったな・・・

くっ、これで壁が無くなっちまったか。

 

「これで僕のターンは終了です。どうぞ、あなたのターンです」

 

ああ、なんかムカつくな。古泉にここまでやられるなんて、思いもしなかったからな。

 

「俺のターンだ!ドロー」

 

お、ちょうどいい時に来てくれたな!助かったぞ!

 

「俺は魔導戦士ブレイカー(1600/1000)を召喚!このカードが召喚に成功したとき、ブレイカーに魔力カウンターを1つ載せることができる。その場合カウンター×300攻撃力がアップする。また、カウンターを1つ取り除くことで、フィールド上の魔法、罠カードを1枚破壊することができる」

 

「そ、それじゃあ・・・?」

 

「デーモンの斧を破壊だ、古泉!」

 

又佐の装備していた斧が砕け散り、攻撃力が元に戻った。又佐を攻撃するのは今しかない!恨むなよ、古泉。俺も必死なんだ。

 

「行くぜ!魔導戦士ブレイカーで又佐を攻撃!」

 

ブレイカーの剣が又佐を切り裂き、破壊した。これで2回攻撃の恐怖は消えたな。

 

「うぐっ・・・。で、でもまだギガサイバーが残っていますよ?」

 

だれがターン終了と言った?早とちりされちゃこまるぜ。

 

「メインフェイズ2に入り、魔法カード、地割れ!これによって古泉、俺はお前の場にいる表表示のモンスターのなかで一番攻撃力が低い奴を破壊できるんだ。お前の場はギガサイバーのみ。だからな、そのギガサイバーが破壊されるんだよっ!」

 

 

「なんですって!?」

 

ギガサイバーの足元に大きな地面の割れ目ができ、ギガサイバーはそこに飲まれていった。

 

「一応リバースカードをセット。俺はこれでターン終了だ」

 

これでお前のフィールドはがら空きだ。形勢逆転だな?古泉よ。とはいっても俺のモンスターは攻撃力1600。破壊しようと思えば簡単に破壊できるだろう。それはもうあきらめるしかない、か。さて、どうしたものかね。

 

「勝負はこれからです。ドロー。僕はリバースカードをセットしたら手札から魔法カード増援を今一度発動します。そうですね、加えるカードはミスティックソードマンLv4にします。」

 

ミスティックソードマンLv4、か。確かあれは攻撃表示での通常召喚ができないカード。

ただその分効果も強力で、裏守備モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算をせずに裏のまま破壊することができるという効果破壊能力を持つモンスターだったな。しかも効果破壊ではなく、戦闘で相手モンスターを破壊したらLv6に進化することもできるという・・・

まあ攻撃できるようになるまで1ターンかかるからその間に倒せばOKだろう。ブレイカーでは守備力に攻撃力が足りなくて無理だから他のカードでな。

 

「あなた、きっとミスティックが攻撃するまでまだ時間がかかる。だから今のうちに倒しておこう、とでも考えているのでしょう?」

 

そうだ。よく分かったな。だがそれがどうした?

 

「実はですね、このターンで攻撃できるんですよ」

 

それはどういう意味だ?

 

「そのまんまですよ。それではいきます。まずは切り込み隊長(1200/400)を召喚」

 

ブォンと二刀流の戦士がフィールドに召喚される。

 

「そして切り込み隊長の効果発動です。このカードが召喚に成功したとき、手札からレベル4以下のモンスターを1体特殊召喚することができる。よって僕は手札からミスティックソードマンLv4(1900/1600)を特殊召喚します!」

 

やばい。これはやばいぞ。そろそろあのカードを使うしかないのか?

 

「それではバトルフェイズです!まずはミスティックソードマンLv4でブレイカーを攻撃!」

 

ミスティックソードマンが剣を振るい、ブレイカーが撃破される。これで残り3300か。古泉のほうは3700。なかなかの僅差だな。ここで喰らったらまずいな。

 

「そして切り込み隊長であなたにダイレクトアタック!」

 

切り込み隊長が疾風のようにこちらに向かってくる。今があのカードの使い時だな。

 

「残念だったな。お前のダイレクトアタックは通すわけにはいかないんでね。リバースカードオープン!速攻魔法、スケープゴート!」

 

スケープゴートは、自分フィールド上に羊トークン(0/0)(生け贄召喚のための生け贄には使えない)を4体特殊召喚するカード。ふぅ、危なかった。これで少しはターンを稼げるぜ。

 

「仕方ありませんね、切り込み隊長で羊トークンを1体破壊してターン終了です」

 

なら俺のターンだな。ド・・・

 

「と言いたい所なんですが、ミスティックソードマンの進化がまだでした。それでは、Lv4を墓地に送って効果発動です」

 

古泉のフィールドのミスティックソードマンの周りに渦が巻き、さっきとは異なる姿で姿を現した。

 

「ミスティックソードマンLv6(2300/1700)、デッキから特殊召喚!」

 

あー、なんだ、古泉よ。お前はいつの間にこんなに強くなったんだ?部室でのお前とは比べ物にならんほど強いんだが。

 

「なんせ今の僕の使命はあなたを倒すことですからね。それではターン終了です」

 

「俺のターンだな」

 

どうする?ミスティックソードマンLv6は裏守備モンスターを破壊するのだけではなく、デッキの一番上に戻すこともできるようになっている。つまりだ、むやみやたらと裏守備で出しても、デッキの上に戻るだけ、つまりこっちのドローが封じられちまうってことだ。カードが引けなかったら確実に俺は負ける。それだけは絶対にできん。さて、どうしたもんかな。羊がいることだし、このまま流すというのも手だぞ。うーん・・・

 

「と、とりあえずドロー!」

 

別に考えるのが面倒くさくなったからとか、考えたって何も浮かんでこなかったわけじゃないぞ。俺は次のカードに懸けることにしただけだ。おいそこ、逃げたとか言うな。

んで、引いたカードはというと・・・洗脳ブレインコントロール!

よし、仕掛けるか!

 

「俺は魔法カード、洗脳ブレインコントロールを発動。ライフを800払うことによって、お前のフィールド上のモンスター1体のコントロールをターン終了時まで得ることができる」

 

もちろん俺が選ぶモンスターはミスティックソードマンLv6だ。

 

「く、それじゃあ切り込み隊長は・・・」

 

その予想ははずれだ。いや、当たっているといえば当たっているんだが、破壊ではないんだ。

 

「さらに手札より速攻魔法、エネミーコントローラーを発動!」

 

このカードは2つの効果を持っている。1つ目は表表示モンスターの表示形式を変更する。そしてもう1つは、自分フィールド上のモンスターを1体生け贄に捧げることによって、相手フィールド上の表表示モンスターのコントロールをターン終了時まで得る。

 

「俺は羊トークンを1体生け贄に切り込み隊長のコントロールを奪取する」

 

「羊トークンは生け贄にできないのではないですか?」

 

残念だったな。生け贄にできないのは生け贄召喚のときだけなんだよ。だからコストとしての生け贄は可能だ。さて、これで俺のフィールド上のモンスターの攻撃力の総計は230012003500だな。少し足りない分はこのカードで補うか。

 

「そしてさらに速攻魔法、突進を発動!これによってミスティックソードマンLv6の攻撃力は3000。これでお前も終わりだな」

 

「そうはいきませんよ?こちらもリバースカードオープン!速攻魔法、収縮を発動します!このカードの効果によってフィールド上モンスター1体の攻撃力は半分になります。もちろん対称はミスティックソードマンLv6です。これで僕が喰らうダメージは2500に下がります。そして僕のターンになればしもべたちも僕の元に帰ってきちゃいますよ?どうしますか?」

 

前に部室でも言っただろう?焦りすぎてカードを使うタイミングを間違えるな、と。これだからお前はいつまでたっても俺に勝てないんだ。

 

「誰がバトルフェイズに入ると言った?俺はまだメインフェイズを終了してないんだがな」

 

この2体は古泉のモンスター。元々の攻撃力の合計は古泉のライフに少し及ばない程度。だったらあいつはモンスターを破壊しないで、ダメージを喰らってこのターンを凌ぐはず。帰ってきさえすれば圧倒的有利なんだからな。だから俺はあえて攻撃力を上げ、古泉を倒そうとした。もし罠を張っているんなら古泉のモンスターが被害を受けるだけだから俺にそこまで損はない。もし速攻魔法で対処してくるなら焦った古泉はすぐ使ってくる。そう俺は読んだわけだ。実際その読みは当たったわけだが。

 

「俺はミスティックソードマンLv6と切り込み地長を生け贄に捧げ、俺のデッキの切り札、ブラックマジシャン(2500/2100)を召喚する!」

 

そう俺が宣言すると、フィールドに漆黒の衣に身を包んだ魔術師が召喚された。

おぉ、やっぱり格好良いな、ブラックマジシャン。さすが俺のデッキの切り札。

 

「覚悟しろよ?俺はこのターンで決闘を終わらせるつもりだからな。」

 

それじゃ、今からバトルフェイズに移行する。

 

「いくぞ!ブラックマジシャンの攻撃!」

 

ブラック・マジック!!!!!

 

ブラックマジシャンが振り上げた杖から強力な魔道波が噴出し、古泉に襲い掛かる。

 

「ぐああああぁあぁあぁ!!!し・・・しかしまだ僕のライフは1200残っていますよ!」

 

俺はさっきちゃんとこのターンで決闘を終わらせると言ったはずだ。ちゃんと聞いておけ。そして俺のフィールドをちゃんと見ろ。

 

「・・・・なんですか?その罠カードは・・・・?」

 

ようやく気付いたか。この罠カードはマジシャンズ・ザークル。これは場の魔法使い族モンスターの攻撃宣言時に発動できる罠カード。お互いは攻撃力2000以下の魔法使い族モンスターを攻撃表示で特殊召喚できる。このカードをブラックマジシャンの攻撃時に発動させておいた。

お前のデッキは戦士族デッキ。だから魔法使い族は入っていないはずだ。

 

「ぐっ、確かにそうです。入っていません」

 

だがな、俺のデッキはそれこそ魔法使い族デッキなんだ。つまりだ、俺だけがモンスターを出せるということだ。

 

「な!?なんだって!?」

 

顔が一気に引きつり、目を見開いている古泉。うん、写真で保存したいね。滅多に見られるもんじゃないからな。んじゃ、そろそろ止めを刺すとするか。

 

「俺はデッキよりサークルで呼べるしもべの中でもっとも攻撃力の高いモンスター、THEトリッキー(2000/1200)を特殊召喚する!」

 

そしてトリッキーでダイレクトアタックだ!!!!!

 

「うわあぁぁぁぁああぁぁぁああああああ!!!!!」

 

ピロピロピロピロピロピロピロピロピ~ンという音とともに古泉のライフが0になる。よし、第1戦目勝利だ。

 

「俺の勝ちだな。さっさとスターチップを俺によこして正体を明かせ」

 

「やれやれです。やはりあなたはお強いですね。今回こそは本当に勝てると思ったのですが・・・これはしてやられましたよ」

 

と苦笑を浮かべながらスターチップを俺に渡す。んで、結局お前は本物の古泉なのか?それとも偽者の古泉なのか?まあ偽者の時点で古泉ではないが。

 

「それはどちらとも言い切れませんね。僕は僕であって僕ではないのですから」

 

・・・それはどういう意味だ?俺にも分かるように簡単に説明しろ。

 

「そうですね、いわば僕はコピーなんですよ。記憶、外見、何から何までそっくり同じにできた、ね」

 

あ、あなたを倒さなければならないという使命は僕オリジナルのものではありませんよ?刷り込まれたものですから安心してください、と0円スマイルを浮かべて付け加えた。

そうは言われてもにわかには信じがたい。

 

「本当なのか、それは」

 

「ええ。あなたに負けた今になって初めて気がついたんですけどね。前にもお話しましたよね?僕たち超能力者は僕たちに力を与えたのが涼宮さんであるということを知っている。それがなぜかといわれても分かるものは分かってしまうとしか言いようがない、と。これは今においてもそう言えるんです。僕は朝倉涼子によって作られたコピーなのだとね」

 

まあお前がコピーであるにしろ、古泉には変わりないだろう?頼む、俺の力になってくれ。後3人のプレイヤーキラーを倒さなきゃいけないんだ。今のお前なら結構戦力になるはずだからな。

 

「ありがとうございます。ですが、それは無理なようです」

 

どうしてだ、と言おうとしたが、言葉が口に出なかった。古泉から光の粒子のようなものが出ていたからだ。そう。かつて教室で見た朝倉のようにな。

 

「古泉!お前!それは!?」

 

慌てふためく俺に対し、古泉はいつもの0円スマイルを浮かべたまま淡々と言った。

 

「もう1つ分かることがあるんですよ。それは負けて用済みになった僕の消去。長門さん風に言うと情報結合解除、というやつでしょうか?」

 

ですから貴方のご希望にはそえません。すみませんね、と少し苦笑して言った。

お前は・・・お前はいいのか?勝手に作られて勝手に消されて・・・そんなんでいいのかよ?

 

「怖いです。すごい怖いですよ。僕が、僕という存在が消えてしまうんですからね。確かに僕はコピーです・・・オリジナルの僕が消えるわけではありません・・・でも、やっぱり僕は・・・・僕は・・・ぃ・だ・・・ぃゃだ・・・嫌だ!消えたくなんかない!」

 

まるでダムの決壊のように、話していくうちに感情的になっていく古泉。少しずつだが、確実に消えている身体は震えていた。そんな古泉に俺は何も言えなかった。言えるわけないだろう。俺はそんな体験したことないからな。下手な慰めは暴言と同じだ。

 

そして、身体が半分ほど消えたころ、ようやく古泉が口を開いた。

 

「すみませんね、貴方の目の前で取り乱してしまって」

 

気にするな、俺がお前の立場ならきっと取り乱してたからな。

 

「コピーの僕が言うのもなんですが、この世界からあなたが帰ったら、また僕と闘ってやってください。オリジナルの僕はそれすごく楽しみにしていますから」

 

「ああ。絶対だ。約束する」

 

今度は絶対勝ちますから、と古泉が笑う。つられて俺も笑った。気がつけば、光の浸食はもう首近くまで来ていた。

 

「そろそろ時間のようです。あなたと闘っていた時間はコピーの僕だけのの唯一持つ時間です。できることなら僕がいた、ということを忘れないでください」

 

ああ、もちろんだ。あんな強いお前を忘れるわけないだろう?

 

「それを聞いて安心しました。それではお別れです」

 

 

 

必ず・・・・・

 

 

 

涼宮さんたちを・・・・・

 

 

 

救い出してくださいね・・・・・

 

 

 

そういい残して古泉は完全に消滅した。

馬鹿ヤロウ!俺が命を懸けているものの中にはお前だって入っているんだよ!お前だって必ず助け出すに決まってるだろうが!

 

コピー古泉の犠牲。決意を新たに俺は次のキラーボックスのある海のほうへと向かった。


~つづく?~

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